
ゼンザブロニカの誕生
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![]() ゼンザブロニカD
[now taking]
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1959年3月に発表されたゼンザブロニカとは,カメラの設計製造に関しては素人であった吉野善三郎氏が,自らの理想とするカメラを製作すべく当時2億円もの膨大な私費と,8年余の歳月を費やして完成させたカメラです.戦後の復興期,吉野氏は,シガレットケースやオイルライター,女性用のコンパクトなどを製造する会社を経営していましたが,写真機に対する情熱は非常に旺盛で,東京で自らの写真機店を営んでいたほどでした.しかしそれに飽き足らなかった彼は,世界一のカメラ,最高のカメラを自ら製作することを目論みます.そして,自社の技術力と膨大な私費を投入することで,まさにそれを成し遂げたのです. このときに発売されたゼンザブロニカは,ハッセルブラッドに大変よく似た形状・サイズの66版フォーカルプレーン式カメラでしたが,当時ハッセルブラッドが持たない数々の機能,また今現在でさえ持つに至っていない機能をもを備えた高機能カメラでした.すなわち,1) 撮影後ミラーと絞りが元の位置に復元する,クイックリターン式ミラー・完全自動絞りの搭載 2) レンズの光学的バックを確保するため,ミラーは通常の跳ね上げ式ではなく,降下式 3) ニコンF2のように,セルフタイマーを用いた約10秒までの長時間露出機構 4) 露光前後の状態がボディと異なっていても装着可能なフィルムマガジン 5) フィルム装てんはスタートマーク合わせ不要のオートマット,などです.つまり当初より一眼レフ式カメラが備えるべき基本機能を全て実現しており,ニコンFの発表・発売がこの年の6月であったことを考えると,驚異的に先進的なカメラであったことが分かります.また歴代のフォーカルプレーン式ブロニカの中でも,最も小型で軽量,またデザインも非常に優美であることは特筆すべきでしょう. なお,この初期型は「ゼンザブロニカ」と呼ばれ,1961年にS型(スタンダード)に切り替えられたときに,区別のためD型(デラックス)と呼称されています(ごく初期のものをZ型と分類する場合もあります).また,ゼンザブロニカのネーミングは,善三郎+ブローニー+カメラから作られたと言われています.この初期型の発表当初より標準装着レンズはニッコールであり,50mm F3.5, 75mm F2.8, 135mm F3.5 の3本がカメラと同時に発売されています.言うまでもないことですが,善三郎氏は,最高のカメラには最高のレンズを装着すべきであると考え,ニッコールを採用したのです.上記の経緯から容易に想像されるとおり,当初はレンズを自社製造できなかったのです.しかし同年に発売されたニコンFとそのレンズの売上が好調で,日本光学はブロニカが満足し得る数のレンズを提供できませんでした.そこでゼンザブロニカ工業は積極的にレンズ設計・製造の技術を蓄積し,次第にレンズを自社製に置き換えることにより,レンズシャッター式となった645判の ETR 型からはニッコールを装着することはなくなりました.
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ゼンザブロニカの発展
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![]() ![]() ゼンザブロニカS2(後期型)+ 75mm F2.8 |
ゼンザブロニカD型は,大変高機能かつ軽量コンパクトな,まさにデラックスなカメラでした.しかしそのため内部の機構は複雑で,外装にも大変コストのかかるカメラでした.そこでセルフタイマーやオートマット機構などいくつかの機能や構造をシンプル化するとともに大型化を図った,スタンダード型(S型)が1961年に発売されます.そしてさらに,フィルムバックを非交換式とし,レンズ繰り出し機構を脱着式ヘリコイドに変更するなど,より簡単化したC型が追加されるなど,よりシンプル化・低価格化を中心とした発展の道を辿りました.その意味では,機能の追加とそれによる複雑化を中心とする発展を遂げた他社にくらべ異質であるといえるでしょう. ゼンザブロニカはその後,下降式ミラーを用いた基本設計をそのままに,より高信頼化を図った最終型の純機械式ブロニカたるS2型・C2型へと発展します.特にS2型は改良を受けながら最も長期間製造され,フォーカルプレーン式ブロニカの代表的モデルと言えるでしょう.そしてその後,根本的に設計を見直した電子制御シャッター搭載のEC型が1972年に登場します.当時ニコンでいえばニコマートELが発売された年で,電子シャッターの有効性が認知されてきたころになります.このカメラはさらに少し大型化されましたが,シャッターの助走距離を伸ばしたり,ギアを大型化するなどして機械的にはさらに安定したカメラとなりました.しかし最も大きな変更は,降下式のミラー機構を廃し,上下分割式のミラー機構を採用した点でしょう.上側の主ミラーは通常のカメラのように上方へ跳ね上げられ(ただしレンズを避けるため,しゃくりあげ式となる),下側のサブミラーは反対にボディ下へもぐりこむことにより従来の下降式の時のレンズが全て利用できました.これにより同時に上下へ移動する重量物のバランスが取られ,非常にショックの少ないカメラとなりました.またウェストレベルファインダを取り外したところに電気接点があり,露出計つきファインダを装着すると露出計がボディと連動するなど先進的機構も搭載されていました.ミラーアップ機構の復活もありがたい点でしょう. 本ページ冒頭の写真のうち,右上のカメラは,フォーカルプレーンシャッター式ブロニカの中では最も高機能なカメラである,ゼンザブロニカ EC-TL です.このカメラは EC の主ミラーに測光用センサを仕込むことで,外付けファインダの助けを借りずに単体で測光,および中判一眼レフカメラで世界初となるAE撮影を行うことが出来ます.ニコンFGのように,レリーズ後まずレンズを絞り込み,測光を行ってからミラーを駆動することにより,従来のレンズのみならずどのような光学系を装着しても問題なくAE撮影が行える便利なカメラといえます.ただし絞込み測光はレンズを通過する光量が少なく,またウエストレベル式であるため,ファインダ側からの逆流光が問題となりますが,これについては逆流光成分を測定するセンサを設け,測光値を相殺することで補正を行っています. その後機能を簡単化し回路をデジタル化した EC-TLII が発売され,それがニッコールレンズを搭載したブロニカの最終モデルとなりました.なおD型から EC-TLII まで,繰り出し機構の先に取り付ける小バヨネットのレンズは基本的に互いに流用できます.主として超望遠レンズを取り付けるための大バヨネットは,D型・S型と,その後のモデルとでは異なります. 前述のように,ブロニカとは吉野氏の理想を具現化したカメラであり,それはニッコールレンズを中心としたレンズラインアップに関しても同じことが言えるでしょう.独特のミラー機構は,まさにこの「レンズ中心主義」を体現しているとは言えないでしょうか.
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ブロニカ開発秘話new | |
| このストーリーは,最初のブロニカが産声を上げるより遙か以前,開発のごく初期段階からブロニカの設計に携わっておられた方の述懐を中心に,資料を交えてまとめたものです.今後不定期に連載を続けます. |
ブロニカの使い方 | |
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ブロニカの代表的な3機種について,簡単な操作方法を比較形式で紹介しています.これら3機種の操作方法が分かれば,他のタイプも容易に取り扱えるはずです.
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ブロニカQ&A | |
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ゼンザブロニカDの紹介 |
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ブロニカDの各部の紹介,またマニアックな心をくすぐるさまざまなギミックを紹介しています.
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ゼンザブロニカ用アクセサリの紹介 |
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ゼンザブロニカ付属品の紹介new |
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意外と知られていなかったり,欠品していたりするブロニカの本体付属品について紹介しています.
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ゼンザブロニカ年代別価格表 |
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ブロニカおよびレンズ,アクセサリの年代別価格(1969-1979)のリストです(パーオヤジさん調べ).
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ゼンザブロニカD型の仕様
ゼンザブロニカ EC 系列の仕様ゼンザブロニカ EC
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ゼンザブロニカのメンテナンス吉野善三郎氏ご子息の博夫氏(1978〜1986年までブロニカ代表取締役)が退社後、設立した測定機器メーカー「イストテクニカルサービス」において,ブロニカのメンテナンスが可能です.(参考:カメラスタイル No.7, No.8)
参考文献ゼンザブロニカの歴史,各モデルの仕様については以下の文献が参考になります.本ページも以下の文献類を参考にしています.機会があれば,一読されることをお勧めいたします.
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