シフト中判カメラ
中判および大判カメラの中には、フィルム平面とレンズ焦点面との平行性を崩す(ティルト/スイング)、または光軸と画面中心との関係をずらせる(スライド)を総称しディスプレースメント、広義のアオリ機能をもつカメラがある。
ディスプレースメントは被写体の形状を整える効果があり、古典的なプレートカメラでは、レンズボードを平行移動できる機能は常識的なものであった。その後、大判カメラは構造上ごく薄い被写界深度を絞り込みでカバー困難のためティルト機能は有効で、また主要な使用者である職業写真家が必要としたため、ディスプレースメント機能を発展させていった。
近代的な35mmカメラでは、交換レンズの形で供給されカメラ自身にこの機能をもたせたものはほとんど見受けられないが、中判は大判並みのアオリ機能を持ちながらより携帯可能な発展を遂げ、ひじょうに個性的なカメラが登場した。その中の幾つかを紹介する。
プラウベル69W プロシフト
日本のドイが企画した、ドイツプラウベルブランドの中判カメラ、マキナシリーズに続いて販売された超広角シフトカメラ。
ジャックテイト ハンドメイドシフトカメラ
現在機械によるドローイングを手がけておられる元フォトグラファーのJack Tait氏がかつて手がけた半量産半ハンドメイドの超広角シフトカメラ。
ホースマン SW69
駒村商会が生産した超広角システムカメラ。上下左右のスライドが可能。6x12cmの兄弟機もある。現在はデジタル対応し現役ながらラインは縮小。
アルパS120
スイスのCapaul & Weber社製中判システムカメラ。光軸固定機12TCと、スライド1方向12FTC、2方向12XYのモデルを用意している。
シルベストリ
イタリア製。1980年代にプリミティブなシフト可能広角カメラを発売、改良を重ね現在も数機種のラインアップがある。
比較表を作ってみた。
Plaubel SW69 Jack Tait HorsemanSW69 Alpa12XY Sivestli T30
重量(Finder+47+69付) 1550g 2000g 1850g 不明 不明
フィルムバック 6x9固定 Graflock Graflock Graflock Graflock
120-220切替 Revolving Revolving
ファインダー形式 外付光学+ワイヤー 内蔵光学 外付光学+焦点板 外付光学 焦点板
シフト連動 シフト連動 シフト用マスク +焦点板 純正光学ファインダーはない?)
焦点板つかない 焦点板+縦横手動切替
レンズ MCSA47/5.6固定 MCSA47/5.6 専用ボード交換 専用ボード交換 専用バヨネット
SA65/8交換 (24)35-135mm 35-180mm 35-180mm
スライド量 X13mm, Y±17mm X±20mm, X±25mm, Y+30mm
Y15mm Y±17mm Y+45-25mm (S4は+40mm)
特徴 手持ち最強 三脚最強 高精度 豊富な付属品 優美なデザイン
マミヤプレス派生 アイディアの塊 高価
画像はジャックテイトのスーパーワイド69広角シフトカメラ
・マミヤ 645+Sekor C 50mm F4.0 Shift
・ブロニカ ETR+ゼンザノンEスーパーアンギュロンPCS 55mmF4.5
・ローライ ローライフレックスSL66 シリーズ
・ハッセルブラッド フレックスボディー
・ペンタコンSix+PCS-Arsat 55mm F4.5
・KIEV KIEV88CM+HARTBLEI Super-Rotator 45mm F3.5
・マミヤ RZ67+シフト・ティルトアダプター
・トプコン HORSEMAN 970
・マミヤ プレス初代とスーパー23
等々、カタログ上は可能なものが意外に多いです。
その実、中版カメラのアオリは実際は無限遠が出しにくかったり、ケラレ等の問題があったりして、制約の大きなカメラも多いのが実情です。
個人的には専用レンズがあるタイプが一番楽だと思っています。
追加すると,ペンタックス67用シフト75mmf4.5があります。
ハッセルブラッドF用には、PCテレコンバーター1.4xがあります。
ブロニカETRに供給されたPCSスーパーアンギュロン55/4.5は、後にローライ6008用が追加されました。
ローライSL66用のシフトレンズは、PCSローライゴン75mmf4.5です。ティルトアダプターを併用、ボディとアダプターを互いに反対方向にティルトすることでシフト代用になります。
ウクライナのPCSシリーズの中で専用設計は55mmf4.5のみで、45mm、65mm、80mmは従来66用レンズそのままですから、イメージサークルをファインダーでよく確認しながら、よく絞り込んで使うべきでしょう。
Arsat55/4.5は画質良好です。ティルトはできず水平1方向シフトを、レンズ基部を回転させて全ての方向にスライドする方式です。これは35mm用PCニッコールやクルタゴンと同じです。但しシフトすると漏光する個体があるので注意してください。
また、フジGX680も素晴らしいアオリカメラですね。
これら中判一眼レフ用アオリレンズは、35mmカメラ換算で35mm前後の画角であることが共通で、引きがない建築物を撮影するよりも、大判カメラで行っていた商品撮影でパースを修正する目的で中判を使う用途が主体ではなかったかと想像しています。
35mmフィルムカメラでは、35mmが主流でしたが、ペンタックス、ニッコールとシュナイダーが28mm、ズイコーとEOSが24mmを供給しましたが、さらに広角はデジタル時代まで存在しませんでした。
シフト中判カメラは6x9、6x12で35mm換算20〜15mmに及ぶ広画角でもシフトができるのが特徴で、一眼レフには真似が出来ません。
目的は大判カメラとかぶってきます。
恐らく中判シフトカメラは大変限られた条件を重視する人にしか受け入れられないでしょう。
仕事なら大判で十分です。
本来大判なので意図的に入れませんでしたがカンボワイドもシフト可能で、ロールホルダーと組めば中判ではありますね。
私は随分愛用しました。建築物を含む旅行風景、個人の撮影旅行ではないので三脚を立てる間はなく速写性と多数枚撮影が必要、でも高画質をある程度要求すると、シフト中判広角カメラに行き着くのです。
ホースマンSW69, 35mmf4.5
デジタルを見据えた超小型蛇腹カメラでしたね。大変憧れました。
その延長に、専用マウントにしたアークボディもありました。
ただし、このクラスの中判広角をピントグラスで焦点合わせするのは至難の業ということを、グラフレックスSLや、69ビューカメラで実感していましたので,ヘリコイド目測のほうが却って実用的だと判断し、ハッセルのアオリシステムは積極的購入対象にはしませんでした。
これも書き忘れましたが、一眼レフでも25mm相当までシフト可能なGX680は最高です。ただあれを抱えて旅行するのは私には無理です。
ブロニカS2用のベローズアタッチメントもアオリが効いて、かつインフが出ると聞いていましたが、タイプと機種によってはインフが出ないこともあるそうです。
D, S用ベローズは、他社と同じくかなり近接からしか使えません。
またS2用でもコンパクトベローズも、あと少しで無限は合いません。
EC以後のベローズ2型は,残念ながら少しフランジバックが長くなって無限遠がでなくなってしまいました(ですよね?)が,かなり遠くにも合います(後で確認します)
さてS2ベローズ2型は、蛇腹を一番縮めた状態で無限遠が出ますから、アオリはできません。
75mmで1mに合うくらいに蛇腹を伸ばすと、ティルト、シフトが少し出来るようになります。
接写でパースを整えるためのアオリ機構です。
前板限定ながら、フォール以外の全ムーブメントができます。
無限でもアオリがしたくて、フランジバックが長い短焦点を探し、RB67用50mmはどうかと思いましたが太すぎてマウント困難でした。
それよりもブロニカ用レンズを利用して、ベローズ前板を外し、レンズをくわえ込むような前板をベニヤで作って、袋蛇腹であおれるように加工したことがあります。
結局イメージサークルがそれほど広くないので、あまり実用できずにシフト中判カメラになだれこんでいったのですが。
のちほどベローズの記事を作りますね。
しかし残念ながらこれらの時代にはまだ超広角レンズ技術が十分発達しておらず,いずれも標準画角ですのであまり強いシフト効果は期待できません(使ってみると意外と構図を整えるのに役に立つのは確かですが).しかし様々な高性能超広角レンズが現れた頃には,この種のカメラはスプリングカメラに変わってしまい,シフトが出来ない構造になってしまったのは惜しいところです.また,もう少し後の時代になると,ほとんどのカメラは畳めなくなってしまいました(ビオゴンタイプの登場によりレンズ全長が長くなり,畳むメリットがなくなってしまったということはありますが).
もしトポゴンとかアンギュロンが固定された小型・軽量の広角専用中判カメラが登場していたら,(特に距離計に連動したりシフト機構がついていたりしたら)きっと今でも珍重されているだろうになあ,と思います.もっとも,自作することはできるだろうと思います.一時期,オートグラフィック・スペシャルのレンズをアンギュロンあたりに変えた中版ワイド広角カメラを作ろうとした時がありましたが,入手したカメラがいずれもそれなりに動いてしまうので壊してしまうのが憚られ,そのままになっていますが・・.画角そのものは広がっていませんが,こちら http://shiura.com/camera/avus/ に挙げているように後代の包括角度の大きいレンズにするのも有効かとは思います.
コダック オートグラフィック スペシャルのページにも少し書きましたが,距離計や一眼レフの技術はロールフィルムの登場・普及やフィルム感度の向上と密接に関連しています.昔はカメラは三脚に載せ,すりガラスでじっくりと構図とピントを決めればよかったのですが,ロールフィルムにより速写性が上がり,また感度向上で手持ち撮影が可能になることでそれに対応したフレーミングとピント合わせが求められるようになり,その代わりにシフト撮影機能が省かれるようになってしまいました.結果的に,後のカメラでもシフトをするなら目測か,ロールフィルムホルダを外してすりガラスをどうぞ.距離計使うならシフトは諦めてください,みたいなことになってしまったのは残念な気がしています.理想のカメラの1つは,ファインダ内に水準器がついてシフトの構図も確認できる距離計連動式の小型・超広角中判カメラなのですが,存在しないのではないでしょうか.
まあ広角なのでほとんどのケースでは目測で足り,特にニーズが高い建築写真では距離計などいらないのも確かですが,なにかミッシングピースがあるような気がしてなりません.
日本のドイが企画した、ドイツプラウベルブランドの中判カメラ、マキナシリーズに続いて販売された超広角シフトカメラ。
重量1550g
マミヤプレス6x9ロールホルダー3型にシフトフレームと47mmレンズ,ヘリコイドを固定してある。
120/220切替は圧版を表裏差し替え、カウンターをダイヤルで切り替える。
レンズはシュナイダー スーパーアンギュロンMC47mmf5.6 固定。
センターフィルターはプロシフト専用で、アタッチメントサイズ52mm。(市販の単体47/5.6は49mmなので、シュナイダーの汎用品は取り付けられない)
スライドは構えて左方向13mm、上方向15mmのそれぞれ1方向で、逆方向には軍艦部上面の三脚穴を使ってカメラを上下逆に取り付けることで対応する。
ファインダーはプラスチック製ライツ21mm用に似た光学ファインダーと、メインフレームに格納された前ワイヤーアングル、シューに畳まれた覗き穴を立ち上げて使うフレームファインダーの2通りが用意され、どちらもシフトに応じて方向を変え、多少の誤差はあるが覗いたままが写る。特にフレームは便利。光学ファインダーはシフトしたときの誤差をアルバダフレーム表示してあり、フレームより正確だが、曇りやすい。
バック固定なので、焦点版で確認することはできない。焦点は距離目測しヘリコイドに表示された距離指標を合わせる。
おそらく最も手持ち撮影で機能的な超広角シフトカメラ。バック交換、焦点板をばっさり捨てた分軽量であり、またマミヤプレスホルダー3型を流用したためグリップを別に付ける必要がありません。マミヤ3型はレリーズに二重露出防止機構が組み込まれていますが、私見では困ることが多々あり結局シャッターを直接操作を余儀なくされます。その点プロシフトは二重露出防止機構を外してあり自由にレリーズできるため却って使いやすく思います。
カメラ毎日のテストレポートでは、スライド後の固定には正面から見て右上のレバー一本のみ使われており、フレームのひずみが避けられず、開放絞り近くでは片ボケすると書かれています。実写では片ボケはあまり意識に登りませんでしたが、実用上絞り込んで被写界深度表を使って撮影していました。絞ればひずみは問題無いと考えられます。また絞り込みで超広角につきものの周辺光量低下が目立たなくなります。
開放でもセンターフィルターを使えば周辺光量低下が押さえられるのですが、中心部の露出倍数が3倍、1.5絞り低下しますから、開放f5.6がf9になり、しかも開放ではまだ完全ではなく、光量を均一化するためf11に絞るなら、実質f18でしかも被写界深度は十分ではありません。私はセンターフィルターは使わずf16-22に絞って使いました。目測の危うさがカバーされ、失敗がなくなります。
撮影結果はおそろしいほど高画質、繊細で全紙伸ばしでも粒子が見えないぬるっとした質感、重量を忘れさせる性能です。f22で回折による画質低下があるはずですが、6x9からの拡大率の低さがそれを目立たなくさせてくれました。
エンサインカーバイン オートレンジの所でご解説になっておられたので、きっと追加して頂けると期待していました。
古典的ロールフィルムカメラでの問題点は、ご指摘の通りレンズの広角化が未だされていない所でしょう。
既にDagorなどの優秀な広角レンズはあったものの、主流のTessarと較べて明るさに劣り、当時でもDagorつきは少数派だったと思います。
69はどうしてもサイズが大きくなるので、気楽な携帯は、頭がおかしい私でも躊躇する所です。
645から66で、小型軽量なシフトカメラは夢ですね。
戦後に目をうつしても、645,66の標準レンズつき蛇腹カメラは星の数ほどありますが、シフトを考えなくても広角がついたカメラは十指に満たないでしょう。
エンボイワイド、SWC系、GS645W、645S、GA645W、GA645Z,BronicaRF645, NewMamiya6..GF670Wも入るかな。
ただし645と考えると、変にシフト機能で重量化するより、軽量66-69をトリミングしてしまう手もあります。
しかしそれには、周辺まで余程高解像力のレンズでないと耐えられない。
昔ベリワイドII、47/8を縦位置撮影し、上半分をトリミングしてシフトのかわりにした時、f16〜22に絞ったにも関わらず周辺画質が不満足だった経験をしました。
ハッセルブラッドSW系トリミングでは、あまり大きな効果は得られませんがスーパーアンギュロン47/8よりはだいぶ画質が改善しました。
ただし一回り大きなサイズからのトリミングは、広画角は期待できない。
ブロニカのRF645や、マミヤ6が出た時、超広角の交換レンズが出ないかと待ちわびました。結局でなかったのが残念無念です。
RF645で30-33mmが出ていれば、気軽にトリミングによる疑似シフトが出来たのになあと。
それとフォトキナのアンダーテーブルに、フジTX-1のレンズを共用するフォーカル645があったそうです。何故出さなかったのか返す返すも残念です。
その末裔がGFXなのかな、と横目で見ています。
余談ですが、35mm用シフトレンズ、α7Rでステッチすると、36x54mm、約7千万画素の画像になります。古い設計のレンズでは絞っても周辺画質は不十分ですが、なんちゃってGFXとして楽しんでいます。
このカメラは手作りに近い量産品で、1995年から97年にかけてロンドンに存在したJack Tait Cameras LTDで製作された。http://somakray.blogspot.com/2011/02/superwide-6x9-by-jack-tait.html
特徴が多いシフト広角カメラで、ホルダーなしで2kgと重く、手持ちを考えていない構造なので三脚固定が前提だが、シフト撮影の便利さは最高クラスであろう。
1,内蔵光学ファインダーはシフト移動に対応したフレームが得られる。
2,ファインダーは縦横切り替え。
3,ボディのスライドは縦方向±17mm、固定ノブ、クリックあり。
4,レボルビング可能。
5,グラフロックバック交換式。ホースマンロールホルダーも使える。
6,ピントグラス装着可(シルベストリが付属していた)ベローズルーペ装着可。
7,スライドは上下が基本だが左右移動はカメラを横倒しで対応可能。
8,標準47mmf5.6の他に専用レンズボードでレンズ交換可能。65mmf8が付属していた。
画像は最大ライズした状態
非常にしっかりした造作で、プロシフトがレバー1箇所でスライド固定するため開放では片ボケすると指摘されたのに反して、各部の剛性感は信頼できる。
レボルビングバック。ロックはなくグリーシーなフリクションで止まる。45度位置にしたのはわかりやすくするため。
残念ながらTait氏はカメラ製造から手を引き、特殊なアナログドローイング機械製作に移行しているらしく、新品で入手するのは難しそうだが、機会があれば触ってみて欲しい。(最近個人のページも閉じられてしまった)
交換レンズ,スーパーアンギュロン65mmf8.ヘリコイド距離指標は点だけなので自分で目盛るかピントグラス確認を要する。
その後も広角で手持ちができる中判カメラへの思いは続いており、コダック オートグラフィックスペシャルにダゴール100mmを載せました。残念ながら(焦点距離が違うので)距離計は使えませんが、広角で暗いレンズのため目測で使える感じで、画角も広く良いです。しかし1ロール5コマしか撮れないのが持ち出しにくいです。
上記カメラは6x14cmぐらいの非常に細長い写真が撮れるので、ビルのような建築物用なら、いっそ片側をマスクしてコマ数を増やしつつ、シフト効果も得ることはできるのですが、そこまで用途が固まっているわけではないのでやっていません。シフトができる初期の蛇腹カメラに乗せるほうが便利かもしれません。その点、もともとダゴールの付いているロールテナックスというものも(高いですが)ありますが、なんとせっかく画角の広いダゴールなのに、前板が簡略でシフトできないのが、「なんでやねん」という感じです。
ヴェストポケットテナックスの75mmを6x9カメラにつけるのもいいかもしれません。僕はたためるカメラが好きなんですが、広角レンズはダゴール等の一部を除いてテッサー型等より寸法が大きいので、こういう「畳める」「広角」「中判」「シフト」となると素材が限られそうです。
既製品のシフト/広角カメラはいずれも重量級で、日浦様が構築されたクラシックフォールディングカメラへの広角装着は、憧れを持って拝見しています。
交換レンズが使えて、比較的軽量な機種はベルクハイルがあげられますが、フィルムホルダーが必要です。
主流の6.5x9より大きなフォーマットは不人気ですが、パノラマサイズにするならいい選択かもしれません。
またアオリはできませんが616フィルム機のジャンクをフィルムホルダーとできないかなど。
手元に豆粒のようなダゴール75mm単体があり、どうしようか楽しく迷っています。
ニコノス(MF)とレンズ
ニコノスは日本光学が発表した全天候型のカメラで、耐水圧50mのボディーを持つレンズ交換式の目測カメラです。
フランス製のカリプソ フォト(:Calypso Phot)をその始祖としていて、TからXまでの5機種が発表されました。
(途中何回も小改造が施されています。)
分類上は大きく分けて3種と考えて良いかもしれません。
・Nikonos T、U (カリプソベースの小型メカニカル機)
・Nikonos V (ニコンが設計を見直したメカニカル機)
・Nikonos W-A、X (ニコンEMベースの自動露出機)
(大変類型的に分類されたサイトが有ります。画像はそちらを参考にされると良いと思います。)
ニコノスを語る上で避けて通れないのがカリプソです。
1956年頃、ベルギーの航空エンジニアであったジャン ド ウーテルと海洋学者のジャック イヴ クストー は
フランスのダイビングギアーの会社だったスピロテクニック社と小型の水中カメラの開発を始めました。
(実際にカメラを製造したのは同じくフランスのアトム社でした。)
クストーは海洋調査船カリプソのキャプテン。ウーテルはメンバーとして船に乗り込んでいました。
ちなみにスピロテクニックはアクアラング、最近はBCLといいますが、クストーとエミール・ガニヨン技師によって
開発された水中呼吸器のアクアラング社の親会社です。
翌年、試作機”スピロ”が完成します。
スピロの試作機はニコノスTの黒色部がアルミの透明アルマイト仕上げの様な姿をしています。
前後してSOM Berthiot社は水中用レンズ、35o F3.5 を開発します。
1958年になってスピロは改良されながら気密カメラとして上市されました。(アンダーテーブルに近かった様です。)。
特殊な用途のカメラでしたので派手な販売キャンペーンを打つ様なものではなく、研究機関や軍関係向けだった様ですが良く判りません。
同社のカタログにも載せていなかった様です。
スピロは逆ガリレオタイプのファインダーと1/1000の高速シャッターを持っていましたが、当時のフイルム性能では
水中で1/1000は切れません。その他。リワインドクラッチ部、フラッシュソケット部、フィルターネジがレンズに無い。等々いくつかの問題?を持っていました。
元々スピロテクニックはカメラの会社では有りませんでしたので、その販売や改良には早々に限界が来ることは
当初から認識が有ったそうです。
そこで、販路/生産拡大のために1961年5月に帝国酸素株式会社(現日本エア・リキード株式会社)を介して
日本光学に技術提携の話を持ち込んだそうです。
スピロはこの頃、クスト-とウーテルが乗っていた船の名をオマージュして”カリプソ フォト”と改名されます。
さらにその後、”カリプソ”になります。
この頃になってカリプソは海洋関係者間では広く知られる様になってきました。
その ”水面下”ではニコンはEC圏(フランス含む)以外の地域でのカリプソの独占的な製造販売権を得ます。
但し日本光学はレンズにはあまり興味を持たずにボディー構造とマウント構造を評価していたようです。
一方、日本光学は1956年5月にニコンS2用の水中ハウジング”Nikon Marine"を発表します。
しかしニコンマリンは高価で重く、市場性については疑問が有りました。
そこで1962年1月にスピロテクニックと技術提携を決め、フランスとEEC圏はスピロテクニック、
その他の地域ではニコンが独占的な生産と販売権を得る事になりました。
1963年3月の第8回のフォトキナでニコンはカリプソにマイナーな改造を施した”ニコノス”を発表します。
当時のアドで金魚の入ったアクアリウムに入れたニコノスが有ります。
精密カメラがむき出しで水中に置かれているのはかなりのインパクトが有ったそうです。
これが後のニコノスTです。
ニコノスにはすでに距離計連動機用で定評の有ったS型用広角レンズのW-Nikkor 35o F2.5 が装着されていました。
ニコノスは大口ユーザーのアメリカではU.S.Diver社が特約店になりました。EC圏ではニコノスの商標がすでに使われていたため、”カリプソ ニコン”として販売されました。
このあたりが、ニコノスTとカリプソ・ニコノスの分類に混乱を招いている様です。
と判る範囲で書きましたが、実は細部のカリプソの経緯は良くわかりません。
あまり確かな資料が有りません。フランスのサイトやアメリカの資料等を参考に書いています。もし違う所が有ればご指摘下さい。
・カメラ
NikonosT
:1963年にカリプソをベースに若干の改良を加えて販売されました。
高水圧がかかっても安定的にシャッターが切れる様に、押し込みタイプではなく、巻き上げ兼用の扇動動作のシャッターレリーズ機構を持ちます。
開いたレバーを押し込むとシャッターチャージと巻き上げが行われ、もう一度僅かに開いたレバーを押し込むとシャッターが切れます。
シャッターは1/30〜1/500。 シンクロは1/60 とスワンベースのFP級バルブ対応になっていました。
シンクロタイミングの変更は底部のシンクロソケットで接点を選択する様になっています。
フイルム圧版は板バネでフイルムゲートに押圧されています。まだヒンジ構造にはなっていませんので、フイルムは圧版の隙間に滑り込ませる様に装填します。
巻き上げにはスプロケットを使用せず、巻き上げスプールを徐々に回転量が少なくなる様に回転させて行います。
このため若干コマ間隔がズレる欠点が有りました。
このスプール部は巻き上げ時以外はクラッチが切れていて、フイルム巻き戻しはそのままノブを回転させれば可能です。(情報ありがとうございます。)
ボディーはレンズを外すとファインダー/シャッターユニットとボディーシェルが外れます。
ファインダー部には乾燥窒素が充填され、水中での雰囲気温度変化による飽和湿度でのクモリを防止しています。
ファインダーはブライト式のアルバダタイプになりました。倍率は0.63倍です。
あくまでもこのファインダーはアイポイントの狭い”陸上用”です。水中ではフレームファインダーでないと使えません。
ボディーは真空引きしたボディーシェルを塗料に漬けて塗料を含浸させ、ダイキャストの”す”を塞ぐ工法で作られています。
カタログ上50mの耐水圧性を持ちます。
このあたりは潜水艦に搭載された潜望鏡や双眼鏡の技術が有ったから出来た様です。
ニコンは当初、ニコノスを全天候カメラとして売り出しました。TVCMも作られ、当初はかなりの勢いで販売が伸びた様です。
特に海外のネイビー関係にはかなりの数が出た様です。
ただその勢いもカメラの特殊性から一般的には使い辛くすぐに下火になってしまいました。
ところが救世主が現れます。
1965年に封切られた007”Thunderball” の中で腕時計型ガイガーカウンターとリンクした水中カメラとして登場すると、
あっという間に話題となり在庫がなくなったという逸話が残っています。
とはいえ、その撮影方法は有る程度の技術を要する事に変わりは有りません。
NikonosU
:1968年に発表されたNikonos の改良タイプです。主な改良点は
・リワインドポジションがシャッターダイアルに設けられました。
・巻き戻しクラッチが内蔵され、シャッターダイヤルにリワインドマーク”R”が設けられました。
・リワインドノブが樹脂コートされた金属クランクに変更されました。
(巻き戻しクランクの樹脂が割れているものが有りますが、機能的には問題ないと思います。)
・圧版上部にヒンジが設けられ、フイルム装填が少し楽になりました。
・この機種の初期型はトップカバーが金属製。途中から樹脂製になりました。
この機種の時代に35mmだけだったレンズラインナップに28mmと80mmが加わりました。
そしてV型になる少し前に、水中用レンズとしては銘レンズの誉れ高い初代15mmが発売されました。
水中では陸上よりも屈折率差が小さくなり、光が曲がりにくくなります。
このため35oの画角はほぼ50mm相当になり、一般的にはピントを外す事も多かったのでしょう。15mmや28mmの発売は朗報でした。
初代カリプソの面影を残すのはこの機種までです。
露出と大凡の距離感覚が有れば、小型の全天候ボディーは陸上でも使い易いです。
ただ現在市中で入手可能なニコノスTUはファインダーにクモリが発生したモノが多いそうです。
一部アメリカ海軍向けにネイビーブルーのボディーが有ったとか、ホワイトのボディーが有ったとか。…そんな話も聞きます。
NikonosV
:1975年に発売された機械式Nikonosの最高峰です。
改良された主な点は
・フイルム給送システムが変更され、スプロケット送りになり、安定性が向上されました。
・ファインダーが採光式ブライトフレームになり、ニコノスシリーズ唯一の80mmフレーム入りとなりました。倍率は0.61と若干小さくなりました。(但し見易くはなりましたが、あくまでも陸上用です。)
・シンクロソケットの変更。
・それまでボディー底部に有ったフイルムカウンターがボディー上部に写りました。
・巻き戻しノブ/シャッターダイヤルの形状変更で、グローブをはめた状態でも操作し易くなりました。
これらの改良でボディーが若干大きくなりましたが、ダイバーには大変好評でした。
作動音が低いので陸上のスナップにも使い易い機種です。
なにしろ機構が安定していますのでどんな天候でも安心して使用できます。
近年ではさすがにOリングセットの入手も難しく(工業的には多分入手可能だと思いますが。…)なってきましたが、陸上で使用されるには不自由しないと思います。
V型までのニコノスは、レンズを外さないとフイルム交換が出来ません。
それを忘れて無理にシャッター/ファインダー部をフックで持ちあげてボスを破壊することにならない様にご注意下さい。
それとV型ですが、フイルム圧版の先端を固定するためにボディーに小さな樹脂パーツが付いています。
このパーツにヒビが入っているものが散見されます。購入の際にはチェックされるのが良いです。
Nikonos W-A
:1980年発売の自動露出が搭載された機種です。
内部はほぼ同時期に発売されたNikonEMのメカニズムを流用しています。その他、多岐にわたって改良がほどこされています。
・ファインダーがハイアイポイントタイプのブライトフレームになり、水中でもマスク越しになんとか見える様になりました。
(感想には個人差が有ります。ブライトフレーム照明する灯りが有るかは…。)
ファインダー倍率は0.55倍です。
(シャッタースピードの表示は有りませんが、簡単なインジケータは有ります。点滅は露出範囲外です。)
・シャッターはオート1/30〜1/1000。マニュアルはメカニカル1/90(シンクロ)とバルブです。このあたりはEMそのものですね。
・巻き上げが分割巻き上げ可能になりました。
自動露出専用機で、マニュアルでのシャッタースピードが出来無いのが欠点とされていますが、
水中でマニュアルに切り替えて撮影する場合が本当に一般的なダイバーに多いかというとそうでもない感じがします。
それよりもシャッタースピードの表示が無いのでいったいどの程度で切れているのかが判りません。
また、Oリングの使い方が変わり、片側ヒンジのボディー構造と、引き回しの形状が旧機種に比較して多角形的となり、リークの可能性が高まってしまいました。
(Oリングによる防水は、Oリングを潰して防水するのではなく、水圧がかかってOリングが隙間に押し付けられる事で機能します。
その動きがスムースになる様にOリングにはグリスを塗りますが、
引き回しを多角形にすると、折れ曲がった部分の動きや、見かけのゴム硬度が変わってしまい水密性能が下がってしまいます。)
もう一つの問題は、露出制御にフイルム面反射光を使っていますので初代の15mmの様に後部の突出量が多い
レンズでは自動露出が使えません。(という事は実質使えません。)
Nikonos X
:1984年に発売されたNikonosの最終タイプです。W-Aの欠点部分を地道に改良しました。
主な変更点は、
・Oリングの使い方が変わって、リークの可能性が減少しました。(W-Aより少し開けにくい感じがします。)
・ファインダーにシャッタースピードが表示される様になりました。
(水中で良く見えるか?…)
・マニュアルのシャッタースピード設定が可能になりました。
・ボディーの塗装はオレンジとグリーンが選択できる様になりました。
発売時期がバブル時代と重なります。
従ってアクセサリー類や解説本類も大変充実した時期でした。
現在とは比較にならないほどダイビング人口も多く、
街中のダイピングショップでOリングやシリコングリス、参考書類が容易に入手できました。
この機種がMFニコノスの最終機となったのは一抹の寂しさを感じます。
・レンズ
ニコノスのレンズはカリプソ時代のある意味特殊な
・SOM Berthiot 35o F3.5
・Angenieux 45mm F2.8
・BOYER PARIS - SAPHIR 35o F3.5
等を除くと、ニコンとSea&Sea社のレンズがメインになります。
最近ではSONYα7用の水中ハウジングにニコノスレンズ用のポートが用意されていて、往年の使い方もできる様にはなりました。
ニコノスのレンズはフイルム面との距離をボディーのフランジで規定しているのでは有りません。
堅牢なボディーとは云え大水圧下ではボディが歪みます。それではどうしているのでしょう。
実はバヨネットのツメの裏側が位置規制に使用されています。そのため、ボディーシェル部とシャッターユニットは分離されています。
ボディーが歪んでも、レンズとフィルム間隔が変わらない様に大変優れた設計思想の元で作られています。
Nikon
・Nikkor 80mm F4.0
:4群4枚 水平画角 陸上30°20′水中22°45′最短撮影距離1m。
水中でも使用可能ですが、水中での画角が105mm相当になりますので、陸上用と割り切った方が良いと思います。
専用の陸上用ファインダーが用意されていました。(蛇足ですが、この陸上用80mmファインダーは85mmレンズのファインダーとしても使用できます。)
・W -Nikkor 35mm F2.5
:5群7枚 水平画角 陸上60°水中43°30′最短撮影距離0.8m。
往年のS系ニコンに用意されていたレンズ前面に防水用の硝子を配して水中用にしたレンズです。
ニコノスといえばこのレンズが看板になっています。陸上ではスナップに使い易いレンズですが、水中では50mm相当の画角となり、ピント合わせに神経を使います。水中接写アクセサリーが使用可能です。
このレンズ、後年に実はあるシステムの開発にとって大変重要な働きをしました。
・UW-Nikkor 28mm F3.5
:5群6枚 水中水平画角 59°最短撮影距離0.6m 1968年
このレンズもS系28mmレンズの前に厚めの凹レンズを配して、水中専用にしています。
専用の水中ファインダーが用意されていました。 昔、ニコンのサービスセンターで、G1を外したら陸上で使えないか?と聞いたところ十分絞って下さいと云われたことが有りました。
・UW-Nikkor 20mm F2.8
:7群9枚 水中水平画角 78°最短撮影距離0.4m 1985年
水中用Nikkorとしては最後に発表されたレンズです。ピントの合わせやすさやその他のバランスがよく、
最初に使われるレンズとしては最も適しているかもしれません。
ヌケの良いレンズとしても良く知られていますね。
・UW-Nikkor 15mm F2.8
:5群9枚 水中水平画角 94°最短撮影距離0.3m 1973年
伝説の準対称型レンズです。銘レンズとして有名なレンズですが、対称型故レンズ後部の突出量が多いので、
W-A以降の機種では使えないと思っても良いと思います。このクラスでは少し絞るとピント合わせに
然程気を使う必要が有りませんでした。最近のハウジングで使用した際はどんな感じでしょうか。
・UW-Nikkor 15mm F2.8N
:9群12枚 水中水平画角 94°最短撮影距離0.3m 1980年
MFニコノスレンズの中では最高峰と云われたレンズです。レトロフォーカスタイプとなりました。
レンズ後部の突出がなくなり、W-AやVでも自動露出が可能になりました。
色の再現性がとても良いレンズで定評が有ります。但し歪曲が旧タイプよりも大きいと云われていますが、一般的に水中でそれを感じる事は多分無いと思います。
・LW-Nikkor 28mm F2.8
:5群5枚 陸上水平画角 74°最短撮影距離0.5m 1983年
このレンズは陸上専用です。 専用のファインダーは用意されませんでしたので、ボディーファインダーの視野全体を使用します。 シリーズEレンズとして用意されたレンズを流用しています。
Sea&Sea
Sea&Seaは水中写真の世界では、良質な水中ハウジングを提供する世界的にみても大きな企業です。
このメーカーでもニコノス用の水中レンズを供給していました。ただ十分な資料が見つからず、是非情報提供をお願いしたいと思います。
後発だけあって、全てのレンズがニコノスW-AやV型のTTL測光に対応しています。全般的に軽量で小型のタイプが多いです。
・WL-20mm F3.5
:水中水平画角 79°30′最短撮影距離0.4m
ニッコールの同スペックレンズに比較して0.5AVだけ暗いレンズですが、小型軽量なレンズとなっています。
価格的にも手頃でした。後述する17mmのレンズ用ファインダーにマスクを付けて使用します。
・WL-18mm F3.5
:ニコンに用意されていないスペックのレンズですが、極短期間だけ販売されていたレンズの様です。
ちょっとナゾの多いレンズで、個人的には1度見かけただけです。外観は後述の17mmとそっくりです。
・WL-17mm F3.5
:水中水平画角 86°最短撮影距離0.35m
このレンズもニッコールには無いスペックです。前述の18mmの改良版です。
ボディー全体が硝子フィラー入りの樹脂で出来ていて、ドームポートを彷彿させる様な外観をしています。大きさの割には軽量です。
専用の水中ファインダーが用意されていました。
最初、G1がドームポートだと思って大気中でもピントが合うかなと思ったのですが合いませんでした。
・WL-15mm F3.5
:8群10枚 水中水平画角 90°最短撮影距離0.3m
ニッコールの665gに対して365g、と大きさも定価も約半分でした。コンパクトな超広角レンズは水中では重宝します。イルカの撮影には非常に使い易いレンズと聞いた事が有ります。
・SWL- Fisheye 12mm F3.5 最短撮影距離 13mm
:水中用レンズでは希少な対角画角167°のフルフレーム魚眼レンズです。 Sea&Sea製では最も後期に販売されたレンズです。
画角150°20′の専用ビューファインダーが用意されていました。ここでは触れませんでしたが、 ニコノスRSの13mmに匹敵するレンズで、大変評価されたレンズでした。
現在でも探している人が多いと聞いた事が有ります。
・WCL-16mm F3.5
:このレンズはUW-Nikkor 35mm F2.5 に装着するフロントコンバージョンレンズです。
35o 水中43°30′の画角が91°になります。
水中で画角交換可能な唯一のレンズです。(ニコノスのレンズを水中で交換したという事故は意外に多かったんです。)
その後、ニコノスはNikonのAF技術を( F-601?)を取り入れたNikonos RS に進化します。
AFと高度に水中補正された光学系は、史上最高の水中システムとなりました。
しかし周囲は失われた10年(20年?)とハウジングの時代に突入して行きました。
画像は Sea&Sea 17mm と15mmファインダーです。ファインダーもNikon純正品より小型です。
(本来ならファインダーの前に17mmのマスクを付けるのですが…。)
水中撮影の魅力的な被写体は、水中生物たちが大きな位置を占めています。
巨大な生物もいますが、接写でないと認識できないほど小さな生物が多いでしょう。
ニコノスシステムに、近接撮影装置が加わるのは必然でした。
でも、基本的にニコノスは一眼レフではないので、焦点を目で確認することはできません。
そのため、すべてフレームを被写体に押し当てて(または焦点面に持ってきて)撮影する形式になります。
ニコン純正接写装置は、クローズアップレンズ(2群2枚、焦点距離23.5cm)であり、アクセサリーシューとレンズの2点で固定される。
レンズ下部にアームを設置し、その先に装着するUW28mm,W35mm,W80mmそれぞれに対応するフレームが付属している。
28mm撮影倍率:1/6倍(水中のみ)144x216mm
35mm:1/4.5(水中)109x164mm,1/6.5(陸上)155x233mm
80mm:1/2.2(水中)53x79mm,1/3.2(陸上)71x106mm
陸上ではレンズの画角が拡がり一回り大きな範囲が写るため、水中用フレームが写り込んでしまう。
そのため35mmでは28mm用の、80mmは35mm用のフレームを使うことが推奨されている。(80mmは大雑把過ぎるので写り込んだフレームをトリミングするほうが私は好き)
またI,II,IIIとIVA, Vとはアクセサリーシューと光軸との距離が異なり(IVA, Vの方が遠い),I, II型用はIV,Vには使えない。
IV-A時代に出たニコノス水中接写装置は取り付け部分に余裕を持たせてあり、IV-A, III型用と書いてあるが、I,II型にも装着可能、もちろんV型もいける。
かなり嵩張るものだが,アームは太く頑丈で,水中で脱着できるので遠景と近接の両方が撮影出来る。(実際にはちょっと大変だが...)
また撮影距離がクローズアップレンズ先端から235mmと固定されているため、スピードライトSB101ではISO100の場合マニュアル発光1/4、f16-22(水の透明度、被写体や周囲の反射率による)で適正露光になる。
サードパーティには、Sea&Seaと、不明の会社から中間リングが供給された。中間リングは水中専用で陸上では焦点が合わない。
Sea&Seaには、少なくとも3種類の倍率に対応した製品があった。28mm用1種類(不確実)、35mm用3種類(不確実)で、具体的な倍率は今はわからない。
35mm用M3は、約20cmのアーム先端に、7cm程度のロッドを2本ねじ込みフレームにする。おおよそL判が入るサイズ。非常に華奢なロッド取り付け部なので既にぐらぐらだ。多分エントリーで破損すると思う。そのためか、アームに2本のロッドを収納しておくホルダーが付いていて(写真右)、撮影直前にセットするのだと思う。
2号はリング部分だけ3ドルで購入、改造目的だったが、アームを自作してもよいかと最近思う。2号のリングは厚いので3号より高倍率と判断できる。1号は見ていないがさらに高い倍率なのだろう。
製作所不明の等倍リングも通販購入した。35mmで等倍だから、一般的な50mm用チューブより随分コンパクト。
写真:私の接写セット。ニコノスIII、35mmf2.5、
左:等倍チューブ、Yellow-Sub20ストロボ。固定距離だからフラッシュもマニュアル。正直画像がどんな絵になるのか想像できないが、手を伸ばして被写体に押し当てるだけなので滅茶苦茶楽。
中央:Sea&Sea 35M3 ビューファインダーカメラで接写する際は絞り込むほうが良いが、光線条件が厳しいのでフラッシュを使う。
右:エントリー時や、激しく動く時にアームプレート下面のホルダーにフレームロッドを収納する。
これはAquaticaというメーカーが出した、ニコノスにニコンFマウントレンズをつけるアダプターです。
ドームポートと、水中専用魚眼ファインダーが付属しているので16mm用なのでしょう。
やろうと思えば10mmでも8mmでも入れられると思いますが。
海外通販で、レンズ側のギア欠品のためジャンク扱いで、改造して陸上でFマウントレンズを超静粛なニコノスで使うつもりで購入しましたが、よい出来なので惜しくなって、そのまま10年以上塩漬けにしています。
ポートが巨大すぎてIIIではファインダーに干渉して取り付け出来ません。IV-AかV専用なのですね。
カメラにセットすると前方への突出が少なく(といっても現役時は巨大と認識されていましたが)コンパクトです。
ファインダーが大きすぎて、絞り・距離指標は左手側横向きに付いています。
フィルム・シャッター面測光のIV-AとVではセンサーを遮ってしまいますから、特にオート専用機IV-Aでは使うことすらままなりません。(フラッシュ専用になってしまう)
そのため逆望遠を強めて後玉の突出を押さえ、上記機種でも問題なく使用出来るUW15Nが供給されました。
二台を並べてみます。使用する時のサイズが段違いです。
写真,上:左旧型,右新型, 中:旧型をセットしたニコノスIII,旧型ファインダーつき.下:新型をセットしたニコノスIII
あッ! 先に出されちゃった。〜(わら)
このアダプターは”アクアレンズ”って云うんですよね。我が家にも2セット転がっています。
B&Hのセールで買ったんですが、1台はマウント周辺だけ切り出そうと思っていましたがそのままです。
妙に作りが良いのと、やたら重いのが特徴です。
負けた...
>1台はマウント周辺だけ切り出そうと思っていましたがそのままです。
誰しも考えることは同じですねえ...
数年前友人にVを譲渡したので、ファインダーが付くカメラがありません。ちゅうかこの写真撮る時に気付いた...
Vは陸上用として優秀なので、いずれ1台は欲しいのですが...
写真:LW28/2.8 これファインダーはどうするつもりだったのだろう。当時供給されていないと思いますが。
これはですね、ニコノスV(W-A)のファインダーのフルフレームを使うんです。
ちょうど M3のファインダー全体が35mmに無理やり使えるみたいな感じです。
視野の曖昧さがスナップにぴったりです。するとIIIでもいけるかも。
IV-Aはハイアイポイントで、初めて水中でゴーグル越しに35mmフレームが覗ける内蔵光学ファインダーだったと思います。
ブライトフレームが入っていないカリプソは論外ですが、IからIIIまで、水中では外付けフレームファインダー(またはSea&Seaの水中用光学ファインダー)しかまともなフレーミングできませんで、でもBCDのポケットに放り込むには単体で持ち込むことになり、ほとんどが中心だけ見てだいたいのフレーミングしかしませんでした。反省。
左Calypso phot,右ニコノスI カリプソはシリアル32なので相当初期だと思いますが、シンプルな機構のおかげか快調です。nikonos Iは友人のを譲渡されました。塗りが顔が写る程綺麗。多分一遍も海に入れていません。それも情けないですが...
水中ではなくスキー場での撮影です。斜面をコロコロ転がり落ちています。ダイナミックな撮影が出来るそうです。
勿論レンズは35mmです。
もう一つ。ニコノスのボディーがバラバラの状態からストップモーションで一つになるCM。
どちらも良い味出しています。
あッ! それからもう一つ。旅行の時のご注意。
ニコノスのV型までとレンズは出来れば機内持ち込みにして下さい。
ニコノスよりもずっと以前です。
その一端がハイドロルサール(:Hydrorussar)そうあの超広角レンズとして有名なレンズの系譜ですね。
ご参考に。(www.photohistory.ru/index.php?pid=1207248190130158)
しかしニコノスでTVCM...そんな時代があったんだ.宣伝費に見合う収益があったとは思えない(涙
今カメラのCMは,EOSくらいしか知りません...
写真:初期15mm用ファインダー.ボディを上下にくわえ込む頑丈さ.
現在では透明度の高い接着剤やシリコンゲルが有るのでもしかしたら陸上レンズに変身するかもです。
それと相当大きめのステップアップリングを使わないと四隅がけられてしまいます。
ぱっと見はなかなかシャープそうですね。
レンズ前の液体は水と同じ屈折率が理想ですが、水より屈折率が大きければオーバーインフになるでしょうから、少し繰り出せば合うはず。
そのとき歪曲がどうなるか興味あります。
歪曲は撮り方が撮り方なので評価できませんでしたが、ピントは来るなと思いました。
>20mmf2.8で無限遠は来ますが歪曲がかなり現れるようです。
空気中でピントが来るというのが良いので他の部分は目を半目にしましょう。
>屈折率が大きければオーバーインフ…
これが難点なのです。水はn=1.333 ですが、シリコンがn=1.4 くらいなので最近のOCR (:Optical Clear Resin)ゲルなら挟めば使えるかなぁと。
エヴァ・マリンという軟質の水中ハウジングが有ります(同種のものは他社でも出ています。)本来、中に普通のカメラを入れて水中で使用するのですが、
この中にニコノスと海水を入れて、Oh! 陸上でも使えるなどと仲間内で遊んでいました。
たしか28mm付のニコノスをエヴァ・マリンの光学ガラスにくっつけて撮っていたと思います。
すばらしい!逆転の発想ですね!
フィルター径58mmの接続をなんとかすれば、今でも使えるでしょう。
水中に入れる事は出来ません。
中身は、名レンズと評価が高いAis28mmf2.8ではなく、5枚構成のニコンレンズシリーズEからAiAFニッコール28mmf2.8に引き継がれた簡易版。
でもLWニッコールは目測で寄れませんので、フローティングは要らなかったわけです。
性能は極めてシャープ。先日改めて無限遠テストしてみたら、ごく四隅を除いて素晴らしく均一で高解像。実用十分です。
個人的にはフォーカルプレーン、ビューファインダーカメラなのですから、何も一眼レフ用レトロフォーカス広角をあてなくとも、ニコンS型用の28mmや、少し時代は進みますが高級コンパクト28Ti用のバックフォーカスが短いレンズを当ててくれたらどれほど嬉しかったか。
でもこのレンズは良く写ります。
私は一眼レフ用メタルフードをレンズ保護代わりに付けっぱなしにしています。
ポートアイランド北公園 ニコノスV、LW28/2.8開放,1/30手持ち、フジ業務用400
水中専用という可能性もあったのですが、前面は平面ガラスなので陸上も期待しました。
ハウジング部分が重く、15mm新型より嵩張ります。
アクアレンズに16mm入れるより平べったいので少しはまし。
さて、ちゃんと無限遠から使えます。性能も最高とはいわないけど、懸念は払拭されました。中心は非常にシャープ。周辺もまずまず開放からピントが来ています。
ただし、付属のファインダーは水中専用で、陸上では焦点が合いません。
外付け魚眼ファインダーなんて、普通は売ってません。
幸いミラーアップ魚眼ニッコール用が何故か手元にあり、マスク付けて対角線対応すればよいのですが、シューマウントをニコンF用から普通のに変換しなければ。
ポートアイランド北公園 不明オブジェ ニコノスV、17mmf4開放、1.30
翌週中判を持って再度撮影に行ったら撤去されていました。
陸上ファインダーを用意していかなかったので完全山勘フレーミングです。
散々迷ったのですが、フィッシュアイは使わないと思っていましたので控えておりました。
元来はとても小型の瀟洒なレンズですが、さすがにハウジングは大きいですね。でも頑丈そうです。
本当はSea&Sea12が欲しいのですが,陸上でも使えるならと17にチャレンジしてみました.
efunon様お持ちの超広角タイプ17mmは樹脂で軽量化されているようですが,Takumarのハウジング部分はアルミダイカストで前面ガラスも肉厚かつ大面積のため非常に重いレンズです。元のレンズが超小型なのでこれで収まった感じ。ニッコール16がベースなら想像するのも怖い。
ちょっと心配していた,レンズ取付部が重量で浮かないか,ですが試写の具合では片ボケ傾向は見られず安堵しています。
ただこの重量というか比重,水中バランスを崩しそうなレベル.ストラップとか別の部分で中性浮力に近づけないと頭が下がっちゃいそうです。
いや今更水中に持ち込む予定は当分ありませんが....
視認性はレンズ前面から絞りと距離が見えるのでまずまず。もう少し表示が大きければ夜でも見やすくなるんですが...
まずファインダーをなんとかしないとずっと山勘になるんですよね。
efunon様のご解説で、数が少ないということです。
この度ジャンクボックスから回収しました。
残念ながら専用ファインダーはなかったので、Sea&Seaの15,20,28アルバダ枠つきファインダーをあてがいました。20より少し広いと意識して使います。
サイズはUWニッコール15mm旧型と同程度。
外装はプラスチックで軽量化されています。
最短0.35m。
後玉が、旧UW15mmほどではありませんが後方に突出しており、ニコノスIVaやVのフィルム面測光を邪魔するかもしれません。
これが短命に終わり早々に17mmに交代した理由ではなかったかと。
標準Wニッコール35mmf2.5レンズ専用。おそらく無限遠位置で使うはずです。
長短の接写リング2個と、3種類の枠付きアームで構成されています。
アームは大変頑丈なワイヤーで、少々の外力では変形しなさそうです。
残念ながら、水中専用で、ニコン純正クローズアップレンズセットのように陸上で使う事は出来ません。
短リング(黄色ドットマーク)単独では1:2枠(黄色ドット)
長リング(赤色ドット)単独では1:1枠(赤ドット)
長短リングを重ねると、1.5倍枠(黄赤ドット)が対応しています。
下ニコノスVに1.5倍枠をとりつけたもの。
れんずまにあ様ありがとうございます。
多分ネットで探しても殆ど見つからないレンズだと思います。
17mmと18mmは後部を見ないとまず見分けが付かないですね。
この形状と17or18mmという焦点距離から半水面が撮れるとばか
り思っていたのですが、見事にアテが外れました。
硝子フィラーを全面に押し出した鏡室は、ペリカンのケース彷彿
させる様な外観です。
距離/絞り目盛がノブ基部に付いていて、被写界深度表も使い易
いところに有ります。
ニッコールの35mmではピントを外してしまう初心者でも救われます。
純正UW-Nikkor20/2.8より少し暗めですがかなり小型軽量です。
これはよく売れたのかよくダイビングショップで見掛けました。
すこしやれている中古品が安すぎる(と当時は思った)ので我が家へ。
でも実践出撃していません。
左はニコノスIII用のXとFP接点が並列になったもの。
水中フラッシュユニットの接点をネジ込む底の穴に取り付けます。当然陸上フラッシュ用接点は防水ではありません。
ニコノスIIIはマニュアルカメラですが、陸上用外光オートストロボを使うとフラッシュオートになります。
ニコノスIIIの接点はI, II,カリプソとは異なり,IVA, Vと共通なのでそれらにも使えますが、レディランプ(IVA),TTL自動調光(V)は当然動作しません。
右はI,II, カリプソ用のガンコネクター。
X, FPはコネクター側で切り替えます。コネクターの2つのピンを回して、小さな窓に白と黒の表示を切り替えます。
もともとニコノスはFP接点で、III型までは水中フラッシュはバルブでした。
ニコンが純正スピードライトを出したのは、IVAの時代SB-101。
ストロボは、その前から東芝がトスマリーンというのを出していました。
さて接点切替についてはニコノスIの説明書には載っていない操作なので探し回りましたが、どうも別のモデルではX, FPの表示が刻印されたようです。それによるとXが黒、FPが白のよう。
(Nikonos museum様)
タダでさえこんな小さい表示見えないのに刻印がなければ失敗が約束されたようなものでしょう。
多分無表示のこれは最初期型ではないかと想像しています。
下はニコノスIII用 O-リングセット新品。
最終型が有ればガンコネクターはコンプリートですね。
T、U型用のコネクターとW、X型用は"NIKONOS"のエンゲローブが上下逆さまなんです。
カリプソの入手難は有名ですが、そこそこニコノスIも少なくなりました。
初期のニコノスTの巻き戻しノブは上面がフラットになる様にローレット部の高さが約3mmです。
これが途中から指がかりが良い(グローブをはめていても。)様に5mmになりました。(ちょっと上面から出っ張ります。)
もう一つ良く判らない違いが有る事が判りました。
れんずまにあ様のニコノスIとカリプソの画像を拝見すると、シャッターロックの扇型のレバーがカリプソではクローム処理
なのですが、ニコノスTでは黒色塗装になっています。
画像検索でもニコノスIのシャッターロックレバーは黒色処理が大半です。
ところが初期タイプの中にはカリプソと同じクローム処理が有る様です。
幻と云われているホワイトニコノスにもクローム処理された画像が見られます。
これはどの時期に変更が有ったのかは判りませんが、ニコノスIの特徴の一つの様です。
Red data book様のご紹介のニコン博物館の画像にあるホワイトニコノスの,シャッターロックは黒で、巻き戻しノブは5mmのモデルのようです。
これよりもさらに初期があるということでしょうね。
画像検索では、白ではなく薄いグレーの貼り皮モデルもあって売りに出ています。
これも上記と同じく「後期型」の特徴です。
拙宅のIも後期のようです。
奥が深い。
当家のIは成り行きで来訪、カリプソはベルチオの35mm欲しさですので、目下グレーを注文する余裕はないと自分に言い聞かせている最中です^^;;
巻き戻しノブですが、薄さ3mmの鋭いローレットは指を削ります。
特にダイブ後のふやけた指の皮はひとたまりもありません。グローブ必須なのです。
ただし、浮上後に一服すると大概グローブを脱いでしまうので、危険です。
陸上でも、全天候で濡れた手は、危険というか実際に削れてやばかったです。
それが5mmになっても50歩100歩ですが、まあ多少ましでしょうか。
実用的にはII以降のクランクが絶対にお勧めです。
ホワイトニコノスは販促資料の画像ではクローム処理ですね。
ホワイトとは言っているものの。貼って有るゴムが白いだけですが…。
ノブのローレットは素手で触るなと云われていましたね。
そういえば、私のT型はフレームカウンターの指針が、ドットではなく短い線です。
意外に奥が深くて面白いです。
そこには鏡胴とレンズのセクション図が掲載されています。
同様な断面図が名著ニッコール千夜一夜物語-第八夜 にも「図2.W Nikkor 35mm F2.5鏡筒部内部機構図」として載っていました。
でもこの図に何か違和感が残りました。はじめはそれが何か判らなかったのですがレンズのバランスから考えると、この断面図サイズ
だと F2.5のレンズは入らないのでは?という疑問?です。
さらに良く見ると、絞りを挟んだ形状がダブルガウス用ではない?
そこでお盆も近いのでご先祖様のSOM_BERTHIOT_FLOR_35mm_F3.5 のセクションを入れてみました。如何でしょうか。
又、緑の丸で囲んだ部分も。
Nikkor 35mm を分解された事のある方ならご存知だと思いますが、この部分はOリングで機密をとっているのですが、この図ではパッキン
を使用しています。
つまりこの図は W Nikkor 35mm F2.5 用ではなくて、カリプソ用のベルチオフロール35mm F3.5 の様です。
だからと云って複雑なニコノスの構造を知る上では貴重な資料には変わり有りません。特にレンズの位置決めががマウントツメの内側に
在る構造が良く判ります。
ニコノスは機種は少ないのですが、生産数が一般のカメラよりも少ないので色々と判らない(知らなくても何も困らない?)事が多いです。
このレンズの図を見て不審に感じる点があります。この図だと、レンズの鏡筒は内ボディに嵌合するバヨネットまで一体になっていますが、少なくとも手持ちのレンズ(35mmF2.5)ではそうなっていません。ご存じの方は多いと思いますが、耐圧殻であるシルバーの外装部分はOリングのあたりまでで、外ボディと一体となって水圧を受ける構造です。それに対して内部のレンズ鏡枠・絞りなどは黒色のパーツになっていて前後にかなり動き、カメラ側の内ボディ(上から差し込まれる部分)と嵌合することでバックフォーカスが水圧によって変化しないようになっています。
カリプソのときのベルチオは設計が違ったのか、それともこの図面がいいかげんなのか?特許などの関係で省略したのか?いろいろ想像がめぐります。そもそもボディとレンズが接する部分もこんなに単純な造形ではないですしね。
カリプソの特許書類にはマウント部の構造が模式図では有りますが、別図でもう少し詳しく載っていますね。
IIは持っていなかったので漠然と探していましたが、興味深いので手を出しました。
付属品がサードパーティから供給されていたのですね。
巻き上げは反対側に大きなレバーがついて、親指で巻き上げ操作と同じ動作でシャッターが切れます。操作は楽ですがミスファイアしないよう気をつけないと...
アダプタ装着でシャッターダイヤルが少し回し辛く、表示が見難くなりましたが無理というほどではありません。撮影後レバーが起きている時のほうが速度変更しやすいかな。
UW28mm初期型の、細いフォーカスおよび絞りノブには太いカバーがかぶせられ芋ネジで固定されています。
これは太いだけでなく、距離および絞り目盛りがカバーに刻印され、上から直読できるようになります。
レンズ前面に白いプロテクターをつけると、前面から28mmの距離/絞り表示が見辛くなるので、この追加表示は大変有効です。
後期ニコノスレンズのノブは太く、鋭いギザがなくなったので、ユーザー評価を取り入れたのでしょう。
皆様ご存知の通りニコノスIIは巻き戻しがクランクになり、クラシックなI型より使い易くなりました。35mmに付け替えて、春雨の中で使ってみたいです。
残念ながらこの個体はファインダーが薄曇り。efunon様も触れられていましたが、密閉なのに何故...
長く探した12mmをようやく入手しました.できた頃にはペーパーダイバーになってしまいましたが...
ニコノスRSの13mmや前に紹介したアクアレンズと比べて圧倒的にコンパクト.
多分これを装着した1台+近接標準1台の2台体制でいくだろうから,小型なのは大きなメリット.
純正のウエットスーツ生地レンズカバーが付属しています.
フィッシュアイ としては遠いので物足りないと感じられるでしょうが,フィルム面からの距離とするとレンズ先端まで15cmはあるので,ワーキングディスタンスは15cm?
被写界深度表を見ると,40cmに合わせておくと,f16で18cmから無限まで会うのです.もうそういうパンフォーカス+超近接で使うべきではないでしょうか.
今は無きマリンフォト誌で素敵な写真を見てはため息でした。
水中での距離合わせは意外に難しくて、最初に35mmで目測した時は、ヒドイ結果でした。
それに懲りて、直ぐにすでにご紹介させて頂いた17mmを購入してやっとどうにか見ら
れるものが撮れました。パンフォーカスは良いですね。
最近はSea&Seaのレンズを集めていて、15,18,20mmがやって来ました。使う予定を立てなくては…。
東側のカメラ達の多くに言えることですが、それらの歴史を紐解くと第二次大戦終結後の混乱や
冷戦構造からソビエト崩壊などの歴史的な時代の流れの中で翻弄されたその生い立ちが中々興味深い物が有ります。
今回取り上げるPENTACON sixもその例外では有りません。
歴史的な背景などは、又の機会にさせて頂きますが
今回は、今現在PENTACON sixと云うカメラとの付き合い方に重点を置いた文章とさせて頂きます。
1、概略
製造 東ドイツ PENTACON人民公社
カメラの形式 6×6一眼レフ(レンズ交換式)
ファインダー 交換式
レンズマウント Praktisixマウント(一般にはPENTACON sixマウント 通称P6マウント)
使用フィルム 120 又は 220ロールフィルム
シャッター形式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 1/1000 1/500 1/250 1/250 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1/1 B
シンクロ速度 1/25
フィルム装填 スタートマーク式セミオートマット
フィルムカウンター 裏蓋の開で自動リセット
2、型式
一般に多く流通しているのはPENTACON six では無く PENTACON six TLです
事実上同じカメラと見て差し支えありません。
TTLプリズムファインダーが発売されるに併せて、カメラの名称もTL付きに変更されたようです。
ほとんどの場合、ウェストレベルファインダー装着の形でプリズムファインダーを使う方が稀です。
3、魅力その1
基本的には万人にお勧めできるカメラでは有りません。
機械的に不安要素が有り、特に問題となるのがフィルム送りが不安定で
駒がだぶる事が頻発、メンテナンスを行っても治らないと考えるべきです。
なのに、愛好家の方々が苦労してまで使うには訳が有ります。
魅力的なのは、そのレンズ群に有ります。
CARL ZEISS JENA
ARSENAL
SCHNEIDER
更にKIEV88スクリューマントのアダプタを咬ませればSALIUT/KIEV88やHASSELBLAD 1000/1600F様のレンズまで使える。
優秀で魅力的なレンズ達が揃っています。
更に一部を除き比較的安価で買えます。
このレンズ達には様々なマウントアダプターが販売され、デジタル時代になって返って見直されているのかもしれません。
ですが、やはり元々の6×6で使うにはPENTACON sixとその互換機を使わざる得ないのが実情です。
よって数多の愛好家達がちゃんと撮れている事に喜び、時にトラブルで涙しても、次こそは!と新たにフィルムを装填するのです。
4、魅力その2
カメラボディの方はどんな具合かと申し上げると、これは好みの問題と言い切ってしまうと其れっきりになってしまいます。
ここは私の私見を述べさせて頂きます。
・重量が軽い
ウェストレベルファインダー +Biometar 80mm 装着で 約1.4Kg
HASSELBLAD 500番台とほぼ同じ位
私のメイン機のブロニカだと約2s
・ボディ形状
ライカ的な円柱を横に引き伸ばしたような形状でウェストレベル時には、自然に掌に収まり操作性が良い。
・操作フィーリング
巻き上げは意外にも滑らかで、ピッチの細かい歯車達が滑らかに回転している様な上質な感触。
HASSELBLAD 500CMにも似た感触。
・レリーズショック
ミラーはクイックリターンしませんが、それを差し引いても静かなカメラです。
ほとんどレリーズショックを感じず、ブレが非常に少ない。
私の場合、300mmで1/30でも手持ちで歩留り良好です。
今回はここまで。
スレッドのUpありがとうございます。
この姿は欲しくなりますね。コワイコワイ。
フォーカルプレーンシャッターブロニカのビオメター(ビオター)はとんでもなく高額ですが、
本家は入手し易い価格です。
標準で装備されているウェストレベルファインダーですが中々美しい造形です。
通常の使用方法以外にも、二眼レフでもよく見かけるスポーツファインダーを内蔵しています。
正面の蓋とルーペを持ち上げて、手前のアイピース?を引き上げると標準の80mm時のフレームとなります。
面白いのアイピース側の窓が台形になっておりますが、傾斜した面となるので覗き込んだときには正方形に見えます。
格納する時は、正面の蓋は予め閉じる必要が有りますが、上面の蓋を閉めるとルーペのアイピースも一緒にズルズル閉まります。
ちなみに悪いところが必ず有るのが流石です、侮れません。
ファインダーフードとして考えると、側面側の遮光が不十分です。
よって横から光が盛大に入り込んで、使いずらいのです。
実のところ、ビオメターは個人的には好きでは無いのです。
ペンタコンシックスを買うと、おまけで付いてきますので
もうボディキャップ扱いです。
ローライやブロニカだと高額ですけど。
ペンタコンシックスの場合は、本当のボディキャップの方が珍しいです。(笑)
先日処分してしまいまして、写真すら有りません。
残っていたのは、露出計無のプリズムの方です。
実のところ、実際にこのプリズムファインダーは使った事が有りません。
何故ならば、答えは非常に単純な理由です。
とにかく視野率が悪すぎるのです。
只でさえ、小さなミラーで視野率が悪いのに、小さなプリズムでいっそう視野率が落ちます。
私はブロニカSQのスクリーンを入れていますが、645時の枠の外側がやっと見えるぐらい。
ここまで視野率が低いと実用品として認めたくなくなるのです。
数あるアクセサリーの中で是だけは、まともに使えます。
折りたためないので持ち歩きするには邪魔ですが、それを差し引いても使う意味は有ります。
何も特別な物ではありません、普通のルーペファインダーです。
ウェストレベルファインダーの実用性がやや難ありなので普通がうれしいのかもしれませんね。
残念ながらレンズの良し悪しなどを上手く語る事ができません。
カメラも写真を撮る事も好きですが、その辺りの審美眼が心許ない。
とりあえず適当な作例を載せてみます。
只今、出張中なので手持ちのデータが限られますので載せられる物から張り付けることに致します。
まずはP6レンズで一番好きな SONNAR 180mm F2.8
約1.3sとズッシリとした重みも含めて存在感は抜群です。
MCとモノコートのゼブラで両方使ってみましたが、特に両者の差異は感じられませんでした。
MCモデルになりますと自動絞りとマニュアル絞りの切り替えができます。
P6の場合ボディ側にプレビューレバーが無く、レンズ側で操作する事になります。
これが意外と使い難い、それなら自動絞りをOFFにして実絞りで使うのも一考です。
私の場合は余り気にせずに使う事にしています。
それと両方はいらないと感じたのでMCは処分してしまいました。
SONNAR 180mmもさることながら300mmまで来ると重く長く持ち歩きにには苦労します。
しかしながらその圧縮感と空気感、レンズの存在感はなかなか痺れます。
重量約1.6s ゼブラだともう少し重いかも?
普通なら手持ちで使うには重すぎますしブレも気になります。
只、そこはPENTACONsix 三脚に付けようとしてもレンズの三脚座が余りに貧弱で役に立ちません。
まるで悪い冗談の様です。
私の場合はこれに対応する為にカメラ側でカスタムしている事と、ちょっとしたコツが有りまして
そのおかげで歩留まりは上々です。
カスタムの内容とコツに関してはまた改めてまとめておきます。
ただし、広角レンズは意外と選択肢が少なく事実上このレンズの一択となりがちです。
PENTACONsix/KIEV60マウントの広角レンズはほかにもありますが
意外と流通量が少なく余り見かけません。
・MIR-26 45mm F3.5
・FLEKTOGON 50mm F4
・CURTAGON 60mm F3.5
・FLEKTOGON 65mm F2.8
・MIR-38 65mm F3.5
このシリーズ全般に言えることですが、鏡胴デザインがカッコ良いです。
ライトグレーに青い線が凛々しい。
私が入手した時は普通に新品で購入出来ましたが
最近ではめったな事でもないとお目に掛かれません。
ここに張った写真では、その実力は判りませんが
ポジをルーペで覗いただけでも判るぐらいな先鋭さを実感できます。
乱暴で極論的な例と成りますが、PENTACONsixを本気で使う為に施した工夫をここに貼る事に致します。
こちらの本来の目的で有る資料的価値のある情報の蓄積とは少々異なりますが
私にはこれ位しか書く事が出来ない様ですのでご容赦願います。
PENTACONsixの最大の泣き所はコマダブリです。
他にも問題は有りますが、ここさえ解決できれば、あとは何とか成るのです。
駒ダブリの解決策として実施したのが「赤窓化」です。
実際には只の穴です。
駒ダブリですから巻き上げが足らないのです。
よって、不足分を追加で巻き足せば良いわけで、その為に裏蓋と圧版に穴を開けてしまい、裏紙の番号を見ながら巻上げます。
幸いこのカメラの場合、巻き上げレバーをストッパーに当たるまで巻き上げた後
ちょっと戻して追い巻が何度でもできます。
これでPENTACONsixの駒が気持ち悪いぐらい揃います。
穴明けの方法
・圧版 引っ張れば簡単に外れます。
圧版には焼き入れ済の板バネがスポット溶接だったか?固定されています。
私はダイヤモンドビットの付いたリューターで穴を開けました。
・裏蓋 こちらは普通のドリルで簡単に開きます。
・遮光 このままでは漏光しそうなのでドーナツ状に中を刳り貫いたモルトを窓に貼り付けました。
以後、漏光は一切なし。
といっても現在ボディはありませんが。
ほれぼれするほど仕上げ丁寧ですね。玄人です。
漠然と、皆が一斉にこの改造をやりだしたらとか、
これで人気がさらに上がって、レンズの価格が高騰したらとか、
よからぬ妄想もしてしまいました。
フォーカシングスクリーン編
PENTACONsixの泣き所として、狭い視野率と暗いスクリーンが挙げられます。
暗いスクリーンでもピントの山が見易いならそれも有りですが
ピン山が判り易くて、更に明るいならその方が良いでしょう。
1、交換用のスクリーン
スクリーンはコンデンサレンズの底面が磨りガラスになった物です。
これを取り外し、他のスクリーンと交換します。
私の個体はSQの物が仕込んで有ります。
まだSQが現行機で有った当時に行いましたので、普通に量販店で¥4,000-程で購入できました。
最近では入手は困難ですがPENTAX 67やマミヤRZ用等で66以上の物が有ればまずOKです。
2、スクリーンの加工
スクリーンの加工方法は此処では長くなるので割愛します。
拙生のブログを参考までに貼り付けて置きます。
http://yanaphoto.exblog.jp/23210510/
3、交換
PENTACONsixのスクリーンは針金状の枠で押さえつけて固定されていますが
これが視野に入り込んで、狭い視野を更に狭めています。
どうせスクリーンが薄くなるのでこの枠は使用出来ません。
枠を押えている金具とスクリーンとの隙間を何かで埋める必要が有ります。
私の場合は偶々手元に転がっていたガラエポ板を細切りにして両面テープで張りました。
表面は黒く塗っております。
上から金具で押さえているのでこれでスクリーンが浮上ったり暴れたりはしません。
写真の説明
左側 ノーマル (研究用のジャンクです、非常に汚いですね)
右側 交換済
上側 ボディ背面側
下側 レンズマウント側
ファインダーのフードの側面の高さが寸足らずで、遮光性に難が有ります。
EXAKTA66のファインダーフードが有れば一番いいのですがそんな物は有りません。
ちなみにEX66とは互換性が有りEX66のウェストレベルファインダーフードがそのまま使用できます。
無い物ねだりしても仕方が有りませんので、ここは別のフードを流量してみます。
私が選んだのはSQの物です。(たまたま改造用に持ってました)
PENTACONsixのフード取り付け部を参考に取り付け部の形状を真似た板を作って、その上にSQの物をくっ付けます。
ただし、スクリーンとのルーペの距離がSQの時より遠くなるのでルーペの交換が必要です。
スクリーンとルーペの距離えお測ると大体RZ67と同じ位になりました。
RZ67のルーペを流用しますが、ルーペ直径が合いません。
SQのルーペは外周をカシメて取り付けられています。こいつを捲ってルーペのレンズ部を外します。
RZ67のルーペの外周を削って、SQのルーペのホルダに合わせてカシメ直します。
私の場合、殆どPENTACONsixはアイレベルで使います。
ただし、純正のアイレベルプリズムファインダーでは非常に視野率が低く実用的では有りません。
ドイツ製だか?でKIEV60のアイレベルプリズムファインダーを載せるアダプターも有るようです。
幸いにもKIEV60のアイレベルプリズムは何個は持っていましたので画像を参考に自作してみました。
PENTACONsixボディとKIEV60プリズムでは干渉を起こす為、若干取付の高さが上がってしまいます。
KIEV60に付ける時よりもスクリーンから遠くなってしまう為に、倍率が下がってしまいますが
そのおかげで、スクリーン上の全視野を納める事が出来ます。
交換したスクリーンと相まって、快適にアイレベル撮影が出来ます。
お次は一緒に写っているグリップについてお話します。
大変綺麗でしたが、使おうと思う人が居なかったのか。
キエフスクリューマウントのは一時所持しましたが、簡単に自動絞りピンが折れてしまい(突出した状態でレンズを嵌めたのが敗因)、即刻ジャンクになって性能テストまでは手が回らずでした。
今回は折らないよう注意して、P6マウントKiev88に装着したら、自動絞りピンのストロークが足りないようで、レンズが開放になりません。
ピンに下駄を履かせるとか色々考えてます。まあシャッターを切った時には絞り込まれますから、普通絞りとしては使えるのでこのままでも構わないのですが、ちょっと残念でした。
6x6cm 一眼レフ
ソビエト連邦 ウクライナ アーセナル製 1984〜(これは94年製)
フィルム:120ロール専用
ペンタコンシックスと互換のブリーチロックマウント,自動絞り
シャッター:横走り布幕フォーカルプレーン, 1/1000〜1/2, B
巻き上げ:右手レバー1作動
ファインダー:スプリットイメージ/マット、TTLプリズムとウエストレベルの交換式
重量:1,160g(ウエストレベルファインダーつき,ボディ, TTLプリズムつき1,480g)
標準レンズ: Arsat80/2.8.製造年はボディ同様94年.
完全自動絞り,ただしレリーズ後ブラックアウト、巻き上げでミラー絞り復帰.
東独プラクチシックスーペンタコンシックスと同じマウントを採用したソビエトカメラ。プラクチシックスより大きく重い。
1970年代から前のモデル6Cが登場し、84年からシャッターレリーズを左手側から右手側に変更した60に切り替わった。
トラブルは本家より少ないという評価もあるが、個体によると考えられる。
コマ間が重なるのはオリジナルでは必発であり、これはトラブルではなく厚みがあるソ連製フィルムに合わせた構造のため。ネットでは現代入手できるフィルムを巻き太らせて対処する方法が紹介されている。またウクライナのArax, チェコのHartbleiが再調整したものは現代のフィルムがそのまま使用できるといわれる。
試しに絶縁用のビニールテープ(一般的な幅19mm)を4カット、120裏紙リーダー部に貼り付けると、コマ間隔6mmに揃い、12コマ後に巻き上げた13コマ目も撮影できた。
精度は良いのではないかと思う。
さらに、ソビエトカメラに共通して内面反射に無頓着な構造であり、必要に応じて反射防止処理:塗装や植毛紙の貼り付けなど;を行い対処する。
ウエストレベルファインダーフッドは、ワンタッチの畳み込みではない他はローライTLRと同じ使い方であり、ルーペの立ち上げ方、素通しフレームのやり方、およびその際にフッド裏面のミラーでファインダースクリーン像を反射し、上下左右逆像だがアイレベルで焦点確認可能なところは使いやすい。
この機構はハッセルブラッド型のサリュートーキエフ88系では見られなかったもので、交換マガジンではない分アイレベルでのアイポイントが近いことを活用している。
画像:素通しフレームにした状態。覗き穴:上がフレーム用、下のレンズが入った穴がミラーを通してスクリーン確認用
マルチコートされた標準レンズのArsat(Volna)80mmf2.8は、ハッセルブラッドのプラナー80/2.8の3群目張り合わせを1枚に置き換えた変形ガウス型で、大変性能が高い。またビオメター型Vega120mmf2.8は80mmと変わらない小型サイズで、これも高性能で準標準として使える。
他に東独製を含めかなり充実した交換レンズがあり、西独レンズと比べて安価なので魅力的だと思う。
これはPhotodioxのRhynocamというステッチ装置で、ソニーNEX5の8枚分割露光をステッチして6x4.5cmの範囲を撮影した画像(原盤横1万1千ピクセルを2000ピクセルに縮小)で、開放f2.8でも四隅まで十分解像しているのに驚かされます。
ただしハロの量が二絞りくらいパッセルプラナーより多く、拡大すると解像しているのに、実際に鑑賞する低倍率では、特に周辺がなんとなくどよんとした印象で損をしています。一絞りf4ではあまり改善しませんが、f8に絞ると俄然画像が締まり、西独機に伍する先鋭度です。
それに対してハッセルC80/2.8はf4で十分な先鋭度になり、やはり一世を風靡したレンズは秀でています。
とりあえずArsatは価格を加味すれば私は悪くないレンズと評価しています。実用上はプラナーとの差はそれほどないことでしょう。
面白いことにM645用80/2.8は、開放からハロが少なく、Arsatに比べて非常に高コントラストでシャープに見えるけど、拡大するとArsatの方がよく解像していて驚きました。
その昔、ikon とか ikomat とかいうカメラを作っていたヨーロッパのある国に一大雄飛、わがニコンは戦いを挑みましたが、いかんせん商標の壁は厚く、やむなくこんな名前でしか出ていけませんでした。写真はnikkormat FS、その本名は nikomat FS。兄弟機に nikkormat FT。
ほかには nikkormat F なんてのもあるのですが、値段は一桁違い、こちらにはとても手が出ません。
Canon RF Lマウント機
国産カメラを語る上で避けて通れないのがキャノンの距離計機です。
初期の機器はマウントが特殊だったり、戦後の混乱期だったりして良く判らない部分が多いので、安定期のL39(ライカスクリュー:S マウント)の機種をまとめました。
とは云え、ざっとそれらの機種は”潜水艦は伊号…”で始まる戦時色の強い試作機?に始まり、
・標準型 (ハンザキャノン)1936 Feb
・最新型(S型)1939 Apr
・普及型(J型)1939 Apr
・新標準型1939 Nov
・普及型(スロー付き)1939
・戦後普及型(JU型)1946 Jan
・戦後最新型1946 Jan
が発表されています。
どれも謎というよりも改良が頻繁に行われていました。
さて本題のL39機です。キャノンの世界的な名声はこのタイプの機種から始まったといわれています。
SU型1946 Oct
キャノンカメラ株式会社と社名変更後の初号機。
国策事業の輸出増大に呼応するために当時すでにスタンダードになったL39(途中から)マウントを採用した機種です。
キャノンRFの特徴である逆ガリレオ式の一眼式ビューファインダーを備え、
・倍率0.6×、基線長38.5mm、視野率約85%
・スローシャッター有り。
当時の水準では高級機です。
UB型1949 4月
キャノン伝統の3倍率切り替え式のファインダーを採用した始祖です。
ファインダー倍率は、0.67、1.0、1.5×です。
この機構を内蔵する為ファインダーカバーが前方に僅かに突出することになりましたが、良いアクセントになって高級感を増しました。
内部構造母材を切削加工の工程が削減し易いダイキャストに変更しました(完全では有りません)。ダイキャスト化に伴って内部部品にも改良が加わりました。
それまでの故障や不具合の多い機構から安定した性能の機種となった様です。
UC型1950 Jul
II B型に対して
・1/25の設定(1/20と1/30は廃止)
・レリーズボタンのカップ形状の変更
・シャッターにタイムの追加
・スローシャッターダイアルにクリックストップ追加
・ファインダー周りと巻き戻しクラッチ周りの意匠変更
等が施されて、見た目以上の近代化が計られました。
V型1951 Feb
キャノンのRF機を高級機に位置付けた機種です。
・シャッタースピードに1/1000の追加
・メッキの質が変わって全体的に落ち着いた(でもちょっとギラッぽい。)印象となりました。
・意匠の改良よりも、それまでの不具合を丁寧に改良し、各部のブラッシュアップが計られシャッターの安定化向上等、本質的な改良を行った機種です。
W型1951 Apr
キャノンのバルナックタイプ?と呼ばれる形式の最終形態となったシリーズです。
現在の一般的なアクセサリーシューとはくらべものにならない強固なフラッシュI/F(ホットタイプ)を備えていて、フラッシュユニットXを装着すると、そのユニットを持ってカメラを振り回せる位になりました。
VA型Apr
III型を改良した機種で、
・変倍用のレバーが板金からダイキャストに変わりました。
・巻き上げノブのトップにフィルムメモ板がつきました。
これらの改良は時間を置かずに、W型にも反映される様になりました。
WS型(WF型)1952 Jan
当初WFと呼称していた機種ですが、WFがぐうたら亭主というスラングが有ったのでWSとなったと聞いています。
この機種でボディーのダイカスト化は完成し、少々重量は嵩みますが堅牢な構造となりました。
地味ながらVA型の改良点を取り入れています。
UA型1952 May
IV S型のデグレード機種で、フラッシュシンクロと、1/500と1/8秒以下のシャッタースピードを省略した、ライカのスロー無し機のキャノン版という印象です。
滅多に見る事が出来ません。。
UD型1952 Oct
II A型に対して
・1/8秒〜1秒までのスローシャッター追加
・フィルムメモ省略(メモを残したのをUD'型と呼んでいる様です。)
とした機種です。
高級化しすぎたラインナップを見直したとも聞いていますが、あまり成功は見込めなかった様です。
WSb型1952 Dec
WS型にライカよりも早くX接点を備えた機種で、バルナックタイプ型キャノンの金字塔的な機種で、一つのピークとなりました。
但し、今だ独自のレール式のアクセサリーシューから脱却が出来ず、現在の一般的なコネクターにはなっていません。
巻き上げノブ基部に花びらの様なフィルム枚数表示板が設けられました。
後年、純正のスピードライト様の変更アクセサリーが販売されましたが、現在は大変レアになりました。
(1980年代の初頭までは、サードパーティーのブラケットアダプターが販売されていました。)
(初代ゴジラで山根博士がお持ちだったカメラで、人類が初めてゴジラを撮影したカメラだと云われています?ホントか?)
この後、UAX型1953 Jun、UAF型1953 Jun、UF型1953 Jun と 希少的な機種が発表されましたが、省略します。)
US型1954 Feb
II F型にX接点を加えた機種で輸出専用機でしたが、バブルの頃に大量に里帰りし、比較的見かける様になりました。後述のWSb改に準じた中軸にシャッタースピード指標が付いたII S改型や、花びら状のメモ板が省略されたUS'型等が有ります。
この年、ライカM3が発表されました。
やっとカタログデータではライカに無い特色を備え、さかんにライカと並んだと称されたキャノンRF機ですが、M3の発表は各社に衝撃がはしりました。暫くは各社共に迷走が始まります。
WSb改型1955 Mar
IV Sb型の発展最終形で、
・2段式のスローガバナーを揃えた開発に苦労した1/15を実現したほぼ倍数系列のシャッタースピード
・どの段階でもセット可能な中軸指標のシャッターダイアル(回転式)
垂涎の最高級機とは云われていますが。立ち上がりの慣性力が大きく、露出した状態のシャッタードラム等、いまだ粗削りの細部は残っています。
UD改型1955 Apr
UD型のフラッシュ回路を省略した普及機でした。
このため機械式の連動用アクセサリーが用意されていました。 その他海外向けにUS型からX接点を省略したUF改型も有ります。
VT型1956 Aug
さていよいよ、ライカM3に対抗する(気概を持つ?)X型になります。
戦後の姿からは少なくとも外観上は脱却したシリーズが始まります。
・M3以降の洗練された、裏蓋開閉式の外観
・ライカのラピッドワインダーの構造を範にとり、1ストロークで巻き上げが可能な底部のトリガーでの迅速な巻き上げが可能です。
・大型扁平ノブによる巻き上げも併設
・広角側35oに対応した大型のビューファインダー
・伝統の3段階変倍ファインダーで
35mmレンズ用0.4倍、有効基線長:17.2mm
50mmレンズ用0.72倍、有効基線長=31mm
測距用R.F位置1.4倍、有効基線長=60mm
・専用単独ファインダーを使用すると、アクセサリーシュー前部に備えられたパララックス補正ピンでファインダー
が傾く方式で視差を補正する事が可能
・この時期、高性能の証だった金メッキされた距離計用ハーフミラーの採用
・これまでの順算式フィルムカウンターを逆算式に変更
・セルフタイマー内蔵
金メッキのファインダーですが、どうもフレアーぽい印象です。実際、後に銀メッキに変更されました。
VT各部のギミックに溢れた構造はキャノンレンジファインダー機最高の楽しさを持った機種だと思います。但し三脚に載せた場合の操作性と、RF機としては標準的な三脚穴の位置は決して褒められたものでは有りません。
L2型1957 Mar
このスレッドを書くために調べていて驚いたのはVLの発表時期です。
巻き上げレバー式の実験機と思っていたL1がVTに次ぐと思っていたのですが。L2の方が発表は速かったそうです。
・VTのトリガー巻き上げをレバー式に変更。
・シャッタースピードの最高速を1/500秒に抑え、X接点廃止(FPポイントのみ。)
・セルフタイマー省略
普及機の位置付けです。
VT Deluxe型 1957 May
VT型の改良機種です。
・巻き戻しを近代的なクランク式にしました。
・裏蓋の開閉時のセイフティーロック装着。
・途中からVTで採用したハーフミラーをペンタプリズム蒸着と同様な銀メッキに変更
・フィルムマガジンが使用可能
・不確実ですが、途中からシャッター幕がステンレスシャッターになりました。
トリガーとレバーではどちらが製造台数が多かったかは判りませんが、それぞれの良さが有ります。現在ではどちらが高級とも言えないと思います。
L1型 1957 May
先行発表されたL2に1/1000とX接点を復活させた高級機です。
この機種までは布幕シャッターが選べました。
とてもスタイリッシュな機種で、Gマーク取得1号のカメラとなりました。
キャノンのステンレス薄板のシャッターですが、現在現存している機種の後幕はどうしてもバウンズ防止のための急な制動による負荷が大きい為か、幕面にシワが発生しているモノが多いですね。
後年、キャノンではF-1のチタン幕での修理を引き受けていて、市場に出回っている個体の中にはチタン幕の機種も有ります。もし見つかったらラッキー?かもです。個人的にはゴム引き布幕のメンテナンスし易さと穏やかな音が好きです。 …閑話休題
L3型 1957 Nov
L2型からシンクロ機構を省き低価格化を計った機種ですが、主要部品はVTとさほど変わりなく、
主に輸出の販路を開拓するための位置付けだった様です。
VL型 1958 Mar
VT Delux型をトリガー巻き上げからレバー式に変更した機種で、それ以外はVTDelux型を踏襲しています。
VL Deluxe型とも云える機種です。
当時の最高機種なので、とてもしっかりした硬質な操作感が得られます。
VLU型 1958 Mar
L2のクランク式の巻き戻しをVT型の埋没型の回転ノブとした普及価格帯の機種ですが、成功機種とはいえず、迷走の真っただ中にある機種です。店頭ではこの辺りが判り辛いです。
Y T型 1958 Sep
満を持して発表された、キャノンが送り出したライカM3の対抗機で頂点を狙った機種です。
・シャッターダイヤルが回転2軸式から不回転1軸式で倍数系列等間隔シャッターダイアルになりました。
これによって、露出計とのカップリングが可能になりました。
・ファインダーをブラッシュアップし、
35mmレンズ用0.65倍 有効基線長:28mm
50mm/100mmレンズ用1.0倍、有効基線長:43mmアルバダタイプパララックス補正機能
測距用1.55倍、有効基線長:65.5mm
3段変倍式であった。
・シンクロはFP、M-F、Xのフルシンクロ、X(:1/55秒)
キャノンのRF機最高峰の名前をYL型と二分している機種で、現時点での販売価格はYL型よりも高めになっている様です。
VI L型 1958 Sep
ライカM3、ニコンSP型と真っ向勝負の機種です。
VI T型のトリガー巻き上げを130°レバー巻き上げ式とした機種です。一時はキャノンRF機のトップに君臨した機種で、近代的な品の良いスタイルは人気でした。
キャノンRFが到達した頂点を飾る機種です。ユーザーはトリガーかレバーを選べました。というよりも悩んだと聞いています。
P型 (Populaire) 1959 Mar
名前はキャノンの造語でポピュレールと呼びます。
YL型の精緻な変倍ファインダーを等倍(これが重要)のアルバダ式パララックス補正ファインダーに変更した機種です。
・ファインダー視野は35mm、50mm、100mmが共存するアルバダ式(ルミ・フィールドと呼称)
・アクセサリー部のパララクス補正ピンの廃止。
それ以外はほぼY-L型と同じで、価格設定との効果で7型に次ぐ売り上げを誇った機種でした。
等倍で35oのフレームは、構造的にもシンプルでとても自然な視野になります。
(私事では有りますが、まだファインダーの清掃がキャノンで出来た頃にしてもらった事が有ります。
その時はその見栄えに感動しました。)
7型 1961 Sep
すでに一眼レフの評価が確立し、設計の難しかったレトロフォーカスの広角レンズのラインナップもそろった頃でしたが、短焦点領域での距離計機の優位さはまだ捨てられない時代でした。
そこで発表された7型は、キャノンRF機の集大成とも呼べる性能を持った機種でした。
・倍率0.8倍で、有効基線長は47.2mm 。
35mm、50mm、85mm/100mm、135mm用の4ポジションのフレームに採光式ブライトフレーム付きパララックス自動補正式と視野枠を手動式で4段階に変えられる採光ブライトフレームで、全フレームでパララックスが補正されます。
・セレン式のシャッター連動の2段ゲインの露出計搭載。
・50mm F0.95レンズを装着するためのバヨネットマウント装備。
・アクセサリーシューは省略されました。(専用のアクセサリーで補う事が可能です。)
・距離計連動コロがレンズマウントに対して若干オフセットされた位置有ります。Lマウントでは無いとは思いますが、傾斜カムレンズには使えない?…まぁ心配は無用です。
ファインダーは定評の有ったニコンSPを凌駕するほどのカタログデータとなっており、ほぼ単独で表示される僅かに縮小倍率が入ったフレームはとても見易いファインダーになりました。
これだけの性能ですが、戦略的な価格も相まってキャノンPの販売数も超え、キャノンRF最大のセールスを記録しました。
実際、そのスタイルには評価が分れますが、距離計連動カメラとしては一つの到達点だと思います。
7S型 1965 Apr
キャノン7SはキャノンRF機の最終を飾る機種になりました。
・7型の受光素子をセレンからCdsに変更。
・7型で省略されたアクセサリーシューが復活(パララックス補正ピンは有りません)
・三脚取り付け穴は若干レンズ側に寄りました。
時代はすでに一眼レフの時代になり、潜在的に残っていた距離計機の需要を7型がさらっていった後なので、
販売的には成功とは云えません。但し部品精度はキャノンの体力向上に見合った素晴らしい加工精度だそうです。
ライカの追従と云われていた我が国のカメラですが、キャノンRF機が築いた世界は独自の発展を遂げた事や、きら星の様なレンズ群も有って、やはり忘れてはいけないと思います。
現在はDSLRやスマートフォンが席巻していますが、一眼レフとは違ったコンパクトRFには無い精度のカメラ達は、一度触れて頂ければ何か違うと思って頂けるカメラだと思います。
私にとってはとても見易いファインダーを備えた機種です。
等倍の35oファインダーは広々として、窮屈な感じがしません。
シャッターがチタン幕に変更されていて、少々甲高い音がしますが。最初のRF機でした。
装着できる露出計が有りますが、Y型に合わせて発売された初期型とP型頃の後期がtとが有ります。
後期型はアクセサリーシューを中心にして回転する事が出来て、巻き戻し時に露出計を外す必要が有りません。
もし購入される場合にはご注意下さい。
高校生の時、ボロボロの7買いました。35mmF2のセコ付けました。
セレンは瀕死。距離計ずれ。シャッター幕、皺だらけ。何回か自分で開きました。
更に、当時ダンピングしていた、100mmF3,5新品で買いました。
その後、大学生の時、DSのライカM3購入。7は35mm専用で併用。
7で100は使いにくい。同じ画面に85と100の枠が併設。どちらかわからなくなる。別枠にすべきだと思う。
P。等倍で、35と100が使える。100用にと思って、買った。
でも50を含め、3つの枠が出るので煩わしい。あまり使わない。
後にミント状態の7見つけた。ケースごと落下させたのか、距離計縦ずれ。扱い慣れた7、自分で調整。開けた序にグリスアップ。
此方は、セレンも生きている。旧い方の7、85枠を消し100用に。
新しい方は逆に85に。ジュピター9、ニコン85を使っている。
ジュピター12。後ろ玉が出ている。M3では使用可能。
P、7。金属シャッター幕。皺があると使用不可。ミントの7でも怖い。
画像はS11年、アサヒカメラ。ハンザキャノンの広告です。
キャノンはネット上に、バーチャル博物館持っている。
その分、他社に比べて、まし。然し、あまりに変化が多い。
またPX販売品等、博物館に記載が無い物も有る。
コレクターでも、個体分類確定は中々困難。販売数など全く不明な物もある。
底部のトリガー巻き上げは有名ですが、ノブ背面のボタンを押すとこの扁平ノブを少しだけ持ち上げる事が出来ます。
三脚に固定した場合にトリガーが封じられてしまう場合が有りますので、その対応かもしれません。
ファインダーは伝統の3段変倍ファインダーなのですが、ブライトフレームは有りませんので、
肩から力が抜けた様な感じで撮影が楽です。
巻き戻しノブは、ノブ周りにあるレバーを扇動させると内蔵されたスプリングの力で僅かに飛び出します。
ノブによる巻き戻しは、ジャーナリストが使うには億劫ですが、趣味で使うには良い時間を与えてくれます。
私のV-Tは落下品で、カバーを少しずつ叩き出して何とか形になっています。
こんな事が出来るのも1960年前後の製品だからですね。
分解をされる場合、出来ればスパッタ面は多少汚れていても拭かない方が良い様です。
100mmのフレームが無くなってしまったのを続けて見てしまいました。
先ず、US改。キタムラで購入。ミヤテックのOH記録が有り、UF改と成っていた。すわ、珍品?
500s迄なので、WSb改ではない。フラッシュレール付なので、UDでもない。
ここからが問題。フラッシュレールの接点がXに成っている。UF改はXでなかった?
既に、7二台、P持っていた。コレクター魂が騒ぐ。色々、資料を調べだした。結果、条件に該当するのはUS改。
55年4月。UF改と共に、このシリーズ最後の物。何故か生産台数がUSに含まれ不明。PX販売品のUF改の方は、輸出扱いで2500台
WS。ハードオフのジャンク。WSbと成っていた。此方も?
此方は、フラッシュレールは有るが、X接点ではない。WSbの前、WSであった。直ぐWSbに成るので、生産台数7000台。
WFのスラング。私が耳にしたこと。F評価が4こ。此れは、軍隊での落第。此れでは、PXで販売できないから、との事。
WSとUS改を比べる。一般に、シャッターダイアルの回転部分と、フイルム残数ダイアルが目立つ。
使い比べると、低速シャッターの等倍、ファインダー接眼部の拡大がある。
特にファインダー部の拡大は、老眼の私には、有難い。二重像が遥かに見やすい。
US改。OHしているので、各部の作動はスムーズ。ライカVfと比べても、全く差が無い。一眼変倍ファインダー。バルナックライカより遥かに使いやすい。
Xの直前の物。バルナックキャノンとして、完成している。
フイルムの切込みは厄介だが、これを除くと、常用できる。
最近気付いた事。私、ゾルキー用のターレットファインダーがあった。
アクセサリーシューにこれを付け、変倍を1,5倍のする。
これで28〜135レンズ全て使える。最強のバルナックである。
画像は、54年10月、創刊当時のカメラ毎日。フラッシュ付きWSbと交換レンズ。
便宜上"Canon"のバルナックタイプと呼称していますが、キャノンオリジナルの形態を採ったほぼ最終型です。
ライカのVfに肩を並べる機種と云われています。
単純にカタログ上の数値はなるほどではありますが、使用感と云った情緒に訴える部分ではちょっと分が悪そうです。
ボディーのメッキは後年の機種と比較すると多少キラキラしています。グッタペルカも艶が有ってスベリ易い感じです。
内部ダイキャストは肉厚で頑丈そうです。これは技術的には同年代のドイツの水準には至ってはいない様です。
なんとなく各部のクリアランスはライカと比べると大きめです。しかし当時の最高峰だったのは十分うかがえます。
ちょっと見ずらいのですが、スローダイアルの1/15と1/30の間に"X"の刻印が有ります。
シンクロタイミングの切り替えも自動で行いますが、いまだシンクロターミナルは独自のタイプです。
この頃のキャノンのテイキングスプールは良い工夫がされています。
スプールのボス部分を少し回転させると、スプリングの力で少し突出します。
フィルムを取り出す時などは便利です。もちろんそのままでもローレットが大きいので比較的楽に出来ます。
市販の個体にはこの純正スプールが一般的なモノになっている事が有りますので、購入される場合はご注意です。
ファインダーは左手側のライカの視度調節レバーの位置に有るレバーで回転させます。
ファインダーの精度向上のために接眼窓が小さいので、一日使用していると涙ナミダになります。
こんな時は単独ファインダーの使用をオススメします。ただし、次のX型が備えていますパララックス補正ピンはまだ有りません。
とは云え、現在主流となっている広角レンズを使う仕様にはまるでなっていません。
使用にはご自分でアクセサリー等の工夫が必要です。それがまた楽しいのです。
小型でギッシリ感が有り、当時の最先端技術力を感じるにはとても良い機種だと思います。
ダイキャストの肉抜き、ライカとの違い。
まず底蓋で比較<クラシックカメラ専科5、ライカ型カメラ>による。
ライカV。30,2×133,4mm。
ハンザキャノン。30,5×136,1
キャノンSU。30,8×136,0
キャノンUD。30,7×136,5
ゾルキー4。33,9×143,4
これを基に、私の現物比較。
フェドレンズ付き、戦前型フェド。ズマール付ライカDUと比べると、50g弱重い。裏蓋、一見交換できそう。フルコピーなので、裏蓋もほぼ同じ。
然し、ダイキャストの厚みなどが違う。其の儘では交換不可。
ゾルキー4と4K。此れも一見交換できそう。しかし交換すると、どこかゴリゴリ感が。
やすり掛けすると交換できると思うが、多分光漏れが。
生産台数を考えると、交換できないのが不思議」。
ライカV系。基本的にどれも同じ。交換可能と思う。
UとVは、ダイキャストの違いで、交換できないと思う。
私のUS改。裏蓋が擦り傷。一方。WS外観は全く問題ない(もともと部品取り用に購入)
試しに、裏蓋交換してみた。全く問題ない。光漏れもなさそう。
キャノンの精度は高い。ここでよからぬ考えが。
WSのフラッッシュレール接点。US改の物と交換したら?
これってUF改?発売時期も同じ。個体Noでの区別も無理。
ミヤテックの整備記録を付け、ネットオークションに出したら?
私、弄るのも好きなので、自分で整備したものや、改造した物も多い。
コレクターとして、後の人が悩むものを出したくない。
なので、オークション等、出したことが無い。此れで個体が増える。
キャノンRF。自分で個別表示しようかなあ?でもそれほど知識が無いし、個体も持ってないと思っていました。
個体の画像、撮影画像は皆様に任せます。私は資料画像を掲示します。
PHOTOGURAPHY,DECEMBER,1954
ライカVはダイキャスト製では有りません。Vbで一部が、VCでダイキャスト化されます。U型も同じです。
ダイキャスト化に伴って寸法も変わっていますので、互換性についてはご注意下さい。
ちなみにライカのボディーの水平断面形は半円を直線でつなげた形ですが、キャノンのそれは8角形になっていて、
外観上の特徴になっています。
バルナックライカの底蓋。
Vf。Ufと併用できる?思うに、VCもできるかも?どちらも私持ってない。推測ですが。
DU。Vfとは併用できない。私のVf(セルフ無し)とDU。
基本的に、サイズが違う。同じバルナックライカでも、全く違う。
シャッターのガバナーからして違うので、サイズが違う?
バルナックキャノン。WSbとWSb改。WS〜UF改を含め、全て同じサイズと思う?
先に述べたように、WSと、US改は交換可能。
この時代、少し検索すればだれでも様々な情報を入手出来ます。
その様な情報よりも、実際にお使いの方のお話が聞きたいと思います。
カタログや雑誌のデータでは差が付かなくても、実際に使用してみると違う。そんな部分が大切だと思いこのスレッドを作りました。
いまだ回転二軸式のシャッターダイアル等が醸し出す雰囲気はWSb改の外観を変えただけか?の様にも思えます。
変倍ファインダーはとても便利なのですが、WSb等が採用した左側面部のレバー方式の切り替えの方
が操作性は良い感じです。V-Tで採用された接眼部近傍のダイアルだと、精密なピント合わせの度に
アイピースから目を離さなくてはいけません。
この機種(Lシリーズ)まではゴム引き布幕シャッターが選べます。ステンレスシャッターがうるさい訳
ではありませんが、現在でもメンテナンスが容易な布幕式の安心感はこの機種の寿命を長くしていると思います。
手元にこの85mmファインダーが有ります。このファインダーをニコノスの80mmの陸上用ファインダーと比較してみました。
見え方には製造時期の差が有りますので触れませんが、その画角には殆ど差が有りませんでした。
以前にもどこかで書いたのですが、キャノンの距離計連動の85mmレンズはまだ入手が比較的容易です。
キャノンにしろライカやニコンもブライトフレーム式の85mmファインダーは見つけるのは大変ですが、
ニコノスの80mmファインダーは比較的アチコチで見かけます。
もし必要なら流用も可能だと思います。
キャノンは、この巻き上げ方式がお好きだった様で
その後のキャノフレックス等もこのトリガー巻き上げを備えていました。
ライカビッドの様に装着するカメラ側の調整などは必要な異様で助かります。
これを付けると重くなりますが、驚くほど軽快に撮影ができます。
何度購入しようと思った事か。でもボディーよりも流通価格が高価なので、踏みとどまりました。
キャノンはトリガー巻き上げを最後まで推していましたね。三脚穴がボディーの端に有るのはこの為と思うほどでした。
1軸不回転シャッターダイヤルを採用、露出計連動を達成しています。
比較的基線長が長く、精度も信頼できます。
トリガー巻き上げのTと1作動レバーのLは、巻き上げ形式が異なるだけでスペックは同じです。
トリガー機構が入っているTの方がボデイ高がわずかに大きく重くなっています。
1990年代RFブームの頃には手が出ない価格帯でしたが、最近では手が出しやすいレベルに落ちてきています。
高級機だったためか大切にされ機能を保っている個体が多いように思いますが、Tはトリガーが金属摩耗でトラブルを抱えている場合があり、Lも巻き上げ系が微妙にスリップする個体もありますから、購入地にはよく検討すべきでしょう。
一昨年店舗で手頃なTに遭遇し、トリガーは未体験でしたので物珍しさもあり手元に来ましたが、一月ほどでワンストロークで巻き上げられなくなり店舗に戻し修理に入ったものの、要の真鍮部品が摩耗で再生不能になっており、長期入院。
トラブル箇所以外の使い勝手が良かったので、つい同じ店舗のVILに手を出してしまいました...その後VTジャンクの部品を移植しVITも完成、2台態勢になってしまったものです。
こう言ったときは信頼できる店舗で購入するありがたさが身に染みます。
写真:左VIT、右VIL
ノブは押し込んである状態では空転しフィルムは動きませんが、トリガー巻き上げに従い中央の軸が回転し巻き上がっているインジケーターになります。
背面ボタンを押しノブを引き揚げると内部の軸と噛み合ってノブ巻き上げ出来るようになります。
上は50位置の等倍、50,100mm用パララックス自動矯正アルバダブライトフレーム。
中は35位置0.65倍フレーム無し(画像では見えませんが中央は虚像二重像あり)
下はMag位置:1.55倍 距離計含む拡大像
私は所持する前はMag位置で100mmのフレーミングが出来ると思っていましたが、このように円形視野なのでフレーミングは50位置にダイヤルを戻し、ブライトフレームを出す必要があります。
100mmf3.5あるいは絞り込むなら、距離計基線長は短くても50位置のまま測距してOKでしょう。
しかし100mmf2開放を使うなら、ファインダーはMag位置にして距離計精度を確保し、アクセサリーシューに100mm専用か、望遠用ズームファインダーを付けて二眼式として使う方が、持ち替えてファインダー切替するよりも実際的ではないかと思います。
このとき、VからVIに装備された外付けファインダーのパララックスをボデイ側のロッドで制御し自動補正する機構が役に立ちます。
キヤノンの外付けファインダーには、ボデイ補正に対応したものと、一般用のパララックス手動矯正のものがあり、VT、VITには前者の専用品を使う方が便利でしょう。
後期のキヤノンRFだけにある優れた機構ですが、残念ながら7以降には採用されませんでした(ボディ内蔵フレームがあるから不要なのでしょう。)
35mm位置はブライトフレームがなく視野全体で判断します。パララックス補正は入りません。実用的には問題ないと思います。
専用グリップが存在しますが、ちょっと手に入りづらくて...
スリックのバーチカルグリップや、このマンフロットのゴム雲台などを付けています。
ゴム雲台は三脚ネジが付いていて多少の角度修正はゴムの弾力で行うもので、びよんびよん動くので固定は出来ませんが三脚でもトリガー巻きできますし、グリップとしてもなかなかのものです。
ファインダー倍率0.8倍固定で変倍は省略されましたが、ファインダー光学系が見直され基線長が長くなったため、VIの50mm位置より有効基線長が長く、精度はPに次ぐものです。また35mmフレームが内蔵され、有効基線長も長いため35mmはVIで使うより7のほうが使いやすいと思います。
逆に85mm以上の大口径は不利であり、使い分けができるでしょう。
ただし、85と135のフレームが内蔵されたキヤノンRFは7と7Sだけであり、快適に使える面もあります。
7が登場した頃は、一眼レフが台頭してきた時代に一致し、利点欠点がせめぎ合っていました。
大口径標準から広角に掛けてはRF用の画質、コンパクトさがリードしていたと思います。
キヤノンRFの終盤を飾るレンズ群は、今手にとっても驚くほど優秀な性能です。
貯めていないで出しましょう!
キャノン7は、ファインダーをメンテナンスして実際に使ってみますと凄い機種であることが判ります。
名機の誉れ高いWSb改などと比較しても別モノです。再評価されても良いと思います。
ステンレス幕のシャッターがヨレている個体も多いのですが、丁寧に探してみると、安価で綺麗な個体
に出合えるのも7の良いところだと思っています。
セレンの露出計は意外に動かないモノは少なく、なんとか振れるものが多いです。十分目安になります。
最近、カメラにメーターが入っているモノが無くなり、逆に非連動露出計を積んだ機種を探し出して使っています。
偏見を交えて私なりの寸評を致しますが、キヤノンについては先達が数多いので恐縮です。
今はVIと7ボディに合わせ、内蔵フレームがある焦点距離の後期型を残しています。
50mmf1.4
最短1m、フィルター径48mm。円筒形カブセフードあり。
数が多く安価なレンズですが、非常に性能が高く、今使っても一線級の描写だと思います。
丁寧に収差補正され、開放から全画面均質でかなり尖鋭な像を結び、少し絞るとコントラストが立ち、信頼しています。
ただしカラーの鮮明さは最高とは言いませんが、そこそこ悪くないはずです。
3回売ったり買ったりしましたが、どの個体もよい物でした。
最初はミノルタCLに付けて暗所撮影、精度不足は数撃って補いました。
2代目は7Sとセットで、まもなく金策に消え、3台目はもう手放さないでしょう。
50/1.2も7Sと共に出入りしました。
記憶では、1.4よりハロは多いけど開放でもそこそこのコントラストがあり、非常識なほど大きくなく、良いレンズだと思いました。
後期の50/1.8や2.8は非常に曇りやすく、市場で綺麗なレンズを見付けられません。あれば安価なので試したいのは山々ですが。
ボケは私は全く朴念仁で、もしご評価を頂ければ幸いです。
後に日本メーカーがどんどん広角寄りにレンズを発表して行きましたが、やはり35mmはRF機広角の定番。
当初外付けファインダーを要しましたが、RF末期世代ではボディのファインダーが広角化、マルチフレーム化され、ボディ単体で気軽に使えるようになりました。
キヤノンは初期セレナー35mmf3.5、3.2、2.8を経て、キヤノン名でガウス型の2.8、1.8からf2,1.5に変遷しました。
ライツの形状に準じたクラシックな旧型も美しいのですが、キヤノンV以降には寸胴で素っ気ない後期型が似合う、かも。
私は借用1.8と、こちらの2,1.5の経験があります。
1.8は開放では少々ハロがありますが解像力は優れていて、f2-2.8に絞るとすっとコントラストが立ち上がり、周辺の甘みも消えて素晴らしい描写になります。真鍮が多く使われずっしり重量感があるレンズです。
35mmf2,フィルター径40mm、最短1m、ズミクロン35用角形フードがフィルターとレンズネジ部との間に噛むので便利に使えます。
f2はきわめて近代的な描写で、開放からコントラストが高く、四隅まで整った画質に驚かされます。絞れば見事な尖鋭度で、友人のズミクロンM6枚角付きと比較しても、一歩も引かないレベルです。
鏡胴が軽合金主体になり、レンズ自体も前後長が短くf2とは思えない小型軽量レンズです。
余談ですが、近年再登場したL39レンズはいずれも周辺描写はキヤノンf2に負けます。わざと像面を曲げているのじゃないかとも思いますが、それにしても四隅を捨てているとしか思えず、結局キヤノンに戻ってきてしまいました。
35mmf1.5 フィルター径48mm、最短1m,フードはhamaの角形49mm用を適当に付けてます。50/1.4用オートアップが共用できます。
1.5は、ズミルックス35が最近高くなりすぎてお手上げになったので、代わりに(失礼!)入手しましたが、開放ハロは多分ズミルックスより少なく、逆光はそれより強く、絞った時のシャープネスは同等以上じゃないかと思います。真面目に作られているなと思いました。f2に絞ると僅差で35/2に劣りますが、f2.8に絞ると見分けが付かないほどで、f2のレンズを内蔵しているのと同じという感覚です。
左:キヤノン35mmf2.0,右:キヤノン35mmf1.5
RFで100mmを採用し普及させたのはキヤノンくらいかと思います。他社でも大珍品はぽつぽつあるみたいですが、大概90の次ぎは105でしょう。
つまり他のカメラでは使いにくくなります。内蔵100mmフレームをもつ他社L39ボディはヤシカYFくらいかと。
外付けファインダーなら何の問題もないか...
セレナーにはf4がありますね。美しいクロームの重いレンズです。未経験。
キヤノンf3.5には多くのバージョンがあり、私のは経験した2本とも軽合金白黒ゼブラと言われるタイプです。
キヤノン100mmf3.5 フィルター径34mm、最短1m、回転ヘリコイド。円筒形フードあり(少し短すぎますがファインダーを蹴らないためこれでいい?)
非常に小型軽量で細く、ライツミノルタ用90mmf4より細く軽く明るいです。
性能は驚くべき高さで、コムラー105/3.5と比較したら歴然、逆光耐性も月と素盆ほどの差がありました。ニッコール105/4より解像力が勝っています。現代の100mmクラスと較べても水準以上で、後にフレックスR用に転用されたのもわかります。
携帯性を重視する時には気軽に持って行けるのもよいですね。
残念ながら曇った個体が多いようで、折角の逆光耐性がなくなりますので購入時には注意が必要です。
100mmf2 フィルター径58mm、最短1m、回転ヘリコイド、円筒形フードは200/3.5と共用。
RF末期に出た明るい中望遠。大きく重いので気合いを入れて持ち出します。これを付けたらこれ一本という割り切りです。
RやFD時代には100はf2.8止まりで、newFD後期にようやくf2が登場しました。それやEOS用と比較すると流石にコントラストが低いですが解像力は負けていません。
キヤノンV以後のパララックス自動矯正対応ファインダーのひとつ。
85mm〜135mmには単体ファインダーも存在しますが、拙宅にはありません。
偶々85〜135mm用ズームファインダーが近くの店舗にあったので使っています。
旧来の機種向けにパララックス手動補正タイプも併売されたはずです。(単体はよく見掛けますがズームに手動補正型があったかどうかは不確か)
変倍するのでフレーミングしやすく、またレンズの距離環を回すとファインダーが連動して自動的に下を向いていくのが嬉しいです。
efunon様がVでご指摘のように、V〜VIの変倍切替はファインダーアイピースの直ぐ右下にあり、フレーミングしながら切り替えることは困難です。
確かにVISbの巻き戻しノブ基部のほうがファインダーから眼を離さず、左手の手探りで切替可能なので操作性がよいのは明らか。
どうしてV以後に改めなかったのか。
そうするとMag位置で距離計精度を高めることと迅速なフレーミングとを両立するには、外付けファインダーという妥協になってしまいます。
とはいえ外付けファインダーは慣れると楽しい作業です。
ここでパララックス手動変換が入ってくると大変なのですが、キヤノンは自動ですのでありがたい。
100mmとなるとパララックスによる撮影範囲移動はかなり大きいのが、ズームファインダーを覗くと実感できますので。
試写では最短1mまで大変精度良く合焦していました。信頼できるのが何より安心に繋がります。
さてズームファインダーにある他の焦点距離:85,135もほしくなってしまうのが欠点ですね....
7sと共に去ったレンズに85mmf1.5がありました。白黒ゼブラ仕様。
中玉のコーティング部分が曇りやすく、簡単に分解清掃できるのが仇になり、内部コーティングが随分禿げていました。
それとは関わりないとは思いますが、開放描写はかなりフレアっぽく、絞るとそれなりにシャープ。ただ7sの距離計では若干精度が心許ないのと、換金価値が高いので離れていってしまいました。
性能的には、後に試したズマレックス85/1.5や、エンナリート85/1.5と同格であったと思います。
おそらく85/1.9のほうが堅実な性能と想像し、機会があれば試したいけれど、後期型は最近あまり見掛けません。我慢我慢。
これはおそらくアマチュアが後塗りした艶消し黒のP
白墨入れはされていません。剥げて真鍮の地が露出しています。
仕上げがよいとはいえないためか、機械的,光学的には問題ないのに5千円ほどでした。
最近はクロームでも、似た相場でしょうか。
目立たない外観で大変気に入っています。
等倍ファインダーの35,50,100に対応するアルバダフレームが美しい。
35mmフレームは視野ギリギリ、端を確認するためには裸眼でも目をひと回し。そのため、50mmを使うのが最も快適。
キヤノンRF用外付けファインダーのうち、黒色円筒形の後期型には、このパララックス自動補正に対応したV, VI専用と、フット後部に手動パララックス補正レバーを持つ一般用があり、現在はV, VI専用は用途が狭いため求めやすい価格になっています。
VIユーザーなので、ボディ内蔵の35,50,100以外の焦点距離に対応したファインダーを探しているうち、色々見つけたので紹介します。
左から、28mm、85mm、100mm、135mm、85-135ズームファインダー
85,100,135はアルバダ式ブライトフレームを備える「ルミフィールドファインダー」です。
視野は同じサイズで、ズームにより像倍率が変化します。
ブライトフレームはありません。
クリック位置には、85,90,100,110,125,135の表示があります。
110ってロッコールくらいじゃないですか?125って存在するの?ご存知でしたらご教授お願いします。
II型発売と同年に、新設計のf2.8バージョンが登場、併売されましたが、f2.8はキヤノン7Sと共にRF終焉まで供給されました。
f3.5II型は、全面クローム外観の前期型と比べ、V以降のキヤノンに共通な寸胴な意匠に統一され、没個性ですが、V以降には似合うと思っています。
画質は古風な印象。開放から中心は整っていますが、やや柔らかく、像高50%外は非点収差でエッジが甘く、四隅は完全にボケます。f5.6からコントラストが立ち上がり、f8で四隅以外はまずまず締まり、f11は四隅以外大変繊細な描写になります。四隅はf16で甘いながら解像し、中心はそれほど回析劣化が目立たないため、風景ならf16が推奨され、スナップならf8-11がよいかと思います。
最近α7Rで試写して驚いたのは、この28mmf3.5は色収差が全く見えないことです。
対称型なので当然ではあるのですが、再認識しました。
1980年代のレトロフォーカス型28mmを一緒に試写していて、開放絞り近くのコントラストやシャープネスは明らかに80年代レンズのほうが優れているのですが、周辺に出る色収差が低拡大(4つ切り程度)でも少し気になる程度に出ます。
結果絞った時にはキヤノン28/3.5のほうが非常に繊細な画質になります。
大変面白いと思いました。
何が(改)なのかキヤノンのサイトを見ると、シャッターダイヤル中心にレリーズ後の指標が付いた、
巻き上げノブにフィルムメモがついた、だそう。
店に聞くと、ファインダー接岸窓が大きくなっているそうです。見比べさせてもらいましたが確かに
ちょっと覗きやすくなった、のかな。
正面から見るとライカを見慣れると間延び、あわわ、キヤノン特有の1眼式RFのスッキリした外観です。
これは軍艦部にちょっとあたりがあるので相応に値引きされていましたが、二重像含めファインダーが
とてもクリアで、シャッター幕も新品のようだったのでお輿入れ。
efunonさまご紹介の、スプールのギミックも使いやすいですね。この個体は少し固定が固く、つまみを
飛び出させないと外し辛いです。
最近モノクロは長巻フィルムを常用しているので、一度マガジンをつかったみようかな。
ライカやニコンは高価で、コンタックスは数が少ないけど、キヤノンは割に安く豊富です。巻き上げが
多少でも軽くなるかも。
変倍装置はV以降より使いやすい位置にあります。元々基線長が短いので、大口径開放や長焦点には必須
の機構かもしれません。
これもefunon様ご指摘のように、50mm以外のレンズに対する配慮はないので、かなりの手間を甘受し
て交換レンズを使わねばなりません。
ものぐさな私は、とりあえず標準レンズを付けて楽しんでいます。50mmでもf4、余裕をみてf5.6なら
標準倍率、それより開くならx1-x1.5で一度焦点を確認しますが、これがとても安心感が高くて嬉しいですね。
また、最初に購入した時にギョツとしたのが、レンズマウント側から見るとドラムに巻き取られた布幕が露出している点です。
最初は部品の欠品だと思いましたが、販売店のご主人に何台か見せて頂いて納得した次第です。
れんずまにあ様の画像から察するに、革ケースの乾燥が進んでいる様に思われます。
特にストラップは過乾になると大変に脆くなりますので、靴店に売っているミンクオイルを刷り込んでおく事をオススメします。
たっぷり塗り込んで一晩置くと、柔軟性が復活すると思います。あと、ケースのヒンジ部に塗っておくと破断を避ける事が出来ます
そのあたりの2ページほどから,いくつかかいつまんで概要記載します.
・日本工学がひたすらS型を作っている間,キヤノンは6種類の新型を発売した.
・その中には数ヶ月だけで姿を消したものもある(III型のこと.IIBに1/1000を加えた改良型でシンクロがなく,つなぎの製品だったという評価)
・このようにキヤノンは日本光学に対する対抗意識が激しかったが,当時の日本光学側はそうでもなく危機感希薄
・S2型が12/10に発表されることになったが,あろうことか日本光学の重役がキヤノンにその旨を知らせに行った
・WSb改が12/8に発表された.「WSbをほんの少々改良しただけとしか思われない」と記述
・ニコンS2は発表と同時に発売開始だったが,WSb改の実際の発売は翌4月だった
・これらのことから,WSb改の発表会はニコンS2の発表に水を刺そうとしたという世間の評価も少なくなかった
というような内容です.
かなり偏った見方かもしれませんが,ニコンとキヤノンはレンズの供給不足などで関係悪化が進んでいたのは確かのようです.
なお,「明るい暗箱」は技術的内容のほか,会社経営・マーケティング・広告などの視点が強めの書籍です.ブロニカなども歴史を掘り返していると,労働争議や経営危機,創業家のことなどいろいろ見えてきて,カメラの更新や継続・ディスコンなどは,必ずしも技術的理由に基づいていない・・というよりむしろそういう外的要因のほうが大きいのかも・・と思うようになりました.キヤノンもいろいろあったのだろうなと思います.古くは初期のカンノンと内田・吉田の濡れ衣事件とかもあるし,ライカの特許回避有無や微妙に違うマウントなど,いろんな苦労の跡が見えますね.1950年代後半になると独自技術への自信が深まり,V 系から 7, P, Canonet あたりに向かって一気に組織的になるといいますか,古い体制からの脱却を感じます.
キャノンIVSb(改)で一つ抜けていました。
シャッタースピードが倍数系列になった事により、1/15のシャッタースピードに対応するスローガバナーが新たに必要になりました。
これには開発に苦労したそうで、ユーザーから見れば気付かない中に技術者のかたのご苦労が有ったそうです。
実際に分解して確認した訳ではないので、アヤフヤなのですが、確か2重構造を採用されたのではなかったでしょうか。
この辺りは知見を持つかたのご意見が聞きたいところです。
倍数系列シャッターはキヤノンサイトにあったけど書き忘れていました。
単に目盛りを刻み直すだけではなく、ガバナー新設など手間がかかっていたのですね。驚きです。
使う側からすると、低速別に回転シャッターダイヤルで、倍数にしてもそれほどメリットあったのかなあと思うのですが、
何か目先を変えないと新製品にならない苦悩を感じました。
ケースのメンテについてはとてもありがたい助言です。家族に靴用ミンクオイル借ります。
この店舗では特にセットになっていたわけではなく、山積みケースの中から合致しそうなのを選んだので、本当に
IVSb用なのか全く自信がありません。
日頃ケースはバッグの中でカメラが擦れない役割で、ストラップは首にかけないことが多いです。
というのは昔ローライのストラップでワイシャツをひどく汚したことがあったので。
確かにかけた時に切れるのは恐怖です。知人が2.8Fを落下破損させて頭抱えていました。
日浦様、カメラレビューに「明るい暗箱こぼれ話」が連載されていて,本編に興味が出て随分昔に読みました.カメラレビューは時々読み返しているけど本編はわすれてしまって...,また読み返します.