1.はじめにモノクロフィルムの現像には,ミクロファインや T-MAX Developer のような市販の現像液を使っておられる方がほとんどだと思います.私も以前はそうしていましたが,最近はすっかり「シュテックラー式2浴現像法(以下,シ式と呼ぶ)」がメインになっています.その理由は,仕上がりが良い(好みに合う)ことももちろんありますが,もう1つは「かなり手抜きが出来ること」です.2浴式だから,余計に面倒だろう・・と思う方が多いと思いますが,実際にはそうではないと思います.そこでこのページでは,シ式現像法について解説したいと思います.
2.特徴
3.現像液の処方と現像方法
4.その他の勘所
5.なぜシュテックラー式がこんな特徴を持つのか様々な解説や実験結果が以下の参考文献に挙げられていますので,詳しくはそちらを参照していただけばと思いますが,簡単には以下の通りです.まず,A液を注入します.これには現像主剤(メトール)と,主剤の能力低下を防ぐ保恒剤(亜硫酸ナトリウム)が入っています.主剤と,亜硫酸ナトリウムによるアルカリ性により現像が起こりますが,現像促進剤(硼砂)が入っていませんので,その進み方はゆっくりです(まったく進行せず,B剤が入って初めて現像されるとする文献もありますが,そうではないようです.その証拠に,D-23 という1浴の処方はA液に非常に近い内容です).ここでは,ハイライトからシャドウまでが同じように現像されるものと思われます. 次にA液を排出し,B液を注入すると,フィルムの乳剤に残ったA液がB液により活性化されて現像が進みます.しかしA液の量には限りがありますので,先にハイライト部分で主剤が使い果たされてしまい現像が停止します.しかしシャドウ部分は反応するハロゲン化銀が少ないため,現像主剤は使い果たされることなく,より長時間進行します.そのためシャドウ部分ほどコントラストが高く,ハイライト部分が軟調な現像が行われます. ハイライト部分の現像は弱い現像液で弱く行われることから飛びにくいだけでなく,粒子が細かくなるため解像度にも優れます.また一般に高感度フィルムは乳剤層が厚く,そのために現像時間を長くする必要があるのですが,シ式ではA剤がその分多く含まれますので,高感度フィルムであるからといって現像時間を延長する必要はありません. 6.参考文献 |