ツェルトシックス

ツェルトシックス
1954年ツェルトカメラヴェルケ(東独)
6x6cm判スプリングカメラ、120フィルム専用。
重量約900g、ケースは200gくらいあるのでトータル1.1kgを超える。
一眼式距離計連動。最短1.5m(5ft)
レンズ:Carl Zeiss Jena Tessar 80mmf2.8
シャッター:Tempor 1/250-1, B,チャージは手動。

 後に自社製テンポールシャッタをやめ、シンクロコンパー(1/500)やプロンターSVS(1/300)を導入、プリモター80mmf3.5モデルも追加されました。

利点:全群繰り出しの明るい80mmf2.8レンズ。フィルター径40.5mm
   非常に高精度。
   レバー巻き上げ、二重露光防止機構の速写性。
   一眼式距離計パララックス自動補正ファインダー。
欠点:重い。分厚い。正直これを持ち出すくらいならTLRのほうが軽快かも。
   作りが荒い。東独に共通している。操作は固く金属加工仕上げが投げやりで手が切れそう。

使い方
フィルム装填:右にフィルムを入れ左の巻き取り軸にリーダーペーパー先端を噛ませ、左手側レバーを巻いてスタートマークを合わせ裏蓋を閉め、背面ボタンを右横にずらせてカウンター手で回し△マークに合わせる、カウンターを見ながらレバーで1まで巻く。
前蓋は正面上部のロックボタンを下へずらせば、かなり強いテンションで激しく開くので手を添えて優しく軟着陸させる。
前板下部に焦点調節レバーがあり、二重増合致式距離計ファインダーで合わせるか、軍艦部の距離目盛を合わせる。
シャッターセットはチャージ前に行う。またチャージ状態で蓋を閉じられない。
ボディ前面右手側にレリーズレバーがある。

れんずまにあ 2021/01/02(Sat) 17:36 No.1775
Re: ツェルトシックス
フォーカシングでレンズはライズアップし、パララックスを矯正する。ファインダーは簡単なガリレオ式でブライトフレームはなく境界が曖昧なのでどこまで有効かはよくわからない。
写真上は無限位置、下は最大繰り出。ライズがわかる。

れんずまにあ 2021/01/02(Sat) 17:38 No.1776
Re: ツェルトシックス
レンズをf2.8にするだけでこれだけ大きくなるのかと驚きます。
各部の精度や、パラ補正ギミックなど盛り沢山なのも一因ですが、スーパーイコンタと比べてもかなり重量級です。
撮影結果は十分良いのですが...

66スプリングで最小クラスのベッサ66と並べてみました。
ベッサ66はコートのポケットに入れて携帯できる別格のコンパクトさ。

れんずまにあ 2021/01/02(Sat) 17:42 No.1777
Re: ツェルトシックス
レンズのテストのような被写体です。スーパーイコンタやローライのテッサー2.8と同様に開放では若干ハロがありますが、開放から十分鑑賞できる画像かと思います。
テッサー80mmf2.8開放、1/30

れんずまにあ 2021/01/02(Sat) 17:45 No.1778
ツェルトシックス VS スーパーシックス
ツェルトシックス VS スーパーシックス

ライバルといえば明るい80mmを装備したイコンタ最高峰のスーパーシックスでしょう。

      ツエルトシックス         スーパーシックス(532/16)
重量     880g              990g           (GF670: 1000g)
レンズ    東独ツァイス(コート)     戦前ツァイス(ノンコート)または西独ツァイス(Tコート)
       Tessar80/2.8         Tessar80/2.8,
       Primotar80/3.5        Tessar80/3.5
フィルタ   40.5mmスレッド       スレッドなし.K-37かぶせ
焦点調節   全群繰り出し          前玉回転
      ベッド下部レバー         ドレイカイル部ダイヤル
最短距離   1.5m              1.8m            (GF670: 0.9m)
近接補助   存在を知らない         コンタメーター(戦前,戦後モデルあり)20cmまで
パラ補正   あり               なし
シャッター   前述3種            コンパーラピッド1/400かシンクロコンパー1/500
チャージ後前蓋閉禁止      チャージ後前蓋開閉自由
レリーズ   ボディ右手レバー         ボディ上部ボタン
       二重露出防止          二重露出防止
巻き上げ   レバー自動巻き止め       ノブ,ハンドル起立.自動巻き止め
撮影枚数    12枚              11枚(戦後V型は12枚という?)

 ポイントは、スーパーシックスで最短撮影距離が異様に遠いこと(50歩100歩とも言うが)、全群繰り出しと前玉回転との差でしょう。
前玉回転ではおそらく3から10mくらいの有限距離を基準に最適なレンズ間隔を置き、無限と最短は最適間隔からずらせて焦点を合わせるため、
性能劣化が避けられません。最短が1.8mと遠いのも、それ以上近寄ると収差が無視できなくなる、さらにドレイカイルの連動限界にも
影響されると想像されます。
 開放f値がf3.5の距離計連動スーパーイコンタでは、6x9で1.5m、645で1.2m、に対し、非連動距離計のメスイコンタ(524/16)では
1mまで近接可能です。

 ツェルトシックスではドレイカイルでなく機械連動距離計を使っているにしては最短1.5mは遠いですが、明るいレンズは精度を要するので
止むを得ないかもしれません。

 ツェルトのVEBカールツァイス製シャッターは最高1/250と物足りないですが、アシストスプリングは頻用しないと考えると悪くないでしょう。

 比較表では見えてこない実際の操作感触は、圧倒的にスーパーシックスの質感が上です。操作すべてにおいてツェルトは固く重い。
シャッターブレに繋がりかねません。
 レバーの優位性も、私はそれほど感じませんでした。
徹底的に比較していないけど、無限や最短の画質でも、スーパーシックスが大きく劣ることはないと思います。

 スーパーシックスは11枚しか撮影できないのは、困ったことです。スタートマークより2cmほど手前から開始し、11枚後目分量で
プラス1枚は撮れるように思いますが、自己責任でお願いします。

 ツェルトシックスはギミックが面白く、重厚で撮影結果が良いカメラです。使い込むと奥が深いと思います。
同クラスのレンズをもつTLRとどっちを持ち出すか大変悩ましいです。
れんずまにあ 2021/01/03(Sun) 12:00 No.1779
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