4X5版 Graflex SpeedGraphicです。
年代によって幾つかバージョンがあり、特に初期のものはGraflockBackが採用される前のものがあり注意した方がよいです。(交換がきくGraflockbackを欲しいならばですが)
ボティーにフォーカルプレインシャッターがあるものがSpeedGraphic
シャッターがないものがCrownGraphic
と製品名。
通称スピードとクランとアメリカではニックネームで呼ばれています。
カラートレンジファインダーがオプションで付属します。このレンジファインダーにも横に接続されるものと、上面に接続されるものの二種類が存在します。
横型のものは簡単に調整はできますが、一つのレンズだけへの対応になりますが、上面型のものはカムと呼ばれる部品交換をすることによって簡単にレンジファインダーの設定を変更可能です。
上面型ファインダーの場合、面白い機構が組み込まれております。ただの豆電球が光路に入っているのです。これを光らせるとファインダーから外にフィラメントが投影されるのです。そこで2つのフィラメントの投影像が合致するようすれば合焦できるという、暗闇には最高の機構です。この豆電灯をレーザーに交換することでさらに強力なものになります。日中でも簡単確実に焦点をこれだけで確認することが可能になり、スポーツファインダーを用いれば大変軽快な撮影が可能となります。
まず、始めに写真で紹介するのは横にレンジファインダーが接続されるタイプです。
これは写真にみられる個体はKodak Aero-Ektar f2.5 178mmにレンジファインダーを調整してあります。
バックにはCambo Reflex View Finderを接続させてあります。
これはそのままだと接続できないのですが、樹脂製ですし簡単な工作で少し上下左右の寸法を詰めてあげるだけで接続できるようになります。
もちろん純正のフードでも構わないのですが日中明るいところでの撮影は圧倒的にこの方法が有用ですね。このカンボファインダーですがレボルビングできるので90°反転の縦長撮影時にも大変重宝です。
そしてご存知の方も多いと思いますが、これは写真家のDavid Burnett氏の完全コピーです。
https://petapixel.com/2013/02/08/david-burnetts-speed-graphic-photos-of-the-london-2012-olympics/
フォーカルプレインのスピードはシャッターを持たないバレルレンズを使用可能です。
ここで紹介したアエロエクターですが、なんとスピグラの開口寸法ではほぼガタもなくピッタリなのです。もし設計者が狙ってこの寸法にしていたのであれば、その方は高く評価されるべきです。アエロの設計者はこのレンズが分解されてアマチュア市場で使用されるとは思っていなかったはずだと思います。これボディー規格とエアロとどっちが後設計なんでしょうね。
シャッターはBackに入れるとフォーカルプレインです。
一番下の「Front」にすると、ワイヤー連動にてレンズボード向かって左横に配設されているカンチレバーが下がり、レンズシャッターを使えるようになります。
下段、中と右ですが6枚のフィルムを収納可能なクイックチェンジャーです。
このホルダー1個分の大きさの中に、6枚を収納可能です。とってもコンパクト。。。といってもあまりコンパクトさはどうでも良くなる機材なのですが。笑
所有経験はありませんが非常に興味深い機種で、特にバーレルレンズ使用には見逃せません。
Aero Ektar178はスピグラで使えるので有名で、友人も一人愛用していますが、深く伺っていませんでした。それほど適合性が高いとは。
描写は黄色いが、性能は大変良いと聞き及びます。
その友人から、トリウムグラスの放射線量を量って欲しいと依頼されお借りしたことがありましたが、撮影は出来ず仕舞いでした。
線量は、まあ沢山出てはいましたが、もっと出る機種もあるのでまあそこそこ気をつけましょうという結果でした。
クイックチェンジャーはグラフレックスのコピー、フジのを2台持っています。
確かに迅速に6枚撮影できるので便利ですが、フジのは重いので(本家は持ったことがない)、フェディリティ3枚と較べてどうかといつも悩んで結局普通のシートホルダーで出かけることが多く。
クイックチェンジャーは一々外してピントグラスを覗くのは非効率で、レンジファインダーか目測か、あるいはレーザーでもよいのですがバックをつけたまま連写するのに適しています。
その点ではスピグラとクイックチェンジャーこそ本来の組み合わせで、私のように普通のテクニカルカメラでピントグラスで使うのは邪道でしょう。
散文ご容赦。もう少し皆さんのように情報を整理して体系的に記事を書きたかったのですが、お恥ずかしい限りです。
何かもっとここが知りたいなどご要望頂ければ、都度報告させて頂きたいと思います。
私のトップRFの個体にはクセノタール135/3.5が常に付けてあり、そのまま蓋もしまります。シャッターがコパルの電気制御のものになっており、1/400から32秒までの速度が安定して得られます。本当はクラウンの方が2cmくらい薄くなり軽量なのですが、レンズシャッターは零下20度とかになると信用がならなくなり、寒い環境は断然フォーカルプレインです。
私が出張で持ち出す最大の機材がこれです。
数年前出張で日本に行き、新幹線の中で撮影をしていたときには恥ずかしかったです。
丁寧に作られたマホガニーボディは愛着が湧くでしょう。
センチュリーグラフィックはこのボディをマホガナイトというABS樹脂にしたモデルですが、合わせて細部が簡略化、効率化されている部分があり、クラウンは上位モデルに位置づけられます。
初期はどうもグラフロックバックではなく、カットフィルム/パックフィルム専用のスプリングバック固定だったようで、普通のロールホルダーが使えないため現在は非実用的なのですが、戦後モデルはスプリングバックが取り外せて汎用6x9ホルダが使えます。
標準レンズは、戦後は恐らくKodak Ektar 101/4.5, 105/3.7であったと思われます。廉価版のセンチュリーはEktar101/4.5またはWollensak Optar101/4.5が主であったでしょう。
センチュリーはベッドを開く際ロックボタンはボディ上面中央にあるのに対し、クラウンは向かって右側面上側にあり、私は戸惑ってしまいました。
加えてクラウンにはボディシャッターが装備されていますが、私のはリンクが欠品していて使えません。シャッターの位置的には使いやすそうですが、リンクを自作する手間に見合うものか、悩みますね。
センチュリーRF(左)と比較します。サイズはほとんど同じ、クラウン(右)はボディのトリムなど装飾的です。反面、センチュリーは黒一色に加えてグレー革赤蛇腹の女性向けモデルをラインアップしていました。またセンチュリーにはRFがないモデルもあります。
2x3インチモデルは戦前1939年ミニアチュア スピードグラフィックに始まり、1940年のアニバーサリーを経て戦後のペースメーカーで完成の域に達しました。
紹介しますのは戦前ミニアチュアです。
初期のモデルなので、戦後のペースメーカーで装備された便利な機構のいくつかはまだありません。
具体的には、
オリジナルモデルはグラフロックバックではなく、スプリングバックで差し込み式のシートホルダーまたはパックホルダーしか使えませんが、幸い私が入手した個体はグラフロックバックコンバージョンキットが装着され、戦後のロールホルダーを使う事が出来ます。
透視ファインダーが固定装着(ペースメーカーは取り外しできる)
リアサイトが板金平面。
サイドストラップが固定装着
ベッドダウンできない。
ライズ1cm/フォール5mmできるがシフト/ティルトはできない。
レンズボードが平面(ベークライトのがついているが、オリジナルか不明)
距離計アームの構造が違う。
奥側のベッドレールは動かない。
ベッドレールの構造が違い、インフィニティストッパーは可倒式ではなく実用上1本のレンズしか対応できない。
(ストッパーを外してしまえば自由にフランジバックを決められるが、迅速に無限を出せなくなる)
とはいえ、基本的には同じ操作性を持っています。
キモはやはりフォーカルプレーンシャッターですね!
最大に巻き上げると”D"目盛りになり,レリーズすると1/16スリットが走行し”C"で止まります。次にレリーズすると1/8スリットが走行し”B"目盛りで止まる、というふうに順番に広いスリットが準備状態になります。
従って、例えば”D"を続けて走らせたい場合は1段階巻き上げて目盛り”D"を出しておく必要があります。
また、”D"目盛りで待機している時に、7/8幅のスリットを使いたいときは、レリーズで空走行を3回行い、表示”A"を出して待機します。
セルフキャップされませんので、引き蓋をしていないと巻き上げ途中で露光されてしまいます。
画像は巻き上げ途中の状態。左から”B", "C", "D"目盛りに対応するスリットです。
一番上の蝶型ノブ(フォーカルプレーンシャッターチャージ/スリット調整ノブ)を反時計方向に回転させ、その下の窓に希望のアルファベットを出します。180度毎にラチェットが掛かりますから逆回転しにくいですが、23はボディが小さいので左手でボディを回しながら右手でノブを回すと上手に1回転できるでしょう。希望のナンバーを過ぎても、シャッターを切れば元に戻ります。
廻りきった状態から巻き上げるとまず”O":が出ます。この位置は文字通りスリット全開で、ピントグラスを使う位置です。
次ぎに”T"が出ます。これはシャッターを閉じた状態で1回レリーズすると全開し、2回目のレリーズで閉まる、タイム露光モードです。
3番目が”A"で、ここから、巻ききった6番目”D"までが通常露光になります。
その下がシャッターレリーズレバーで、前から後に引き金のように引くと1回レリーズされます。レリーズごとにセットした目盛りから始めに戻っていきますので、チャージしないとどんどんシャッターが遅くなっていきます。
その下は、スプリングテンション表示窓で1から6まで表示が切り替わります。数字が大きい方がテンションが大きく、シャッターが早くなります。テンションは、レバーで切り替えないと、シャッターを切っても同じ表示が維持されます。
一番下はスプリングテンション切替ダイヤルで、反時計方向に巻けば数字が増えて、テンションが強くなります。弱める場合はダイヤル前方にあるレバー下端を前方に押すと1段階ずつ表示数が減っていきます。