近距離撮影用単独距離計セット
レンジファインダーカメラが主流の時代、カメラ単体では最短撮影距離は1m、せいぜい70pまでに限られており、手軽に近距離撮影を行うことはできなかった。
本格的には焦点版とカメラをスライドさせて入れ替える装置や、レフボックスが使われたが、頑丈なスタンドに固定する必要があり、旅先やお茶の間のスナップに使うわけにはいかない。
そこで、レンジファインダーカメラで手軽に近距離撮影するために、別スレッドにある「オートアップ」類か、それに準じた、カメラ本体の距離計を利用するデバイス、またはワイヤーやプレートによる距離固定された撮影枠を用いるもの、そして、これから述べる、近接専用の単独距離計をクリップオンするものなど、様々なアイディア製品があった。
一眼レフ、さらにはミラーレスデジタルカメラの時代には全く無用の代物だが、先人の創意工夫が偲ばれて使って楽しいアクセサリーだ。
オートアップは間宮誠一郎のアイディアでプレザント社が多機種に対応する製品を展開したが、同様の製品「プロキシメーター」はフォクトレンダー、アグファが純正品を出し、またツァイスは「コンタテスト」を供給、ニコン、キヤノンRFも純正で出ている。
ライツはオートアップ同様に本体ファインダーを利用し距離計前におく偏角プリズムを中間リングと組み合わせた「NOOKY, SOOKY, ADVOO」などに加え、中間リングとセットの固定ロッドに撮影枠を付けた製品を供給した。
他方、ツァイスイコンと、ドイツコダックは、プロクサーレンズに近接専用の単独距離計を組み合わせた製品を出しており、各社各様の方式が興味深い。
時は離れて80-90年代、中判の距離計連動カメラが復活し、一部の機種は近接撮影装置をラインアップさせた。
フジカGS645初代は、クローズアップレンズに、焦点版を持つ上下左右逆像の近接ファインダーを組み合わせた、たぶん空前絶後のセットを出した。もちろん実用性は高くない。
ニューマミヤ6はオートアップのリバイバル、マミヤ7は打って変わって固定ロッドの先に撮影枠をつけた、かつてのライツやニコノスと同じ方式を採用したが、それが接写装置の最後になった。おそらく新たに登場することはないだろう。
写真は、戦後ツァイスイコン コンタックスIIa、IIIa用 コンタメーター439 Sonnar 50mm,Proxer 50cm
戦後型のツァイスイコン製近接距離計。439はコンタックスIIa、IIIa用。
外観はオールクローム、採光式ブライトフレームを備えている。ダイヤル切り替えによってパララックス補正と距離合致を行う点はレチナと同様。3種類の距離に対応したプロクサーレンズを併用する。標準セットではφ40.5mmスレッドだが、ステレオター専用はスレッドが省略された円筒になっている。
プロクサー(クローズアップレンズ)ではなく、コンタプロクスというヘリコイドで接写するシステムにも対応している。
コンタプロクス1および戦前コンタプロクスはコンタメーター439に対応していないのでここでは触れない。
コンタプロクス2は、Tessar50mmf3.5が固定装着してある、外バヨネット三脚座つきヘリコイドで、かなり長大なストロークを持っていて、その目盛りの途中にコンタメーターの設定距離、50,30,20pが含まれている。本体の距離計には連動しないが、距離目測で無限遠から使える。コンタプロクス2のTessarは東独Jena、西独TつきOpton、TなしCarlZeissがある。手元のTなしは無限遠から性能はよいが、近接設計とは言えないように感じる。(テッサーは近接でもあまり性能が落ちないとどこかで読んだ気がするが、どうなのだろう)
プロクサーによる変倍ではコンタメーターのブライトフレームの中で一番外側を使う。変倍しても視野枠は変わらない。一方コンタプロクス2は繰り出しによって画角が狭まるため順に内側の小さな視野枠を使う。50pはプロクサーと同じ外、30pはその1つ内側、20pは一番中心の枠で実質倍率が高くなる。
コンタプロクス2とコンタメーターの組み合わせは当時としては出色の使いやすさだったろう。ただし同時代にコンタックスSやエクサクタが存在しているので、本格的な接写には劣ると思われるだろう。しかし当時のSLRは普通絞りかプリセットで不便、またスクリーンは暗く焦点は曖昧だ。コンタメーターは絞りに関わらず明快な視野と正確な距離計により快適であり、十分当時のSLRを超える利点があったと思う。


439とほぼ同じ構造だがTessar45mm用に適合している。
プロクサー50,30,20は、439の40.5mmから28.5mm径になった。
本体側は無限遠に固定して使う。
精度は非常に良い。


これはフランス製のMAJOR −2−という距離計、無限から0.2mまで連続的に測距できます。
基線長が短く、近距離重視であることが予想されます。
距離目測カメラのキヤノンデミEE17には、36cmに寄れるクローズアップレンズが用意されています。
この距離計は大変コンパクトなので、ハーフサイズカメラにも違和感なく搭載できます。
この組み合わせの問題は、視野決定が困難であること。
ここまで寄るとパララックスが大きく、正確なフレーミングは諦めて、おおまかに勘で合わせるしかありません。
距離が合うだけでも使い道があると思います。


これより古いオールクロームの製品もある。NI/32, NII/32というφ29.5mmクローズアップレンズ2種類と、I, IIを重ねたときの3つの状態に対応した上面ダイヤル表示に従って、本体距離目盛を設定する。または先に本体側の距離設定を行って、近接距離計のダイヤルを合わせてもよい。ダイヤル回転に応じてアクセサリーフットの俯角が変化し、パララックスが補正される。後は距離計が合致したところで撮影する。
Retina IIIc、Xenon 50mmf2, NII


ただし、距離計ダイヤルは軽く動きやすく、知らないうちに設定が変わっても気付かずに撮影続行する危険性があり常に注意せねばならない。また、距離計ファインダーで設定する視野決定はどうしても正確ではなく、大まかに撮影してトリミングで整えることになりがちで、コンタメーターのような距離固定が決定的に劣っているとは言い切れない。
以下撮影距離は、メジャーによる大まかな測定。またm表示モデルなのでftモデルでは多少異なるかもしれない。
I:ダイヤル∞ー1(m)、フィルム面から92-54cm
II:ダイヤル∞ー1.5(m)、フィルム面から50-37cm
I+II: ダイヤル∞ー0.9(m)、フィルム面から36-28cm
これを見ると、だいたいNIは一般的なNo1(1m)、NIIはNo2(0.5m)、NI+NIIはNo3(0.33m)に相当しているが、厳密にはズレがあるようだ。


IIIC用Culter-Xenon C35/5.6、IIIS用Tele-Arton85/4もフィルタースレッド29.5mmなので装着は可能。合焦するかどうかは皆様自己責任で...
これを言っては身もふたもないが、このプロクサーNI, NIIはRetina Reflexで使うほうが、よっぽど正確で使いやすい。
レチナレフには専用クローズアップレンズR1, RII, RIIIが供給されているがI, IIについてはNと同じ物ではないか?
(先のコンタメーターの所で触れたSLRとの比較と意見が反対ですが、それは先に比較したContax S, Exakta Valexら原始的SLRと較べ、Retina Reflexは自動絞りが先進的であり、ここまでくると接写におけるSLRの有利が明らかになってくると思います)
Retina IIIS, Retina-Xenar 50mmf2.8, NI


有名所としてはミノックスチェーンがありますね。同じように携帯用チェーンを利用するヤシカアトロンもあります。
これはツァイスイコンの大衆用ライン、コンティナなどに対応した近接ファインダーとチェーンのセット。
チェーン先端には黒いプラスチック小球(50cm)、途中に赤い小球(30cm)があり、ファインダー基部の黒赤切替で俯角を設定します。。
対応したクローズアップレンズは、コンタフレックスと共通のφ28.5mmカブセを使います。
私のは赤玉が外れちゃってます。多分レンズからアクセサリーシューまでの距離が同程度のカメラなら汎用に使えるのではないかと思います。
Contina IIa、Pantar45/2.8, Close up chain


120,220フィルムとは
コダックコード#120フィルムは61.5mm幅、裏紙付き6x9p(56x84mm、機種によって差がある)8枚撮り規格として1901年に登場し、世界のデファクトスタンダードとなった。コダックはほかに多種多様な規格の裏紙つき無孔ロールフィルムを販売したが、120だけが100年を超えて生き残った。1972年コダックは120と同じ幅で2倍の長さの220を発売、フジフィルムやコニカも一部追随した。裏紙がないため赤窓式では使えないが、平面性が良好で撮影可能枚数が2倍になるため、近代的中判カメラのほとんどが対応した。
220を使うためにはフィルムカウンターと、裏紙有無の厚みの差を解決せねばならない。
220は裏紙の厚み分120よりフィルム面が後退する。その分だけ圧板の厚みを増す必要がある。
付記するがブローニーカメラの焦点面は、フィルムゲートのフランジ面で規定されず複雑に凹凸している。
例えば旧来のアパーチャーゲートと圧板でフィルムを挟む「圧着式」ではフィルム中央部は前方に突出し、その度合いは裏紙の材質、湿度、巻き上げから撮影までの時間、そしてフォールディングカメラでは蛇腹伸張に伴う「吸い出し」によって変動するため、特に焦点深度が浅い大口径レンズでは深刻な問題になる。
近代的カメラでは圧板とフィルムゲートの間にクリアランスを設け、フィルムは隙間を通行する「トンネル式」が採用され劇的にフォルム面浮動は改善した。
トンネル式では圧版位置がフィルム面を規定するため、兼用機では220使用時に圧板位置を変更する機種が多い。


結論を言うと、装備するレンズの開放f値(使用f値でもよい)と、どの程度のプリント拡大率を見込むかで答えが変わる。f4、厳しく見積もってf5.6より絞るなら圧板位置を切り替える必要は少ない。
またサービスサイズからキャビネ程度の拡大率では肉眼で差を認識できない。
ただし中判ユーザーで大伸ばしを考慮しない人は少数派だろうし、機材側もf2.8以上の口径が珍しくないため、圧板切り替えはあったほうがよい。F2.8で圧板切り替えを忘れると「明らかに」焦点外れを認識できる。
例えばハッセルブラッドM12マガジンは、元来120専用で圧板は変更されない。一応220フィルムを使用するキットが販売されたが、f2.8開放で無限遠が5-10m程度の前ピンになる。そこで圧板に120裏紙を取り付けると無限遠に合う。同様にSL66マガジンも120裏紙の効果を確認した。


固定圧板機には、220を考慮しないで製作されたが後で使用できるようになったものと、220を前提に設計されたものがある。
前者はハッセルM12で、明らかに焦点面がずれる。
後者は120と220の中間に圧板が調整され、どちらも焦点深度の誤差内に入るようにしているらしい。
さらに、前述したように、120/220焦点面はf4-5.6に絞れば深度に入ってしまうので、実用的には圧板固定機でも問題になることは少ないと思う。
それでも製作誤差はあり得るし、購入後テスト撮影で開放の焦点精度を確認すべきだ。
私のSL66は120に合致し、220では外れたためそれを考慮して使用している。
f2クラスの超大口径の開放は、誤差では済まされないため、テストはさらに厳密を要するだろう。


極めて残念なことに、220フィルムは2016年に生産終了し、今後は業者と個人ストックだけが存在する。
積極的220ユーザーであっただけに寂しいが、入手容易とは言えないため新ユーザーにとってこのレポートは実用的でない。
例外的にローライキンのユーザーは裏紙なし135フィルムを使うため圧板を135・220位置に切り替える必要があり、このレポートが役立つ?かもしれない。
と思ったら、eBayに中華製220モノクロフィルムが出品されているらしい。どこまで継続性があるか、実用性はどうか全く不明だが、一応現実に選択肢はあるわけだ。
220機材は、220ディスコンに伴って評価額が極めて低く、かつての高額高級付属品が投げ売り状態である。専用マガジンがタダにはならないのが腐ってもタイだが、一時高値を付けたローライ12/24切り替え機も120専用機と価格は変わらなくなった。220は性能的なメリットもあるので楽しんでみるのも一興かと思う。
220現像には、パターソンリールはそのまま対応、ナイコールタイプは専用リール(120より巻きがつまった)が必要。カウンターが対応する専用機材は必要だが、ハッセルM12のように無理をすれば、120専用機でもなんとかなる、かも。
次から各論に入る。


それをまとめて分類してみる。
圧板(Pressure plate)の形式
PF:圧板固定(Fixed)120/220で圧板切替しないもの
PS:圧板スライド(Slide)圧板を平行移動するもの
PI:圧板裏表差し替え(Inside out)圧板を一旦外して裏表交換するもの
PR:圧板回転(Rotate)圧板を外さずに回転させるもの(一部外して縦横変換するものがある)
PA:圧板自動(Automatic)カウンター切替またはバーコード読み取りにより自動的に圧板位置が変換されるもの
カウンター(Film counter)の形式
Cm:カウンター手動(manual)カウンターを手動で切り替えるもの
Cd:カウンター連動(demand)圧板変更に伴いカウンターが切り替わるもの。
Ca:カウンター自動(automatic)バーコードによる完全自動切り替え
Cr:カウンターリセット(reset)120用カウンターをリセットしてもう一度使うもの
画像:ペンタックス67 スライド式切り替え:PS


GX645AF, Hasselblad H:PA-Ca(Bar-code)PA-Cm(バーコードなし)
Bronica RF645:PS-Cd
Fuji GS645:PS-Cm
Fuji GA645:PS-Cd
Fuji GA645i:PS-Ca(Bar-code、圧版と異なる場合警告)PS-Cd(バーコードなし)
Fuji GA645Zi:PA-Ca(Bar-code)PA-Cm(バーコードなし)
一眼レフ
120/220兼用、切替可能なのはフジフィルムGX645AFと兄弟機のハッセルブラッドHシリーズのみ(バーコードまたはスイッチによる自動切り替え)で、このとき圧版位置も自動変更されるが触ったことがないので詳細不明。
他の645機(ブロニカETS、マミヤM645、コンタックス645、ペンタックス645)はすべて120,220別の専用マガジン、あるいは専用着脱式中枠(フィルムホルダー)を交換する。
キエフ645は現物を見たことはあるが内部は不明。
ブロニカS2、EC用645マガジンは120専用のみ。
マミヤRB67用645マガジンも、120のみ。RB67プロSD用は120と220は別。
フジGX680用645マガジン:120と220は別
RF
ブロニカRF645は背部に120/220表示窓があり、カウンター切替装置がない。圧版切替に連動しカウンターが切り替わる。
フジフィルムGS645系は圧版をプッシュしてスライドし、120/220表示位置に嵌め込む。カウンターは背部に切替スライドを別個に操作する。
フジフィルムGA系は圧版位置をGS系同様の圧版スライド変更すると、圧版位置を検知し自動的にカウンターが切り替わる。
GA645i、GA645Wi(i系)はバーコード入りフィルムはフィルム感度自動セットに加えて120/220カウンターが自動的に切り替わる。圧版は手動スライド切替。バーコードと圧版が相違した場合液晶120/220表示が点滅して警告するとともに、フィルムカウンターはバーコード情報が優先される。(日浦様のご指摘)
GA645Ziは、バーコード情報を読み取りボディ側から圧板位置が自動的に調整され、完全自動になった。バーコードがないフィルムは、裏蓋の圧板横スイッチを押して120/220表示を切り替える。圧板位置とカウンターは自動調整。
画像:GS645:PS


66一眼レフ
Bronica S2, C2:PF-Cm
Bronica EC, ECTL, ECTL2:PF-Cm
Rolleiflex SL66、SL66E:PF-Cm
Rolleiflex SLX:PF-Cm
Kowa SIX, MM, Super66:PI-Cm
Pentacon Six, Exakta66、Kiev6C:PI-Cm
Ritreck 66, Norita66:PI-Cm
Hasselbrad M12 mag:PF-Cr
ブロニカS2, C2、中枠は圧板位置の調整はなく、スタートマークも120/220の区別はない。マガジンのカウンターを12/24切替する。
同EC, ECTL, ECTL2共用中枠、圧版位置調整なし、カウンター切替のみ。
ローライフレックスSL66(初代)ブロニカS2, ECと同様、圧板位置調整なし、マガジンのカウンター切替のみ。SL66Eも同様。その後SL66SE, Xは120、220専用マガジンになった。
ローライフレックスSLX フィルムバック背面のカウンター切替のみ。圧板位置調整なし。6006以後は120、220専用マガジン、6002は120、220専用バックになった。
コーワシックス、シックスMM、コーワスーパー66:圧板裏表差し替え、カウンター切替。
ペンタコンシックス、エクサクタ66:圧版差し替えで切替。プラクティシックス時代は120専用。
キエフ6C:初期は圧板切替なし、カウンター手動切替のみ。後期はペンタコンシックス同様圧板差し替え。
60:120/220対応とされる記述もありますが、120専用との記載もあります。
リトレック66、ノリタ66:圧板裏表差し替え、カウンターダイヤル手動切替。
ハッセルブラッドM12マガジン:圧版位置調整なし。後窓を見ながら巻き上げ、フィルム頭が出たら後部確認窓をLight tight plugで遮光し、少し巻き上げてカウンター1を出す。12枚撮影後カウンターリセットしてもう12枚撮る。13-24まではコマ間隔が広がっていくがなんとか最後まで収まる。
画像:コーワシックスMM:PI 取り外して裏表差し替える。Super66の交換マガジンでも同じ操作。


Yashica Mat 124, 124G:PS-Cd
Minolta Autocord III, CdS:PR-Cm
Rolleiflex 2.8E, F, 3.5F:PS-Cr
Mamiya C220:PR-Cm
Mamiya C330:PR-Cd
ヤシカマット124、124G:圧版スライド切替に連動してクランク横の12/24枚数インジケータが切り替わり、カウンターも連動する。
ミノルタオートコードIII, CdS:圧版とりはずし90度回転装着、カウンター手動切替。
ローライフレックス2.8D, E, F:12/24モデルは兼用機。またキットで兼用機にグレードアップできた。圧版スライド切替。カウンターは最初ノブを24にセットし1-12まで撮影後、12に切り替えると1にリセットされさらに12まで撮影する。
マミヤC220, C330:圧版回転切替。C220はカウンター手動切替、C330は圧版を切り替えるとカウンターが連動する。
画像:ローライフレックス2.8E、スライド式 PS 左にずらすと6x6表示がでる。つまりこの時点では220は未発売で、ローライキンと120の切替であり、220キットを後付けしたと考えられる。


Pentax 6x7, 67:PS-Cm
Pentax 67II:PS-Cd
Mamiya RB67 6x8電動バック:PR-Cm
Fujica GM67, GW, GSW67、680:PI-Cm
Fujifilm GF670, 670W:PS-Cd
Makina670:PI-Cm
Mamiya 7:PR-Cd
Mamiya Press Rollholder2型、3型:PI-Cm
Linhof 220:PS-Cm(PS-Cd?)
一眼レフ
ペンタックス6x7、67、67II:圧版スライド切替。6x7と67はカウンター手動切替、67IIは圧版に連動してカウンター切替。
マミヤRB67系:6x8電動ホルダーのみが圧版回転切替。カウンター手動切替。
二眼カメラでは切替式はなし。
RF
フジカGW, GSW670, 680:圧版裏表切替、カウンター手動切替。(120半裁:6枚撮りの設定もある。ライトパンSS対応)
フジGF670,670W:圧版スライド式,カウンター連動。
プラウベルマキナ670:圧版裏表差し替え、カウンター手動切替。マキナシリーズでは670のみ220使用可能。
マミヤ7:圧版180度回転切替。カウンター連動。
マミヤプレスロールホルダー2型、3型:圧版裏表差し替え、カウンター手動切替。
リンホフ220:圧版スライド式、カウンター手動切替?
画像:マミヤ7:圧板回転式:PR


Fujica G69, GW, GSW69:PI-Cm
Mamiya Press Rollholder2型、3型、Plaubel Pro-shift:PI-Cm
Wista Roll holder:PF-Cm
フジカG69、GW, GSW690 圧版裏表差し替え式、カウンター手動切替。(120半裁:6枚撮りの設定もある。ライトパンSS対応)
マミヤプレスロールホルダー2型、3型:圧版裏表差し替え、カウンター手動切替。
プラウベルプロシフトは3型と同形式。
ウイスタロールフィルムホルダー:圧版切替なし。カウンター手動切替。
612
リンホフテクノロレックス:圧版切替なし(だったと思う)、カウンター手動切替。
フジG617:触ったことがありません。120/220切替式、だが方式はわかりません。たぶんGW690と同じPI-Cmでしょう。(アートパノラマは赤窓なので220無理)
ワイドラックス120:触ったことがありません。ご教授お願いします。
画像:フジGS690:裏表差し替え PI


mamiya 645AF,AFD,AFDII 中枠の圧板の180度回転による切り替え
mamiya 645AFDIII 中枠の圧板の180度回転による切り替え
(IIIでフィルムホルダーの変更がありました)
以前にmamiya 645pro でフィルムを使っていた際ですが、150mm程度の望遠で雨や雪等の湿度が高い場合は 絞りF5.6でも 120を使うと画面のどこかにピンぼけがあらわれることが頻発するので(中央とは限りませんし複数箇所の場合もあり)、自分の場合はピンぼけを軽減させる目的で、必ず220フィルムを増感して使っていました。M645よりPentax645のほうが平面が出ていましたが、一説には圧板手前のフィルムの折り曲げ具合の違いが原因で、M645はS字、Pentax645はC字のためと言われていましたが正しいかはわかりません。
220のポジが入手できなくなったので、デジタルバックに移行するしかありませんでした。
ご指摘を深く感謝します。
120裏紙によるフィルム面浮動の影響についても、ご経験をたいへんありがとうございます。
f5.6でも外れるほどの浮動があるわけですから深刻です。
私は220をかなりストックしていますが、いずれ終了するのも確かで、非常に参考になるお話でした。
確かにデジタルバックは平面性について懸念は払拭されますね。
逆にホコリ付着は素人ながら懸念するところです。どっちがいいかと言えば,修正でなんとかなる可能性が高いホコリのほうが与しやすいかもしれません。


220フィルムが無くなり、何のためのカウンターか判らない人が増えてきています。
ムック等では紹介されていても、実際に220フィルムを使用された経験がない方が大半だと思います。
一時は220が使える事がフラッグシップ機の証の様でしたが、フィルムがなくなってしまい、その辺りが微妙になってしまいました。


最初に述べたように大手が220撤退したため、新たに中判を始められた方にとっては有益な情報ではないのを承知でまとめました。
Studio9600さまのご経験をみても220は平面性で高いメリットがあったため、大変残念なことです。
さてカメラ・レンズ白書74年版を書庫から掘り出して眺めていると、各種中判のフィルム面精度が載っていて、120・220圧版切替なしのブロニカS2は、どちら焦点面はほぼ一致し、大変揃って被写界深度内に収まる焦点面でびっくりします。
他の圧版切替機が結構ばらつき、被写界深度から外しているのを尻目に、どういうことなのか理解に苦しむ結果です。
私はブロニカS2で220を通したことがあまりありませんので、SL66やハッセル1600Fで行った120と220の検証をやっていないのです。
今更貴重な220を、高価な現像料金を払って検証するのもどうかなあ、とネガティブな気持ちです。
まあ、この辺は謎と言うことで....(^^;;;


コダックトライXプロとプラスXプロのみに設定があります。パナトミックやローヤルXには220がありません。
当時のフジと小西六のラインにはカラー含め存在せず、コダックもネガカラーはベリカラーのみ、ポジの設定はありません。
その後他社がモノクロで追随したかはわかりません。
カラーは鮮明に覚えているのですが、1985から最近まではモノクロから遠ざかっていた時期で、中判にモノクロを通したのは2017年が初めてだったりします。
余談ですが80年代初めはまだ116,616と620,127は現役だったのですね。


Rollei Standard
Rolleiclubによると、名称はStandard Rolleiflex 6x6 K2
前モデル(Original Rolleiflex: 117フィルム専用6枚撮り)と入れ替わりに1932年発売,
モデル620(テッサー4,5/75)は1934年まで,
モデル621(3,8/75)は1935,
622(3,5/75)は1938年までとなっていて,
1937年アウトマート登場後、併売されたが1939年からはBay1を備えたStandard Rolleiflex(スタンダードノイと言われることもある)に交代した。
重量773g(620),803g(621),778g(622)実際には3機種で重さの差を感じることはないはず。
モデル620と621はコンパー1-1/300、622ではコンパーラピート1-1/500。
ごく初期と622後期には、ファインダー右下に水準器がついている。視野がけられるが、画面の傾きを客観的に知ることができて有用。
120フィルムを使う12枚撮り。(620,621は117フィルム6枚撮りも使用可能。ただし現在は生産されていない。)
当時の120は裏紙に6x6の番号がなかったため、当時珍しかったクランクによる自動巻止め機構が装備された。
ビューレンズHeidoscop Anastigmat 3,1/75はテイキングレンズより明るい。F&H社は特許を取っていて、他社はなかなか明るいビューレンズを装備できなかった。
上下レンズ共にフィルターはカブセ28.5mm。
クローズアップレンズは同じ物を上下に付ける。1mと50cmがあり、パララックスは補正されない。
画像は左からモデル620テッサー7,5cmf4,5、モデル621(f3.8)、モデル622(f3.5)
初期モデルではオリジナルと同じ117フィルム6枚撮り共用で、117は6x6用ナンバー1を背面の赤窓で出してカウンター1セットする。
後に120も裏紙に6x6用番号が印刷されるようになり、背面の赤窓を使用することも可能で、また自動ストップの調子が悪い個体でも、赤窓巻き上げで使える。
後期モデルは117を考慮しないようになり、背面の赤窓はなくなった。
赤窓が複数ある機種では、使わないほうの赤窓には金属キャップが用意され頭出し後は閉じて漏光を防ぐようになっていたが、キャップが欠品の個体が結構ある。
現代のフィルムは赤にも感じるパンクロマチックが主流なので、特に下部から漏光しやすいため、初期モデルは下側を塞いで背面を使うほうが安全。
後期モデルは下赤窓に開閉できるカバーがつくようになり、漏光問題は軽減されている。
初期の赤窓はオレンジがかった薄い色だが、手元の622の赤窓は、濃い赤でまるで高感度が主流になった戦後版の赤窓機のよう。張り替えられている?
それと手元の622は1を出す頃合いに、カウンター窓に赤丸が出る。もしかしたら赤窓で6x9の1を見なくても装填ができるようになっているのかもしれない。
これはこの個体だけなのか、一般的なのか疑問がある。
スタンダードの後ローライフレックスはフィルム厚みを感知して自動的に1を出すオートマットになり、ローライコードはスタートマークによるセミオートマットになって、赤窓は廃止された。
画像 左からモデル620、底面と背面に赤窓。モデル621、同様、底面の赤窓にキャップ。モデル622、背面窓はなくなり、底面窓はスライドカバーがついた。回転式のカバーがついたものもある。


スタンダードは1932年1月にモデル620:f4.5、2月にモデル621:f3.8を発売、設計で克服され同年11月からモデル622:f3.5に切り替わった。
何故スタンダードにも4.5を用意したか不明だが廉価版のラインアップが要求されたのか、若干3.8は甘いためシャープな4.5で補完したという説がある。さらにf3.5は口径が細いシャッターに入れるため無理をしている説も読んだが、実写の性能はf3.8や4.5より良いと言う人もいて、何れにせよ僅差なのでご自身でお試しあれ。
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ローライドスコープ、ハイドスコープのテッサー7,5cmf4.5レンズは大変高性能なので、少なくともf4.5は優秀なのは確かでしょう。f3.8も大変よく写ります。ただしモデル620の生産数は約5千、621約4万台、622約5万台とくらべ、f4.5つきは20分の1くらいで見付けにくいのが残念です。f4.5つきオリジナルは1万3千台ありますからそっちを120改造してお使いの方も多いようです。
シャッターはローライコードでおなじみの、シャッター下方の1レバーを左右に動かしてセットとレリーズを行う形式。
シャッターセットはクランクと連動していないので、自由に多重露光できますが露光を忘れて空送りすることがあります。
また個人的にはレリーズのタイミングがとりづらいのでスナップでは狙ったシュートは難しい。
利点は、セルフコッキングだと、スプリングアシストが付いているコンパー最高速に入れたまま慌ててクランク操作するとレリーズするまで最高速から外せなくなってしまいますが、この機種は一々セットが必要なので任意に最高速と他の速度を変更出来ます。利点を感じるのは私だけ?
画像:クランク側側面。クランクの上にある小さな窓がコマ数カウンター、その右上のストラップ取り付けラグの中央のボタンでカウンター1セット。
620,621は裏蓋の縁取りが黒塗装(これらはハゲているが)だが、622はアルミ磨き出し。


1949-51,
モデルK7A
重量1080g
ビューレンズHeidoscop-Anastigmat 1:2.8 f=80mm コーティングあり
テイキングレンズZeiss-Opton Tessar 1:2.8 f=80mm T
シャッター:コンパーラピート1/400-1,B(51年半ばからコンパーラピートMX, 1/500-1,B)セルフタイマー.最高速アシストスプリングあり
絞りf2.8-22,10枚円形
クランク巻き上げ.120フィルム12枚撮り.ローライキン2で135フィルム使用可能、多重露光機構はない模様。
ファインダースクリーン:フレネルなしグリッド入りマット
シャッターボタンに腕木型のロックあり、バルブ固定には使えない。
アタッチメントサイズ:Bay2(34mm)ただし3.5Fとは位相が45度違い、2.8A専用フードが必要。
2.8A用は3.5用より深く、3.5の75mmレンズではけられが出る。


その後のモデルと同じようにオートマットの作動は確実で、スムーズに撮影が進みます。
露出計つき2.8シリーズよりも140g軽量で、Tと同じ重量なのにf2.8が使えるのは大変嬉しい所ですが、1台だけ持った印象では、大きな差を感じないというのが正直なところです。
ビューレンズは後のハイドスマートと多分構成は同じだと思うのですが、戦前モデルのほわほわなハイドスコープより合わせやすい気がします。
わたしはBayIIフードを買ったら2.8A専用で、その後でボディを購入したので普通と逆なのですが、ボディ先でフードを探すのは大変かもしれませんね。
ストラップ装着部はFやEのようなクロコダイル用と違います。ただラグに普通のナイロンを通せるので困りません。
私はストラップ付き革ケースに入れています。
2.8Aはテッサー80mmf2.8の描写性能が不評だったという説があります。
後の5枚玉6枚玉と比較して、開放では若干細部の再現性が曖昧で、明るいテッサーの限界なのかと思います。
絞るとそれなりに粗い描写が締まっていきます。
幅1mの大拡大をすれば、不満足かもしれませんが、50cmくらいなら文句は出ないはずです。


テッサーf2.8開放でここまで写るとは、まさに驚愕でした。
勿論スーパーイコンタ6やツェルト6、ハッセルブラッド1000Fでも同スペックのレンズを使っています。
その中でも最高レベルの写りでしょう。
2.8Aのテッサーf2.8は、無限遠テストでは必ずしも最高性能とは言えません。
中心から像高30%くらいまではまずまずですが、全体のコントラストは高くなく、周辺の結像は若干粗い印象です。
絞ると改善しますが、f4ではまだ不十分で、風景ではf8より絞る方が良さそうです。
ところが一貫して開放で撮影した夜景は、近景から遠景まで非の打ち所がない尖鋭さ、質感再現性に驚かされます。
この後、少数の2.8Bを経て5枚玉クセノターを付けた2.8Cに発展しますが、f2.8テッサーは実写では5枚玉に勝るとも劣らないでしょう。
Rolleiflwx 2.8A, Zeiss Opton Tessar 80mmf2.8 T,開放1/25,T-MAX400


Vogdlander Prominent I (Type127)
発売 1950-56年
35mm レンズ交換RFカメラ。
シャッター シンクロコンパー#0,1/500-1秒,B
重量 720g(Nokton 50/1.5つき950g)
へそ曲がり、いや他社に迎合しないホクトレンデル社が戦後送り出したレンズ交換RFカメラは、ビハインドリーフシャッターだった。
焦点調節は、まず標準レンズ50mmはコンパーシャッターごと前後に移動させる。
35mmと100mm交換レンズは、ベアリングと鏡胴の内外筒にある傾斜面を利用した複雑な機構で、標準レンズの繰り出し量を焦点距離に応じて変換する。
150mmは、目測である。
もう一つの100mm、そして試作で終わった24mmは、独創的な構造のミラーボックスに付ける。
だれも真似できない、する気も起きない、そのため空前絶後になったシステム。
最初のモデル(Type127と128)は、その後のモデルと区別するためプロミネント1と呼称されるが、軍艦部にはVoigdlander PROMINENTとのみ刻印されている。
ごく初期(1stバージョン)はストラップアイレットさえなかったらしい。その後アイレットがついた(2ndバージョン)。
巻き上げはノブ、巻き戻しはキーを立ち上げて行う。巻き戻し部と同軸に焦点調節ダイヤルが設置されて左手で焦点を合わせるのは、6x9のBessa IIと同じ操作系。
35,50,100の交換レンズ共通の操作位置なのは人間工学的に優れているが、100mmではボディ保持がやや不安定に思える。
1眼式距離計連動ファインダーは簡素で、約0.6倍の視野全体が50mmに対応し、ブライトフレームはない。距離計像は明快で合わせやすい。
交換レンズには外部ファインダーが必要で、35mmにはホクトレンデルが頻用した両目で見る”コンツール”、または
前後を回転させて35/50mm(50mmはマスク)と100mm(後期は150mmマスクがついた)を切り替える”ターニット3”をクリップオンするのだが
、最初のモデルにはアクセサリーシューがなく、シューアダプターを併用する必要がある。
Type127後期(3rdバージョン?)はアクセサリーシューが軍艦部に設置された。
Prominent Ia(1956-58) (Type128)
ファインダーが縮小倍率のままアルバダ式ブライトフレーム35,50,100mm並列表示にした(と書いてあるが、実物を見ていない。
果たして35mmはどんな風に入っているのか大変疑問)
巻き上げがノブから2回操作レバーになった。
アクセサリーシューつき。
海外名称はProminent Iのまま。Iaというのは日本だけの通称のようだ。
画像はプロミネントI(Type127の2ndバージョン、ストラップアイレットつき)+ウルトロン50/2(初期型、銘板クローム、外ネジローレットなし)
等倍アルバダフレームファインダー。35,50,100mm枠は常に出ている。
有効基線長が伸びたことで望遠や大口径の合焦精度が上がり実用性が増した。
大きく明快なファインダーはこの後VitomaticやZeiss Ikon Voigdlander合併後のContinaIIIなどに引き継がれた。
最初にIIを入手したので、外部ファインダーの必要が無く、ターニットは未入手です。
35,50,100(90-105)を同時表示するファインダーは、キヤノンP、ニコンS3、ヤシカYF、パクセッテIILなどにみられ、視野切替式には一歩後退していますが便利な機構です。


Nokton 50/1.5 6群7枚,重量225g
Ultron 50/2 5群6枚,重量180g
Color-Skopar 50/3.5, 3群4枚
Skoparon 35/3.5, 4群5枚,重量235g
Dynaron 100/4.5, 4群6枚,重量280g
Super-Dynaron 150/4.5, 3群4枚,最短撮影距離4m(非連動)
Telomar 100/5.5,3群5枚,最短撮影距離2m(ミラーボックス)
画像はスコパロン35/3.5、3群4枚スコパーの前方に凹レンズを置いた逆望遠タイプ。
レンズ径は大変小型。特別凄い写りではないが信頼できる性能。
ただし開放f値が暗いのに連動機構のため鏡胴が大きくなってしまった。


当初プロミネントの望遠はミラーボックスつきのテロマー100/5.5が担うはずだったが、さすがにそれだけでは一般性がないので後に距離計連動のダイナロンが供給された。
比較的コンパクトで性能もシャープ。
フードは後期供給の外ネジタイプに100mm用マスクを被せる。
近接撮影アクセサリー”Proximeter I, II"も使用出来、かなりの拡大撮影が可能。


モデル末期に距離計非連動の望遠150mmが供給された。
セットケースにはターニット3用マスクと、フード用マスクが同梱されている。
直進ヘリコイドは距離計と連動しない目測レンズ。最短は4m。
距離目盛りの最初は50m。深度は浅く、50mと無限遠は、f8にしぼらないと同じ深度に入らない。
一応、左手操作の距離ダイヤルは距離計と連動し、単独距離計として使えるが、無限の次は60ftなので、150mm開放で使える精度ではない。
近距離付近の目安には使えるだろう。
謎のひとつに、テロマー100/5.5にセットされたミラーボックスのウエストレベルファインダーを倒すとコンツールファインダーが設置されていて、
外側は100mmですが、内側に150相当の枠があるのです。
しかしスーパーダイナロンは前群が外れないためミラーボックスに付けられないのです。初期には別の150が企画されたのでしょうか。
150こそミラーボックスが必要と思うのですが


ミラーボックス専用中望遠レンズ
大判、中判用Telomar f5.5を比例縮小した構成に見える。非常に高画質だが35mm判用としては開放が暗すぎて市場訴求力があるとは思えない。
レンズは前群が取り外せ、試作に終わった24mm「ウルトラゴン」と交換できるようになっている。ただし前群交換レンズが100mmの他に発売されなかったので、単に外せるだけになってしまった。
焦点調節は前玉回転である。
スクリーンは全面マットで、絞りは普通絞りだが、絞り込んでも暗いが十分合わせられる。
フィルター径は45mmに統一され、近接クローズアップレンズ「プロキシメーター」を装着することができる。
この近接は、唯一ミラーボックスである利点が味わえる。
チムニーファインダーとプリズムファインダーが交換できる。
チムニーは倒すとコンツールファインダーになり、アイレベル撮影に対応する。
このミラーボックスは非常に特異的な機構である。ミラーはテロマーの前群と後群の間に横から入り、シャッターボタン操作で横に退避する。レンズ径に合わせて小さなミラーで済んでおり、ミラー切れも起こらない。
ミラー後方にあるレンズ後群と同じ構成が、ミラーボックス内に上に向けて設置され、スクリーンに像を結んでいる。
おそらく空前絶後の構造であろう。
返す返すも、前群交換レンズが供給されなかったことが残念だ。


両目をあけて見ると、肉眼視野にファインダー枠が重なるように見える。
外側が100mm枠。内側に対応するレンズは販売されなかった。


少なくともf1.5とf2にはそれぞれ3バージョンある。
最初のモデルは銘板サテンクローム、コーティングはブルー、フード取付はカブセで外ネジローレットがない。
2番目は銘板がブラックになり、コーティングはアンバー、フード用外ネジローレットなし。
3番目は銘板ブラック、コーティングはアンバーとパープル、フードは外ネジローレットにとりつける。
最初のブルーコートは珍しいが、これが最も写りが良いと言うユーザーが居る。
またライカL39マウントと、RFコンタックスマウントは最初期バージョンのよう。
f3.5は持っていないしバージョン違いがあるかは認識していない。写りの評判はよいらしい。
スコパロン35とダイナロン100はType127初期時代にはまだなかったのでは。
見た物はすべて標準レンズの3番目に等しい外ネジローレットを持ち、フードはすべて共通。
バージョン違いが存在するかは認識していない。
スーパーダイナロン150はあとで出て来たモデルなので、3番目と同じく外ネジローレット。
テロマー100は最初期同様銘板クローム、ブルーコート、外ネジローレットなし。内ネジ45mm。
前玉回転なので共通角形フードはどちらにせよ適合しない。


多分、オリンパスペンに関しては、れんずまにあ様の方が詳しい。
先日、ホルガ関係の若者より、使いやすい銀塩カメラ?と相談を受けた。
デジはほぼスマホ。120ホルガは持っているが、フイルムが問題。
と言うことで、私、ハーフのペンを勧めた。
最終のEE3を勧めたのですが、同じこと考える人が多いのか、これ結構高い。程度の良いものは1万程する。
と言うことでジャンクを探す。EE2なら2160円程であった。
私が、小学生の頃、初めて買ってもらったのはペンS。モルトを張り替え整備、未だ使用可能。
59年、初期型ペン発売。28mmF3,5、200sシャッター。
最初期の物は、アイトレットが1つ。
60年、ペンS。30mmF2,8、250sシャッター。私の個体は64年なので、初期型ではない。
初期型のペン。表面の表示が、ORYMPUS。後の物はORYMPUSーPEN。
62年、ペンEE。F3,5レンズ、60s単速EE。
63年、ペンEES。F2,8レンズ、30Sと250sプログラムEE。3点ゾーンホーカス。同年EEもプログラムEEに。
同じく63年、ペンD。32mm、F1,9レンズ、500sシャッター。セレン露出計付。
ペンの生産は長く、生産数も多い。その為、変化も多い。
私、Dは初期の物と後期の物、2台持っている。何故か、初期の方が程度が良い。
中学生の頃、ペンF使っていたが、Dは目測であるが、ほぼ同じ写り。
EEは後期、ELに成ってからの物。程度も良く、セレンも生きている。何の問題も無く良く写るが、ASAが200迄しかない。
EE系。光不足なら、ファインダーに赤ベロが出るのが正常。
今と成っては、シャッターの固着やセレンの劣化で、赤ベロが出なかったり、其の儘シャッターが切れたり(正常露光ではない)が。
フラッシュ用に、30sでの絞りがある。ASA100フイルム使用で、
F11〜8辺りなら使える。400フイルムで、開放なら夕景も可能。
今回、知人のEE2探していて、初期型EESと、EES2見つけた。どちらも2160円。思わず買ってしまった。
EESはセレンが生きており、赤ベロが出る。EES2はシャッターは切れるが、何故か赤ベロが出ない。
EES,D迄は、ロライ35の様に、裏蓋が外れる。EE2以降は、裏蓋は普通に横開き。EE系はASA400に対応。アクセサリーシュー付。
EES2は4点ゾーンホーカスに成り、鏡胴部で変更。
73年、EE3。EE2の廉価版(と言っても機能は同じ)生産が長く、途中から、40sと200sのプログラムシャッターに変更。
初期の物は、シャッターボタンが銀色。後期の物は黒色。
EES2。EE2と共に生産中止となったが、EE3の途中で再生産している。
再生産品は、EE3後期型と同じプログラムシャッター。黒色シャッターボタン(此れは珍品)
今回は此処まで。
無限に撮影出来るスマートフォンで撮影に入った方が、昨今値上がりしたフィルムで精々36枚しか撮れないと不満でしょうが、ハーフなら多数枚撮影で満足できるでしょう。
もちろん何千枚もは無理ですが、ダイヤル巻き上げが巧くリズムを作ってくれますから、そんなに連続しては撮れず却って1枚を大切にされるのではと思います。
EE、EES系は、詳しくは全く存じませんので、大まかな初代,2,3の中に、そのような変遷があったとは目から鱗が落ちるようです。
ついでにペンDにもそんな初期と後期があるとは全く存じませんでした。
ハーフサイズを愛好するグループを拝見すると、今もってEE系をご愛用される方が多いことがわかります。
酸いも辛いも噛み分けたベテランが、感度以外は弄るところがないEEで傑作を次々ご発表され、今更にカメラ操作とは何かを考えさせられています。
EEは以前検証したとき、メーカーの言うとおり距離3.2mに固定されていることがわかりました。最終モデルEFは2.8mです。
ただし常識的な撮影距離を常識的なフィルムで撮影し、常識的な引き伸ばしを行う限り、ほぼピンぼけを意識することはないと思います。
注意する点は、大まかに1m、厳しく見て1.5mより近接では焦点が甘くなり、数十センチの近接は特別なデバイスがないと無理ということくらいでしょうか。
EESは前玉回転式の焦点調節機構を持っていますね。
米谷技師のこだわりによるペンやペンD系の全群繰り出しからは多少妥協されたモデルだとは思いますが、実用的には問題になったことはないのではないでしょうか。
EEラインで私が持っているのはEFだけですが、最近赤外線フィルターを貼り付けて楽しんでいます。
厳密には赤外光は露出計では測れないのですが、ASA25に合わせると日中は誤差範囲で適正露光が得られています。
軽く、気軽に多数枚撮影出来、余りの楽しさにすっかりはまってしまいました。
赤外での焦点のズレは、被写界深度でカバーされ、さらに遠距離方向にずれるためEFの近距離寄りの固定焦点が却って遠距離に強くなるように思っています。
Olympus Pen EF, D Zuiko 28/3.5, ASA25, Rollei Superpan200, Fuji SC72 filter, Fujidol 20d 6min


裏面の張革に、オリンパスマークのスタンプがある。初期型ペンと同じ。
Sは表面の表示が、最初からORYMPUSー PEN S。63年製造品迄は、初期型と同じ様子。
65年、ペンS3,5。F3,5レンズ、250sシャッター付。
Sと付くが、初期型ペンの後継品。此れにはスタンプが無い。
64年、ペンW。ペンS本体に、25mmF2,8広角レンズ付き。
軍艦部も黒塗装。此れは珍品。本体が傷だらけでも、今では2万程。
最初期、片耳の三光ペンと共に、コレクターズアイテム。
リコーオートハーフも25mmレンズ。此方の方が安い。
EE,EES共、張革が、グレー、格子柄。初期の物の方が、色が濃い。
初期ペン、ペンS、W共、張革は黒のシボ仕上げ。Dは初期型から黒の格子柄(以後のペンは全て格子柄、ビニール)
裏蓋が横開きの物。ファインダー接眼部に。プラスチック枠が付く。
此れは、ペンFと同じ。アクセサリーシューはダイレクトタイプ。
64年、D2。Dのセレン露出計を、Cdsに変えた物。低輝度対応。
65年、D3。Dのレンズを、F1,7に改良した物。
どちらも、水銀電池(代替電池)が必要。この辺り、結構お高い。
Dを含め、どれも、単独露出計なので、動かなくても撮影できる。
目測タイプ。0,8mまで寄れる。しかしDの開放付近では、メジャーが必要(0,8mはコピースタンド使っての、コピー用?)
D3、既にFが発売された後の製品。Fの普及品でもある。
然し、目測F1,7は大口径のあだ花。目測で開放は?
D2。発売期間がほぼ1年。結構数が少ない。
幾つかペン弄ってみて、モルトが弱い。ほぼダメになっている。
レンズがズイコーなので、曇っている物も多い。
セレン回り、当たりがある物がある。フイルターは付かないが、レンズには影響ない(今回見つけた、初期型EESも当りが有るが、撮影には問題い)
EE、EES、トリップ35共にサークルセレンは共通。シャッター関係を含め、交換可能。
フジの業務用フイルム、結構硬い。ハーフのペンに打ってつけ。
時間がかかるが、片耳、Wを含め、全部集めても、場所取らない。
ペンの木作っても、デジタルライカ1台より安い。
集めてよし、写してよし(もう私にはそこまでの気力が無いが)


ペンとペンSとの価格差は、30%以上。レンズとシャッターがグレードアップしたとは言え相当の差ですね。
そしてEEはペンSよりさらに高価でペンの1.5倍。EESはペンの2倍。驚くほど高価。
今EEは普及機という印象ですが、当時は相当の決断を迫られたことでしょう。
価格と価値は比例するわけではなく、ペン初代は戦略的な価格設定だから余計に安いのでしょうが。
ペンDは別格の価格、でもEESと近い。
ケース800円は、本体価格との比率からすると結構高かったかも。簡単なジッパーに入れるだけの構造だけど、良いなめし革にベルベットの内張で丁寧な作りではあります。
とはいえ、ニコンF辺りのケースならペン本体が買えてしまうくらいだったかもしれませんね。
ペンD,Fズイコー32mmf1.9、f8、1/30、ローライインフラレッド400、SC72フィルター


ケース。初期の物、黒シボ革にベルベット張り。
ペンとSがグレーの内張。EE、が赤、Dが青の内張です。
(私の手元の物はそうでした。然しサイズは同じなので、内張が、グレー、赤、青の3種類有ったのかも?)
S3,5からビニール製になる。
ストラップ。初期のペン、Sは、黒革の編み込み。
D、EE、EESはビニール。
EE3とEES2の再生産品は布製の編み込み。
レンズキャップ。初期の物、筆記体表示でPen。
ペン、S用の小型とEE、D用の大型の2種類。
後期の物(何時からかは不明)活字体表示でORYMPUS。
トリップ35は勿論ORYMPUS。
ペンF。初期型Fの標準レンズの物、花文字記載でF。
交換レンズ、FT,FVの物はORYMPUS表示。
広告画像は、初期型ペンとそのストラップです。


横に並べた2つのプリズムとロータリーシャッターによる1眼レフ。
63年、ペンF。レンズを向かって右に寄せ、左にシャッターダイアル。
初代コンタックスのスタイル。標準レンズは38mmF1,8シャッターは500s。シャッターダイアルに、専用Cds露出計がセットできた。
セルフタイマー無し、アクセサリーシューはオプション。
右隅にFの花文字。90度のDS巻き上げ。
66年、ペンFT。FにCdsを内蔵。TTLにした。
Fのピントグラスはマット面だけであったが、FTは中心部マイクロプリズム付き。ピントグラス左隅にTTLNo表示、これを読み取り、鏡胴に移す。
Fの花文字が有った所に、セルフタイマーが付く。150度SS巻き上げ(刻み巻き上げはできない)
ミラーを大型化し、ミラーショックを減らす。
67年、ペンFV。FTのTTLを外した廉価版。
シャッターダイアルにペンF同様のCds露出計装備可能。F系最終品。ロータリーシャッターなので、ストロボ全速同調ですが、何故か最後迄、アクセサリーシューがオプション。
私、中学期にF購入、高校期まで使った。大阪万博の時は、枚数が多いので活躍した。
然し、旅行には、小学生の時買ってもらった、ペンSの方が便利だった。
38mmでマット面。暗い所では使いにくい。FTのマイクロプリズムが羨ましかった。
巻き上げ。私手が小さいので、FのDSの方が使いやすかった。
(今も使っているライカM3もDS)
高校生の時、父が使っていたスーパーフジカ6をもらい受けた。
4切迄なら、Fでも何とか成るが、半切になると、明らかに差が。
フイルムサイズの差を、実感した。加えて私、RFの方が使い安い。
そんな訳で、キャノン7購入。ペンFは、35mmF2レンズの下取りに成った。
以後ペンF系は使っていない。今使うなら、FVと思う。
価格はFTと変わらないが、数が少なく、見つけるのが大変。
FTはTTL使うために水銀電池(代替電池)が必要。動きも遅く、どっこいしょ状態。
F、FVは電池が必要ない(FTも電池無しで使えるが)
FTレンズ。鏡胴の絞り表示、一般用の絞りと、TTLNo表示の両方がある。切り替えて使う。
初期Fの物は、TTLNoが無い。
1眼レフなので、レンズ交換できる。
珍しく、鏡胴側に解除ピンがある。上部に2つの角が有り、抑えて回す。
角が小さく、押さえるのが重い。指が痛くなる。
私、ハーフ1眼レフは、別にコニカオートレックスP持っている。
フルサイズとハーフ切り替えできる、フルサイズ1眼レフ。
ペンFより、はるかに大きく重い。然し、ヘキサノンレンズの中心部だけ使うので、写りは抜群。
画像は祖谷のかずら橋。4切で。高校生の私。


ペンFはセルフがありませんが、単体セルフをお使いか、どなたかに撮ってもらったのでしょうか。
ペンFは我が家初めてのレンズ交換式カメラで、父が出張旅行に携えて行くために奮発したものでした。といっても最初の出張では標準40/1.4の他には手が回らず、2度目に100mmf3.5を追加していました。「広角は要らないの?」と訊くと、「広角はプロのもの。広範囲を写すだけなら何枚か繋げばいい、遠くを撮るのはそうはいかない」という持論を聞かされました。
FTの標準は他社に較べコンパクトだけでなく非常に寄れるので、重宝したようです。
父の遺品としてFと40,100は大切に置いていますが、作動はスタックしてしまいました。
今FVとFTを使っています。一時期露出計要らないとFVを求め頻用していましたが、昔使用中にミラーが衝撃で破損したFTをレストアしてもらったら、ファインダーの程度が良いので手元のFVより明るいのでちょっとショックです。全反射ミラーのFVを買った意味がない...
1971年頃父がモスクワで撮影、ペンF+40/1.4


三脚で設定。友人と変わりばんこで撮った物です。
当時、こんな画像に凝っていました。私は標準1本でした。
でも、単車の旅行では、ぺんS持ち出すことが多かったです。
これは近年まで同じ。画像は京都での、カブカフェに参加した時の物。
私のもう1つの趣味、古いカブです。正にペン、メモ代わりの画像にもってこい。この時は、ペンEEです。露出もペン任せです。
でも最近は、ルミックスGF1にオリンパスの17mmが多いです。然し、サイズも重さも、ペンDの方が小さく軽い。


ペンに関しては、以前コレクターが詳細なHP掲載していたのですが、残念なことに、削除されてしまった。
コピペも無いので、私なりに少し調べてみた。
58年、試作品。ORYMPUS−18表示。
59年10月、三光ペン。当時販売価格を6000円設定したが、原価償却が?との事で、下請けの三光商事から、先行販売してみた。
価格はケース込み6800円に。お結び型の片耳、シャッターの溝が横3本。
グレーシボ革、裏面にオリンパスマーク、表示はORYMPUS。表示を除いて、試作品とほぼ同じ。
60年5月まで生産。27000台ほど生産。ペンのNo、頭1が捨番。
60年6月、オリンパス生産品。丸形片耳、シャッター溝が縦5本。
61年12月迄製造。84257台製造。通しNo頭が2になる。
62年1月〜64年11月、量産型ペン。両耳、154500台製造。
60年7月、ペンS。61年8月、ペンEE単速型。62年6月、64年9月、ペンW。此処までが、量産型ペンと同じシボ革外観。ストラップも革。
単速型EE、65940台製造。
62年4月、EEプログラムシャッター、EES。62年6月ペンD。64年9月、S3,5、D2。65年9月D3。此処から、格子張革に。
66年。フイルム受け軸がEL、表示がORYMPUS−PENに。
68年3月、EE2、EES2。裏蓋横開き。セレンが、二重円に。
73年5月、EE3。格子黒革。
EE3後期型、及びEES2再生産品。40s、200s2速シャッター。シャッターボタンが黒。生産時期不明。83年製造終了。
私の個体。S、13万代。Sは初期型のシボ革。ORYMPUS−PEN表示(Sは最初からORYMPUS−PEN S表示)
EES、16万代。D、28万代。EE、30万代。ORYMPUS表示。格子革。
D、66万代。EE(EL)100万代。ORYMPUS−PEN表示。
EESー2、360万代。No底面表示。TRIP35、278万台。黒格子革、布ストラップ。
何故か、S,EE、D共に古い物の方が、調子が良い。
特に、オリジナル、S、D、は構造に無理が無い。見事な設計。軍艦部も開きやすい。整備は簡単。
EE系は、ほぼセレン劣化かシャッター不調。但し、先に述べたように、初代EEから、ほぼ同じ部品。交換は簡単。
私の、2速型、初期のEE。劣化しているが、ASA100に対して、64設定で、良好露出。
400入れて、200設定では、快晴で、露出オーバー。
但し、晴天、無限遠景。F22まで絞るので、ピントが来る。
ピントが甘いと言われる。固定焦点を、劣化したセレンのまま、絞り制御しているので、開きすぎに成っていると思う。感度を調整するとましになる。
葉書までなら、スマホの画像に劣らない。
1700万台製造された、オリンパスペン。此れも最後まで残る銀塩カメラだと思う。


以前からお世話になっていたオリンパスペンに関するファンサイトは次々にサーバー休止に伴い閉じてしまわれ、大変残念です。
資料的な価値は大変高かったし、気になることがあれば直ぐに辞書のように引くことができましたが、サイトオーナー様の個人的な負担に頼るところが大きく、閉じられるのを責めることはできません。
どんなに立派なサイトも、所詮電子情報、書籍のように何時までも手元にあるわけではないことを実感しています。
さて初期ペンは、私はほとんど存じません。
先日カメラ店で、シャッター不安定のペンが500円で売られていて、レンズは綺麗に見えたので手に取ると、シャッターボタンが横溝でアイレットが一つ、これ三光ペンじゃない?と驚き思わず買って帰りました。
拙宅にはペンS3.5があるので復活を急いではおりませんが、ぼちぼちと直して撮影してみたいと思っています。
ネットオークションがなかった30年ほど昔、雑誌の巻末「求む譲る」コーナーを利用していくらかのハーフサイズカメラを入手した中に、ペンWとS3.5、D3があって、性能の高さに驚かされました。
しばらくハーフ撮影から遠ざかっていましたが、最近モノクロフィルム現像を再開し、経済的で気軽に撮影出来るペンを積極的に起用したのは、その高性能のためです。
初めて使うフィルムや、現像処方のテストにも、ハーフなら気軽に多数の条件を試せますし、途中で切って現像すれば、多すぎる撮影枚数も気になりません。
後ほど個々の機種に触れる予定ですが、特にS3.5のD.ズイコー、WのE.ズイコー、DのF.ズイコーは信頼しています。


三光ペンなら、枚数表示部の中心が真鍮。金色です。
オリジナル系。レンズ以外、ばらせば整備できます。レンズは持病の白濁が、此れも交換は簡単です。
私の新しい方のD。レンズに指紋が付いていて、オキシフルでも取れません。
EE系はセレンとシャッターが問題。基本劣化しています。
私のEE(EL)ほぼ問題なく使える。2速初期のEE、先に述べたようにセレンが劣化している。
先日手に入れた、EES。シャッターが粘っている(赤ベロ出ない)
EES2シャッター切れるが、開いていない(赤ベロ出ない)
どちらも、ばらせば何とかなりそう。最悪2個1。
それと、全てのペンに言えるのは、モルト劣化。交換が必要です。
三光、W、S3,5、D3、少数派ほぼすべて押さえている。加えて、FT、FVも。既にペンコレクターですね。
後、片耳初期型ORYMPUS。更に、幻のペンSブラック。
黒格子革、軍艦部黒塗り。S3,5の時代に、2,8レンズ付けた黒塗り有った?新聞記者用の特注品?との噂。
ネットオークション等に、時々黒のSが出ている。然し此れは初期型の黒シボ革。後塗りか否か不明。黒格子革の物、私見たことが無い。


発売当時はあまり人気がなく、生産量は少ない。
重量380g
レンズ:E-Zuiko 25mmf2.8 3群5枚ヘリアタイプ,35mm判換算35mm
フィルター径22.5mm
シャッター:コパル#000、1/250-8,B,X接点あり。
ペンSの本体にE-zuikoを入れ、ファインダーブライトフレームを25mm用にしたもの。レンズの突出はペンS3.5同程度でペンSより突出が少ない。
元々ペンに付いていたテッサータイプのD-Zuiko 28mmf3.5は素晴らしい性能ですが、開放近くで四隅までの周辺画質は僅差でWのE-Zuikoのほうが端正だと思います。
35mm相当の画角が魅力です。ただし28mmと25mmでそんなに変わるか?と言われると、両方のファインダーを両目の片方ずつで見たら、ファインダーフレームの範囲はごくわずかの違いしかなく、画質も絞り込んでしまえば殆ど差が無く、わざわざ高価なWを探す必要性は少ないかなという気もします。
私は1985年頃に懇意な方から譲渡されましたが、そんなに数が少ないとは存じませんで、2000年頃の価格高騰に度肝を抜かれました。最近は少し落ち着いているようですが、下げ止まりしているかもしれません。




1967年発売、プログラム露出の簡単操作カメラながら、新設計の32mmf1.7大口径レンズをつけたカメラ。
オリンパス製プログラムシャッターはf1.7〜22、1/15〜1/500の間で、絞り兼用シャッター。
絞りをAから外すと1/15固定のフラッシュ用モードに切り替わり,絞りをマニュアル設定できる。
感度ASA12〜400、CdSによるEE
距離目測。ヘリコイド焦点合わせ、最短撮影距離0.8m、
重量430g
フィルム巻き上げ背面ワインディングギア。カウンター自動復帰。
EMの後継機、EE系の最高級機、D3の自動露出化という側面を持つ。
デザインは従来と大きく異なる角張った形状。
D3とレンズのスペックは同じだが、コパル000シャッターに設計が制約されたD3と異なり新設計で画質は大変高い。開放近くでは少しハロがあるが日中では滅多に開放にならない。
撮影の印象ではシャッター羽根の作動がゆっくりしていて、同じ速度でも動体を写し止める能力は若干低いように思われる。手ぶれについて慎重に保持する必要がある。
フラッシュモードは1/15と遅いのは、当時まだ使われていたフラッシュバルブにも対応できるようにしたのだと思うが、多分高速でもX接点なら同調できるはず。
夜景は1/15で絞りマニュアル撮影を行う。1/30なら手持ちでも大きくぶれずに写せるが、1/15は手持ちにはきつい。


1965年発売、高級ラインのペンDシリーズ最終機種。
重量420g
レンズ:Fズイコー32mmf1.7
シャッター:コパル#000,1/500〜1/8,B
ヘリコイド目測焦点合わせ,最短距離0.8m、3mにクリック
非連動CdS露出計
巻き上げ背面ギアワインディング、カウンター手動セット
ペンDはFズイコー32mmf1.9、セレン露出計、D2はFズイコー32mmf1.9、CdS露出計。
D3はさらにf1.7に発展した。
性能は同じ絞りではf1.9バージョンと変わらず、大変高性能。f1.7開放は少しハロがあるが十分実用可能。
シャッター音は1/500まで出るにも関わらず極めて静粛で、昔暗い講演会会場などでも廻りを気にせずに撮影できた。却ってワインディング音の方が気になるほど。
私の個体はモルト劣化で漏光があり、整備待機中。


私、Dの1,9でも、近接0,8mではピント外しました。1,2mF2,8がやっとです。もっとも、1眼レフのペンFのF1,8でも、マット面のファインダーでは、少し暗いと、ピントが?でした。
F1,9解放では、やはり隅が流れますね。F2,8 に絞り、3mなら、ペンSの開放と差が有りません。
F1,7はF1,9の改良?だと思いますが、其の辺り如何ですか?
F1,9は、少なくても、ペンFのF1,8とは差が無いと思いました。


>目測F1,7、無理が有りませんか?
無理と言えば無理だと思います。短焦点ではありますが、仰る通り今なら許されないでしょう。
昔、寝る前に一眼レフを弄りながら、目測の訓練をしました。
近距離で1枚を確実に合わせられるかと聞かれたら、勿論自信ありませんが、チャレンジした中で幾つかは合ったときは嬉しいので、それも醍醐味かと思っています。
確実性が必要なら複数枚撮影でカバーということも。
実践では、暗い室内、3から10m程度の距離でスクリーンに映されるスライドを撮影した際には、サービス版で字が読める程度の尖鋭さは確保できていて、上司に資料として差し上げたら大変喜ばれました。
> 私、Dの1,9でも、近接0,8mではピント外しました。1,2mF2,8がやっとです。
近接のなかでも、腕を伸ばして届くか、指の先あと何センチか、など目測しやすい距離は却ってわかりやすいです。
同様に歩幅で測れる範囲も与しやすいですね。
私ポケットに百均の1mメジャーを忍ばせています。家具などの買い物に便利ですが、撮影にも使います。
難しいのは1.5-2m、または触れない被写体です。
知人に、ペン用の名刺サイズ距離計を自作されたかたが居られます。
そのカードを手に持ち、腕を一杯に伸ばして片目で基準目盛りを被写体に合わせて保持し、次にもう片方の目で見たときの被写体の位置に応じた距離目盛りを読むというもので、近距離であれば結構な精度があるようです。私も真似したいので適当なプラスチック板を探しているところです。
> もっとも、1眼レフのペンFのF1,8でも、マット面のファインダーでは、少し暗いと、ピントが?でした。
マットで短焦点は山が難しいですね。マグニファイアが欲しいこともあります。
> F1,9解放では、やはり隅が流れますね。F2,8 に絞り、3mなら、ペンSの開放と差が有りません。
Dを山積みジャンクの中から救出し、最近使ってます。でも赤外専用にしていて、f5.6-8以外の絞りを使いません。
昔Dを借用したときは、隅の乱れはあまり認識できませんでした。
大昔にOPGに投稿した内容が残っていました。恥ずかしながら...http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/1262/lenstest/D01.htm#TOP
> F1,7はF1,9の改良?だと思いますが、其の辺り如何ですか?
最近使っているコピーフィルム超軟調現像で、超高解像度のテストをしていませんので断言はできませんが、Dのf1.9とD3のf2は見分けが付かず、焦点距離は違いますがFの38/1.8も同レベルで開放としてはかなり良い画質です。
絞り込んでもこの3者は同じように画質が締まっていきます。D3のf1.7は,同じD3を半段絞ったf2と較べてハロっぽくコントラストが落ちますが、解像力は保っている印象です。
D3のf1.7は,同じ絞りでのDf1.9レンズの画質を落とさないで口径比を広げたことが改良だったのではないかと思います。
ご指摘を受けましたので四隅に関して再度検討させてください。
> F1,9は、少なくても、ペンFのF1,8とは差が無いと思いました。
昔フジクロームベルビアで撮影し、顕微鏡で確認した範囲では私も同意見です。
多分ミニコピーでは解像力がベルビアの倍以上ですから、もっとよくわかると思いますので後日報告致します。


重量370g
レンズ:Dズイコー28mmf3.5
シャッター:コパル#000,1/250〜1/8,B
直進ヘリコイド目測焦点合わせ,最短距離0.6m
巻き上げ背面ギアワインディング、カウンター手動セット
シャッター最高速がS同様1/250に上がり倍数系列となったため使い勝手は初代より上がっている。
レンズは定評がある初代を踏襲している。実際に極めて高解像力で、信頼性が高い。
Wとは甲乙付けがたく、ごく四隅のみWのほうが端正かという程度。
また以前Sを試した時、30mmf2.8は28mmf3.5より僅かに甘い印象を受けた。個体差の範疇だったかもしれないが、個人的にS3.5に傾倒するのに十分だった。
このDズイコー28/3.5はペンEEシリーズに3.2m固定焦点として、またペンSのDズイコー30/2.8はペンEESシリーズに前玉回転として装着されている。
そのためEEは距離3.2mではS3.5と同等の高解像力を発揮する。


重量280g(電池なし)
レンズ:Dズイコー28mmf3.5、固定焦点2.7m
定常光はセレンによるEE、ASA25-200
シャッター速度1/250,1/30二段自動切替。
絞りf3.5-22
フラッシュ:GN10(ASA100)オートストロボ。ASA100と400切替、絞りは開放固定。背面に到達距離指標あり。単3x1本。
巻き上げ:リアワインディングギア。カウンター自動復元順算式。
プラスチックボディで軽量化されたEE、
他のEEシリーズが3.2m固定焦点なのに、これだけは2.7mとより近距離になっている。
開放近くで遠景を撮るとさすがに甘いが、f8以上に絞られることで遠景も被写界深度に入る...が、拡大するとやはり合ってはいない。サービスサイズでは十分以上。
2.7mではペンS3.5同レベルの高解像。
裏蓋は右側ヒンジで開く。
フィルムカウンターが順算式、裏蓋で自動復元
巻き戻しボタンを一回押したら次の巻き上げまでずっと有効。
この3点で決定的に近代的な使い勝手になった。(前モデルは裏蓋分離式、カウンター手動逆算式、巻き戻し中ボタンを押し続けるクラシックさ)
オートストロボ内蔵。これは原始的な並列式オートなので常にフル放電してしまうため、チャージ時間は近距離発光でも節約出来ない。
私の固体はストロボが液漏れで作動せず、500円だった。セレンは元気で、もとからフラッシュを使うつもりがないのでこれで十分。


重量:420g
レンズ:Fズイコー32mmf1.9、フィルター径43mm
シャッター:1/500-1,B,倍数系列
距離合わせ:直進ヘリコイド、最短80cm(クリックなし?)
セレン単独露出計内蔵。ASA10-400、測光範囲EV7-17
電池不要のセレン露出計内蔵、高速シャッターと大口径レンズが特徴。
ボディサイズは従来のペンシリーズと共通。
レンズは開放からシャープで実用的な像を結び、咄嗟に持ち出しても電池切れの心配がないセレンとメカニカルシャッターが高い信頼性になっている。
レンズアタッチメントサイズ43mmはDシリーズすべてとペンFの交換レンズ大部分とも共通で、システムとしての一貫性がある。
ところが同じオリンパスでも24x35コンパクトカメラは43.5mmという特殊なフィルターサイズを採用しており、今となっては困っている方が多い。
ただし現行品当時、どちらのフィルター径が主流だったのかはよくわからない。偶々43mm機がよく売れたのでデファクトスタンダード化した可能性もある。


後期の物は、ORYMPUSーPEN表示ですね。
私、両方持っていますが、初期型の方が調子いいです。
セレン露出計、少々劣化してますが、実用可能です。
先にも記したように、開放0,8mは曲者です。
43mmフィルター。EEと同じ。此れが元で、D系も、F系も、同じものに統一したと思います。トリップ35は、43mmです。


ファインダー表面が黒塗り、裏面にペンFと同じプラスチックの枠付き。
張革は、黒の格子柄。シャッターボタンが黒塗り、40sと200sの2速プログラム。
ダイレクトシュー、4769〜台、ほぼ最終品。勿論、裏蓋横開き。
セレンも生きており、赤ベロもでる(赤ベロが出ても、其の儘シャッターが切れる>初期の物は赤ベロが出ると、シャッターが切れないが、ASA400対応の物は切れる)
純正ストラップが布、ケースがビニール、レンズキャップはOLMPUS表示。
何と、ブックオフで2480円。奈良にハードオフが新装開店。
旧い方のハードオフが、ブックオフに吸収された。
基本、ハードオフとブックオフは別系列。販売方針も違う。
ハードオフでは、動作確認可能であるが、ブックオフは一切お断り。
鍵付き陳列なので、外観には問題ないが、此れでは機械式カメラを買うのに勇気がいる。
掃除の序に、動作確認はした。ASA400迄可能なので、取り合えず、記録用フイルム入れて、写してみるか。
何せ、83年迄販売。総数1700万台生産のペン。此れが最終形である。


ハーフサイズの集まりではEE-3の愛用者は結構多いようで、程度が良いものが残っているからでしょうか。それと400が使える。
EE-3はベロが出てもシャッターが切れるとは知りませんでした。
ちょっと上級者向けかもしれませんが、ネガカラーのラチチュードを考えると、少々露光不足しても撮影出来た方がよいのでしょう。
件のハーフ愛好家達の作品を見ると、8つ切りなら固定焦点でも相当良い画質です。
何も全コマ全紙に伸ばせる品質を追求する必要はないのですから、自らの不見識を恥じています。
ブックオフでもカメラを置きだしたのですか。というかハードオフを併設じゃなくブックオフに吸収とは。
知らない人が弄って壊し、「これ壊れてますよ」とか言われるのを避けたいのでしょうか。それと使い方を教えられる店員は居ないから、店員が壊しちゃうのか。
ちゃんとした人がいないのに物品を販売できる今のシステム、安いかもしれませんが危うく、初心者への間口が狭いですね。


フラッシュ用の絞り表示以外に、専用ストロボの距離表示有ります。
多分、ストロボ用に、新しいシャッターに変化したと思います。
ASA400フイルム使って、明るい時は、200s。暗い時は、40s。もっと暗い時はストロボ使用。赤ベロは、ストロボ用の目安だと思います。
フイルム、現像の価格が高騰。銀塩として、1本で40枚撮影は強み。
葉書大までなら、これで十分。デジ、スマホに差が無い。
否、デジには無い柔らかさがある。精密だが、硬いだけのデジ。
隅が流れたり、ピントが甘い銀塩。若者にはこれが逆に新鮮?
と言う私も、最近ズマールとかズマリットに凝っています。
昔は精密なズミクロンが主だったのですが、デジ使うと、少し硬い?
隅が流れたり、全体が柔らかいレンズの方が、銀塩の価値?と思ってます。
画像は、81年のカメラショーのカタログです。
カタログによると、EFもEE−3も250s、30sのプログラムと成っている。
特にEE−3は黒のシャッターボタン。
一体何時から200s、40sのシャッターに変わったのか?
この時期のシャッター、赤ベロが出たら、シャッターが切れなかったのか?
この辺り、ご存知の方、掲示願えれば幸いです。

