GX680
フジフイルムが1989年に発表した6×8版の一眼レフです。
大きく分けて以下の5機種(3機種)が有ります。
・GX680 (初期型はボディー側面ラベルが茶色。後期はグレーに変更。ピントノブロックが同軸型)
・GX680U (ボディー側面にグレーのラベル。ピントノブロックはレバー型)
・GX680S (アオリ無し。レール前面に680Sの表示)
・GX680V (全体に丸味を帯びたデザインに変更。ボディー側面は黒色シボ付き合成皮革。ストラップアイレット付き。)
・GX680VS (アオリなし。他4機種よりも光軸が低くなっています。)
フロントスタンダード部のアオリ機構はライズ15/13mm/ティルト±12°/スイング±12°となっており。その上部にホットシューが付いています。本体とは”く”の字状のFPCでつながり、レンズへの信号/給電を行っています。
型番の末尾にSが付いたタイプはアオリが省略されています。GX680Sはフロントスタンダードを交換するとGX680Uになりますが、GX680VSは三脚プレートからのレンズ光軸位置がV型よりも低いので、交換してもライズした状態になります。
フイルムバックはレボルビング可能になっており、V型はデジタルバックが装着可能でした。
ファインダーは標準の折り畳み式WL、高倍率ルーペ付き(ルーペはスクリーンに平行な面内移動が可能)、チムニータイプAEファインダー、ケプラータイプ傾斜型ファインダー、アイレベルタイプAEファインダーと多彩です。
シャッターはセイコー電子制御#1のビトゥインタイプのレンズシャッターとなっており、ボディー側からの制御で8S〜1/400のレンジを持っています。 絞りは5枚の自動絞りで、プレビュー機能も持っています。ミラーは自動復元式。ミラーアップも可能です。レボルビング可能なので8×8の視野を持っています。U型以降はスクリーンにタテヨコのガイドが出て撮影範囲を表示します。
V型と同時に発表されたフイルムバックはマルチフォーマット対応とされ、6×4.5〜6×8までマスクを交換する事で変更可能です。70mm長尺バックも用意されていました。(70mmバックはUS型までの本体バッテリーを1個使用します。)
USまでは専用7.2Vニッカド電池パックとAC電源(別ユニット)。V型からは9Vのリチウム電池とAC電源(別ユニット)。忘れてはいけないモノにフイルムバックにも3VリチウムCR2を2本使います。(最終型フイルムバック)
レンズは定評の有るEBC FUJINONレンズで50〜500mmのレンジが用意されていました。
レンズ名 焦点距離 開放FNo 群/枚 最短撮影距離 最大撮影倍率 フィルター径
・GX M 50mm 1:5.6 9/12 0.31m x1.21 φ112
・GX M 65mm 1:5.6 9/10 0.35m x0.90 φ95
・GX M 80mm 1:5.6 5/6 0.39m x0.77 φ95
・GX M 100mm 1:4.0 8/8 0.47m x0.59 φ82
・GX MD 115mm 1:3.2 6/8 0.50m x0.55 φ95
・GX M 125mm 1:5.6 5/6 0.57m x0.47 φ82
・GX MD 125mm 1:3.2 6/8 0.55m x0.51 φ95
・GX M 135mm 1:5.6 6/6 0.64m x0.43 φ82
・GX M 150mm 1:4.5 4/6 0.72m x0.42 φ82
・GX M 180mm 1:5.6 6/6 1.18m x0.23 φ82
・GX MD 180mm 1:3.2 5/7 0.97m x0.30 φ95
・GX M 210mm 1:5.6 5/5 1.43m x0.22 φ82
・GX M 250mm 1:5.6 4/5 2.56m x0.12 φ82
・GX M 300mm 1:6.3 5/5 3.45m x0.11 φ82
・GX M 500mm 1:8.0 6/6 5.30m x0.11 φ82
・GX M SF 190mm 1:8.0 3/3 1.52m x0.17 φ82 (グリッドタイプ ソフトフォーカスレンズ)
・GX M 100-200mm 1:5.6 11/14 0.5-1.12m x0.58-0.29 φ105 (バリフォーカルレンズ)
50mmレンズはアオリに制限が有ります。500mmはレンズサポートを使用します。ちょっとファインダー上部がケラレます。
100-200mmには専用のコンペンディウムが用意されていました。
(コンペンディウムは全部で3種類も有りました。変わったアクセサリーには、Adjustable Lens Hood 100-300 というアイリスの付いた100mmから300mm用のフードが有りました。)
多様される焦点域には明るいデラックスタイプのレンズが用意されていました。
*各データは標準レールの場合です。レールの延長(+40mm、+80mm) では勿論もっと拡大できます。ただし蛇腹の交換が必要になる場合が有ります。
変わったアクセサリーにはリンホフボードのレンズを装着するアダプターが用意されていました。おおよそ180〜300mm用です。
大型の一眼レフです。左画像 アングルファインダーU付 GX680S。右画像はRB67とGX680Sです。RB67が小さく見えるほどの大きさですが、操作か所が一部に集約されているので意外に取り回しは楽です。(感覚には個人差が有ります。)
GX680 を今入手して使おうとすると、おそらく一番気になるかなと思うのは(というより私が気になっているのは)電源です。ニッカドは多かれ少なかれ劣化していると思われます。別売りの単3ホルダーがあったようですが、見かけません。レア物で入手困難とか・・?III型は CR123A 3本とのことなので、もし持ち歩くことがあるとすれば III型が無難でしょうか?初代,II型でも良い工夫があればよいのですが。 あの大きさ重さで持ち歩くことがあるかどうかというと分かりませんが,スタジオもありませんから気になるところです。
おそれいります。早速投稿した機種が少しマイナーなGX680でした。
現時点で購入するとすればやはりV型だと思います。
バッテリーも入手しやすいですし、ファインダーのロックも左右2箇所(それまでは片側のみでちょっとグラつきます。)有ります。
それにストラップ用のアイレットも付いています。U型まではアクセサリーにストラップ用のブラケットが用意されていましたが、一般のストラップとはちょっと思想が異なっていて
主にスタジオ内でカメラを移動する用途と聞いた事が有ります。
但しアオリ量はテクニカルカメラを想定されているとちょっと???となります。ピントの微調整と考えた方が良いかもです。もっとも私は初代のSL66ですがそれよりは自由度は高いです。
実は普段は680Sとして使用しているのですがアオリが出来るフロントスタンダードも持っています。ただ私の使い方が悪いのでアオリのロックが脆弱なことともあってバックの中で知ら無い間に動いてしまい、面倒になって結局Sタイプに戻しました。
その他、コンタクトに起因する不良?は多いし、どっかの信号やりとりが不安定だとすぐ止まります。なかなか緊張を強いるカメラです。その意味でAC電源は持ち出す前日のチェックにはかかせません。
私はレールと平行方向のグリップを装着して手持ちでも使います。それと40mmの延長レールはお勧めです。
8×8のイメージサークルをカバーするミラーを備えた一眼レフのレトロフォーカスタイプ広角レンズでは色々と難しいのかも知れません。
レンズのプレビュー操作は絞りレバーよりも本体側に有る絞り込みレバーを使います。少し作動距離が長い感じがします。
ファインダーはAFシステムへの光量損失がないので意外に明るく、かなり絞っても使えます。
GX680レンズのピント合わせはノブで行いますが、ノブはRB67などとは異なりフロントスタンダードごと移動します。時々探します。
GX680S 65mmF5.6 F32 NS160
プロ用なのですからブツ撮りや建築(広角だから室内が多かったのでは)でモロに批判に晒され、その比較対象は従来型の対称型広角でしょうから可哀想です。
風景では文句が出ることはないでしょうに...
ご作品、場所とそこへ到達する労力も凄いのですが、出来上がる画像もまたすばらしく緻密で深い色合いが感じられます。
大伸ばしで見てみたいですねえ。
ホリデーフォトグラファーは刹那のうちに撮影することが要求されますから、この機動性は魅力です。いや重くて運搬は大変なのだけど、多分4x5で1枚撮る時間で120を数本撮れてしまうでしょう。バンバン撮れてこの画質、感激です。
GX680(I), GX50mmf5.6(いっぱいにライズ)、f16、1分(だったかなあ)、160NS
ちょっと傾いてしまい..
NSの穏やかな特性も加味して撮影されているのは流石です。
そのせいか画面奥に停車している車もしっかりしているし、それでいてカサついた感じにならないのが良いです。
ところで50mmっていっぱいにライズするとケラレませんでしたか?
50mmで一杯にライズしても標準蛇腹だと蹴られるより先に蛇腹とボディとの干渉が起こります。
袋蛇腹だと蹴られるほど上げられるのかもしれません。
標準蛇腹使用時のライズ量で、例えば建築やブツ撮りに支障がある程度かどうかは専門外なのでわかりません。
鳥居は水平だと上が入らなかったのでカメラを上に向けていて、ライズは上向き度合いを緩和する程度の効果です。
ところで、正直このような薄暗がり撮影を大判でやろうとすると、焦点合わせに相当四苦八苦します。
この被写体は以前トヨフィールド45または暗箱8x10でも撮影したことがあり、特に暗いバイテンはほとんど山勘の世界です。
そのような拙い経験を鑑み、GX680は機動性と全紙程度なら4x5に負けない高い描写力を両立していていっぺんに虜になりました。
小雨のためオリンパスE620で撮影した時はどんなに楽ちんだったか...
写真:薄暮の櫻;GX680I,210/5.6,f16,何秒か忘れました...160NS
・蛇腹レンズシェード:
初期に用意されたシェードで、φ82のレンズ専用です。使用できるレンジは100〜300mm です。
GX680の殆どのレンズに適合します。GX MDレンズには使用できません。シェードの先端にはゼラチンフィルターが装着できるブラケットが付いています。
・蛇腹レンズシェードU
φ82mmのGX Mレンズ(100〜300mm)とφ95mmのGX MDレンズ(115mm・125mm・180mm)に装着可能です。
GX M レンズに装着するには"蛇腹レンズシェードII用アダプターリング100"を予めレンズスクリューに装着して
レンズシェードを取り付けます。
汎用に使用するには良いのですが、購入される場合はリング付きを確認してください。
・蛇腹レンズシェードVF:
GX M 100〜200mmレンズ専用で四角錐の形状をしています。なかなか見つかりません。
・レンズフード80
GX M65mm、80mm専用のレンズフードです。
固定部のみだと65mm。延長チューブ(単純なネジリング)を装着すると80mm用になります。
固定部にはゼラチンフィルター用のスリット加工が入っています。
蛇腹レンズシェードは定価が4〜5万円もしましたので、流通量が少ないかなと思いますが、都内では意外に見つかります。
但し、ほぼ確実にレンズ鏡胴にキズが付きますのでご注意下さい。
最近GX680用のストラップを入手しましたので、そのレビューも一緒に。
GX用の50mmは135の23mmなので、最近のレンズから考えれば普通の広角領域ですが、かなり画角が広い様に感じます。
適当なフードが無いのでレンズむき出しです。画面の中に直接太陽は入っていないのですが、かなりハッキリとしたゴーストが出ました。
私の個体の為かは判りませんが、特段シャープとは云えません。ただし諧調はなだらかですね。それと意外に紫外線の影響を受けやすい感じがしました。
今回の撮影はAEファインダーを載せて、手持ちでお気楽と云いたいのですが、幅広のストラップでもかなり肩にきます。
ストラップはボディー両側にフックが有って、簡単に外すことが可能なのですが、ベースを装着したままだと三脚に載せられません。
とは言え、元々アイレットの無い機種なので手持ちの際は有用です。(そもそも屋外に持ち出す事はあまり考えていないカメラで、ストラップもスタジオ内での移動目的用だそうです。)
撮っていてフィルムバックのバッテリー残量が無くなりかけてかなり慌てました。GXのフィルムバックはカメラ側からは給電されずに自分のバッテリーが必要(CR2×2)です。
最近はCR2の充電仕様も有るそうですが、使えるかどうか判りません。
そんなに高性能でもなさそうというのもわかる気がします。
まあ、長大なフランジバックでレトロフォーカス、イメージサークルはシフトレンズ並なので設計が難しかったであろうことは想像に難くありませんが。
さて、フィルムバックの電池です。
これが切れたらどうなるのでしょう。取り外したりスイッチ切ると撮影枚数がリセット?
私のは多分何の処置もしていないので切れている可能性が高いと思っていますが、フィルムを入れたら撮りきってしまうスタイルなので問題が顕在化していないのでは。
ストラップは20年ほど前に友人主宰の撮影会に招かれたインストラクターのプロが使用していたのを目撃しました。
ポートレートで、有線でスタジオストロボに繋ぎながら手持ち(というか頸掛け)で撮影。
サブにはM645プロにワインダーを付けて、GXに較べると非常に軽快に撮影していました。
で、手持ちも出来るんだ-と思っていましたが結構重労働なんですね。そりゃそうか...
そういえば、撮影途中で交換したことが無いですね。
バッテリー切れかかると苦しそうな音がします。フィルムバックに電池が必要という意識が希薄なのでいつも慌てます。
このカメラの広角は80mmくらいまでが良いかもしれません。50mmは使い方が難しいレンズかもしれませんね。ヌケはとても良いのちょっと残念です。
ブラックアウトする150mmと50mmを持って晴海埠頭に行ってきました。
晴海はひところの喧噪から取り残され、良い雰囲気でお気に入りの場所です。
航路信号塔です。”F”は入出港自由にという意味で、ゆっくりと点滅していました。
撮影は旅客ターミナルからです。
以前はレストラン等も入っていましたが、今は有りません。
写っている船は様い湾内で何やら練習をしているのか?非常に小さな半径で旋回を繰り返していました。
係留されたまま、穏やかなうねりに任せて揺れていました。
これは50mmですが、DSLRはクッキリしすぎてしまうエッジが柔らかですね。
あまり若い方向けの描写ではなさそうです。
最近はポジは出た目適正露光しかしておりませんので勘所が脳から失われています。
こういうラジカルな露光は一発勝負ポジでは怖くてできません。
レンズ側もゴーストのそぶりも見せず、流石現代のフジノンです。ボディ側の内面反射処理も良いのでしょう。
フィルム時代のレンズをテストするのにα7Rを使っていますが、撮像素子からの反射なのか著しく逆光でゴーストが出るレンズが散見されます。フィルムではそこまでとは認識していなかったので吃驚です。
デジにはデジ用レンズでないと怖いなと思います。
でも、画面で確認できますから巧く避ければ驚くほどよく写るレンズも多いですね。
デジで再認識したレンズを、安心してフィルムで使います。
最近GX680はとても安く150mmは2000円でした。レンズ自体は綺麗でしたので、シャッターが動かなければRBの鏡胴に入れてしまおうかと思っていました。
GX680Sのフロントスタンダードを680Uのものと交換して持っていったのですが、少しティルトしていたのに気付かず撮っていました。
粗忽な自分には680Sが合っている様です。