No.1 Panoram-Kodak model D
首振りパノラマカメラ、画角112度
レンズ:無銘、単玉メニスカス、焦点距離不明、絞り固定(f11付近)固定焦点(20ft以遠)
シャッター:スリット。テンションにより2段階、fast(1/50)、slow(1/25)付近。
本来のフィルムは105で2,1/4 x 7”フォーマット(6x17cm)6コマだが,現在は105は入手できない.幅が同じ120フィルムで同フォーマット4コマ撮影できる
赤窓巻き上げ。120では、645指標を使い、2、6、10、14を出す。
位置決めには、一応ブリリアントファインダーはあるが中心しか表示されない。
カメラ上面にV字型の線が表示されていて、その延長線の範囲が写る。
素材が木製なので、サイズの割に非常に軽い。
初期モデルはフィルム装填時にカメラ後部を中央から分離して取り外すが、ここに示すモデルDは裏蓋がヒンジで3方向に開くようになった。
120フィルムスプールはやや105スプールより上下に厚いため、装填は少しきつくやりにくい。ちなみに620は巻き上げキーに入らないらしい。
当初の用途は横に並んだ集合写真で、カメラを中心に扇型に整列する。
現在のフィルム感度では、低速すぎるので、レンズ前面に固定絞りを入れるか、後部スリットの幅を狭くするよう設置する必要がある。
とりあえずネガカラーならラチチュードで収まるかもしれない。
エプソンGT700でスキャン可能な6x17サイズが得られる貴重なパノラマカメラ。


シフト中判カメラ
中判および大判カメラの中には、フィルム平面とレンズ焦点面との平行性を崩す(ティルト/スイング)、または光軸と画面中心との関係をずらせる(スライド)を総称しディスプレースメント、広義のアオリ機能をもつカメラがある。
ディスプレースメントは被写体の形状を整える効果があり、古典的なプレートカメラでは、レンズボードを平行移動できる機能は常識的なものであった。その後、大判カメラは構造上ごく薄い被写界深度を絞り込みでカバー困難のためティルト機能は有効で、また主要な使用者である職業写真家が必要としたため、ディスプレースメント機能を発展させていった。
近代的な35mmカメラでは、交換レンズの形で供給されカメラ自身にこの機能をもたせたものはほとんど見受けられないが、中判は大判並みのアオリ機能を持ちながらより携帯可能な発展を遂げ、ひじょうに個性的なカメラが登場した。その中の幾つかを紹介する。
プラウベル69W プロシフト
日本のドイが企画した、ドイツプラウベルブランドの中判カメラ、マキナシリーズに続いて販売された超広角シフトカメラ。
ジャックテイト ハンドメイドシフトカメラ
現在機械によるドローイングを手がけておられる元フォトグラファーのJack Tait氏がかつて手がけた半量産半ハンドメイドの超広角シフトカメラ。
ホースマン SW69
駒村商会が生産した超広角システムカメラ。上下左右のスライドが可能。6x12cmの兄弟機もある。現在はデジタル対応し現役ながらラインは縮小。
アルパS120
スイスのCapaul & Weber社製中判システムカメラ。光軸固定機12TCと、スライド1方向12FTC、2方向12XYのモデルを用意している。
シルベストリ
イタリア製。1980年代にプリミティブなシフト可能広角カメラを発売、改良を重ね現在も数機種のラインアップがある。
比較表を作ってみた。
Plaubel SW69 Jack Tait HorsemanSW69 Alpa12XY Sivestli T30
重量(Finder+47+69付) 1550g 2000g 1850g 不明 不明
フィルムバック 6x9固定 Graflock Graflock Graflock Graflock
120-220切替 Revolving Revolving
ファインダー形式 外付光学+ワイヤー 内蔵光学 外付光学+焦点板 外付光学 焦点板
シフト連動 シフト連動 シフト用マスク +焦点板 純正光学ファインダーはない?)
焦点板つかない 焦点板+縦横手動切替
レンズ MCSA47/5.6固定 MCSA47/5.6 専用ボード交換 専用ボード交換 専用バヨネット
SA65/8交換 (24)35-135mm 35-180mm 35-180mm
スライド量 X13mm, Y±17mm X±20mm, X±25mm, Y+30mm
Y15mm Y±17mm Y+45-25mm (S4は+40mm)
特徴 手持ち最強 三脚最強 高精度 豊富な付属品 優美なデザイン
マミヤプレス派生 アイディアの塊 高価
画像はジャックテイトのスーパーワイド69広角シフトカメラ
・マミヤ 645+Sekor C 50mm F4.0 Shift
・ブロニカ ETR+ゼンザノンEスーパーアンギュロンPCS 55mmF4.5
・ローライ ローライフレックスSL66 シリーズ
・ハッセルブラッド フレックスボディー
・ペンタコンSix+PCS-Arsat 55mm F4.5
・KIEV KIEV88CM+HARTBLEI Super-Rotator 45mm F3.5
・マミヤ RZ67+シフト・ティルトアダプター
・トプコン HORSEMAN 970
・マミヤ プレス初代とスーパー23
等々、カタログ上は可能なものが意外に多いです。
その実、中版カメラのアオリは実際は無限遠が出しにくかったり、ケラレ等の問題があったりして、制約の大きなカメラも多いのが実情です。
個人的には専用レンズがあるタイプが一番楽だと思っています。


追加すると,ペンタックス67用シフト75mmf4.5があります。
ハッセルブラッドF用には、PCテレコンバーター1.4xがあります。
ブロニカETRに供給されたPCSスーパーアンギュロン55/4.5は、後にローライ6008用が追加されました。
ローライSL66用のシフトレンズは、PCSローライゴン75mmf4.5です。ティルトアダプターを併用、ボディとアダプターを互いに反対方向にティルトすることでシフト代用になります。
ウクライナのPCSシリーズの中で専用設計は55mmf4.5のみで、45mm、65mm、80mmは従来66用レンズそのままですから、イメージサークルをファインダーでよく確認しながら、よく絞り込んで使うべきでしょう。
Arsat55/4.5は画質良好です。ティルトはできず水平1方向シフトを、レンズ基部を回転させて全ての方向にスライドする方式です。これは35mm用PCニッコールやクルタゴンと同じです。但しシフトすると漏光する個体があるので注意してください。
また、フジGX680も素晴らしいアオリカメラですね。
これら中判一眼レフ用アオリレンズは、35mmカメラ換算で35mm前後の画角であることが共通で、引きがない建築物を撮影するよりも、大判カメラで行っていた商品撮影でパースを修正する目的で中判を使う用途が主体ではなかったかと想像しています。
35mmフィルムカメラでは、35mmが主流でしたが、ペンタックス、ニッコールとシュナイダーが28mm、ズイコーとEOSが24mmを供給しましたが、さらに広角はデジタル時代まで存在しませんでした。
シフト中判カメラは6x9、6x12で35mm換算20〜15mmに及ぶ広画角でもシフトができるのが特徴で、一眼レフには真似が出来ません。
目的は大判カメラとかぶってきます。
恐らく中判シフトカメラは大変限られた条件を重視する人にしか受け入れられないでしょう。
仕事なら大判で十分です。
本来大判なので意図的に入れませんでしたがカンボワイドもシフト可能で、ロールホルダーと組めば中判ではありますね。
私は随分愛用しました。建築物を含む旅行風景、個人の撮影旅行ではないので三脚を立てる間はなく速写性と多数枚撮影が必要、でも高画質をある程度要求すると、シフト中判広角カメラに行き着くのです。
ホースマンSW69, 35mmf4.5


デジタルを見据えた超小型蛇腹カメラでしたね。大変憧れました。
その延長に、専用マウントにしたアークボディもありました。
ただし、このクラスの中判広角をピントグラスで焦点合わせするのは至難の業ということを、グラフレックスSLや、69ビューカメラで実感していましたので,ヘリコイド目測のほうが却って実用的だと判断し、ハッセルのアオリシステムは積極的購入対象にはしませんでした。
これも書き忘れましたが、一眼レフでも25mm相当までシフト可能なGX680は最高です。ただあれを抱えて旅行するのは私には無理です。


ブロニカS2用のベローズアタッチメントもアオリが効いて、かつインフが出ると聞いていましたが、タイプと機種によってはインフが出ないこともあるそうです。


D, S用ベローズは、他社と同じくかなり近接からしか使えません。
またS2用でもコンパクトベローズも、あと少しで無限は合いません。
EC以後のベローズ2型は,残念ながら少しフランジバックが長くなって無限遠がでなくなってしまいました(ですよね?)が,かなり遠くにも合います(後で確認します)
さてS2ベローズ2型は、蛇腹を一番縮めた状態で無限遠が出ますから、アオリはできません。
75mmで1mに合うくらいに蛇腹を伸ばすと、ティルト、シフトが少し出来るようになります。
接写でパースを整えるためのアオリ機構です。
前板限定ながら、フォール以外の全ムーブメントができます。
無限でもアオリがしたくて、フランジバックが長い短焦点を探し、RB67用50mmはどうかと思いましたが太すぎてマウント困難でした。
それよりもブロニカ用レンズを利用して、ベローズ前板を外し、レンズをくわえ込むような前板をベニヤで作って、袋蛇腹であおれるように加工したことがあります。
結局イメージサークルがそれほど広くないので、あまり実用できずにシフト中判カメラになだれこんでいったのですが。
のちほどベローズの記事を作りますね。


しかし残念ながらこれらの時代にはまだ超広角レンズ技術が十分発達しておらず,いずれも標準画角ですのであまり強いシフト効果は期待できません(使ってみると意外と構図を整えるのに役に立つのは確かですが).しかし様々な高性能超広角レンズが現れた頃には,この種のカメラはスプリングカメラに変わってしまい,シフトが出来ない構造になってしまったのは惜しいところです.また,もう少し後の時代になると,ほとんどのカメラは畳めなくなってしまいました(ビオゴンタイプの登場によりレンズ全長が長くなり,畳むメリットがなくなってしまったということはありますが).
もしトポゴンとかアンギュロンが固定された小型・軽量の広角専用中判カメラが登場していたら,(特に距離計に連動したりシフト機構がついていたりしたら)きっと今でも珍重されているだろうになあ,と思います.もっとも,自作することはできるだろうと思います.一時期,オートグラフィック・スペシャルのレンズをアンギュロンあたりに変えた中版ワイド広角カメラを作ろうとした時がありましたが,入手したカメラがいずれもそれなりに動いてしまうので壊してしまうのが憚られ,そのままになっていますが・・.画角そのものは広がっていませんが,こちら http://shiura.com/camera/avus/ に挙げているように後代の包括角度の大きいレンズにするのも有効かとは思います.
コダック オートグラフィック スペシャルのページにも少し書きましたが,距離計や一眼レフの技術はロールフィルムの登場・普及やフィルム感度の向上と密接に関連しています.昔はカメラは三脚に載せ,すりガラスでじっくりと構図とピントを決めればよかったのですが,ロールフィルムにより速写性が上がり,また感度向上で手持ち撮影が可能になることでそれに対応したフレーミングとピント合わせが求められるようになり,その代わりにシフト撮影機能が省かれるようになってしまいました.結果的に,後のカメラでもシフトをするなら目測か,ロールフィルムホルダを外してすりガラスをどうぞ.距離計使うならシフトは諦めてください,みたいなことになってしまったのは残念な気がしています.理想のカメラの1つは,ファインダ内に水準器がついてシフトの構図も確認できる距離計連動式の小型・超広角中判カメラなのですが,存在しないのではないでしょうか.
まあ広角なのでほとんどのケースでは目測で足り,特にニーズが高い建築写真では距離計などいらないのも確かですが,なにかミッシングピースがあるような気がしてなりません.


日本のドイが企画した、ドイツプラウベルブランドの中判カメラ、マキナシリーズに続いて販売された超広角シフトカメラ。
重量1550g
マミヤプレス6x9ロールホルダー3型にシフトフレームと47mmレンズ,ヘリコイドを固定してある。
120/220切替は圧版を表裏差し替え、カウンターをダイヤルで切り替える。
レンズはシュナイダー スーパーアンギュロンMC47mmf5.6 固定。
センターフィルターはプロシフト専用で、アタッチメントサイズ52mm。(市販の単体47/5.6は49mmなので、シュナイダーの汎用品は取り付けられない)
スライドは構えて左方向13mm、上方向15mmのそれぞれ1方向で、逆方向には軍艦部上面の三脚穴を使ってカメラを上下逆に取り付けることで対応する。
ファインダーはプラスチック製ライツ21mm用に似た光学ファインダーと、メインフレームに格納された前ワイヤーアングル、シューに畳まれた覗き穴を立ち上げて使うフレームファインダーの2通りが用意され、どちらもシフトに応じて方向を変え、多少の誤差はあるが覗いたままが写る。特にフレームは便利。光学ファインダーはシフトしたときの誤差をアルバダフレーム表示してあり、フレームより正確だが、曇りやすい。
バック固定なので、焦点版で確認することはできない。焦点は距離目測しヘリコイドに表示された距離指標を合わせる。
おそらく最も手持ち撮影で機能的な超広角シフトカメラ。バック交換、焦点板をばっさり捨てた分軽量であり、またマミヤプレスホルダー3型を流用したためグリップを別に付ける必要がありません。マミヤ3型はレリーズに二重露出防止機構が組み込まれていますが、私見では困ることが多々あり結局シャッターを直接操作を余儀なくされます。その点プロシフトは二重露出防止機構を外してあり自由にレリーズできるため却って使いやすく思います。
カメラ毎日のテストレポートでは、スライド後の固定には正面から見て右上のレバー一本のみ使われており、フレームのひずみが避けられず、開放絞り近くでは片ボケすると書かれています。実写では片ボケはあまり意識に登りませんでしたが、実用上絞り込んで被写界深度表を使って撮影していました。絞ればひずみは問題無いと考えられます。また絞り込みで超広角につきものの周辺光量低下が目立たなくなります。
開放でもセンターフィルターを使えば周辺光量低下が押さえられるのですが、中心部の露出倍数が3倍、1.5絞り低下しますから、開放f5.6がf9になり、しかも開放ではまだ完全ではなく、光量を均一化するためf11に絞るなら、実質f18でしかも被写界深度は十分ではありません。私はセンターフィルターは使わずf16-22に絞って使いました。目測の危うさがカバーされ、失敗がなくなります。
撮影結果はおそろしいほど高画質、繊細で全紙伸ばしでも粒子が見えないぬるっとした質感、重量を忘れさせる性能です。f22で回折による画質低下があるはずですが、6x9からの拡大率の低さがそれを目立たなくさせてくれました。


エンサインカーバイン オートレンジの所でご解説になっておられたので、きっと追加して頂けると期待していました。
古典的ロールフィルムカメラでの問題点は、ご指摘の通りレンズの広角化が未だされていない所でしょう。
既にDagorなどの優秀な広角レンズはあったものの、主流のTessarと較べて明るさに劣り、当時でもDagorつきは少数派だったと思います。
69はどうしてもサイズが大きくなるので、気楽な携帯は、頭がおかしい私でも躊躇する所です。
645から66で、小型軽量なシフトカメラは夢ですね。
戦後に目をうつしても、645,66の標準レンズつき蛇腹カメラは星の数ほどありますが、シフトを考えなくても広角がついたカメラは十指に満たないでしょう。
エンボイワイド、SWC系、GS645W、645S、GA645W、GA645Z,BronicaRF645, NewMamiya6..GF670Wも入るかな。
ただし645と考えると、変にシフト機能で重量化するより、軽量66-69をトリミングしてしまう手もあります。
しかしそれには、周辺まで余程高解像力のレンズでないと耐えられない。
昔ベリワイドII、47/8を縦位置撮影し、上半分をトリミングしてシフトのかわりにした時、f16〜22に絞ったにも関わらず周辺画質が不満足だった経験をしました。
ハッセルブラッドSW系トリミングでは、あまり大きな効果は得られませんがスーパーアンギュロン47/8よりはだいぶ画質が改善しました。
ただし一回り大きなサイズからのトリミングは、広画角は期待できない。
ブロニカのRF645や、マミヤ6が出た時、超広角の交換レンズが出ないかと待ちわびました。結局でなかったのが残念無念です。
RF645で30-33mmが出ていれば、気軽にトリミングによる疑似シフトが出来たのになあと。
それとフォトキナのアンダーテーブルに、フジTX-1のレンズを共用するフォーカル645があったそうです。何故出さなかったのか返す返すも残念です。
その末裔がGFXなのかな、と横目で見ています。
余談ですが、35mm用シフトレンズ、α7Rでステッチすると、36x54mm、約7千万画素の画像になります。古い設計のレンズでは絞っても周辺画質は不十分ですが、なんちゃってGFXとして楽しんでいます。


このカメラは手作りに近い量産品で、1995年から97年にかけてロンドンに存在したJack Tait Cameras LTDで製作された。http://somakray.blogspot.com/2011/02/superwide-6x9-by-jack-tait.html
特徴が多いシフト広角カメラで、ホルダーなしで2kgと重く、手持ちを考えていない構造なので三脚固定が前提だが、シフト撮影の便利さは最高クラスであろう。


1,内蔵光学ファインダーはシフト移動に対応したフレームが得られる。
2,ファインダーは縦横切り替え。
3,ボディのスライドは縦方向±17mm、固定ノブ、クリックあり。
4,レボルビング可能。
5,グラフロックバック交換式。ホースマンロールホルダーも使える。
6,ピントグラス装着可(シルベストリが付属していた)ベローズルーペ装着可。
7,スライドは上下が基本だが左右移動はカメラを横倒しで対応可能。
8,標準47mmf5.6の他に専用レンズボードでレンズ交換可能。65mmf8が付属していた。
画像は最大ライズした状態


非常にしっかりした造作で、プロシフトがレバー1箇所でスライド固定するため開放では片ボケすると指摘されたのに反して、各部の剛性感は信頼できる。
レボルビングバック。ロックはなくグリーシーなフリクションで止まる。45度位置にしたのはわかりやすくするため。


残念ながらTait氏はカメラ製造から手を引き、特殊なアナログドローイング機械製作に移行しているらしく、新品で入手するのは難しそうだが、機会があれば触ってみて欲しい。(最近個人のページも閉じられてしまった)
交換レンズ,スーパーアンギュロン65mmf8.ヘリコイド距離指標は点だけなので自分で目盛るかピントグラス確認を要する。


その後も広角で手持ちができる中判カメラへの思いは続いており、コダック オートグラフィックスペシャルにダゴール100mmを載せました。残念ながら(焦点距離が違うので)距離計は使えませんが、広角で暗いレンズのため目測で使える感じで、画角も広く良いです。しかし1ロール5コマしか撮れないのが持ち出しにくいです。
上記カメラは6x14cmぐらいの非常に細長い写真が撮れるので、ビルのような建築物用なら、いっそ片側をマスクしてコマ数を増やしつつ、シフト効果も得ることはできるのですが、そこまで用途が固まっているわけではないのでやっていません。シフトができる初期の蛇腹カメラに乗せるほうが便利かもしれません。その点、もともとダゴールの付いているロールテナックスというものも(高いですが)ありますが、なんとせっかく画角の広いダゴールなのに、前板が簡略でシフトできないのが、「なんでやねん」という感じです。
ヴェストポケットテナックスの75mmを6x9カメラにつけるのもいいかもしれません。僕はたためるカメラが好きなんですが、広角レンズはダゴール等の一部を除いてテッサー型等より寸法が大きいので、こういう「畳める」「広角」「中判」「シフト」となると素材が限られそうです。


既製品のシフト/広角カメラはいずれも重量級で、日浦様が構築されたクラシックフォールディングカメラへの広角装着は、憧れを持って拝見しています。
交換レンズが使えて、比較的軽量な機種はベルクハイルがあげられますが、フィルムホルダーが必要です。
主流の6.5x9より大きなフォーマットは不人気ですが、パノラマサイズにするならいい選択かもしれません。
またアオリはできませんが616フィルム機のジャンクをフィルムホルダーとできないかなど。
手元に豆粒のようなダゴール75mm単体があり、どうしようか楽しく迷っています。


ニコノス(MF)とレンズ
ニコノスは日本光学が発表した全天候型のカメラで、耐水圧50mのボディーを持つレンズ交換式の目測カメラです。
フランス製のカリプソ フォト(:Calypso Phot)をその始祖としていて、TからXまでの5機種が発表されました。
(途中何回も小改造が施されています。)
分類上は大きく分けて3種と考えて良いかもしれません。
・Nikonos T、U (カリプソベースの小型メカニカル機)
・Nikonos V (ニコンが設計を見直したメカニカル機)
・Nikonos W-A、X (ニコンEMベースの自動露出機)
(大変類型的に分類されたサイトが有ります。画像はそちらを参考にされると良いと思います。)
ニコノスを語る上で避けて通れないのがカリプソです。
1956年頃、ベルギーの航空エンジニアであったジャン ド ウーテルと海洋学者のジャック イヴ クストー は
フランスのダイビングギアーの会社だったスピロテクニック社と小型の水中カメラの開発を始めました。
(実際にカメラを製造したのは同じくフランスのアトム社でした。)
クストーは海洋調査船カリプソのキャプテン。ウーテルはメンバーとして船に乗り込んでいました。
ちなみにスピロテクニックはアクアラング、最近はBCLといいますが、クストーとエミール・ガニヨン技師によって
開発された水中呼吸器のアクアラング社の親会社です。
翌年、試作機”スピロ”が完成します。
スピロの試作機はニコノスTの黒色部がアルミの透明アルマイト仕上げの様な姿をしています。
前後してSOM Berthiot社は水中用レンズ、35o F3.5 を開発します。
1958年になってスピロは改良されながら気密カメラとして上市されました。(アンダーテーブルに近かった様です。)。
特殊な用途のカメラでしたので派手な販売キャンペーンを打つ様なものではなく、研究機関や軍関係向けだった様ですが良く判りません。
同社のカタログにも載せていなかった様です。
スピロは逆ガリレオタイプのファインダーと1/1000の高速シャッターを持っていましたが、当時のフイルム性能では
水中で1/1000は切れません。その他。リワインドクラッチ部、フラッシュソケット部、フィルターネジがレンズに無い。等々いくつかの問題?を持っていました。
元々スピロテクニックはカメラの会社では有りませんでしたので、その販売や改良には早々に限界が来ることは
当初から認識が有ったそうです。
そこで、販路/生産拡大のために1961年5月に帝国酸素株式会社(現日本エア・リキード株式会社)を介して
日本光学に技術提携の話を持ち込んだそうです。
スピロはこの頃、クスト-とウーテルが乗っていた船の名をオマージュして”カリプソ フォト”と改名されます。
さらにその後、”カリプソ”になります。
この頃になってカリプソは海洋関係者間では広く知られる様になってきました。
その ”水面下”ではニコンはEC圏(フランス含む)以外の地域でのカリプソの独占的な製造販売権を得ます。
但し日本光学はレンズにはあまり興味を持たずにボディー構造とマウント構造を評価していたようです。
一方、日本光学は1956年5月にニコンS2用の水中ハウジング”Nikon Marine"を発表します。
しかしニコンマリンは高価で重く、市場性については疑問が有りました。
そこで1962年1月にスピロテクニックと技術提携を決め、フランスとEEC圏はスピロテクニック、
その他の地域ではニコンが独占的な生産と販売権を得る事になりました。
1963年3月の第8回のフォトキナでニコンはカリプソにマイナーな改造を施した”ニコノス”を発表します。
当時のアドで金魚の入ったアクアリウムに入れたニコノスが有ります。
精密カメラがむき出しで水中に置かれているのはかなりのインパクトが有ったそうです。
これが後のニコノスTです。
ニコノスにはすでに距離計連動機用で定評の有ったS型用広角レンズのW-Nikkor 35o F2.5 が装着されていました。
ニコノスは大口ユーザーのアメリカではU.S.Diver社が特約店になりました。EC圏ではニコノスの商標がすでに使われていたため、”カリプソ ニコン”として販売されました。
このあたりが、ニコノスTとカリプソ・ニコノスの分類に混乱を招いている様です。
と判る範囲で書きましたが、実は細部のカリプソの経緯は良くわかりません。
あまり確かな資料が有りません。フランスのサイトやアメリカの資料等を参考に書いています。もし違う所が有ればご指摘下さい。
・カメラ
NikonosT
:1963年にカリプソをベースに若干の改良を加えて販売されました。
高水圧がかかっても安定的にシャッターが切れる様に、押し込みタイプではなく、巻き上げ兼用の扇動動作のシャッターレリーズ機構を持ちます。
開いたレバーを押し込むとシャッターチャージと巻き上げが行われ、もう一度僅かに開いたレバーを押し込むとシャッターが切れます。
シャッターは1/30〜1/500。 シンクロは1/60 とスワンベースのFP級バルブ対応になっていました。
シンクロタイミングの変更は底部のシンクロソケットで接点を選択する様になっています。
フイルム圧版は板バネでフイルムゲートに押圧されています。まだヒンジ構造にはなっていませんので、フイルムは圧版の隙間に滑り込ませる様に装填します。
巻き上げにはスプロケットを使用せず、巻き上げスプールを徐々に回転量が少なくなる様に回転させて行います。
このため若干コマ間隔がズレる欠点が有りました。
このスプール部は巻き上げ時以外はクラッチが切れていて、フイルム巻き戻しはそのままノブを回転させれば可能です。(情報ありがとうございます。)
ボディーはレンズを外すとファインダー/シャッターユニットとボディーシェルが外れます。
ファインダー部には乾燥窒素が充填され、水中での雰囲気温度変化による飽和湿度でのクモリを防止しています。
ファインダーはブライト式のアルバダタイプになりました。倍率は0.63倍です。
あくまでもこのファインダーはアイポイントの狭い”陸上用”です。水中ではフレームファインダーでないと使えません。
ボディーは真空引きしたボディーシェルを塗料に漬けて塗料を含浸させ、ダイキャストの”す”を塞ぐ工法で作られています。
カタログ上50mの耐水圧性を持ちます。
このあたりは潜水艦に搭載された潜望鏡や双眼鏡の技術が有ったから出来た様です。
ニコンは当初、ニコノスを全天候カメラとして売り出しました。TVCMも作られ、当初はかなりの勢いで販売が伸びた様です。
特に海外のネイビー関係にはかなりの数が出た様です。
ただその勢いもカメラの特殊性から一般的には使い辛くすぐに下火になってしまいました。
ところが救世主が現れます。
1965年に封切られた007”Thunderball” の中で腕時計型ガイガーカウンターとリンクした水中カメラとして登場すると、
あっという間に話題となり在庫がなくなったという逸話が残っています。
とはいえ、その撮影方法は有る程度の技術を要する事に変わりは有りません。
NikonosU
:1968年に発表されたNikonos の改良タイプです。主な改良点は
・リワインドポジションがシャッターダイアルに設けられました。
・巻き戻しクラッチが内蔵され、シャッターダイヤルにリワインドマーク”R”が設けられました。
・リワインドノブが樹脂コートされた金属クランクに変更されました。
(巻き戻しクランクの樹脂が割れているものが有りますが、機能的には問題ないと思います。)
・圧版上部にヒンジが設けられ、フイルム装填が少し楽になりました。
・この機種の初期型はトップカバーが金属製。途中から樹脂製になりました。
この機種の時代に35mmだけだったレンズラインナップに28mmと80mmが加わりました。
そしてV型になる少し前に、水中用レンズとしては銘レンズの誉れ高い初代15mmが発売されました。
水中では陸上よりも屈折率差が小さくなり、光が曲がりにくくなります。
このため35oの画角はほぼ50mm相当になり、一般的にはピントを外す事も多かったのでしょう。15mmや28mmの発売は朗報でした。
初代カリプソの面影を残すのはこの機種までです。
露出と大凡の距離感覚が有れば、小型の全天候ボディーは陸上でも使い易いです。
ただ現在市中で入手可能なニコノスTUはファインダーにクモリが発生したモノが多いそうです。
一部アメリカ海軍向けにネイビーブルーのボディーが有ったとか、ホワイトのボディーが有ったとか。…そんな話も聞きます。
NikonosV
:1975年に発売された機械式Nikonosの最高峰です。
改良された主な点は
・フイルム給送システムが変更され、スプロケット送りになり、安定性が向上されました。
・ファインダーが採光式ブライトフレームになり、ニコノスシリーズ唯一の80mmフレーム入りとなりました。倍率は0.61と若干小さくなりました。(但し見易くはなりましたが、あくまでも陸上用です。)
・シンクロソケットの変更。
・それまでボディー底部に有ったフイルムカウンターがボディー上部に写りました。
・巻き戻しノブ/シャッターダイヤルの形状変更で、グローブをはめた状態でも操作し易くなりました。
これらの改良でボディーが若干大きくなりましたが、ダイバーには大変好評でした。
作動音が低いので陸上のスナップにも使い易い機種です。
なにしろ機構が安定していますのでどんな天候でも安心して使用できます。
近年ではさすがにOリングセットの入手も難しく(工業的には多分入手可能だと思いますが。…)なってきましたが、陸上で使用されるには不自由しないと思います。
V型までのニコノスは、レンズを外さないとフイルム交換が出来ません。
それを忘れて無理にシャッター/ファインダー部をフックで持ちあげてボスを破壊することにならない様にご注意下さい。
それとV型ですが、フイルム圧版の先端を固定するためにボディーに小さな樹脂パーツが付いています。
このパーツにヒビが入っているものが散見されます。購入の際にはチェックされるのが良いです。
Nikonos W-A
:1980年発売の自動露出が搭載された機種です。
内部はほぼ同時期に発売されたNikonEMのメカニズムを流用しています。その他、多岐にわたって改良がほどこされています。
・ファインダーがハイアイポイントタイプのブライトフレームになり、水中でもマスク越しになんとか見える様になりました。
(感想には個人差が有ります。ブライトフレーム照明する灯りが有るかは…。)
ファインダー倍率は0.55倍です。
(シャッタースピードの表示は有りませんが、簡単なインジケータは有ります。点滅は露出範囲外です。)
・シャッターはオート1/30〜1/1000。マニュアルはメカニカル1/90(シンクロ)とバルブです。このあたりはEMそのものですね。
・巻き上げが分割巻き上げ可能になりました。
自動露出専用機で、マニュアルでのシャッタースピードが出来無いのが欠点とされていますが、
水中でマニュアルに切り替えて撮影する場合が本当に一般的なダイバーに多いかというとそうでもない感じがします。
それよりもシャッタースピードの表示が無いのでいったいどの程度で切れているのかが判りません。
また、Oリングの使い方が変わり、片側ヒンジのボディー構造と、引き回しの形状が旧機種に比較して多角形的となり、リークの可能性が高まってしまいました。
(Oリングによる防水は、Oリングを潰して防水するのではなく、水圧がかかってOリングが隙間に押し付けられる事で機能します。
その動きがスムースになる様にOリングにはグリスを塗りますが、
引き回しを多角形にすると、折れ曲がった部分の動きや、見かけのゴム硬度が変わってしまい水密性能が下がってしまいます。)
もう一つの問題は、露出制御にフイルム面反射光を使っていますので初代の15mmの様に後部の突出量が多い
レンズでは自動露出が使えません。(という事は実質使えません。)
Nikonos X
:1984年に発売されたNikonosの最終タイプです。W-Aの欠点部分を地道に改良しました。
主な変更点は、
・Oリングの使い方が変わって、リークの可能性が減少しました。(W-Aより少し開けにくい感じがします。)
・ファインダーにシャッタースピードが表示される様になりました。
(水中で良く見えるか?…)
・マニュアルのシャッタースピード設定が可能になりました。
・ボディーの塗装はオレンジとグリーンが選択できる様になりました。
発売時期がバブル時代と重なります。
従ってアクセサリー類や解説本類も大変充実した時期でした。
現在とは比較にならないほどダイビング人口も多く、
街中のダイピングショップでOリングやシリコングリス、参考書類が容易に入手できました。
この機種がMFニコノスの最終機となったのは一抹の寂しさを感じます。
・レンズ
ニコノスのレンズはカリプソ時代のある意味特殊な
・SOM Berthiot 35o F3.5
・Angenieux 45mm F2.8
・BOYER PARIS - SAPHIR 35o F3.5
等を除くと、ニコンとSea&Sea社のレンズがメインになります。
最近ではSONYα7用の水中ハウジングにニコノスレンズ用のポートが用意されていて、往年の使い方もできる様にはなりました。
ニコノスのレンズはフイルム面との距離をボディーのフランジで規定しているのでは有りません。
堅牢なボディーとは云え大水圧下ではボディが歪みます。それではどうしているのでしょう。
実はバヨネットのツメの裏側が位置規制に使用されています。そのため、ボディーシェル部とシャッターユニットは分離されています。
ボディーが歪んでも、レンズとフィルム間隔が変わらない様に大変優れた設計思想の元で作られています。
Nikon
・Nikkor 80mm F4.0
:4群4枚 水平画角 陸上30°20′水中22°45′最短撮影距離1m。
水中でも使用可能ですが、水中での画角が105mm相当になりますので、陸上用と割り切った方が良いと思います。
専用の陸上用ファインダーが用意されていました。(蛇足ですが、この陸上用80mmファインダーは85mmレンズのファインダーとしても使用できます。)
・W -Nikkor 35mm F2.5
:5群7枚 水平画角 陸上60°水中43°30′最短撮影距離0.8m。
往年のS系ニコンに用意されていたレンズ前面に防水用の硝子を配して水中用にしたレンズです。
ニコノスといえばこのレンズが看板になっています。陸上ではスナップに使い易いレンズですが、水中では50mm相当の画角となり、ピント合わせに神経を使います。水中接写アクセサリーが使用可能です。
このレンズ、後年に実はあるシステムの開発にとって大変重要な働きをしました。
・UW-Nikkor 28mm F3.5
:5群6枚 水中水平画角 59°最短撮影距離0.6m 1968年
このレンズもS系28mmレンズの前に厚めの凹レンズを配して、水中専用にしています。
専用の水中ファインダーが用意されていました。 昔、ニコンのサービスセンターで、G1を外したら陸上で使えないか?と聞いたところ十分絞って下さいと云われたことが有りました。
・UW-Nikkor 20mm F2.8
:7群9枚 水中水平画角 78°最短撮影距離0.4m 1985年
水中用Nikkorとしては最後に発表されたレンズです。ピントの合わせやすさやその他のバランスがよく、
最初に使われるレンズとしては最も適しているかもしれません。
ヌケの良いレンズとしても良く知られていますね。
・UW-Nikkor 15mm F2.8
:5群9枚 水中水平画角 94°最短撮影距離0.3m 1973年
伝説の準対称型レンズです。銘レンズとして有名なレンズですが、対称型故レンズ後部の突出量が多いので、
W-A以降の機種では使えないと思っても良いと思います。このクラスでは少し絞るとピント合わせに
然程気を使う必要が有りませんでした。最近のハウジングで使用した際はどんな感じでしょうか。
・UW-Nikkor 15mm F2.8N
:9群12枚 水中水平画角 94°最短撮影距離0.3m 1980年
MFニコノスレンズの中では最高峰と云われたレンズです。レトロフォーカスタイプとなりました。
レンズ後部の突出がなくなり、W-AやVでも自動露出が可能になりました。
色の再現性がとても良いレンズで定評が有ります。但し歪曲が旧タイプよりも大きいと云われていますが、一般的に水中でそれを感じる事は多分無いと思います。
・LW-Nikkor 28mm F2.8
:5群5枚 陸上水平画角 74°最短撮影距離0.5m 1983年
このレンズは陸上専用です。 専用のファインダーは用意されませんでしたので、ボディーファインダーの視野全体を使用します。 シリーズEレンズとして用意されたレンズを流用しています。
Sea&Sea
Sea&Seaは水中写真の世界では、良質な水中ハウジングを提供する世界的にみても大きな企業です。
このメーカーでもニコノス用の水中レンズを供給していました。ただ十分な資料が見つからず、是非情報提供をお願いしたいと思います。
後発だけあって、全てのレンズがニコノスW-AやV型のTTL測光に対応しています。全般的に軽量で小型のタイプが多いです。
・WL-20mm F3.5
:水中水平画角 79°30′最短撮影距離0.4m
ニッコールの同スペックレンズに比較して0.5AVだけ暗いレンズですが、小型軽量なレンズとなっています。
価格的にも手頃でした。後述する17mmのレンズ用ファインダーにマスクを付けて使用します。
・WL-18mm F3.5
:ニコンに用意されていないスペックのレンズですが、極短期間だけ販売されていたレンズの様です。
ちょっとナゾの多いレンズで、個人的には1度見かけただけです。外観は後述の17mmとそっくりです。
・WL-17mm F3.5
:水中水平画角 86°最短撮影距離0.35m
このレンズもニッコールには無いスペックです。前述の18mmの改良版です。
ボディー全体が硝子フィラー入りの樹脂で出来ていて、ドームポートを彷彿させる様な外観をしています。大きさの割には軽量です。
専用の水中ファインダーが用意されていました。
最初、G1がドームポートだと思って大気中でもピントが合うかなと思ったのですが合いませんでした。
・WL-15mm F3.5
:8群10枚 水中水平画角 90°最短撮影距離0.3m
ニッコールの665gに対して365g、と大きさも定価も約半分でした。コンパクトな超広角レンズは水中では重宝します。イルカの撮影には非常に使い易いレンズと聞いた事が有ります。
・SWL- Fisheye 12mm F3.5 最短撮影距離 13mm
:水中用レンズでは希少な対角画角167°のフルフレーム魚眼レンズです。 Sea&Sea製では最も後期に販売されたレンズです。
画角150°20′の専用ビューファインダーが用意されていました。ここでは触れませんでしたが、 ニコノスRSの13mmに匹敵するレンズで、大変評価されたレンズでした。
現在でも探している人が多いと聞いた事が有ります。
・WCL-16mm F3.5
:このレンズはUW-Nikkor 35mm F2.5 に装着するフロントコンバージョンレンズです。
35o 水中43°30′の画角が91°になります。
水中で画角交換可能な唯一のレンズです。(ニコノスのレンズを水中で交換したという事故は意外に多かったんです。)
その後、ニコノスはNikonのAF技術を( F-601?)を取り入れたNikonos RS に進化します。
AFと高度に水中補正された光学系は、史上最高の水中システムとなりました。
しかし周囲は失われた10年(20年?)とハウジングの時代に突入して行きました。
画像は Sea&Sea 17mm と15mmファインダーです。ファインダーもNikon純正品より小型です。
(本来ならファインダーの前に17mmのマスクを付けるのですが…。)
水中撮影の魅力的な被写体は、水中生物たちが大きな位置を占めています。
巨大な生物もいますが、接写でないと認識できないほど小さな生物が多いでしょう。
ニコノスシステムに、近接撮影装置が加わるのは必然でした。
でも、基本的にニコノスは一眼レフではないので、焦点を目で確認することはできません。
そのため、すべてフレームを被写体に押し当てて(または焦点面に持ってきて)撮影する形式になります。
ニコン純正接写装置は、クローズアップレンズ(2群2枚、焦点距離23.5cm)であり、アクセサリーシューとレンズの2点で固定される。
レンズ下部にアームを設置し、その先に装着するUW28mm,W35mm,W80mmそれぞれに対応するフレームが付属している。
28mm撮影倍率:1/6倍(水中のみ)144x216mm
35mm:1/4.5(水中)109x164mm,1/6.5(陸上)155x233mm
80mm:1/2.2(水中)53x79mm,1/3.2(陸上)71x106mm
陸上ではレンズの画角が拡がり一回り大きな範囲が写るため、水中用フレームが写り込んでしまう。
そのため35mmでは28mm用の、80mmは35mm用のフレームを使うことが推奨されている。(80mmは大雑把過ぎるので写り込んだフレームをトリミングするほうが私は好き)
またI,II,IIIとIVA, Vとはアクセサリーシューと光軸との距離が異なり(IVA, Vの方が遠い),I, II型用はIV,Vには使えない。
IV-A時代に出たニコノス水中接写装置は取り付け部分に余裕を持たせてあり、IV-A, III型用と書いてあるが、I,II型にも装着可能、もちろんV型もいける。
かなり嵩張るものだが,アームは太く頑丈で,水中で脱着できるので遠景と近接の両方が撮影出来る。(実際にはちょっと大変だが...)
また撮影距離がクローズアップレンズ先端から235mmと固定されているため、スピードライトSB101ではISO100の場合マニュアル発光1/4、f16-22(水の透明度、被写体や周囲の反射率による)で適正露光になる。
サードパーティには、Sea&Seaと、不明の会社から中間リングが供給された。中間リングは水中専用で陸上では焦点が合わない。
Sea&Seaには、少なくとも3種類の倍率に対応した製品があった。28mm用1種類(不確実)、35mm用3種類(不確実)で、具体的な倍率は今はわからない。
35mm用M3は、約20cmのアーム先端に、7cm程度のロッドを2本ねじ込みフレームにする。おおよそL判が入るサイズ。非常に華奢なロッド取り付け部なので既にぐらぐらだ。多分エントリーで破損すると思う。そのためか、アームに2本のロッドを収納しておくホルダーが付いていて(写真右)、撮影直前にセットするのだと思う。
2号はリング部分だけ3ドルで購入、改造目的だったが、アームを自作してもよいかと最近思う。2号のリングは厚いので3号より高倍率と判断できる。1号は見ていないがさらに高い倍率なのだろう。
製作所不明の等倍リングも通販購入した。35mmで等倍だから、一般的な50mm用チューブより随分コンパクト。
写真:私の接写セット。ニコノスIII、35mmf2.5、
左:等倍チューブ、Yellow-Sub20ストロボ。固定距離だからフラッシュもマニュアル。正直画像がどんな絵になるのか想像できないが、手を伸ばして被写体に押し当てるだけなので滅茶苦茶楽。
中央:Sea&Sea 35M3 ビューファインダーカメラで接写する際は絞り込むほうが良いが、光線条件が厳しいのでフラッシュを使う。
右:エントリー時や、激しく動く時にアームプレート下面のホルダーにフレームロッドを収納する。


これはAquaticaというメーカーが出した、ニコノスにニコンFマウントレンズをつけるアダプターです。
ドームポートと、水中専用魚眼ファインダーが付属しているので16mm用なのでしょう。
やろうと思えば10mmでも8mmでも入れられると思いますが。
海外通販で、レンズ側のギア欠品のためジャンク扱いで、改造して陸上でFマウントレンズを超静粛なニコノスで使うつもりで購入しましたが、よい出来なので惜しくなって、そのまま10年以上塩漬けにしています。
ポートが巨大すぎてIIIではファインダーに干渉して取り付け出来ません。IV-AかV専用なのですね。


カメラにセットすると前方への突出が少なく(といっても現役時は巨大と認識されていましたが)コンパクトです。
ファインダーが大きすぎて、絞り・距離指標は左手側横向きに付いています。
フィルム・シャッター面測光のIV-AとVではセンサーを遮ってしまいますから、特にオート専用機IV-Aでは使うことすらままなりません。(フラッシュ専用になってしまう)
そのため逆望遠を強めて後玉の突出を押さえ、上記機種でも問題なく使用出来るUW15Nが供給されました。
二台を並べてみます。使用する時のサイズが段違いです。
写真,上:左旧型,右新型, 中:旧型をセットしたニコノスIII,旧型ファインダーつき.下:新型をセットしたニコノスIII


あッ! 先に出されちゃった。〜(わら)
このアダプターは”アクアレンズ”って云うんですよね。我が家にも2セット転がっています。
B&Hのセールで買ったんですが、1台はマウント周辺だけ切り出そうと思っていましたがそのままです。
妙に作りが良いのと、やたら重いのが特徴です。


負けた...
>1台はマウント周辺だけ切り出そうと思っていましたがそのままです。
誰しも考えることは同じですねえ...
数年前友人にVを譲渡したので、ファインダーが付くカメラがありません。ちゅうかこの写真撮る時に気付いた...
Vは陸上用として優秀なので、いずれ1台は欲しいのですが...
写真:LW28/2.8 これファインダーはどうするつもりだったのだろう。当時供給されていないと思いますが。


これはですね、ニコノスV(W-A)のファインダーのフルフレームを使うんです。
ちょうど M3のファインダー全体が35mmに無理やり使えるみたいな感じです。


視野の曖昧さがスナップにぴったりです。するとIIIでもいけるかも。
IV-Aはハイアイポイントで、初めて水中でゴーグル越しに35mmフレームが覗ける内蔵光学ファインダーだったと思います。
ブライトフレームが入っていないカリプソは論外ですが、IからIIIまで、水中では外付けフレームファインダー(またはSea&Seaの水中用光学ファインダー)しかまともなフレーミングできませんで、でもBCDのポケットに放り込むには単体で持ち込むことになり、ほとんどが中心だけ見てだいたいのフレーミングしかしませんでした。反省。
左Calypso phot,右ニコノスI カリプソはシリアル32なので相当初期だと思いますが、シンプルな機構のおかげか快調です。nikonos Iは友人のを譲渡されました。塗りが顔が写る程綺麗。多分一遍も海に入れていません。それも情けないですが...


水中ではなくスキー場での撮影です。斜面をコロコロ転がり落ちています。ダイナミックな撮影が出来るそうです。
勿論レンズは35mmです。
もう一つ。ニコノスのボディーがバラバラの状態からストップモーションで一つになるCM。
どちらも良い味出しています。
あッ! それからもう一つ。旅行の時のご注意。
ニコノスのV型までとレンズは出来れば機内持ち込みにして下さい。


ニコノスよりもずっと以前です。
その一端がハイドロルサール(:Hydrorussar)そうあの超広角レンズとして有名なレンズの系譜ですね。
ご参考に。(www.photohistory.ru/index.php?pid=1207248190130158)
しかしニコノスでTVCM...そんな時代があったんだ.宣伝費に見合う収益があったとは思えない(涙
今カメラのCMは,EOSくらいしか知りません...
写真:初期15mm用ファインダー.ボディを上下にくわえ込む頑丈さ.


現在では透明度の高い接着剤やシリコンゲルが有るのでもしかしたら陸上レンズに変身するかもです。


それと相当大きめのステップアップリングを使わないと四隅がけられてしまいます。
ぱっと見はなかなかシャープそうですね。
レンズ前の液体は水と同じ屈折率が理想ですが、水より屈折率が大きければオーバーインフになるでしょうから、少し繰り出せば合うはず。
そのとき歪曲がどうなるか興味あります。


歪曲は撮り方が撮り方なので評価できませんでしたが、ピントは来るなと思いました。
>20mmf2.8で無限遠は来ますが歪曲がかなり現れるようです。
空気中でピントが来るというのが良いので他の部分は目を半目にしましょう。
>屈折率が大きければオーバーインフ…
これが難点なのです。水はn=1.333 ですが、シリコンがn=1.4 くらいなので最近のOCR (:Optical Clear Resin)ゲルなら挟めば使えるかなぁと。


エヴァ・マリンという軟質の水中ハウジングが有ります(同種のものは他社でも出ています。)本来、中に普通のカメラを入れて水中で使用するのですが、
この中にニコノスと海水を入れて、Oh! 陸上でも使えるなどと仲間内で遊んでいました。
たしか28mm付のニコノスをエヴァ・マリンの光学ガラスにくっつけて撮っていたと思います。


すばらしい!逆転の発想ですね!
フィルター径58mmの接続をなんとかすれば、今でも使えるでしょう。


水中に入れる事は出来ません。
中身は、名レンズと評価が高いAis28mmf2.8ではなく、5枚構成のニコンレンズシリーズEからAiAFニッコール28mmf2.8に引き継がれた簡易版。
でもLWニッコールは目測で寄れませんので、フローティングは要らなかったわけです。
性能は極めてシャープ。先日改めて無限遠テストしてみたら、ごく四隅を除いて素晴らしく均一で高解像。実用十分です。
個人的にはフォーカルプレーン、ビューファインダーカメラなのですから、何も一眼レフ用レトロフォーカス広角をあてなくとも、ニコンS型用の28mmや、少し時代は進みますが高級コンパクト28Ti用のバックフォーカスが短いレンズを当ててくれたらどれほど嬉しかったか。
でもこのレンズは良く写ります。
私は一眼レフ用メタルフードをレンズ保護代わりに付けっぱなしにしています。
ポートアイランド北公園 ニコノスV、LW28/2.8開放,1/30手持ち、フジ業務用400


水中専用という可能性もあったのですが、前面は平面ガラスなので陸上も期待しました。
ハウジング部分が重く、15mm新型より嵩張ります。
アクアレンズに16mm入れるより平べったいので少しはまし。
さて、ちゃんと無限遠から使えます。性能も最高とはいわないけど、懸念は払拭されました。中心は非常にシャープ。周辺もまずまず開放からピントが来ています。
ただし、付属のファインダーは水中専用で、陸上では焦点が合いません。
外付け魚眼ファインダーなんて、普通は売ってません。
幸いミラーアップ魚眼ニッコール用が何故か手元にあり、マスク付けて対角線対応すればよいのですが、シューマウントをニコンF用から普通のに変換しなければ。
ポートアイランド北公園 不明オブジェ ニコノスV、17mmf4開放、1.30
翌週中判を持って再度撮影に行ったら撤去されていました。
陸上ファインダーを用意していかなかったので完全山勘フレーミングです。


散々迷ったのですが、フィッシュアイは使わないと思っていましたので控えておりました。
元来はとても小型の瀟洒なレンズですが、さすがにハウジングは大きいですね。でも頑丈そうです。


本当はSea&Sea12が欲しいのですが,陸上でも使えるならと17にチャレンジしてみました.
efunon様お持ちの超広角タイプ17mmは樹脂で軽量化されているようですが,Takumarのハウジング部分はアルミダイカストで前面ガラスも肉厚かつ大面積のため非常に重いレンズです。元のレンズが超小型なのでこれで収まった感じ。ニッコール16がベースなら想像するのも怖い。
ちょっと心配していた,レンズ取付部が重量で浮かないか,ですが試写の具合では片ボケ傾向は見られず安堵しています。
ただこの重量というか比重,水中バランスを崩しそうなレベル.ストラップとか別の部分で中性浮力に近づけないと頭が下がっちゃいそうです。
いや今更水中に持ち込む予定は当分ありませんが....
視認性はレンズ前面から絞りと距離が見えるのでまずまず。もう少し表示が大きければ夜でも見やすくなるんですが...
まずファインダーをなんとかしないとずっと山勘になるんですよね。


efunon様のご解説で、数が少ないということです。
この度ジャンクボックスから回収しました。
残念ながら専用ファインダーはなかったので、Sea&Seaの15,20,28アルバダ枠つきファインダーをあてがいました。20より少し広いと意識して使います。
サイズはUWニッコール15mm旧型と同程度。
外装はプラスチックで軽量化されています。
最短0.35m。
後玉が、旧UW15mmほどではありませんが後方に突出しており、ニコノスIVaやVのフィルム面測光を邪魔するかもしれません。
これが短命に終わり早々に17mmに交代した理由ではなかったかと。


標準Wニッコール35mmf2.5レンズ専用。おそらく無限遠位置で使うはずです。
長短の接写リング2個と、3種類の枠付きアームで構成されています。
アームは大変頑丈なワイヤーで、少々の外力では変形しなさそうです。
残念ながら、水中専用で、ニコン純正クローズアップレンズセットのように陸上で使う事は出来ません。
短リング(黄色ドットマーク)単独では1:2枠(黄色ドット)
長リング(赤色ドット)単独では1:1枠(赤ドット)
長短リングを重ねると、1.5倍枠(黄赤ドット)が対応しています。
下ニコノスVに1.5倍枠をとりつけたもの。


れんずまにあ様ありがとうございます。
多分ネットで探しても殆ど見つからないレンズだと思います。
17mmと18mmは後部を見ないとまず見分けが付かないですね。
この形状と17or18mmという焦点距離から半水面が撮れるとばか
り思っていたのですが、見事にアテが外れました。
硝子フィラーを全面に押し出した鏡室は、ペリカンのケース彷彿
させる様な外観です。
距離/絞り目盛がノブ基部に付いていて、被写界深度表も使い易
いところに有ります。
ニッコールの35mmではピントを外してしまう初心者でも救われます。


純正UW-Nikkor20/2.8より少し暗めですがかなり小型軽量です。
これはよく売れたのかよくダイビングショップで見掛けました。
すこしやれている中古品が安すぎる(と当時は思った)ので我が家へ。
でも実践出撃していません。


左はニコノスIII用のXとFP接点が並列になったもの。
水中フラッシュユニットの接点をネジ込む底の穴に取り付けます。当然陸上フラッシュ用接点は防水ではありません。
ニコノスIIIはマニュアルカメラですが、陸上用外光オートストロボを使うとフラッシュオートになります。
ニコノスIIIの接点はI, II,カリプソとは異なり,IVA, Vと共通なのでそれらにも使えますが、レディランプ(IVA),TTL自動調光(V)は当然動作しません。
右はI,II, カリプソ用のガンコネクター。
X, FPはコネクター側で切り替えます。コネクターの2つのピンを回して、小さな窓に白と黒の表示を切り替えます。
もともとニコノスはFP接点で、III型までは水中フラッシュはバルブでした。
ニコンが純正スピードライトを出したのは、IVAの時代SB-101。
ストロボは、その前から東芝がトスマリーンというのを出していました。
さて接点切替についてはニコノスIの説明書には載っていない操作なので探し回りましたが、どうも別のモデルではX, FPの表示が刻印されたようです。それによるとXが黒、FPが白のよう。
(Nikonos museum様)
タダでさえこんな小さい表示見えないのに刻印がなければ失敗が約束されたようなものでしょう。
多分無表示のこれは最初期型ではないかと想像しています。
下はニコノスIII用 O-リングセット新品。


最終型が有ればガンコネクターはコンプリートですね。
T、U型用のコネクターとW、X型用は"NIKONOS"のエンゲローブが上下逆さまなんです。


カリプソの入手難は有名ですが、そこそこニコノスIも少なくなりました。
初期のニコノスTの巻き戻しノブは上面がフラットになる様にローレット部の高さが約3mmです。
これが途中から指がかりが良い(グローブをはめていても。)様に5mmになりました。(ちょっと上面から出っ張ります。)
もう一つ良く判らない違いが有る事が判りました。
れんずまにあ様のニコノスIとカリプソの画像を拝見すると、シャッターロックの扇型のレバーがカリプソではクローム処理
なのですが、ニコノスTでは黒色塗装になっています。
画像検索でもニコノスIのシャッターロックレバーは黒色処理が大半です。
ところが初期タイプの中にはカリプソと同じクローム処理が有る様です。
幻と云われているホワイトニコノスにもクローム処理された画像が見られます。
これはどの時期に変更が有ったのかは判りませんが、ニコノスIの特徴の一つの様です。


Red data book様のご紹介のニコン博物館の画像にあるホワイトニコノスの,シャッターロックは黒で、巻き戻しノブは5mmのモデルのようです。
これよりもさらに初期があるということでしょうね。
画像検索では、白ではなく薄いグレーの貼り皮モデルもあって売りに出ています。
これも上記と同じく「後期型」の特徴です。
拙宅のIも後期のようです。
奥が深い。
当家のIは成り行きで来訪、カリプソはベルチオの35mm欲しさですので、目下グレーを注文する余裕はないと自分に言い聞かせている最中です^^;;
巻き戻しノブですが、薄さ3mmの鋭いローレットは指を削ります。
特にダイブ後のふやけた指の皮はひとたまりもありません。グローブ必須なのです。
ただし、浮上後に一服すると大概グローブを脱いでしまうので、危険です。
陸上でも、全天候で濡れた手は、危険というか実際に削れてやばかったです。
それが5mmになっても50歩100歩ですが、まあ多少ましでしょうか。
実用的にはII以降のクランクが絶対にお勧めです。


ホワイトニコノスは販促資料の画像ではクローム処理ですね。
ホワイトとは言っているものの。貼って有るゴムが白いだけですが…。
ノブのローレットは素手で触るなと云われていましたね。
そういえば、私のT型はフレームカウンターの指針が、ドットではなく短い線です。
意外に奥が深くて面白いです。


そこには鏡胴とレンズのセクション図が掲載されています。
同様な断面図が名著ニッコール千夜一夜物語-第八夜 にも「図2.W Nikkor 35mm F2.5鏡筒部内部機構図」として載っていました。
でもこの図に何か違和感が残りました。はじめはそれが何か判らなかったのですがレンズのバランスから考えると、この断面図サイズ
だと F2.5のレンズは入らないのでは?という疑問?です。
さらに良く見ると、絞りを挟んだ形状がダブルガウス用ではない?
そこでお盆も近いのでご先祖様のSOM_BERTHIOT_FLOR_35mm_F3.5 のセクションを入れてみました。如何でしょうか。
又、緑の丸で囲んだ部分も。
Nikkor 35mm を分解された事のある方ならご存知だと思いますが、この部分はOリングで機密をとっているのですが、この図ではパッキン
を使用しています。
つまりこの図は W Nikkor 35mm F2.5 用ではなくて、カリプソ用のベルチオフロール35mm F3.5 の様です。
だからと云って複雑なニコノスの構造を知る上では貴重な資料には変わり有りません。特にレンズの位置決めががマウントツメの内側に
在る構造が良く判ります。
ニコノスは機種は少ないのですが、生産数が一般のカメラよりも少ないので色々と判らない(知らなくても何も困らない?)事が多いです。




このレンズの図を見て不審に感じる点があります。この図だと、レンズの鏡筒は内ボディに嵌合するバヨネットまで一体になっていますが、少なくとも手持ちのレンズ(35mmF2.5)ではそうなっていません。ご存じの方は多いと思いますが、耐圧殻であるシルバーの外装部分はOリングのあたりまでで、外ボディと一体となって水圧を受ける構造です。それに対して内部のレンズ鏡枠・絞りなどは黒色のパーツになっていて前後にかなり動き、カメラ側の内ボディ(上から差し込まれる部分)と嵌合することでバックフォーカスが水圧によって変化しないようになっています。
カリプソのときのベルチオは設計が違ったのか、それともこの図面がいいかげんなのか?特許などの関係で省略したのか?いろいろ想像がめぐります。そもそもボディとレンズが接する部分もこんなに単純な造形ではないですしね。


カリプソの特許書類にはマウント部の構造が模式図では有りますが、別図でもう少し詳しく載っていますね。


IIは持っていなかったので漠然と探していましたが、興味深いので手を出しました。
付属品がサードパーティから供給されていたのですね。
巻き上げは反対側に大きなレバーがついて、親指で巻き上げ操作と同じ動作でシャッターが切れます。操作は楽ですがミスファイアしないよう気をつけないと...
アダプタ装着でシャッターダイヤルが少し回し辛く、表示が見難くなりましたが無理というほどではありません。撮影後レバーが起きている時のほうが速度変更しやすいかな。
UW28mm初期型の、細いフォーカスおよび絞りノブには太いカバーがかぶせられ芋ネジで固定されています。
これは太いだけでなく、距離および絞り目盛りがカバーに刻印され、上から直読できるようになります。
レンズ前面に白いプロテクターをつけると、前面から28mmの距離/絞り表示が見辛くなるので、この追加表示は大変有効です。
後期ニコノスレンズのノブは太く、鋭いギザがなくなったので、ユーザー評価を取り入れたのでしょう。
皆様ご存知の通りニコノスIIは巻き戻しがクランクになり、クラシックなI型より使い易くなりました。35mmに付け替えて、春雨の中で使ってみたいです。
残念ながらこの個体はファインダーが薄曇り。efunon様も触れられていましたが、密閉なのに何故...


長く探した12mmをようやく入手しました.できた頃にはペーパーダイバーになってしまいましたが...
ニコノスRSの13mmや前に紹介したアクアレンズと比べて圧倒的にコンパクト.
多分これを装着した1台+近接標準1台の2台体制でいくだろうから,小型なのは大きなメリット.
純正のウエットスーツ生地レンズカバーが付属しています.


フィッシュアイ としては遠いので物足りないと感じられるでしょうが,フィルム面からの距離とするとレンズ先端まで15cmはあるので,ワーキングディスタンスは15cm?
被写界深度表を見ると,40cmに合わせておくと,f16で18cmから無限まで会うのです.もうそういうパンフォーカス+超近接で使うべきではないでしょうか.


今は無きマリンフォト誌で素敵な写真を見てはため息でした。
水中での距離合わせは意外に難しくて、最初に35mmで目測した時は、ヒドイ結果でした。
それに懲りて、直ぐにすでにご紹介させて頂いた17mmを購入してやっとどうにか見ら
れるものが撮れました。パンフォーカスは良いですね。
最近はSea&Seaのレンズを集めていて、15,18,20mmがやって来ました。使う予定を立てなくては…。


東側のカメラ達の多くに言えることですが、それらの歴史を紐解くと第二次大戦終結後の混乱や
冷戦構造からソビエト崩壊などの歴史的な時代の流れの中で翻弄されたその生い立ちが中々興味深い物が有ります。
今回取り上げるPENTACON sixもその例外では有りません。
歴史的な背景などは、又の機会にさせて頂きますが
今回は、今現在PENTACON sixと云うカメラとの付き合い方に重点を置いた文章とさせて頂きます。
1、概略
製造 東ドイツ PENTACON人民公社
カメラの形式 6×6一眼レフ(レンズ交換式)
ファインダー 交換式
レンズマウント Praktisixマウント(一般にはPENTACON sixマウント 通称P6マウント)
使用フィルム 120 又は 220ロールフィルム
シャッター形式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 1/1000 1/500 1/250 1/250 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1/1 B
シンクロ速度 1/25
フィルム装填 スタートマーク式セミオートマット
フィルムカウンター 裏蓋の開で自動リセット
2、型式
一般に多く流通しているのはPENTACON six では無く PENTACON six TLです
事実上同じカメラと見て差し支えありません。
TTLプリズムファインダーが発売されるに併せて、カメラの名称もTL付きに変更されたようです。
ほとんどの場合、ウェストレベルファインダー装着の形でプリズムファインダーを使う方が稀です。
3、魅力その1
基本的には万人にお勧めできるカメラでは有りません。
機械的に不安要素が有り、特に問題となるのがフィルム送りが不安定で
駒がだぶる事が頻発、メンテナンスを行っても治らないと考えるべきです。
なのに、愛好家の方々が苦労してまで使うには訳が有ります。
魅力的なのは、そのレンズ群に有ります。
CARL ZEISS JENA
ARSENAL
SCHNEIDER
更にKIEV88スクリューマントのアダプタを咬ませればSALIUT/KIEV88やHASSELBLAD 1000/1600F様のレンズまで使える。
優秀で魅力的なレンズ達が揃っています。
更に一部を除き比較的安価で買えます。
このレンズ達には様々なマウントアダプターが販売され、デジタル時代になって返って見直されているのかもしれません。
ですが、やはり元々の6×6で使うにはPENTACON sixとその互換機を使わざる得ないのが実情です。
よって数多の愛好家達がちゃんと撮れている事に喜び、時にトラブルで涙しても、次こそは!と新たにフィルムを装填するのです。
4、魅力その2
カメラボディの方はどんな具合かと申し上げると、これは好みの問題と言い切ってしまうと其れっきりになってしまいます。
ここは私の私見を述べさせて頂きます。
・重量が軽い
ウェストレベルファインダー +Biometar 80mm 装着で 約1.4Kg
HASSELBLAD 500番台とほぼ同じ位
私のメイン機のブロニカだと約2s
・ボディ形状
ライカ的な円柱を横に引き伸ばしたような形状でウェストレベル時には、自然に掌に収まり操作性が良い。
・操作フィーリング
巻き上げは意外にも滑らかで、ピッチの細かい歯車達が滑らかに回転している様な上質な感触。
HASSELBLAD 500CMにも似た感触。
・レリーズショック
ミラーはクイックリターンしませんが、それを差し引いても静かなカメラです。
ほとんどレリーズショックを感じず、ブレが非常に少ない。
私の場合、300mmで1/30でも手持ちで歩留り良好です。
今回はここまで。
スレッドのUpありがとうございます。
この姿は欲しくなりますね。コワイコワイ。
フォーカルプレーンシャッターブロニカのビオメター(ビオター)はとんでもなく高額ですが、
本家は入手し易い価格です。


標準で装備されているウェストレベルファインダーですが中々美しい造形です。
通常の使用方法以外にも、二眼レフでもよく見かけるスポーツファインダーを内蔵しています。
正面の蓋とルーペを持ち上げて、手前のアイピース?を引き上げると標準の80mm時のフレームとなります。
面白いのアイピース側の窓が台形になっておりますが、傾斜した面となるので覗き込んだときには正方形に見えます。
格納する時は、正面の蓋は予め閉じる必要が有りますが、上面の蓋を閉めるとルーペのアイピースも一緒にズルズル閉まります。
ちなみに悪いところが必ず有るのが流石です、侮れません。
ファインダーフードとして考えると、側面側の遮光が不十分です。
よって横から光が盛大に入り込んで、使いずらいのです。


実のところ、ビオメターは個人的には好きでは無いのです。
ペンタコンシックスを買うと、おまけで付いてきますので
もうボディキャップ扱いです。
ローライやブロニカだと高額ですけど。
ペンタコンシックスの場合は、本当のボディキャップの方が珍しいです。(笑)


先日処分してしまいまして、写真すら有りません。
残っていたのは、露出計無のプリズムの方です。
実のところ、実際にこのプリズムファインダーは使った事が有りません。
何故ならば、答えは非常に単純な理由です。
とにかく視野率が悪すぎるのです。
只でさえ、小さなミラーで視野率が悪いのに、小さなプリズムでいっそう視野率が落ちます。
私はブロニカSQのスクリーンを入れていますが、645時の枠の外側がやっと見えるぐらい。
ここまで視野率が低いと実用品として認めたくなくなるのです。


数あるアクセサリーの中で是だけは、まともに使えます。
折りたためないので持ち歩きするには邪魔ですが、それを差し引いても使う意味は有ります。
何も特別な物ではありません、普通のルーペファインダーです。
ウェストレベルファインダーの実用性がやや難ありなので普通がうれしいのかもしれませんね。


残念ながらレンズの良し悪しなどを上手く語る事ができません。
カメラも写真を撮る事も好きですが、その辺りの審美眼が心許ない。
とりあえず適当な作例を載せてみます。
只今、出張中なので手持ちのデータが限られますので載せられる物から張り付けることに致します。
まずはP6レンズで一番好きな SONNAR 180mm F2.8
約1.3sとズッシリとした重みも含めて存在感は抜群です。
MCとモノコートのゼブラで両方使ってみましたが、特に両者の差異は感じられませんでした。
MCモデルになりますと自動絞りとマニュアル絞りの切り替えができます。
P6の場合ボディ側にプレビューレバーが無く、レンズ側で操作する事になります。
これが意外と使い難い、それなら自動絞りをOFFにして実絞りで使うのも一考です。
私の場合は余り気にせずに使う事にしています。
それと両方はいらないと感じたのでMCは処分してしまいました。


SONNAR 180mmもさることながら300mmまで来ると重く長く持ち歩きにには苦労します。
しかしながらその圧縮感と空気感、レンズの存在感はなかなか痺れます。
重量約1.6s ゼブラだともう少し重いかも?
普通なら手持ちで使うには重すぎますしブレも気になります。
只、そこはPENTACONsix 三脚に付けようとしてもレンズの三脚座が余りに貧弱で役に立ちません。
まるで悪い冗談の様です。
私の場合はこれに対応する為にカメラ側でカスタムしている事と、ちょっとしたコツが有りまして
そのおかげで歩留まりは上々です。
カスタムの内容とコツに関してはまた改めてまとめておきます。


ただし、広角レンズは意外と選択肢が少なく事実上このレンズの一択となりがちです。
PENTACONsix/KIEV60マウントの広角レンズはほかにもありますが
意外と流通量が少なく余り見かけません。
・MIR-26 45mm F3.5
・FLEKTOGON 50mm F4
・CURTAGON 60mm F3.5
・FLEKTOGON 65mm F2.8
・MIR-38 65mm F3.5


このシリーズ全般に言えることですが、鏡胴デザインがカッコ良いです。
ライトグレーに青い線が凛々しい。
私が入手した時は普通に新品で購入出来ましたが
最近ではめったな事でもないとお目に掛かれません。
ここに張った写真では、その実力は判りませんが
ポジをルーペで覗いただけでも判るぐらいな先鋭さを実感できます。


乱暴で極論的な例と成りますが、PENTACONsixを本気で使う為に施した工夫をここに貼る事に致します。
こちらの本来の目的で有る資料的価値のある情報の蓄積とは少々異なりますが
私にはこれ位しか書く事が出来ない様ですのでご容赦願います。
PENTACONsixの最大の泣き所はコマダブリです。
他にも問題は有りますが、ここさえ解決できれば、あとは何とか成るのです。
駒ダブリの解決策として実施したのが「赤窓化」です。
実際には只の穴です。
駒ダブリですから巻き上げが足らないのです。
よって、不足分を追加で巻き足せば良いわけで、その為に裏蓋と圧版に穴を開けてしまい、裏紙の番号を見ながら巻上げます。
幸いこのカメラの場合、巻き上げレバーをストッパーに当たるまで巻き上げた後
ちょっと戻して追い巻が何度でもできます。
これでPENTACONsixの駒が気持ち悪いぐらい揃います。
穴明けの方法
・圧版 引っ張れば簡単に外れます。
圧版には焼き入れ済の板バネがスポット溶接だったか?固定されています。
私はダイヤモンドビットの付いたリューターで穴を開けました。
・裏蓋 こちらは普通のドリルで簡単に開きます。
・遮光 このままでは漏光しそうなのでドーナツ状に中を刳り貫いたモルトを窓に貼り付けました。
以後、漏光は一切なし。


といっても現在ボディはありませんが。
ほれぼれするほど仕上げ丁寧ですね。玄人です。
漠然と、皆が一斉にこの改造をやりだしたらとか、
これで人気がさらに上がって、レンズの価格が高騰したらとか、
よからぬ妄想もしてしまいました。


フォーカシングスクリーン編
PENTACONsixの泣き所として、狭い視野率と暗いスクリーンが挙げられます。
暗いスクリーンでもピントの山が見易いならそれも有りですが
ピン山が判り易くて、更に明るいならその方が良いでしょう。
1、交換用のスクリーン
スクリーンはコンデンサレンズの底面が磨りガラスになった物です。
これを取り外し、他のスクリーンと交換します。
私の個体はSQの物が仕込んで有ります。
まだSQが現行機で有った当時に行いましたので、普通に量販店で¥4,000-程で購入できました。
最近では入手は困難ですがPENTAX 67やマミヤRZ用等で66以上の物が有ればまずOKです。
2、スクリーンの加工
スクリーンの加工方法は此処では長くなるので割愛します。
拙生のブログを参考までに貼り付けて置きます。
http://yanaphoto.exblog.jp/23210510/
3、交換
PENTACONsixのスクリーンは針金状の枠で押さえつけて固定されていますが
これが視野に入り込んで、狭い視野を更に狭めています。
どうせスクリーンが薄くなるのでこの枠は使用出来ません。
枠を押えている金具とスクリーンとの隙間を何かで埋める必要が有ります。
私の場合は偶々手元に転がっていたガラエポ板を細切りにして両面テープで張りました。
表面は黒く塗っております。
上から金具で押さえているのでこれでスクリーンが浮上ったり暴れたりはしません。
写真の説明
左側 ノーマル (研究用のジャンクです、非常に汚いですね)
右側 交換済
上側 ボディ背面側
下側 レンズマウント側


ファインダーのフードの側面の高さが寸足らずで、遮光性に難が有ります。
EXAKTA66のファインダーフードが有れば一番いいのですがそんな物は有りません。
ちなみにEX66とは互換性が有りEX66のウェストレベルファインダーフードがそのまま使用できます。
無い物ねだりしても仕方が有りませんので、ここは別のフードを流量してみます。
私が選んだのはSQの物です。(たまたま改造用に持ってました)
PENTACONsixのフード取り付け部を参考に取り付け部の形状を真似た板を作って、その上にSQの物をくっ付けます。
ただし、スクリーンとのルーペの距離がSQの時より遠くなるのでルーペの交換が必要です。
スクリーンとルーペの距離えお測ると大体RZ67と同じ位になりました。
RZ67のルーペを流用しますが、ルーペ直径が合いません。
SQのルーペは外周をカシメて取り付けられています。こいつを捲ってルーペのレンズ部を外します。
RZ67のルーペの外周を削って、SQのルーペのホルダに合わせてカシメ直します。


私の場合、殆どPENTACONsixはアイレベルで使います。
ただし、純正のアイレベルプリズムファインダーでは非常に視野率が低く実用的では有りません。
ドイツ製だか?でKIEV60のアイレベルプリズムファインダーを載せるアダプターも有るようです。
幸いにもKIEV60のアイレベルプリズムは何個は持っていましたので画像を参考に自作してみました。
PENTACONsixボディとKIEV60プリズムでは干渉を起こす為、若干取付の高さが上がってしまいます。
KIEV60に付ける時よりもスクリーンから遠くなってしまう為に、倍率が下がってしまいますが
そのおかげで、スクリーン上の全視野を納める事が出来ます。
交換したスクリーンと相まって、快適にアイレベル撮影が出来ます。
お次は一緒に写っているグリップについてお話します。


大変綺麗でしたが、使おうと思う人が居なかったのか。
キエフスクリューマウントのは一時所持しましたが、簡単に自動絞りピンが折れてしまい(突出した状態でレンズを嵌めたのが敗因)、即刻ジャンクになって性能テストまでは手が回らずでした。
今回は折らないよう注意して、P6マウントKiev88に装着したら、自動絞りピンのストロークが足りないようで、レンズが開放になりません。
ピンに下駄を履かせるとか色々考えてます。まあシャッターを切った時には絞り込まれますから、普通絞りとしては使えるのでこのままでも構わないのですが、ちょっと残念でした。


6x6cm 一眼レフ
ソビエト連邦 ウクライナ アーセナル製 1984〜(これは94年製)
フィルム:120ロール専用
ペンタコンシックスと互換のブリーチロックマウント,自動絞り
シャッター:横走り布幕フォーカルプレーン, 1/1000〜1/2, B
巻き上げ:右手レバー1作動
ファインダー:スプリットイメージ/マット、TTLプリズムとウエストレベルの交換式
重量:1,160g(ウエストレベルファインダーつき,ボディ, TTLプリズムつき1,480g)
標準レンズ: Arsat80/2.8.製造年はボディ同様94年.
完全自動絞り,ただしレリーズ後ブラックアウト、巻き上げでミラー絞り復帰.
東独プラクチシックスーペンタコンシックスと同じマウントを採用したソビエトカメラ。プラクチシックスより大きく重い。
1970年代から前のモデル6Cが登場し、84年からシャッターレリーズを左手側から右手側に変更した60に切り替わった。
トラブルは本家より少ないという評価もあるが、個体によると考えられる。
コマ間が重なるのはオリジナルでは必発であり、これはトラブルではなく厚みがあるソ連製フィルムに合わせた構造のため。ネットでは現代入手できるフィルムを巻き太らせて対処する方法が紹介されている。またウクライナのArax, チェコのHartbleiが再調整したものは現代のフィルムがそのまま使用できるといわれる。
試しに絶縁用のビニールテープ(一般的な幅19mm)を4カット、120裏紙リーダー部に貼り付けると、コマ間隔6mmに揃い、12コマ後に巻き上げた13コマ目も撮影できた。
精度は良いのではないかと思う。
さらに、ソビエトカメラに共通して内面反射に無頓着な構造であり、必要に応じて反射防止処理:塗装や植毛紙の貼り付けなど;を行い対処する。


ウエストレベルファインダーフッドは、ワンタッチの畳み込みではない他はローライTLRと同じ使い方であり、ルーペの立ち上げ方、素通しフレームのやり方、およびその際にフッド裏面のミラーでファインダースクリーン像を反射し、上下左右逆像だがアイレベルで焦点確認可能なところは使いやすい。
この機構はハッセルブラッド型のサリュートーキエフ88系では見られなかったもので、交換マガジンではない分アイレベルでのアイポイントが近いことを活用している。
画像:素通しフレームにした状態。覗き穴:上がフレーム用、下のレンズが入った穴がミラーを通してスクリーン確認用
マルチコートされた標準レンズのArsat(Volna)80mmf2.8は、ハッセルブラッドのプラナー80/2.8の3群目張り合わせを1枚に置き換えた変形ガウス型で、大変性能が高い。またビオメター型Vega120mmf2.8は80mmと変わらない小型サイズで、これも高性能で準標準として使える。
他に東独製を含めかなり充実した交換レンズがあり、西独レンズと比べて安価なので魅力的だと思う。


これはPhotodioxのRhynocamというステッチ装置で、ソニーNEX5の8枚分割露光をステッチして6x4.5cmの範囲を撮影した画像(原盤横1万1千ピクセルを2000ピクセルに縮小)で、開放f2.8でも四隅まで十分解像しているのに驚かされます。
ただしハロの量が二絞りくらいパッセルプラナーより多く、拡大すると解像しているのに、実際に鑑賞する低倍率では、特に周辺がなんとなくどよんとした印象で損をしています。一絞りf4ではあまり改善しませんが、f8に絞ると俄然画像が締まり、西独機に伍する先鋭度です。
それに対してハッセルC80/2.8はf4で十分な先鋭度になり、やはり一世を風靡したレンズは秀でています。
とりあえずArsatは価格を加味すれば私は悪くないレンズと評価しています。実用上はプラナーとの差はそれほどないことでしょう。
面白いことにM645用80/2.8は、開放からハロが少なく、Arsatに比べて非常に高コントラストでシャープに見えるけど、拡大するとArsatの方がよく解像していて驚きました。


その昔、ikon とか ikomat とかいうカメラを作っていたヨーロッパのある国に一大雄飛、わがニコンは戦いを挑みましたが、いかんせん商標の壁は厚く、やむなくこんな名前でしか出ていけませんでした。写真はnikkormat FS、その本名は nikomat FS。兄弟機に nikkormat FT。
ほかには nikkormat F なんてのもあるのですが、値段は一桁違い、こちらにはとても手が出ません。

