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投稿2650 | ■Re:2649 パノラマカメラ作りました 日浦 2021/2/23(火)12:35

狸おやじさん,こんにちは.

パノラマカメラのほう,見てくださってありがとうございます.確かに VRでぐるぐる回すと酔いそうかもしれないですね.

ラインセンサを用いたパノラマカメラはおっしゃるとおりにまさに正攻法でして,普通のカメラを一定角度ずつ回して撮影し,あとから張り合わせるよりも,微妙な変化のある,木々が揺れるシーンとかにも強いかなと思います.もともと RoundShot などのフィルムカメラを作っていた Seitz も,一時期はその手のカメラ(Roundshot Super Digital など,ラインセンサ型のパノラマカメラ)を作っていたようです.

CIS のラインセンサはそれよりもずっと長いので,ご指摘のように 8x10 のような大判写真のフィルムの代わりに使えるかと思います.・・そう思って実は私も1個仕入れて分解したんですが,実はそのままになってます.画像が撮れるところまではいくんですが,画面全体をきれいに撮るにはいろいろと工夫が必要で,そこをどうするか?が問題のように思われます.

1つは,光源の問題です.普通はセンサの脇に LED が並んでいて,それで原稿を照らしています.その LED をカットすればいいんですが,スキャナはたいてい起動時にキャリブレーションをしていて,その扱いをどうするかという問題があります.原稿台の枠の外側(裏面)に白色の領域があり,そこをまず撮影して,センサのムラなどを除去しています.LED をカットしてしまうとそのキャリブレーション(較正)が動かなくなり,エラーで止まってしまったりしますので,キャリブレーション段階のみLEDを点灯して,撮影時にはOFFにする工夫が必要のようです.

もう1つは光の入射方向です.CIS では原稿からまっすぐ(原稿に垂直に)出てくる光を主に捉えます.しかし大判カメラでは,レンズが真ん中あたりにあって,そこから放射状に光が出ますので,中央付近はいいのですが,周辺部分にいくと光が斜め入射になって暗くなってしまいます.GRIN レンズアレイは複数のレンズの像を重ね合わせて結像するので,ラインに沿った方向の角度については許容度が高いのですが,ラインに対して垂直(センサが移動する方向)の斜め入射には弱い(取り込めない)のも問題になります.結局,原稿面にフレネルレンズか,拡散板を置かないと全体の撮影はできないと思われます.フレネルレンズを置くとそのシマシマが出ますし,拡散板もそのザラザラが出がちです.それならいっそ GRIN レンズを抜き取ってしまって,センサを裸でスライドさせるほうがいいのですが,センサそのものがけっこう奥まった位置にあるのでそういう加工ができておらず,いまのところ実現には至っておりません..

GRIN レンズ単体は割とF値が暗いのですが,GRINレンズアレイは連立像といって,複数のレンズが協力して像を重ね合わせるため実質のF値が明るく,そのため,原稿面上での深度は浅くなります.実際 CIS のスキャナは,カメラレンズ方のスキャナに比べて原稿の浮きに弱いようです.逆に言うと,うまく作れば,レンズの性能を引き出せるといいますか,味わえると思います.

ちなみに,MIT にいたころに GRIN レンズを使った研究をちょっとやったことがあり,GRIN レンズは少々触ったことがあります.これがなんと?GRINレンズを円筒状や球状に配置して,トンボの複眼みたいな仕組みで超広角のパノラマカメラを作るというものでした.湾曲したセンサが必要なので(カメラとしては)実用的ではないのですが,灯台みたいに観測方位から位置を割り出すデバイスに使えるという提案でした.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ipsjtcva/2/0/2_0_186/_pdf/-char/en
の論文に GRIN レンズの連立像の話も書かれています.

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