1995年に世界初のオートフォーカス中判カメラとして始まった、富士写真フイルム(当時)の645判AFカメラシリーズです。5機種の共通点として,赤外線アクティブ測距とパッシブ測距を組み合わせたハイブリッドセンサ式のオートフォーカス,フィルムの完全自動給送(スタートマーク合わせ不要の完全オートマット),フィルムサイドへのデータ写し込み,フラッシュ内蔵,SUPER EBC コーティングされた優れた沈胴式レンズ,などの特徴が挙げられます.5機種は以下のような内容です.
1. GA645 Professional : 60mm F4 レンズ搭載の初代機(35mm判 37mm相当)
2. GA645W Professional : 45mm F4 レンズを搭載した広角モデル(35mm判 28mm相当)
3. GA645i Professional : GA645 をもとに,バーコードシステムを搭載したもの
4. GA645Wi Professional : GA645W をもとに,バーコードシステムを搭載したもの
5. GA645Zi Professional : 55-90mm F4.5-6.9 ズームレンズ(35mm判 34-56mm相当)搭載,チタン外装
フィルム装填は,フィルムゲートの脇に備えられた赤外線センサにより裏紙とフィルム,またその間の粘着テープの反射率の変化を検出して行われます.またバーコードシステムはこのセンサを応用したもので,粘着テープに印刷されたバーコードを読み取りフィルム感度と120/220切り替えを自動で行うものです.フィルム感度は電子的な設定変更に過ぎませんが,120/220切り替えには圧板の位置を機械的に動かす機構が入っているようです.型番に i が付いた,上の 3〜5 に搭載されています.
カメラ全体の仕様は単なるオートフォーカスコンパクトカメラというよりも,高級コンパクトカメラに近いものとなっており,7枚羽根の虹彩絞り,半押しでのレンズ駆動(シャッター押下時のタイムラグが小さい),プログラムAEに加えて絞り優先AE・マニュアル露出,露出補正,マニュアルフォーカスなども搭載されています.すべての機種に搭載されているフィルムサイドへのデータ移し込み機能は秀逸で,幾つかのモードがありますが,あるモードでは日付・シャッター速度・絞り値・露出モード・AF/MF の別,GA645Zi ではさらにレンズ焦点距離が写し込まれます.
カメラの内容としては,1〜4 ではあまり大きくは違いません.いずれも黒色プラスティック外装,採光式ブライトフレーム搭載ファインダ(パララックス補正・近距離補正搭載)などの共通点を持ちます.GA645Zi はレンズがズーム化されただけでなく,高級感のあるチタン外装(シャンパンゴールドとブラックの2つのモデルがあります)のほか,AFセンサなどがレンズの上に集められたりレンズ脇の出っ張りがなくなったフラットな形状になったり,モードダイヤルが背面から上面へ移動したりして,前衛的な形状から,より伝統的なカメラに近いデザインになりました.ファインダは実像式になり,ブライトフレームではなく視野の周囲が液晶マスクにより区切られる形式になっています.どのモデルもAF時に合焦距離が表示されますが,1〜4 は距離値のデジタル表示,5 はバーグラフ状になっています.その他,ファインダ内にはシャッター速度や絞り値も表示されます.
いずれのモデルもレンズ性能が極めて優れており,ピントがちゃんと合えば,非常によく写ります.F値の割には非常に贅沢な構成のレンズを奢ってあり,コーティングや繰り出し機構などもしっかりしていてまじめに作られている印象があります.ただやはり外部センサ式AFカメラなので,小さいなものにきちんとピントをあわせるのが難しく,また合ったかどうかが視覚的に確認できないので,近接時は注意が必要です.
ただ一部のモデルに不具合がよく見られます.GA645では初期型で,コマンドダイヤルの回転がうまく入力できないものが見られます.GA645 にはマイナーチェンジされたモデルがあり(AFボタンのまわりが誤操作防止の突起に覆われているもの),このモデルでは不具合はあまりないように思われます.GA645Zi は背面液晶の表示が欠けてしまうものが多く,私の手元にある2台はどちらも背面液晶に不具合があります.
登場した時は「中判にオートフォーカスなんて」と驚かれたカメラですが,その後,多くのオートフォーカス中判カメラ(ただし,主に一眼レフ)が現れることになりました.
使用に際しては、ファインダーに表示される距離を確かめて撮影すると良い様です。
GA645Wi はAFに頼らず、距離を合わせておいてスナップすると撮影が速い感じです。
但しファインダーはタル型の歪みが大きいですね。
レンズフードは測距窓を塞がない専用品が良いと思います。
レンズは645の中では秀逸だと思います。望遠は一眼レフ。広角はこの機種です。
最初はどうにも掴み辛い機種だったのですが、京都に持っていって片手だけで事が済む機械は便利でした。使うと良さが判る難しい機種です。
ナースマン様、私もフジGS645Sはここ数年マークしています。なかなか安いものがない、皆さんほしがってるんですね。
私のブローニー判2台目は、蛇腹のGS645でした。丁度その頃出た120のKRを詰めて北アルプスなど随分持参し傷だらけになりました。
ポジがメインだと露出計は絶対必要です。内蔵されていれば荷物も手間も減ります。
ただ合皮の蛇腹が経年劣化しやすくサービスが受けられる内に2回交換、また開閉に伴い無限が狂いやすく、これも2回調整。
もう今は壊れたら終わりかなと、安置状態です。
GS645が良かったので、645Wも使い始め、二台体勢で撮影していました。
交換レンズを替えるよりも標準広角二台を持ち替える方が、速写性が高い。
どちらもシャッターが軽く、また切れがよいのでぶれにくく、手持ち撮影によく合っています。
GS645シリーズは縦位置カメラなので、その頃の画像はついつい縦写真が増えてしまいます。
Wの問題点は、レンズが暗いこと。
KRかRVPを主にしていると、屋外でも少し曇るとf5.6では手持ちぎりぎりか、不可能に。やむなく1段アンダーで撮ったことも。
初期のRVPは実効ASA40くらいでしたでしょう?
その開放の解像力は素晴らしいのですが、開放では周辺光量落ちが目立ちます。でも手持ちなのでf5.6開放、1/30よく使うんです。
ビネッティングを効果的に使おうかと開き直るくらい。
せめてf8に絞れたらなあと悔しいことが多々ありました。
三脚を立てて絞れば何の問題もないでしょう。でも立てられるスペースも、時間も、精神的な余裕もない。
リアラエースとエクター25が出てからはネガ派になってしまいましたので、最近は400詰めれば良いかと思ってます。
なので、後にAF自動巻になったGA645Wで45mmf4に開放値が上がったのは大変よい改良だと思いましたし、
メカニカル機のGS645Wも、更新してくれたらなあと羨望でした。
恐らく開口効率が上がって、f5.6で充分な周辺光量が確保されているはず。あ、でもf4だと目測機に納得して貰えないか。
>75mmスプリングはイコンタ持っていた。60mmのSを買った。
>当時、この選択は間違ったと思った。
>RF、2重像が小さく〇。基線長が短く、0,5倍。分離見えずらい。
大変貴重なご経験です。そうなんですね。GS645の二重像も、虚像式なのであまりくっきりは見えません。
60mm用は、まあ近距離の保険みたいなものでしょうね。
状況に応じて同じカメラの評価が変わるのは大変興味深く、またあり得ることだなと思います。
私は6x9大好きですが、昨今フィルムは種類が少なすぎ、高価すぎ、現像も高く時間がかかります。おまけに120だと8枚ですぐ終わっちゃう。
潤沢に消費出来なくなってきました。
>サイズはスプリングより大きい。然し、プラスチックボデー770g。
>ライカ版換算37mm。1台持ち出すなら、結構使える。
そうなんです。GSシリーズはフォーマットに対して結構肥大してるんです。
イコンタはいわずもがな、少し大きめのパールIIIと比較しても大きすぎ。f2.8で66のツェルトシックスをケースに入れたのに匹敵するサイズです。
69のベッサが入るベルトケースにも入らない。645のくせに...
でもレバー巻き自動巻止めセルフコッキングの近代的操作性は気楽です。
>デジタル、135と併用するなら、45mm(ライカ版換算28mm)
>のWの方が便利かも。但し、此方は数か少ない。
f8より絞って撮るなら物凄く良いレンズです。レンズの突出が少なくコンパクト。
私もGS645Sが一番汎用性が高いと思いますが、取り敢えず手持ちのWに400モノクロ詰めて800くらいに増感して使ってみようかと思っています。
最近はスマートフォンでの撮影が主流になっていますので、意外に縦位置もすんなりと受け入れられるのでしょうか。
このカメラは縦吊りなので、意外に嵩張らないのも良い点です。
当初、GA645には自動沈胴機構がついていますので、機構の保護のためにゴム製の広角フードを付けていました。
するとファインダーに表示される測距の結果がばらついてしまいました。
従来のパッシブ式はこんなモノかと思いつつ、良く見ると測距窓にフードの一部がかかっていました。
もちろん外したら安定する様になりました。当たり前といえばその通りなのですが。…
おかげで距離を確認するクセがつきました。これはこのカメラを使う上でのキーポイントかも知れません。