KOWA Six シリーズ
興和の電気光学事業部が1968年に発表した6×6サイズのレンズシャッター式一眼レフ。
●ボディー
4種の代表的な機種が有ります。
・Kowa Six
:スピゴットマウントを採用した小型軽量の1眼レフ。クロームのボディーと白鏡胴のレンズで登場しました。
スクリーン上部に大きめのコンデンサーレンズを配置した非常に明るいファインダーを持っています。
機構が単純な分、シリーズの中では最も軽快に扱えるカメラです。
・Kowa Six MM
:ボディー上部側面にクラッチを設け、多重露光が可能になりました。さらに巻き上げノブ下部にミラーアップ用
スイッチを配置してレリーズボタンとの併用でミラーアップが可能がなりました。
交換バック以外は充実した内容となり、この頃55mm、150mmが新設計になったと思います。
・Kowa SixU
:機構を見直しダークスライド不要のL字型交換式フイルムバックを装備しました。ミラーのエアーダンパー等
改良が図られましたが、全体的に大型化しました。レンズ固定が光軸中心に若干回転して固定されます。
アクセサリーレール側にミラーアップクラッチレバーが有るところと銘版がSuper66とは異なっています。
・Kowa Super 66
:プロユースのノウハウから操作性面の見直しを行い、ファインダー視野率の向上とフイルムバックのロック機構
を簡略化し、さらに不安定要素だったU型に有ったミラーアップを廃止しました。
一般的にはブラックのボディーを見かける事が多いのですが、クロームボディーも用意されていました。
初期のコーワシックスの特徴として小型軽量があげられます。特徴的なハンドルグリップも数種用意されています。
ただ三脚に取り付けたままだとフイルムの交換ができない点は最後まで残ってしまいました。
(このため三脚用のブラケットが別売されましたが三脚座そのものが小さいので丁寧に扱う必要が有ります。)
フイルム巻き上げが完了すると巻き上げノブのクラッチが切り離され、ノブが空転するのは
他機種を使っていると驚かされます。
巻き上げ部のラチェット機構を見るとクランクでの操作は避けた方が良いと思います。
リンク機構には真鍮が多用され、材質的に脆弱な部分が多い点は否めないと思います。
フォーカルプレーンシャッターのブロニカに対し、レンズシャッターのコーワシックスはストロボの全速シンクロが特徴で、
超高嶺の花だった北欧の機械の代わりに実用的な国産機の地位を確保していました。
レンズシステム
殆どのレンズはプロミナーの血統を継ぐ優秀なレンズで、ビトゥイン型の#0セイコーSLVを搭載し、
初期はシルバーフィニッシュ。後期はブラックアルマイトになりました。
(レンズはSタイプとなって小型化されましたが、この時期はシルバーとブラックが混在)です。
シャッターにSLVの名が示す様にセルフタイマーも付いています。
プレビューもレンズ側で備えています(プレビューのレバーはスプリングで戻されますが、ゆっくり戻さないと
スプリングが外れる事が有りますのでご注意下さい。)
●レンズ
用意されたレンズは以下の13種。正直玉石混合だと思います。
レンズ銘 最短撮影距離 フィルターネジ
・19mm F4.5 0.4m フィッシュアイ
・35mm F4.5 0.4m φ95mm (レンズ後端にゼラチンフィルターホルダー)
・40mm F4.0 0.4m φ95mm (レンズ後端にゼラチンフィルターホルダー)
・55mm F3.5 前期 0.5m φ86mm
・55mm F3.5 後期 0.5m φ67mm
・85mm F2.8 0.8m φ67mm
・85mm F2.8 0.8m φ67mm
・110mm F5.6 0.8m φ67mm マクロ
・150mm F3.5 前期 1.5m φ77mm
・150mm F3.5 後期 1.5m φ67mm
・200mm F4.5 2.5m φ67mm
・250mm F5.6 4m φ67mm
・500mm F8.0 8m φ95mm
55mmと150mmは途中で設計変更が入り、ずいぶんと小型化されました。
ボディー側の三脚座が小さいので19mm、250mm、500mmにはレンズサポートが用意されていました。
システムカメラなので交換ファインダーも各種用意されていました。
・W/Lファインダー
・高倍率ファインダー
・水平/45°アイレベルファインダー
・チムニー/45°露出計付ファインダー
・フレームファインダー
その他、特徴的なハンドルもサイドグリップが二種、ピストルグリップが一種用意されました。
他にも製薬部門も持つグループだっただけに中判カメラでは珍しい顕微鏡アタッチメント等も有りました。
66判一眼レフではポピュラーな標準80mmに対し,ブロニカが75mmと短いところ,コーワは 85mm と少し長く,全速シンクロするレンズシャッターと相まってポートレート派にはよさそうですね.またブロニカでは,魚眼レンズは試作機どまりで発売されなかったようですが,コーワには(珍品ですが)全周魚眼があるのが羨ましく思います.もっとも,レンズシステムを一通り収集しようとすると,35mm ともども,苦労しそうですが..
特筆すべきは極めて低ショックなことで、手に伝わる感触がブロニカS2は勿論ハッセルブラッド501CXとも段違いのジェントルさです。
ブロニカS系はミラーが戻る際に衝撃が生じるので、よく知らない人々が言うほどぶれませんが、クイックリターンでないカメラの中でもコーワは優しい感触でしょう。
三脚セットのままフィルム交換出来ないのは裏蓋側に三脚座を持つ大方のTLRと同じですが、暗がりで三脚穴がなかなか探せなくて非常に困ったことがあります。
氷点下で同時に12-24切替しようとしたので手袋では結局出来ず車に戻ってフィルム交換やりました。
後に出た三脚アダプタはグリップと共用出来ず、アクセサリで対応するには限界がありますね。
クイックシューは解決策で、接触面積が小さい製品なら裏蓋開閉ノブに干渉せずに設置できます。
顕微鏡アダプタはレンズなしのシャッターユニットで、接眼スリーブに被せる構造です。ヘリコイドがあるのは顕微鏡との接続を微調整するためでしょうか。
引き伸ばしレンズなどを接続できるかと思いましたが、オリジナルでは顕微鏡専用ですね。
接写システムには問題があります。
SixとMMは、レンズマウント開口部が異様に小さいのです。
接写リングを長めに挟むと容易に四隅が蹴られてしまいます。
66ノートリミングで作画する風潮は最近のものでしょうから、販売当時は問題にしていなかったのでしょうか。
恐らく長焦点レンズ設計にも大きな制約であったことでしょう。250と500mmはレンズ構成に気を遣っていることが見えます。
レンズマウント位置に環状のレンズ駆動部を設けたおそらくキルフィットの元設計からこの問題はあったのでしょう。
マクロキラー90mmのように主点がはるか前方に行ってしまう設計では蹴られは苦しかったのではと想像します。
Super66になってからマウント開口部が少し矩形になり拡大しました。
レンズ駆動部を避けるため、レンズ装着の位相が斜めになりました。
それで蹴られは解決したかというと、多少マシになった程度です。それでも進歩だとは思いますが...
今度は接写リングの開口部でも蹴られてしまうようです。条件など詳細はへっぽこ親爺様の掲示板が現在見られませんのでお許しください。
35mmは類を見ない野心的画角ですが、それにしては小型で、大変高性能ですね。
ビオゴン38mm並とは申しませんが、40/4より設計が新しい分、写りも現代的に思います。
110/5.6マクロは、実際の開放f値はf3.5くらいありますが、撮影時にはf5.6まで絞り込まれるようになっています。焦点合わせのためでしょう。
オリンパスOMマクロ135/4.5もそのような機構ですね。
110はリーフシャッターSLR用マクロの例に漏れず、単体では近接能力が高くなく、どうしても接写リングのお世話になりますので、蹴られ問題は深刻です。
ベローズもありますが、蹴られはどうなっていたのでしょうか。
19と500は経験がありません。500は現物を見ましたが入手断念する価格でした。
友人がテレコンを入手しました。とても珍品です。最近フラッシュ接写でテレコンを見直していますので、羨ましいです。
写真>Kowa 6MM, 110/5.6, ext.tube#1+2, 霜柱,絞り開放,1/60,Reala120,手持ち
110mmでもケラレますか。EXTチューブはダメだろうなと思っていたのですが。
何かメーカーからのコメントでも残っていれば良かったのですが…。
私は40mmを使っていますがかなり着色のひどい状況です。ポジでは使えません。それでも6×6の40mmは使い易いです。
40は黄変していますか。当家の40は全く着色がないとは言いませんが、ポジで支えないほどの黄変はありません。
個体差なのでしょうか。
110は単体ではけられません。一番長いNo1でヘリコイドを伸ばしきると蹴られが出てくるようです。
折角のマクロ、倍率を上げたいのですが、困りますね。
ベローズは現物を見たことがありませんが、構造に興味があります。
写真>Kowa Super66, 110/5.6開放,等倍(Ext.tube3+2だったかな?
66-67のマクロを一堂にテストしたときはここまで蹴られたレンズは皆無でした。
そんな時にレバーにかかっているスプリングが外れた事が有ります。ご注意下さい。
ストロボを使用するとブレはかなり解決します。特に小絞りを多用し、ぶれやすい接写ではストロボは大変便利です。
ところでストロボシンクロにはレンズシャッター(リーフシャッター)が有利です。
フォーカルプレーンのブロニカはシンクロ速度が1/30〜1/40と低速で、絞り選択の自由度が制限されます。
コーワ6シリーズはリーフシャッターなので最高速1/500から全速ストロボ同調するため、背景光とのバランスをとりながら、撮影距離や絞りを最適に調整できます。
ところでフラッシュは色々あれど、コーワ6のようなマニュアルカメラでも自在に接写自動調光できるのはナショナル(パナソニック)です。
マクロフラッシュセンサという光ファイバーを、ストロボのセンサーに接続し、レンズ先端にクリップします。
いくらか補正をする場合もありますが、一度調整するとリニアリティがあり、適正露光が一発で得られて非常に便利です。
ナショナル時代の末期モデル、パラメータを広範囲に選択出来る「ストロボット」シリーズは特に自由度が高く高性能です。
こちらの例は、コーワスーパー66,110mmマクロ、T1,2,3リング、
ナショナルPE-381SG、リモートセンサPW15、マクロフラッシュセンサ
何となく自作も出来そうですね。
私は接写をあまり行ないのですが、リーフシャッター機にサンパックの小型外部調光ストロボを良く使います。
ストロボのISO感度を+2EVになる様にセットして、ポジでパカパカあまり考えずに写しています。
れんずまにあ様 どうも”カメラのナニワ ¥1000”が気になってしまって。
最近完動品でもそういう価格なんですよね。この380SGは電池室腐食がありましたが、それがなくても同様でしょう。
ナショナルの高級クリップオンタイプは300円くらいからありますしね。
改造も、惜しげもなく可能です。
確かに光ファイバーを外部調光センサー窓に接続すれば自作は十分可能だと思います。
センサーサイズに対してファイバー径が小さくなるのでF値は補正を要するでしょう。
純正マクロフラッシュセンサのキモはレンズ先端に止めるクリップです。
フィルタースレッドに咬み込む凹凸とアールが付けてあり、被写体に向ける角度を調整するフリクションが適切です。
この使い勝手を自作で出すのはなかなか大変かなと。
ナショナルの対応機種の外部調光センサー窓にはファイバーを接続するソケットがあり、ファイバー側の一端にはプラグがあります。
ソケットがない機種のために1本プラグを削り落としてホットグルーで貼り付けましたが、ちゃんと動作しています。
マクロフラッシュセンサは中古500円くらいから見ますので、光ファイバーを買うより安く付くかもしれません。
画像ぶれてしまってすみません。
上:ナショナルPE3057(クリップオンタイプ)の外光センサー窓部ソケットと、マクロフラッシュセンサ先端クリップ部、末尾プラグ部
下:マクロフラッシュセンサのプラグ部を削り落としてリモートセンサ2型に接着。ネジで補強しているが不要かも。
この様な撮影は500mm位有れば良いのですが、250mmです。
リヤコンが欲しいなぁと思いました。
Kowa Super66 250mm F5.6 NPS 160
ちょっとした勘違いで時間を逃してしまいました。
残照を背景にした江の島です。もう少し経つと灯台に灯が灯ります。
Kowa Super66 250mm F5.6 NPS 160
KowaSix 用の40mmは設計が古い事も有って巨大です。
正直、ツアイスやニッコールの中判カメラ用の40mmと比較すると、一歩譲るかもしれませんが、それは味として楽しんでいます。
こんな感じで、江の島灯台はライトアップされます。
Kowa Super66 40mm F4.0 NPS 160
常用レンズの口径が67mmに統一されたMM時代に登場した。
サイズは標準レンズ85/2.8に次いで小型。
完全自動絞りで、ピント合わせ時には口径比がおそらくf3.5くらいに大きいが、撮影時に最大絞りがf5.6まで絞り込まれる。
収差や口径食が減少する効果と、ピント合わせの容易さ、スプリットイメージをかげらさない効果を両立させている。
最短撮影距離は0.8mで、単体では85mmより拡大率は高いがそれほど高倍率にできるわけではない。
近接には適宜ベローズや、エクステンションチューブを併用することになる。
このときネックなのが蹴られ問題。
SIXとSIX MMはマウント開口部が小さいため、3種チューブで最長のT-1で110のヘリコイドを伸ばしきると四隅が蹴られる。
T-1,2,3を重ねて撮影も可能だが、相当けられることを覚悟せねばならない。
Super66は、マウント開口部が拡大され、T-1単体では蹴られなくなった。しかしT-1,2を重ねてヘリコイドを伸ばすと蹴られが出てくる。
蹴られは、66フルフォーマットで作画する場合気になるが、中心部のみや、645にトリミング前提なら構図に影響しない。ものはつかいようだと思う。
性能は、素晴らしいと思う。
普通に店頭で購入できる望遠。
ほとんど同じ画角だが、200のほうがかなり小さく、少し明るい。
200のほうが後で出たからか数が少ない。
250 はクローム仕上げもある。200のクロームは見たことがないが、黒のみ?
これ以上は、500mmが存在するがめったにお目にかかれないし、テレコンバーターx2も非常に珍品で入手困難。
定番の交換レンズ。
どちらも非常に評価が高い。
前期型は55mmも150mmも大柄で、後期になって劇的に小型軽量化された。
こちらは後期型で、55mmから250mmまでφ67mmフィルターサイズ。
少し周辺減光が大きいレンズです。いまだ発展途上に有ったレンズタイプの超広角レンズなので、
素晴らしい性能とは言えないと思いますが、中判一眼レフで40mmが使えるのは福音です。
ディスタゴンの初期タイプよりも一回り小さいのですが、ニッコールやゼンザノンと比較すると大型です。
110mmは殆ど見た事が有りません。Super66はケラレを改善するために、レンズマウントを傾けてスペースを作ったのですが、やはりケラレるんですね。
他社の優秀40と同時試写はまだしておりませんが、モノクロームではそれほど瑕疵が見えず、なかなか良好に感じました。
昨今は、昔のように気軽にポジ試写ができない実情です..
画像は同じ立ち位置から、35mmf4.5(左)と40mmf4(右)を開放試写したものです。厳密な比較とは言い難いのでご参考まで。
新たに導入したボディで、ネガがキズキズになってしまいました。これから原因究明します。
Kowa Super66 chrome, T-Max400, スーパープロドール3分
エクステンションチューブの蹴られ問題は悩んでいます。
SixMMでの蹴られはボディ開口部によると思われますが、Super66ではチューブの後端で蹴られているように見えます。
Super66に合わせてチューブ後端を切り取れば効果がある可能性がありますが、踏ん切りがついていません。
並べると、フィルターサイズが同じ95mmなのでそれほど差を感じませんが、ボディに付けると重量、前後長がかなり違って感じられます。
35mmのコンパクトさが際立っています。
拙宅の35mmは後玉バル切れ、商品としては表にだせないものだったようです。
今のところ写りには大きく問題はないように思います。
6×6サイズで35o。魚眼レンズでは無いタイプはとても珍しいですね。
流石に極周辺は流れてしまう様ですが、立派なものだと思います。
ケラレはその手の撮影が多い方には深刻ですね。リヤコンが有れば良いのかも知れませんね。
屋外マクロ撮影していて、どうしても光量不足で絞りきれないことが多く、フラッシュ接続を考えました。
従来型のグリップフラッシュ(投稿No576)ならオートも効くのですが、若干嵩張ります。
そこで、最近サンパックのマニュアルリングフラッシュGX8Rが非常に安いです。
そればかりか、ジャンク箱に発光部だけ1コインで転がっていて、即座に改造を思いつきました。
元々最大口径φ58mm用なんですが、発光管は巧く行けば中判でもクリアしてくれるはず。
スクリューマウント部を外し、ケンコースクエアフィルター用φ67mmアダプターにホットグルーで貼り付けました。回転は出来ないけど、できるだけレンズ側に近づけないと蹴られが心配です。
カメラ側もフラッシュ側もマニュアルなので、昔であれば気が遠くなる試写を繰り返しデータを取る必要があったはずです。
でも最近はデジカメがあります。
カメラ裏蓋を外し、アパーチャー部分にレンズを外したソニーNEX5を置き、周囲を暗黒にした後で1秒露光中に、コーワ側のシャッターを切ってフラッシュシンクロさせます。
ちゃんとレンズがシンクロするかテストにもなりますね。
NEX5側からみればオープンフラッシュです。もたもたしてるとNEX-5側が先に閉じちゃいます(笑)かといってあまり長時間露光にしたら、暗室じゃないから定常光の比率が無視できなくなる。手早くやるしかありません。
これで距離に応じた絞りと発光亮(フル、1/2、1/4がある)との関係を記録し、フラッシュに貼り付けます。
110mmf5.6最短とT1の組み合わせでは、フル発光f32が適正でした。後にフィルムで実写してこのチャートが適正であることを確認しました。
1969年発売 ローライ(シンガポール)製コンパクトカメラ
ローライ35シリーズの廉価版ライン
プラスチックを多用し、オリジナルモデル370gから260gへ軽量化された
フルペックのまま小型化されたオリジナルモデルと比較して、巧く機能を削っており、
シャッターはプロンターB, 500-30
露出計は非連動セレン
レンズは3群3枚のトリオター
になっています。
軽量化はかなり効いていて、オリジナルをポケットに入れるとスーツが型崩れするほどですが、B35なら気にすることはありません。
ただシャッター音は安っぽく響き、ショックも手に伝わってきます。小型化最優先のため保持がやや不自然になり、最初の1本はブレだらけでした。
シャッター低速側がコンパー1/2からプロンター1/30に狭まったのを気にされるかたもおられます。確かに1/2-1/15は貴重ではありますが、
私が思うに、コンパクトカメラの目的を勘案すれば、手持ちではスローは使いませんし、三脚固定条件ではBがあれば絞りこんで感覚で1秒露光すれば暗い条件でも克服出来ると考えます。
オリジナルはボディ前面左右に振り分けたシャッター/絞りダイヤル両方に露出計が連動しますが、B35は非連動、ゴッセンのセレンは信頼できますが暗い側の測光範囲は狭く、精々明るい室内が限界でしょう。もう別に要らないけど、他機種と併用したとき単独露出計として使えますね。
露出計は当時ラチチュードが厳密なポジフィルムで撮影し、家族揃ってプロジェクター投影が米国で普通だったため、ビルトインが必要だったわけです。
トリオターの性能は、後で画像をお見せしますが、瞠目です。
逆光は今後試していきますが、夜景のハイライト程度ではゴーストを探しても見つかりませんでした。
個体差でしょうけど、シャッターダイヤルが少し固い。焦点リングもやや固く、却って目測がずれずによろしい。
ネガカラーは例えば開放、1/30に決めてしまえばラチチュードでカバーしてしまうので距離目測以外気を遣いません。
これが日中だと被写界深度を取れますから何も操作する必要がない。フレーミング無視のスナップならもうシャッタータイミングだけです。
変にカメラ側で調整されてピンぼけブレ写真になるよりずっと確実だと思います。
ミニコピーフィルムで撮影してみましたところ、自分の不明を恥じ入りました。
ミニコピーHRII(EI25) f5.6、1/30、ロジナールR09x250倍、25度30分
ドイツ時代は、テッサー付きがロライ35、トリオター付がB35、C35(露出計無し)です。
因みに、35T、35S(ゾナー付き)はシンガポール時代の物です。
私、最初35Sを手に入れました。水銀電池が現役の頃は、35Sを露出計代わりに、フジカ690G、ライカM3等と、併用していた。
35Sの欠点。電池がフイルム室内にある。左ファインダー、左巻き上げ。その後、B35を手に入れた(私のはシンガポール製初期ロットなので、B35表示です)
B35は35Sにくらべ、ファインダーがレンズ寄りにある。プラスチック部品で、35Sより軽い。ゴッセン製のセレン露出計、結構丈夫で正確(今でも問題ない)
シャッターは30s〜500sですが、総じて35Sより使いやすい。加えて丈夫。
目測ですが、F3,5なので、F2,8のゾナーより、ピント外れが無い。
40mmの画角が便利。寄っても撮れる。3枚玉のトリオター。周囲は甘いが、立体感も有り、結構よい。3枚玉としては優秀。
オリンパスペンと比べると、35Sは使いにくい。B35はさほどでもない。
流石にライカサイズ。4切に伸ばすと、3枚玉でも、ペンSより細密。
今使うなら、35B。C35もお勧めですが、此方は少ない。
画像は、ドイツ時代のロライ35です。
よく見たら、私のは35Bですね....よくご指摘頂きました。
シンガポールというのは認識していましたが、B35にはドイツ製があったんですね。
C35は大変珍しく、コレクターズアイテムであるのと同時に、デザインがすっきりしていて大変格好いいので憧れていますが、入手は諦めています。
トリオターは割に10m〜2mくらいが得意な領域のように感じてます。開放だと少し周辺というか、中間画角も怪しいところがありますが、コントラストが高い(というかフィルムによっては諧調が飛ぶくらいコントラストが高い)ので、ぱっと見シャープで実用的にはいい所をついているように感じます。
カメラ単体でみると非連動露出計は、35Sなど連動に較べて不便ですが、単体露出計として使うならば連動は逆に不便になってしまいます。さすがはゴッセン、セレンの面積は小さいけど鋭敏で、大変信頼できますね。
特にラチチュードが狭いコピーフィルムやカラーポジには非常にありがたいし、赤外撮影にも重宝します。
最近キャップやフード、フィルターなどが入手困難で、じっくり探しています。
ドイツ製の最後期(72年)にはロライ35表示のままで、クセナー付きも有った。
ドイツ時代のレンズは、ツアイス、シュナイダー製。シンガポール時代のレンズは、ロライ製造品。
と言うことで、73年のシンガポール製造品には、B35、C35表示がある(このC35は幻)
それにしても、構造が違う、35Bを良く残してくれたものである。
C35は製造中止になった。
フイルター、フード、ストラップ等、全て専用部品。汎用品が使えない。
特にフイルター、フード。TとBは共用できるが、Sは別物。
今探すとなると、大変だと思う。
ロライ35、シャッターが特殊。チャージしてないと沈胴できない。
保存するときは、沈胴せずに、其の儘シャッターフリーの方が安全?
多分リュミエール リュミクリュブだと思いますが通りがよいのでルミクラブと。
フランス製金属鏡胴式66沈鏡胴カメラ
66-645切り替え式(赤窓)セミ判はマスク必要.
巻き上げはレバー式
ソンベルチオ フロール75mmf3.5,前玉回転目測式
ボディ前面にシャッターレバー
カメラ上面のカバーを開くと左手側にブリリアントファインダー,右に光学露出計(リュミポゼ)が現れる.
リュミポゼ(LUMIPOSE)の辛うじて読める文字を換算表に移して露出を決めます. 「感度」は不明
はっきり言って実用度ゼロ.明るい場所では文字が反射で見えません.
ついでに言えばブリリアントファインダーも実用性低い.まあ隠し撮りに使えないわけではありませんが...正面から見て窓が二つあるからメスズーハだと思うじゃないか,この野郎...
裏蓋の赤窓カバーを180度回転させると66と645の読み取り窓が切り替わり,選択したフォーマットも読めるようになっています.私のはマスク欠品なので645にできませんが.
アイレベル光学ファインダーは極めて倍率が低く,約0.4倍です.おまけに常時着色板が左右に出ていて,セミ判を表しているのですが,着色を通してでないと66画面が確認できません.経年劣化でそれが曇っているので,正直左右の確認が非常に困難,ちゅうかムリ.心眼が必要.
なんとか左右のファインダーマスクを引っ込められないか隈無く点検したのですが,無理っぽいですぅ.
ちなみにブリリアント側にはセミ判対応マスクはないようです.なに考えてんだ.
左手側にシュー.なにやらホットシューっぽいのですが,どうなんでしょうね.
裏蓋は底面のダイヤルをまわすと外れます.ロック機構はありません.
巻き止めなしの赤窓式レバー巻き上げですから注意が必要.
ベルチオフロール75mmf3.5はセムフレックスでよく見ますが,前玉が柔らかいらしく,傷だらけの個体が多いようです.
この個体は珍しく状態がよいフロールでしたから,入手しました.
蛇腹機よりも沈胴機は鏡胴の内面反射が多いようで,この機種もその傾向があります.
なんらかの対策が必要かも知れません.
WISTA45
レトリック ビュー等を販売していたウイスタ 株式会社(旧 武蔵野製作所→武蔵野光機)が 開発したダイキャストボディーを持つフィールドタイプの4×5テクニカルカメラ(5×7用のアクセサリーも有りました。)です。
小変更を含めるといくつかの種類が有りますが、各機種共通な特徴で、
・タスキを廃したリジッドなボディー構造
三脚穴をフロントベッド部に設けた事により、フロントスタンダードとバックボディーを比較的単純なピボット構造でも十分な強度を持たせる事ができました。また、バックティルト+ベッドダウン+フロントティルトを併用する事によって、広角レンズを使ってもケラれる可能性が少なくなっています。(勿論デメリットも有って、ベッドダウンが激やりにくいです。)
慣れてしまえば、各部の操作が判りやすいし、クリックも多いので簡単に使用出来ると思います。その意味、最初のテクニカルカメラとしてオススメできます。
・交換可能なスライドレール
ラック&ピニオンの3階建てのスライドレールを持っています。2階部分のスライド量(ラック移動可能)は65mm、3階部分のスライド量は82mm。この階のレールは交換が可能です。(確か300と450mm)
・リンホフ互換マウント
市場に沢山流通しているリンホフボードと互換性が有って、皮肉な事に今となっては非常に便利です。
但し、ボードの取り付け位置が少し深めのため、シャッターの固定位置には注意しないと操作し辛い時が有ります。(慣れといえば慣れなのでしょうが、私はこれがニガテです。)
・豊富なアクセサリー
フィールドタイプのテクニカルカメラとしては比較的後発なため、色々と研究されていて各種アクセサリーが豊富です。先述の5×7ホルダー初め、120用のフィルムホルダーやスライダー類も豊富です。(ルーペはちょっとプアかも。)
・優秀なデザイン
これは好みの問題も有りますが、各部のR取りやカラーバリエーション(と云ってもトロピカルタイプ?)を選べる機種も有り、意匠に気を使った処が個人的には好きな部分です。
・メーカーが存在
これは非常に大きな点で、いまだアクセサリーが入手できます。(流石に現時点ではフィールドタイプはラインナップからは落ちています。)スライドレール用のネジ等はまだ入手可能だと思います。(要確認)
いくつかの機種が有り、年代によってヌケも有るかもしれませんが、
・WISTA 45
一番プリミティブなタイプで、基本的な機体です。頑丈でシンプルな構造は信頼性が高く、今でも十分使用可能です。上級機とは異なり、簡単には蛇腹の交換はできません。
フロントスタンダードムーブメント
・ティルト ±15度
・ライズ 50mm
・シフト 47mm
バックボディームーブメント
・前傾 90° 後傾(15°) まぁ前傾は蓋閉めちゃうので…
・スイング15°
・WISTA 45D
WISTA 45シリーズの最上級機(距離計は有りません)で、WISTA 45 に以下の機能が追加されています。
・バックボディーにスイングの微動機構 ±4°(ボディのスイングにさらに追加。)が加わりました。
・蛇腹が交換可能になりました。
・フロントライズに微動機構が付加されています。
・この機種の初期タイプは木目調のボディーが選べます。
・WISTA RF
文字通り、WISTA 45と45Dの中間タイプに距離計連動機構が付加されました。
・カム交換で、135mm,150mm,180mmに対応した距離計(距離計とビューファインダーは独立です。)
・ヴューファインダーはアルバダファインダー(視野枠には120mmも有る。6mで100% インフで約90%)
倍率0.45倍 基線長63mm (有効 基線長28.4mm ちょっと控えめ)
・パララックス補正は機械式補正有り。凄いでしょ!
・WISTA 45D に有るバックスイング微動機構は無い。(有れば文句なく最高級機なのですが。)
・WISTA 45SP
WISTA 45シリーズの集大成です。距離計は有りませんが、充実したムーブメントを備えています。
名実的にWISTA 45を代表する機種で、最後までラインナップされていました
・WISTA Dにフロントスタンダードのスイング機構±15°が加わりました。
・WISTA 45N
高級志向だったWISTA 45 シリーズのライカスタンダードに該当する機種で、当初のWISTA 45 と同様な構造を備えています。(詳細な違いが判りません。是非フォローをお願い致します。)
・WISTA 45VX
最後期まで販売されていた基本的なタイプのカメラです。WISTA 45D で採用されたフロントスタンダードのライジング微動機構が残された WISTA 45N の様です。
上述の45,45N,45VXの違いやムーブメントの可動量は私の持っている資料によって違った値が載っていました。この部分少し正確性に欠けます点はご容赦ください。今後のご指摘で直そうと思います。
ボディーカラーと同じ色の可変タイプのレンズフードが用意されていました。
フードはフロントスタンダードのレンズマウント部に取り付けます。
フレキシブルにライズチルト方向に曲げる事が可能です。(シフト方向には動きません)
取り付け部分にはヒンジが付いていて、跳ね上げる事も可能です。
所有経験はありませんが、霧ヶ峰などでビューカメラを立てていると、隣でWISTAを組んでいる方がよく居られ、夜明け前にお話を伺うことがありました。
カタログを長目ながら、このアクセサリー便利そうだなー、凄いアイディアだな–と羨ましく思っていました。
例えばご記載のレール交換。テクニカルタイプなのにかなりの望遠までカバー。
さらに延長する、テレマクロレールがあり、延長ベローズで相当な長さになります。
袋蛇腹に交換出来るのもすばらしい。
そして袋蛇腹をさらに価値あるものにする、宙に浮かぶような広角ボード。4つのロッドで後方にマウントを延長するのでリンホフでは前後動しかできない超広角でもあおることが出来ます。
これはタスキがないボディのたまものでもあります。
他機種でも絶対欲しかったのは、張り付くルーペ君。文字通り焦点板に張り付いて2次元移動でき、どうしても3本目の手が欲しくなるアオリながらのルーペ確認が絶対に便利になるであろうアクセサリー。他機種用もあったのかな?
ロールホルダーが特に便利ですが、フィルムホルダーを差し込むと、プレスフォーカスが自動的にシャッターが閉まるバック。
専用シャッター併用で多分シャッターチャージも要らなくなってしまう。
これでもかのアイディアの宝庫です。
ただ関西では、中古をほとんど見なかった。新品も大判専門店には置いていませんでした。出会いがまったくありませんでした。
直販が主だったのかもしれませんが、この手の品物は通販でいきなり買える物ではないのです。
カタログではモノレールビューもあったようですね。
そして友人がどこ製かわからない珍品と言っていた、ウイスタールレンズ。
先にふれた専用シャッターにマウントされ、確か180,150,135の3種類で、立派なスペックのオルソメター型。コンゴー製?
距離計連動カムつきで、確かメーカー調整されたウイスタシャッター付きニッコール、フジノンがあったかと。
フィールドでもスタジオでも、すばらしく便利なシステムであったはず。でも普及するには至らなかったようにも思います。
大判は不便なものという、諦観と難しくて当たり前という風潮が、便利グッズの拡がりを妨げたのでしょうか。
さっそく訂正です。WISTA SP と WISTA RFは未だオンラインショップで購入可能でした。
ロールフィルム スライド アダプターのご紹介です。
ロールフィルムホルダーとピントグラス+ピントフードが一体でスライドできる様になっています。
通常の状態では、ホルダーにもピントグラスも光軸上には有りません。
スライダーを上にスライドさせるとピントグラスが、下方にスライドさせるとフィルムホルダーが光軸上にセットされます。
ピントグラスをセットすると、フィルムホルダーには自動的にダークスライドがセットされます。
優れた機能なのですが、わたしのアダプターは遮光部材がちょっとヘタっていて、補修しないと光線漏れが有りました。
常に擦れる部分なので、時々チェックする必要が有ります。
スライドさせるには、側面のレバーでロックを解除して操作します。この時、スライダーの重量で全体が下がりますので気を付けなくていけません。
この構造はスタイルは良いのですが、ホースマンのロータリー式の方が操作的には優れている様に感じます。
ピントフードは交換式で密閉型のルーペ等が用意されていました。
アダプターの装着はバックボディーのコーナーに有るロッククローを放射方向にスライドさせて固定します。
私のカメラは極初期のタイプなのですが、ちゃんと固定できました。ちょっと判らないのは、どうもこのスライダーとリンクして自動絞りになるアクセサリーが有った?様です。
張り付くルーペ君のリンホフ用がまだある!
ウイスタ45用より高い(笑
私が持っているウイスタ製品は、ショートとロングのピントルーペ、望遠接写アダプターリングセットB(先端がリンホフボードを装着出来る方)です。もしかしたら延長ボード#3用もウイスタのセットAなのかもしれませんが、会社名がないのでわかりません。
ピントルーペは色んな会社が出していて、大手のピーク製を始め、ホースマンの長短、ケンコー、無銘のものなどを持っています。
シュナイダーやニコンのは高価なのであこがれです。
いいルーペは覗いてみると見え味が素晴らしいですね。
さてウイスタですが、現行はショート4倍だけですね。ロングはフードルーペという名称で、ピントフードを立てたまま、冠布なしで使える15cmくらいの4倍です。ショートはピントフードをパーンドア式に外して冠布を被ってピントグラスに当てます。
どちらが便利かというと、その方の好き好きです。ショートは冠布を併用するので結局それほどロングよりパッキングに有利になりません。
ショートを冠布無しで使う事もできますが、影にしないと見づらいでしょう。
ショートはピントグラスとの接触部分はプラスチックです。ロングはアルミ外筒ですがガラスなら傷つくことはなさそうです。プラスチックのフレネルは強く当てないよう注意。
超広角の画面端はルーペをレンズ中心側へ傾けないと見えません。ロングでは少々難しい。
ウイスタ製ルーペの中古価格は極めて低く、オンラインショップで定価を知りビックリしています。
どちらも軽いので、持ち出しは苦にならない。ホースマンはショート7倍はともかく、ロング4倍はウイスタより重い。
見え味は、高級ルーペを見た時の感激するほどの鋭さは感じられませんが、大判の焦点合わせには十分です。
大判バッグ1つに1本どれかを入れっぱなしにしています。レリーズ1本と共に、急いだとき忘れないように。
ルーペの倍率はどの程度が使いやすいか、私は高倍率が好きですが、実用上は4倍でも7倍でもさほどかわらないと思います。ピークの15倍も持っていますが、視野範囲が狭く超接写など特殊な用途です。また直径が大きなルーペは構図まで確認でき、見え味も素晴らしいけれど携帯性が落ち、ピントグラスの隅が見えない、超広角で傾けて当てられないなどの不利な点もあります。大直径のものは57や8x10ではよくても4x5以下ではどうかなと思います。
よろしくお願いします。
18/09/19付けWISTA efunon様の45シリーズの記事を見て、“WISTA 45SP WISTA 45を代表する機種で、最後までラインナップされていました”と有りましたので、WISTAは45カメラを製造中止にしたのかと、オンラインショップをチェックしました。
WISTA RF以外のモデルは“只今 品切れ中です。”とのことでした。多分このまま止めちゃうのでしょうか。WISTA 45SP ユーザーとして残念に思います。10年近く前にメンテのために45SPをWISTAに持ち込みました。その後もピントグラスを購入したりでRittrec View とともに実用しています。
富士フィルムは白黒フィルムを製造中止、もはや大判写真は絶滅危惧種ではなく絶滅種なのか?
先週、富士フィルムAcrosを少し買いだめしました。
aritarou
シートフィルムの件は残念なニュースが多いのですが、エクタクロームも復活する事だし期待せずに待っています。
SPはベローズの交換が容易なので何度か購入しようとは思ったのですが、その値段で躊躇しました。
1950年代 英国ホートン&ブッチャー社製 6x9cm判スプリングカメラ
戦後エンサイン銘の6x9cm判カメラには、高級距離計連動機オートレンジ820、その目測版セルフィックスが有名ですが、さらに下のレンジに、同じボディで3速シャッターを装備したレンジャーがありました。
戦前に同じ名称の普及機があり、戦後版はレンジャーIIとされます。
そのレンジャーには、もっともボトムラインに位置する「エンサー105mmf6.3」つきが多いのですが、私のはハイエンドの「エクスプレス105mmf3.8」です。
最高級レンズをこのような簡単なシャッターに入れてしまう所がお国柄といいましょうか。
例えばツァイスイコンはテッサーをデルバルなどには決して入れません。逆にトリオターをシンクロコンパーに入れることはやりますが。
しかし、スポーツなど特殊な高速シャッターが必要だったり、1/2-1秒など微妙な長時間露出を企図しなければこの「トライコン」B,T, 100, 50, 25シャッターでも実用上困ることはありません。
しかもレンズの性能が良ければ画質のために絞りを選ぶ必要はないわけです。
頑丈な基本ボディとレンズは高級機と共通ですが、それ以外は極力節約されています。
シャッターは前述のように3速プラス開放で、折り畳みファインダーは素通し枠。
レリーズはボディになくシャッターに短いレリーズがネジ込まれています。
このシャッターには直接レリーズできるレバーがないのです。
(このショートレリーズは、レチナ初期にも流用できそうですね)
蛇腹を支えるタスキは直線構造で、セルフエレクティングではなく、スプリングも入っていないので正確にはスプリングカメラではありません。
巻き上げは当然赤窓で、当然二重露出防止機構などありません。
各々の材料は良く、必要以上と思えるほど頑丈で、壊れるところはなさそうです。
もし英国に行けるならば、これを持参したいですね。
シャッターとして1/25〜1/100あたりの3速あれば十分というのもうなずけるところです.目測カメラで,手持ち撮影だとこれら以外の絞り値を選ぶことは事実上ありませんものね.
「スプリングカメラでいこう」という書籍にも多数のスプリングカメラが挙げられていますが,著者らは複雑で重いものより軽量で目測ベースのものをしきりに勧めており,目測は恐るるに足りないと言っています.確かにそうかと思います.近接時は難しくなりますが,(この書籍の著者らの写真もそうですが)町並みや風景などが主だと目測で十分で,下手に距離計を使わないほうがよかったりもしますし,ファインダも下手なオプティカルよりはフレームが良いと言っています.そういう中でちゃんとコーティングされた性能の良いレンズ,しっかりしたボディというと実は選択肢が少なかったりもしますが,このエンサインは良いですね.Simple is the best.
エクスプレス付きのレンジャーは少なそうだから僕もセルフィックスあたり探そうかな,と,早速感染しております.危ない危ない..
私もレンジャーにこのレンズが付いているのは大変意外でした。
本体ジャンクという記載だったのでレンズをセンチュリーグラフィックに流用する意図で注文、到着すると?問題なく使えています。
820はかつてクラカメ専科で絶賛され、高嶺の花がさらに成層圏まで行ってしまい諦めています。
ただ820だけはベッドごとレンズを前後させる機構で、セルフィックス以下前玉回転と差別化されています。
果たしてエクスプレスで全群繰り出しと前玉回転の性能差がどれほどあるか、単体レンズでお試しの方が居られたら是非ご教授いただきたい(本来はジャンクレンジャーから外して自分で試すつもりだった)ところです。
セルフィックスの前玉回転レンズでも、無限遠画質を友人が絶賛しています(マッタリしま専科)ので、実用上遜色は少ないのではと想像しています。
仰る通り、戦前初期の大判エクスプレスはライツアナスチグマート同様テッサー特許逃れのため(と評される)3群目3枚貼り合わせが有名ですが、性能上顕著なメリットはなく精算難易度とコスト浪費なので早々に4-3のテッサーアナログになってしまったようですね。
4-3ではMPPマイクロコード77/3.5が大変美しい描写をしますので信頼しています。
5-3とされるモデルと使った事がなく、優越があったかなかったかは興味があります。
マルテックス装備のガウス型エクスプレス2インチf2がありますから、レンズ構成に付けられたのではなく、エクター同様上級機種に冠される名称なのではないでしょうか。
畳んだレンジャー。それほどフラットにならない。程よくアールが付いていてカクカクしたイコンタ系と随分違う。戦前オートレンジのように薄く完全フラットになればもっと魅力的なのに...
個体差もあるのでしょうけど、Xpres105/3.8の尖鋭さはTessarを上回っています。
このTessarは全画面均一な描写をしてくれて、外れ続きのスプリングカメラ遍歴の中で久々に胸をなで下ろしている個体なので、Xpresの凄さが余計にわかります。
どちらも前玉回転の無限遠比較なので、Ikontaは最高の解像力が期待できる条件ではありません。
Ikontaは有限距離(3-5m)付近でレンズ間隔が収差最良になるため、無限と最短は性能が落ちるのです。どれくらい落ちるのかは明言できる経験がありませんが。
ひょっとするとXpresは無限を基準に調整されていたのかもしれず、総合的な比較はもっと様々な被写体で確認する必要があります。
角という角が全て穴で星空状態なので、張り替えが唯一の補修なのですが、張り替える自信がなく、取り敢えずパーマセルを裏表に貼り付けて凌いでいます。
それでまあまあ使えていたのですが、先日謎の光線引き。
余白も感光していますから、蛇腹の穴とは考えられません。この位置をよく見ると、赤窓からのよう。
実はレンジャーの赤窓は赤くありません。単なる穴で、貫通しています。
一応スライドで閉鎖できるようになっていて、ものぐさでここを開いたまま陽光下持ち歩いたからだろうと思いました。
画質は非常に高く、ほれぼれします。
今撮り比べ中ですが、開放コントラスト、周辺の切れ共にテッサー105/3.5を凌駕します。ヘリアとは多分同レベル。
これより良いクラシックの100mmクラスは、メダリスト以外に知りません。
ただレンジャーのシャッター最高速は1/100、しかもレリーズ位置が手持ちには不適切なので、下手すると手ぶれします。今回の手持ち試写では手ぶれ量産しました。
エクスプレスを使うならセルフィックス以上のクラスをお勧めします。
私はレンジャーでもちょっと頑張ってみますが。
Eisign Ranger, Loss Epres 105/3.8, f3.8, 1/100, Kodak T-Max400, Fujidol 25dig, 6min