石の文明

 

 

 

 


屈折ピラミッド
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階段ピラミッド
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クフのピラミッド
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カフラーのピラミッド
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昨年末,1週間の日程でエジプトへ行った.これまで仕事での海外出張は全て,研究成果の発表(学会発表)のためであったが,今回初めてそれとは違う用務での出張だった.それは簡単に言うと考古調査のIT支援に関する実験・調査・情報交換や遺跡の立体形状の計測などである.おかげで現地では会議室に籠もることなく大半を屋外で過ごすことになった.もちろん調査対象の写真はディジタル一眼レフでカラー撮影しているが,これらはどのみちここでは公表出来ない.合間に当たり障りのないものをモノクロで撮影した,いわゆるオフショットだけを載せる.

ピラミッドは紀元前2500年頃の建造物だから,日本の古墳時代より3倍ほど古いことになる.建造から現在まで常に,圧倒的な存在感をもってそびえてきたそれを目の当たりにすると,やはりその偉大さを感じずにはいられない.ピラミッドより後の遺跡もその多くは既に傷つき,失われ,原型をとどめていないものだ.ピラミッドそのものも盗掘されたり,周囲の建築物の資材にされたりと常に痛めつけられてきたのだが,その程度ではびくともしないそのボリュームは失われていない.まだまだピラミッドには謎が多い.例えばクフやカフラーのピラミッドにも,まだ知られていない内部空間があるかもしれない.人体のようにレントゲン写真でも撮れればいいのだけれど,残念ながら現代の技術をもってしてもその内部のほとんどはまだうかがい知ることが出来ないのだ.改めて石というものが本来持つ永続性を感じさせられる.

エジプトにはピラミッド以外にも多くの古い建造物や彫刻が存在するが,それらの多くは同様に石で出来ている.近年出土したものでは特に,見事なまでに刻まれたレリーフや緻密で完璧なヒエログリフが現れる.改めて,情報を記録することへの当時の人々の執念に驚かされる.そしてそれは,石の強さゆえに現在まで成功裏に保持されてきた情報だと言えるだろう.それに比べ,現代の人類が行う記録のなんと脆弱なことか.効率を追求し,単位質量あたりのビット数を増やすあまりに,その永続性は失われてきているのではないかという心配をせずにはおられない.そう,ピラミッドだって当時の文明の記録に他ならないのだ.情報はまだまだ内部に眠っているかもしれないが,しかし現代人はまだ,それを読み出すことも,存在を確認することも出来ないのだ.

実際には,当時の彼らは,後世へ情報を伝えたいと思いこれらを残したのではないのかも知れない.しかし,もしかしたら遠い将来,ミイラのDNAからその人物を再生させることが出来るようになるかも知れない.もしそうだとすると,彼らにとっての神々の世界は,未来の人類なのかもしれない.そして,もしピラミッド内部がそのときようやく明らかになり,王の亡骸の所在が判明したならば,まさにピラミッドは神への通信手段であり,情報メディアである.またその役を立派に果たしたことになるのではないか・・などという空想をした.

Nikon Mini (Nikon AF600QD), Nikon Lens 28mm F3.5
Fujifilm Neopan ACROS,シュテックラー改処方(中川式)

(upload : Jan., 2007.)