使用機材:
Nikon S3 Year2000 Limited Edition
| Nikon F100
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W-NIKKOR.C 3.5cm F2.5 中期黒鏡筒前絞り No.2591xx
NIKKOR 50mm F1.4 Year2000 Limited Edition
NIKKOR-P.C 10.5cm F2.5 後期 No.9237xx
| Nikon Lens Series-E 35mm F2.5 前期(全黒)
AF Nikkor 50mm F1.8S: 100DELTA Pro
Ai Nikkor 50mm F1.8S(JP):HR-II
Ai Nikkor 105mm F2.5S
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開放:1/1000 秒,F5.6:1/250 秒露出
三脚・レリーズケーブル・セルフタイマー使用
フィルム:ILFORD DELTA100 Professional 純正薬品処理
顕微鏡:OLYMPUS CK, 対物レンズ Nikon 4x Plan, 接眼レンズ Nikon 10x
撮影:COOLPIX 910(接眼レンズを通して間接撮影)
全体画像:COOLPIX950 + スライドコピーアダプタ ES-E28
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再試験
F1.4:1/125 秒,F1.8:1/60 秒,F2.5:1/30秒,F5.6:1/8 秒露出
三脚・セルフタイマー使用
フィルム:富士フイルム ミニコピー HR-II, テクニドールリキッド 20度10分
顕微鏡:OLYMPUS CK, 対物レンズ Nikon 4x Plan, 接眼レンズ Nikon 10x
撮影:COOLPIX 910(接眼レンズを通して間接撮影)
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縮尺:
画像全体の幅は約2mm,最下段の小目盛りは 0.1mm
各画面の周辺部はデジタルカメラと顕微鏡の関係によりボケている
ため,あまり参考にならない.中央部は十分シャープである.
糸巻き型の歪曲はデジタルカメラによるものである.
35mm 比較
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| W-NIKKOR.C 3.5cm F2.5
| Nikon Lens Series-E 35mm F2.5
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中央(1)
| 開放
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F5.6
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中央(2)
| 開放
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F5.6
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周辺
| 開放
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F5.6
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| 再試験:ミニコピー HR-II
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中央
| 開放
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F5.6
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周辺
| 開放
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F5.6
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S用は開放から 20line/mm の欄干が非常によく描写され,
すばらしい描写である.60line/mm 程度までのコントラストは
十分残存していると考えていいと思う.F用は30line/mm 程度までの
コントラストは良く残っているように見えるが,それ以下は再現
されておらず,シャープさに欠ける.周辺部ではあまり差は無いが,
十分な画質を保持していると言える.
絞り込んだ絵ではあまり差は見られない.S用の中央部は,絞っても
画質は変化しない.周辺部は改善されている.フィルム性能の頭打ちに
達しているのではないか.
どちらも優秀レンズであると言えよう.
再試験
より高性能なフィルムでテストしたところ,やはり,S用はより高い
ポテンシャルを見せつけた.ほぼ無限遠と見なせる遠方の建物は,
F用では窓が分離して見えないが,S用は開放からきちんと見える.
F5.6 に絞った映像では,さらに締まった画像となっている.ここで
再び,フィルム性能に行き着いたように見える.特に木立の描写は
非常に繊細で,F用とは絞った映像でも画質が異なることがはっきりと分かる.
ただしここまで写っても既に利用は難しいが・・・例えば,エプソンのスキャナ
GT-9700F の最高解像度で入力した画像も,以下の体たらくである.
S用35mm F2.5 開放(HR-II)の画像全景:2400DPI (GT-9700F)
50mm 比較
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| NIKKOR 50mm F1.4 Y2K LE
| AF NIKKOR 50mm F1.8S
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中央
| 開放
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F5.6
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周辺
| 開放
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F5.6
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| 再試験:ミニコピー HR-II
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| NIKKOR 50mm F1.4 Y2K LE
| Ai NIKKOR 50mm F1.8S(JP)
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中央
| 開放
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F5.6
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このテストのみ開放F値が異なり,S型用レンズ(F1.4) のほうが
F型用レンズ(F1.8) より 2/3 段明るい.そのため分が悪いが,
しかしこのレンズは最新のものであり,限定レンズであるため,
F1.4 のレンズとしては非常に優れた描写である.
開放から中心ではS用のほうがややシャープである.ただしF用の
ほうも,欄干(14line/mm 程度)の描写を見ると,30line/mm あたり
のコントラストまでは確保しているように見える.周辺部ではより
差が大きく,S用では中心とさほど変わらないのに対し,F用では
はっきりとフレアが見られる.
絞り込んでもなお差は明確で,S用では遠景の電線の2本の分離が明確である.
また周辺部の暗部の木々の描写も繊細である.
一般に F1.8 は F1.4 に比べハイコントラストと言われる.確かに,比べると,
ハロの絶対量はF用 F1.4 よりも小さく,ハイコントラストだが,それほど
解像度が高いわけではなく,あまり繊細ではないレンズと思う(Ai 50mm F1.8S
など,計4本ぐらいを使っての感想).
一度この最新 50/1.4 で星を撮ってみたい.
再試験
今回はF用のレンズを AiS 50mm F1.8S(国内版)とした.こちらのほうは
外装まで金属鏡筒で,無限遠も正確に調整されているであろうと考えた.
結果としては,S用とほぼ同等の画質か,わずかにS型のほうが良い,
という結論となった.ここには掲載していないが,周辺部の画質にもさしたる
差はない.F値の差を考えると,S用は非常に健闘していると言うことも出来る.
最新設計だから当然か・・・
近景の欄干は既にここまで写っていると,被写界深度が影響してくると
思われる(50mm F1.4 では,直径約 30mm のデフォーカスが生じるはずで,
これは端の欄干の太さに対して無視できない).
S用50mm F1.4 開放(HR-II)の画像全景:2400DPI (GT-9700F)
105mm 比較
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| NIKKOR-P.C 10.5cm F2.5
| Ai NIKKOR 105mm F2.5S
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中央(1)
| 開放
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F5.6
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中央(2)
| 開放
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F5.6
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周辺
| 開放
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F5.6
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| 再試験:ミニコピー HR-II
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中央(1)
| F5.6
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中央(2)
| F5.6
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中帯部
| F5.6
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周辺部
| F5.6
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これも差が大きい.むしろ,F用のレンズのほうで無限遠ストップがやや
ずれている可能性もある.以前カラーでテストしたときは,もっと良かった
ように思うが・・・そのため,あまり比較と言う意味ではなく,S型用 10.5cm
の描写を確認する程度に見てほしい.
この焦点距離では距離的に被写界深度が関係してくる被写体である.
開放の条件ではレンズ口径が 4cm であるため,無限遠撮影時には,
4cm のボケが発生するはずである.これを勘案して見てほしい.
S用は,開放から非常に良い描写である.遠い橋の欄干だけでなく,その下の
タイル目地も見て取れる.前後で重なり 50line/mm ぐらいの間隔になっている
欄干の分離も完全である.人物の写真でも,セーターの柄が見える.ただし
周辺画質では,ややS用のほうが立体感があるものの,中央ほどの差は無い.
中央部分では,被写界深度を考えるとこれ以上は望めない(中央2の背景が
やや遠距離のため,画質が良いのが分かる).
絞った絵はさらに改善する.
中央付近では非常にはっきりとした差が見られる.橋のタイル目地,セーターの
男性(とその背景の遠景),と見事であり,周辺の像も改善する.
このセーターの模様が再現されたのは,S用 10.5cm の開放,F5.6 と,
S用 50mm の F5.6 の3つだけであった.ひとところにとどまってくれた
家族と犬に感謝.
再試験
どうも,S型の開放の絵を撮影し損ねたようだ.そこでここでは F5.6 の
絵のみ提示する.やはりF用のレンズは不調のようで,画質が悪い.特に
周辺部では悪化が激しい.S用は,外観はかなりボロボロなのだが,
ガラスは大変綺麗で,画質もすばらしいと思う.S用レンズの画質確認程度に
見て欲しい.
S用10.5cm F2.5 F5.6(HR-II)の画像全景:2400DPI (GT-9700F)
総論:比較の方法,正当性に関してはともかく,S型でここまで優れた像を得られることにまず感動.
まずは「ここまで写れば十分」と思わされる.少なくとも,どのレンズも10倍ルーペではあまり差はわからない.
ここに挙げた例は,30倍ルーペか,顕微鏡ではっきりと見えてくる世界だ.ISO100 モノクロフィルム性能の
限界に達した領域でもある.
ここまで写るなら,敢えて中判は要らないな,と思わされた.・・実際は,スライドで見るには大きいほうが
見やすいし,プリントするにもスキャンするにも判が大きいほうが使い勝手がよく,良いフィルムと良いレンズで
35mm 判で極限の原版を得ても,そこからうまく最終形態へ持っていくところで悩みが深いのではあるが.
S型はピントが非常に正確に合わせられるカメラということもあり,通常の撮影でもこの高性能を引き出しやすい.
それにしても,「写真技術の発展」とは何だったのか?と考えさせられる.
フィルム性能の限界であまりよく分からない部分も有るので,次回はベルビアかプロビア100F, T400CN などで試してみたい.--> ミニコピーで追試を行った.
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