闘竜灘

 

 

 

 


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写真がもたらす臨場感と一口に言ってもいろいろだが,エッセンスだけを煮詰めることで臨場感が損なわれる場合もあるように思う.決定的瞬間を切り取るとその前後の様子はわからないし,風景のような動きの少ない写真でも,フレーミングを切り詰めるとやはりその場の雰囲気は損なわれる.それではフレーミングのない写真ならいいんじゃないか.どうせなら超広角といわず360°の全方位映像,それも真上や真下まで写る全天球画像なら好き放題にどちらでも見渡すことができる.そう思って3Dプリンタで全天球パノラマカメラを作ってみた

カメラ自身がぐるぐる回りながら周囲を撮影する構造上、僅かな狂いでも画像が流れたりムラが出たりする.家庭用の廉価な3Dプリンタの精度ではなかなか難しいところがあり,まだ万全とは言えないがそれなりに見られる画像が撮れるようになってきたので,近所の「闘竜灘」というちょっとした滝のようなところに行って撮影してきた.穏やかな川の途中に硬い岩場があり,昔は水運の難所だったそうだ.台風などで水かさが増えると完全に水没するので,岩場にかけられた橋は昔はもっと簡素な作りで,渡るのが怖いような場所だった.今でもざぶざぶ流れる激しい水流の上で,欄干もない細い橋があり,少し怖いかもしれない.今回,全天球パノラマカメラでその2つの小橋の上から撮影してみた.全方位VR映像ではすこしその怖さが味わってもらえるだろうか.

この手の全方位映像は,今では分割して撮影したものを画像処理でつなぐのが一般的である.2つの魚眼レンズでワンショット撮影できるものはともかく,パン・チルト雲台で1コマずつ撮るものでは,この滝のように動きのあるシーンではつなぎ目の処理が難しい.・・といったところで,RICOH THETA のような一般向けと比べても,もはや画質的にもなかなかフィルムでは太刀打ちできない時代だが,今のうちにフィルムで遊ぶ,しかも3DプリンタやらVR表示やらの先端技術と組み合わせて,というのもなかなか面白いのではないかと勝手に思っている.

このカメラは一周あたり約3.5秒で回転するので,カメラに追いつかれないように三脚の周りを速歩きすれば自分は映らずに全方位映像が撮影できる.ただし今回の3枚目のような,欄干のない細い橋では少し怖い思いをした.

 

自作全天球パノラマカメラ,Nikon AF Fisheye-Nikkor 16mm F2.8
Fujifilm Neopan ACROS,シュテックラー改処方(中川式)

(upload : Sep. 2020)