Horseman ER-1
1987年駒村商会から発売されたトプコン製ホースマン銘中判テクニカルカメラの最終モデル。(実際最後まで販売されていたのはVH)
基本構成はドロップベッド型金属製中判テクニカルカメラのなかで最もアオリ自由度が高いホースマンVH-Rの内蔵ファインダーを廃止し外付けズームファインダーを装着可能にしたもの。
最大の特徴は、グリップに電池を内蔵し、ボディ内部のフレキシブル配線によりレンズボード、フィルムバックを結び、外部コードなしでグリップのボタンによりレンズボードのソレノイドを駆動しレリーズされるほか、シャッターチャージ、巻き上げ、ダークスライドの設定ミスがあるとレリーズが禁止され、グリップ後部のインジケーターランプの色によりミスの箇所が表示される、テクニカルカメラには稀有なシステムです。
残念ながら上記の機能は、専用のERレンズ、ERフィルムホルダーがすべて揃わないと作動しません。
ERレンズは、マルチコートされたメリットがありER-1が生産中止になっても長く販売されていましたので入手容易ですが、ERホルダーはまず出てきませんので、交換バックを揃えるのは茨の道です。
ただし、ボディ単体の機能は高く、VH同等のアオリに加え、ファインダーを外した単体では軽量2sで、連動距離計つきボディとしてはコンパクトにまとまっています。(参考:VH1.8s、VH-R2.2s、760(距離計なし)1.8s、985:2.1s)大きなファインダーを外して35oカメラ用の小型ファインダーを付ければ軽快でしょう。
そんな機能、必要か?という疑問もありますが、おそらく駒村商会は失敗しやすい、難しいと思われていたテクニカルカメラの敷居を低くして、なんとか一般に普及させたかったのじゃないかと思います。私は1987年頃モニター応募当選してからの付き合いになります。
180/5.6以外の65mmから150mmまでのレンズは装着したままでベッドを畳めます。
基本的にボードは共通ですから、旧型ホースマンにも装着出来ますが、付属するソレノイドを駆動できるのはER-1だけですから、余計物ですね。
しかしソレノイドの頂上に普通のレリーズスクリューが切ってあり、汎用レリーズが使用出来ます。従来のスーパートプコールやプロフェッショナルトプコールは専用レリーズ(またはカプラーアダプター)が必要でしたので、一般に近づいたということでしょう。
従来レンズとはセイコー#0シャッターのネジ径が異なり、レンズ部分の互換性はありません。
レンズは大変小型軽量で、複数本持っても荷物になりません。
全てのレンズは専用距離計連動カムとセットになっていて、予備カムはボディ上側に2個収納できます。カムはレンズ個体ごとの微調整を要せず、その機種用のカムを購入すれば誤差無く連動してくれるのが美点です。
フロントスタンダード右手側の少しずれた位置に赤と白のドットが刻印されています(写真参照)
前板を一番おろした状態がデフォルトで、二つの点はずれています。
これはトプコール65/7を縦位置で使う時、このドット位置を合わせるようにライズするとベッドダウンせずに使える指標なのです。
レボルビングがない985までの機種には存在しません。
また横位置で使用するときは、ライズする必要はありません。またドットを合わせた状態では畳むことはできません。
この手のカメラは触れられる機会が少ないので、なかなか良さが伝わりません。さらに販売時は高額でした。
見た目以上に硬質で精密なカメラなのに少し残念な気がします。
トプコン銘はありませんが、東京光学のシールが貼ってありました。(写真左下、レボルビングロックの下)
何故このモデルからトプコンネームが抜けたのかは不明です。
レンズ銘もトプコールではありませんし。不思議です。
定価はリンホフの半分程度と、日本製写真機ボディとしては最高価格でした。
当時消費者モニターに当選しなかったら手にすることは出来なかったはずです。
ところで昨年近所で美品セット5万円で見かけて、感慨深かったです。
以前ならレンズ一本分ですよね...そういえばレンズも1万切るものが結構出てきます。
ホースマンは徐々に改良を重ねて、980さらにVHからは6x9テクニカルカメラとしては
リンホフ23をしのぐ、おそらく世界でもっとも多機能なムーブメントを持っていました。
これ一台でビューカメラ的にもフィールドでも活用出来る、という夢を抱かせるスペックです。
でも、使ってみるとやっぱり、やってやれないことはない万能機。
余談ですが、耳に挟んだ所に依れば、ER-1が生産中止したのは電子部品がディスコンになったためとか。
スーパーERレンズはER-1終了後もVH用に継続販売されていましたが、在庫処分だったのか、
生産継続されていたのかは存じません。結局セイコーシャッター供給が終了したため終焉を迎えました。
4x5以上用のLFトプコールはコパルシャッターだったのですが、ほぼ同時期にカタログ落ちしています。
その後は駒村商会が代理店となっていたローデンシュトックのシロナーN100/5.6がVH純正の組み合わせでした。
毎度貴重な情報をありがとございます。
45にはスピグラをメインで使っております。
横カラートの場合には、レンジファインダーは焦点距離1つのみですが、トップカラートのスピグラですとカムの交換で「容易」に焦点距離毎の設定に「即座」に交換可能。。。のはずなのですが、これが中々コツも必要で面倒です。
ホースマンの場合、この当たりも大変使う良い形に設計されていると記憶しております。羨ましいです。
それにしても綺麗な個体ですねえ。
23だとサイドRFでもあり交換レンズに対応するようにはなっていませんし、諦めています。
ホースマンは自社レンズではカムを共通化していますが、持ち込みレンズにも特注対応できたかどうかは存じません。
昔はリンホフ代理店のシュリロに神業の職人さんがおられ、お客さん持ち込みのレンズに対してカムをグラインダーでひとなでしただけで距離計連動できたという伝説を店舗で伺ったことがあります。
今はカムとレンズが純正ペアでないと正確な連動はできないかもしれません。
とはいえ、カムに刻印された焦点距離のレンズをあてがってみると、4x5テヒニカについては「ほぼ」合うのではないかと思っています。
今まで、90mmf8スーパーアンギュロン、135/3.5プラナー、150/5.6ジンマー、180/5.6ジンマー、240/5.5テレアートンについて、フジヤや海外通販のジャンクカムでもルーペで見る限り連動最短まで合っているようなのです。
135以外はカム刻印された銘柄焦点距離のレンズですが、135カムはジンマー用なのにプラナーもイザレックスも合うのです。
リンホフ23用ディスクカムはどうなんだろう。
ホースマン105mmカムでクセノター100/2.8を付けたときは流石に近距離ずれてました。
スピグラのカムは愛好家が形状をネットで公開してくれており、リン青銅か、アルミ板で自作します。
未知のものでも追い込み方を伝授されているサイトがあり自作できます。
fが近くて、焦点距離が同じなら光束も同じだから、インフさえ出せばカム同じで済むのでしょうか???
あ、でもテレセンの場合は違う?
135mm はなんかありそうですね。
クセノタール一本しかないので試せないです。