BUSCH Pressman Model D
Chicago、IL USAのBUSCH Precision Camera Corp.
Pressman Model D です。
私の中では4x5小型出張カメラの決定版になってます。
Model Cもありこれは、6x9カバーのミディアムサイズです。
ネット情報から拾いますと1950-1960製造とのこと。
Bushch社はスピグラに影響を受け開発されたと、これまたネット情報で出ております。
1年以上使用したのでここで少しまとめてご報告させて頂きます。
さて、まずは出張セット。いつもはコンプリートで持ち出せるようにDバックに入れて収納してありますが、出張に持ち出す場合にはスーツケースに入れてしまうものもあります。いづれにしても持ち出し内容は同じです。
カメラ本体と、標準レンズ(135mm/f4.7)
レンズ2本(90mm/f6.8、210mm/f5.6)
ライトメーター
ブロア
レリーズ
ルーペ
冠布
フィルム交換用ダークバック
6枚撮りフィルムクイックホルダー2個(2種類のASA感度使い分け)
フィルムと露光済みフィルム収納用フィルム箱
以上になります。
このPressman Dの特記事項は以下です。
1)コンパクト
写真に見て頂けますようBillinghamのHadley Proにすっぽり収まります。私はこれにHasselbladの2000FCWに一本レンズをつけて横に入れて持ち出します。135版のカメラを入れる場合もありです。
なんとこの中に出歩き先では不要な交換用フィルムやダークバック以外は全て収納可能です。(ライトメータを小型にする場合もありますが)
2)ファインダーはレンジファインダー(135mmプリセット)
レンジファインダー搭載です。手前は最大1mまでいけるスグレモノです。
このファインダーには名前がつけられております。
"Busch Veu-Focus" だそうです。
https://lommen9.home.xs4all.nl/Busch/page9.html
Veuは英語ではいので、Viewの単語へのゴロ引っ掛けでしょうか...。
私の個体では購入したまま使用しており、反射版がかなり古くなってはおりますが輝点があれば十分まだまだいけます。(写真参照)
私は一度も通電したことがないのですが、写真の真ん中の窓から光がでるようです。ナイトフォーカシング可能ということです。
スポーツファインダーですが、パララックス調整は手前にある球体のいちをつまみで緩めて上下します。(写真参照)
(私は穴空きタイプの方がうまく扱え、この玉タイプは苦手です。)
3)レボルビングバック
薄型のクラウングラフィックよりもずっと薄い筐体になんとレボルビングバックが搭載されています。これは大変に便利で、スピグラの場合は雲台の首を傾げさせると私が使用している出張用カーボン三脚の場合にはどうしても安定度が悪く、その場合三脚座から付け替えをしておりました。
この点レボリングバックで大変小気味よい構図変更が可能です。
残念な点:
A)ちょっと重い(かも):実測2.5kg (135mm標準レンズ付き)
クラウンと比べますと重くスピードと比べると余り変わらない印象です。理由はスピグラは木製というのが大きいと思います。ただ、木材は機械工学上は密度2.7で実はアルミと同じに設計計算されますので、実測比較した方がよいですね。
B)フォーカルプレーンシャッターは準備されていない
ここは割り切りでしょう。というのはスピグラフォーカルレンズの最大も魅力とも言える戦前バレルレンズの使用がありますが、このPressman Dのレンズ取り付け部の喉元寸法は横の幅が58mmしかないのです。むりやり拡大も可能と思いますが、それでも片側3mmくらいでしょう。64mmが最大になります。それ以上のレンズはよほど工夫しないとならないからです。まあ、このような想像もFPシャッター非搭載ですので不毛な考えです。
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レンズ紹介:
135mm/f4.7, Wollensak (fは最大32)、シャッター:Rapax 1/400まで。標準レンズです。
純正の蓋には「Made for BUSCH BY Wollensak 」と刻印されております。この蓋は大変質がよい金属性でこの時代キャストはあったのでしょうか?キャストで文字は掘り下げ、さらにBUSCHには朱入れ、他は黒で塗装されております。一部メッキが剥がれかかっており、中は樹脂ではないことが確認できます。この全面はRになっているので、色入れも手作業で入れたと思います。(写真参照)
90mm/f6.8, Angolan. Schneider-Kreuznach (f max 32), Syncro-Compar-D 1/500まで。Tなしなので、このレンズにはレリーズ+Bでの構図決めになります。フロントキャップはシュナイダー定番の樹脂製ですが、裏蓋がこれまで凝ってました。削りだしで真ん中にアルミ製シールが貼ってあります。(写真参照)
上記2つのレンズが純正で用意されたものだと思います。
これに、ご存知Symmar-S 210mm/f5.6をシステムに追加しました。
Pressmanのボードは独特形状をしており、写真を見て頂くとわかると思いますが上部にベロが出ています。このベロをネジで止めこむという構造です。
実際やってみるまで不安でしたが、このレンズの後玉枠外径が58mmです。
そうなのです、ぴったりカンカンで、取り付け可能でした。
出し入れの時にはぎゅうううとしますが、それでも何度かやっているうちにぎゅうくらいになり、なんとか無改造(本体側には凹みが付きてます。植毛紙が貼付してあるのでその分が圧排され薄くなった感じです)で使用可能です。
かくて、90、135、210のレンズをお手軽に出張に持ち出すことが可能なシステムになりました。
6x9のプレスマンはよく見掛けます。
レンズボードが、先に揃えたセンチュリーグラフィック23と異なって揃えるのも難しそうなこと、ロールホルダーが付くかわからないこと、そして確か装着レンズがウォレンサックのラプター101/4.5だったので、敢えて飛び込むことはありませんでした。
4x5はボディが薄いという特徴があるのですね。それはパッキングには有利です。
4x5モデルはショーウインドーでしか見たことがないので、全く認識していませんでした。
23ボードは独自なのか気になっていましたが、戦前モデルのミニアチュアを入手して戦後センチュリーとは違ったボードなのを知り、もしかしてブッシュプレスマン23もこの規格なんじゃないの?と疑問に思った次第です。
勿論4x5モデルはもっと大きいのですが、レンズボードはどうされているのですか?そちらでは入手できるのですか.
ボードは見たところ拙宅のMPP後期型に似た結構特殊な形状ですが、寸法など如何でしょう。
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
ボードはeBで時々気まぐれで自作ボードを出してくれる奇特な方がおりまして、ネットで有名です。私もその方のものを購入しました。
が、そのままでは使えずヤスリがけをして現物合わせしました。特に外側の板の寸法と、隅Rです。まあアルミ(おそらく60材、50材と呼ばれる加工しやすいもの)ですので10分もかからない簡単な作業です。
Buschのボードはベロがついているので自作は少し面倒になります。
上記の方のものはなんと一枚板で、ベロ部材のみを直接溶接しております。
このベロにはストレートリーマで揉んだと思われる中途半端な外径のキリ穴が設けられています。穴の直径は実測1.9Φです。
この穴の位置は、本体のネジの位置を微妙にずらしてあるのです。
本体のネジは先端が45°くらいのテーパになっており、ねじ込むことによりボードを本体側に引き込むという設計です。
純正のボートを測定して図面に起こしてみました。
驚きましたが、ベロの曲げ加工は超適当です。
しかも上記のベロの穴は、曲げ加工前に開けられています。
いやあアメリカンな感じです。普通は精度を確保するために曲げ加工後、できればスポット溶接後に穴を開けるのですがね。。。
左のものがeBで購入したものです。パーマセルを貼り付けてあるので分かりづらいですが、ベロ部材を調節溶接してあります。一応溝加工をして、ベロの板を少しインローで決めていますが強度的にはあまり利いていません。(寸法がインローになっていません)
下の写真は本体側の呼び込みネジです。
45°くらいと思いましたが、60°くらい尖ってますね。
このネジは固めのグリスでメンテナンスしております。ちょっとガタが気になります。(全体的にはなかなか品質高い機種ですので、これは私の個体だけのアラかもしれません)
スピート、センチュリー、プレスマンD の大きさ比較をしてみました。クラウンがないので、あまり価値がある比較ではないかもしれません。
クラウンは私が時々持ち出すダラスバックには入りません。センチュリーはOKで、ギリギリハッセルの500(2000)は入ります。
PressmanDはこのカバンにも入ります。
使う機会はほとんどないですが、時々洒落でビジネスフォーマルな会食に持ち出し、皆を驚かせる(呆れさせる)のが楽しみなのです。笑
れんずまにあ様
ロールフィルムバックがつくか否か。
グラフロックバックのようにスクリーンを外すことができません。
このことはネットにもこの機種の欠点の一つとして挙げられてます。
CAMBOのアダプターを試してみました。
装着できました!!
しかし!スプリングの可動域がパンパンです。
三脚に乗せフレーミングした後に、構図を崩さずにこれを入れられるかと問われると装着は勢いでなんとか行けるかも。
問題は取り外しです。すったもんだしてなんとか取り外せました。
スピグラ、センチュリーとの比較、なるほどこの薄さは素晴らしい。よくぞここまで薄くした!
たたみ込めるレンズを選ぶとも言えますが、薄型のレンズはご使用のアンギュロン90を始め沢山ありますね。
ジンマー210まではたためるんですか?
ボード寸法もご多忙の所詳細ありがとうございました。
存外小さいという印象です。これではホースマン8cm角と変わらないくらいでびっくりしました。
ホースマンは#1には少し浮いた専用ボードが用意されています。フラットボードのまま#1が装着出来るのは良いですね。
そしてレボルビングバック!この一点だけで欲しくなる機材かも。
重いと行ってもリンホフの3割引くらいですしね。
勝負するなら距離計はないけどホースマン4x5HFくらいかな。
ロールホルダーが使えるかどうかは、23のほうは切実ですが、4x5は今となっては縮小バックで使う方は少数でしょうから問題無いと思います。薄いカンボでも、出先で外れなくなったら悪夢ですよね。
>よくぞここまで薄くした!
でしょう!そうなのです。
>たたみ込めるレンズを選ぶとも言えますが、薄型のレンズはご使用のアンギュロン90を始め沢山ありますね。
>ジンマー210まではたためるんですか?
鼻から無理だろうと試してませんでした。
私のスピグラに
はクセノタール135/3.5 を選び抜いて標準レンズにしました。
宜しければラプターについて少しウンチク頂けますか?
>そしてレボルビングバック!この一点だけで欲しくなる機材かも。
同意します!
同じシーンを結構な頻度で縦横で撮っておきたいという軟弱者なので、これは便利機能です。
その構成は、多く見掛けるテッサー型の127/4.5は代表ですが、構成は様々で、Clarus用2インチf2から、独自の超広角タイプ、プロタータイプ、望遠タイプまで多様です。8mmムービー用も沢山あるようですね。
私の情報は主にカメラエキセントリックさんからのものです。素晴らしいカタログを公開しておられ感謝にたえません。
ttp://www.cameraeccentric.com/info.html
実際に使った経験は浅いのですが、
以前Rapter Wide angle f9.5 159mmを使いました。
4群4枚のトポゴンエレメントを全部2枚貼り合わせにした4群8枚という、常識的というか正統派の進化形だと期待しました。8x10をギリギリカバーするイメージサークルでしたが、絞っても端の画質は低く、開放のコントラストが低いので売ってしまいました。今から思えば、絞って性能を楽しむべきだった、早まったと思います。まあAngulon168/6.8のほうがダントツで高性能なので後悔してませんが。
ワイドアングルならこの前のシリーズIII f12.5のほうがシンプルでよいかもしれません。
今はエキセントリックさんから買ったSeries1a f6.3 130mmというtプロタータイプのトリプルコンパーチブルを4x5で使っています。大変小型軽量で、前後単独で使えるのが面白い。プロターには珍しく(というか唯一では)コーティングされてます。
以前聞いた話では、ダゴールやジンマーは後玉だけで望遠になりますが、本来前後で収差を打ち消す設計なので片方では余程絞らないと収差が取れない。しかしプロターは元から片方だけで収差を補正している(だから4枚貼り合わせx2)なので単独でも高画質、という。
実際は、片方ではダゴール片方とあまり変わらないハロの出方で、ついでにいうと前後組み合わせても、画質は甘くはないがハロります。
プロターは解像力が高く繊細でプロには高評価だが、一般にはテッサーのほうが線が太くてもハロが少ないのでウケが良かったという話、理解しました。
シリーズ1aは楽しみのために残しています。というか愛してます。ここぞと言うときにはアポジンマー使うけど(笑
あとは、長焦点代わりにRapter Process f10 14inを持っています。これはバレル。絞るからシャッターはイイか、って。今取り敢えずペンタックス67マウントにしてますが、アダプターでジナーでも何にでも付けられます。これは無味無臭のレンズで語ることは少ないです。
付属のラパックスシャッターについて、プレスフォーカスなかったり、Bと高速低速の順番が普通と逆だったり、広い心で赦しましょう。
わぉ、ありがとうございます。
使用経験、印象なども頂きいろいろな面で生きた情報です。
教えていただいたサイトも濃いですね。素晴らしいサイトです。
私は、もっぱら、
ttp://www.butkus.org/
こちらにお世話になっていたので、ブックマークに加えました。
Large formatの所が大変参考になります。
他にも実用的な資料がたくさんありますね。
MPPのモデルVIII説明書興味深く拝読しました。
数年前はMPPクラブを閲覧できたんですが、会員制になってしまい、最近見られないんです。
MPPは二眼レフが有名ですので、また別に機会にレポートします。