ブロニカ用のベローズですが,これはあおり・シフト機能がついたもので,タイプ II とも呼ばれます.
同様にあおり機能が搭載されたベローズはニコンF用にも存在しますが(PB-4),このベローズは他にも非常に重宝な特徴があります.それは,取り付けたままで無限遠が出るというものです.つまりマミヤ RB やフジ GX680,ローライ 66SL のようにそのままで無限遠からマクロ撮影まで対応できるわけです.普通,このようなことは不可能なのですが,このベローズは,ヘリコイドユニットを取り外して,代わりに取り付けることによって実現されています.つまりベローズを最も短くした状態で,ベローズ先端の小バヨネットの位置が,ヘリコイドユニットの短縮時と同じ位置になるよう設計されているわけです.他にあおり機能が省かれたタイプ I という小型のベローズ(下に掲載)も存在しますが,こちらは無限遠は出ません.またこのタイプIIも後期の EC 専用品になってからは形状が変わり,無限遠が出ません.
上記のように,このベローズはまずボディ本体下の三脚取り付け穴に装着し,その後,ベローズ後端をボディの大バヨネットに取り付けます.ベローズ後端は,バヨネットに装着するときの回転角だけ回せるように出来ています.繰り出しは,ベローズ下端のノブを使い,繰り出し位置のロックも行うことが出来ます.
あおり・シフト機構としては,上下・左右方向の平行移動と,それぞれの回転の4自由度全てが行えるようになっています.ただしベローズを縮めたときには,蛇腹の余裕がないので,シフトは行えません.そのため建築物のシフト撮影や,風景撮影で,地に咲く花と遠景の山並みに同時にピントを合わせる,などと言ったテクニックは利用できません.といっても,もともとのレンズのイメージサークルがそれほど大きくないので,それらが可能でもあまり意味がないのですが.ともあれ,マクロ撮影時のパースの制御や合焦面のコントロールには十分利用することが出来ます.
ベローズ先端には,接写リングと同様に開放レバーがあり,レンズの絞りを開放にすることが出来ます.ただし自動絞りは連動しません.またベローズ後端には,レリーズボタンを押すためのレバーが取り付けてあります.また絞りはボディとは連動しないので,ボディ本体の絞込みボタンは押しても意味がないと思われます.ただし EC-TL は,絞込みボタンを押すことでTTL露出計が動作するため,絞り込みボタンを押すためのレバーがついています(左下の写真).なお S2 用などほとんどのものは,絞り込み用レバーのないものです.絞り込みが連動するものを探すのは骨が折れると思います.
このベローズは,自動絞りが動かない,重量が増すといった点をいとわなければ付けっぱなしでも便利に使える機材であり,特にブツ撮りを中心にする人には魅力的なアイテムでしょう.
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