Rollei Standard
Rolleiclubによると、名称はStandard Rolleiflex 6x6 K2
前モデル(Original Rolleiflex: 117フィルム専用6枚撮り)と入れ替わりに1932年発売,
モデル620(テッサー4,5/75)は1934年まで,
モデル621(3,8/75)は1935,
622(3,5/75)は1938年までとなっていて,
1937年アウトマート登場後、併売されたが1939年からはBay1を備えたStandard Rolleiflex(スタンダードノイと言われることもある)に交代した。
重量773g(620),803g(621),778g(622)実際には3機種で重さの差を感じることはないはず。
モデル620と621はコンパー1-1/300、622ではコンパーラピート1-1/500。
ごく初期と622後期には、ファインダー右下に水準器がついている。視野がけられるが、画面の傾きを客観的に知ることができて有用。
120フィルムを使う12枚撮り。(620,621は117フィルム6枚撮りも使用可能。ただし現在は生産されていない。)
当時の120は裏紙に6x6の番号がなかったため、当時珍しかったクランクによる自動巻止め機構が装備された。
ビューレンズHeidoscop Anastigmat 3,1/75はテイキングレンズより明るい。F&H社は特許を取っていて、他社はなかなか明るいビューレンズを装備できなかった。
上下レンズ共にフィルターはカブセ28.5mm。
クローズアップレンズは同じ物を上下に付ける。1mと50cmがあり、パララックスは補正されない。
画像は左からモデル620テッサー7,5cmf4,5、モデル621(f3.8)、モデル622(f3.5)
初期モデルではオリジナルと同じ117フィルム6枚撮り共用で、117は6x6用ナンバー1を背面の赤窓で出してカウンター1セットする。
後に120も裏紙に6x6用番号が印刷されるようになり、背面の赤窓を使用することも可能で、また自動ストップの調子が悪い個体でも、赤窓巻き上げで使える。
後期モデルは117を考慮しないようになり、背面の赤窓はなくなった。
赤窓が複数ある機種では、使わないほうの赤窓には金属キャップが用意され頭出し後は閉じて漏光を防ぐようになっていたが、キャップが欠品の個体が結構ある。
現代のフィルムは赤にも感じるパンクロマチックが主流なので、特に下部から漏光しやすいため、初期モデルは下側を塞いで背面を使うほうが安全。
後期モデルは下赤窓に開閉できるカバーがつくようになり、漏光問題は軽減されている。
初期の赤窓はオレンジがかった薄い色だが、手元の622の赤窓は、濃い赤でまるで高感度が主流になった戦後版の赤窓機のよう。張り替えられている?
それと手元の622は1を出す頃合いに、カウンター窓に赤丸が出る。もしかしたら赤窓で6x9の1を見なくても装填ができるようになっているのかもしれない。
これはこの個体だけなのか、一般的なのか疑問がある。
スタンダードの後ローライフレックスはフィルム厚みを感知して自動的に1を出すオートマットになり、ローライコードはスタートマークによるセミオートマットになって、赤窓は廃止された。
画像 左からモデル620、底面と背面に赤窓。モデル621、同様、底面の赤窓にキャップ。モデル622、背面窓はなくなり、底面窓はスライドカバーがついた。回転式のカバーがついたものもある。
スタンダードは1932年1月にモデル620:f4.5、2月にモデル621:f3.8を発売、設計で克服され同年11月からモデル622:f3.5に切り替わった。
何故スタンダードにも4.5を用意したか不明だが廉価版のラインアップが要求されたのか、若干3.8は甘いためシャープな4.5で補完したという説がある。さらにf3.5は口径が細いシャッターに入れるため無理をしている説も読んだが、実写の性能はf3.8や4.5より良いと言う人もいて、何れにせよ僅差なのでご自身でお試しあれ。
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ローライドスコープ、ハイドスコープのテッサー7,5cmf4.5レンズは大変高性能なので、少なくともf4.5は優秀なのは確かでしょう。f3.8も大変よく写ります。ただしモデル620の生産数は約5千、621約4万台、622約5万台とくらべ、f4.5つきは20分の1くらいで見付けにくいのが残念です。f4.5つきオリジナルは1万3千台ありますからそっちを120改造してお使いの方も多いようです。
シャッターはローライコードでおなじみの、シャッター下方の1レバーを左右に動かしてセットとレリーズを行う形式。
シャッターセットはクランクと連動していないので、自由に多重露光できますが露光を忘れて空送りすることがあります。
また個人的にはレリーズのタイミングがとりづらいのでスナップでは狙ったシュートは難しい。
利点は、セルフコッキングだと、スプリングアシストが付いているコンパー最高速に入れたまま慌ててクランク操作するとレリーズするまで最高速から外せなくなってしまいますが、この機種は一々セットが必要なので任意に最高速と他の速度を変更出来ます。利点を感じるのは私だけ?
画像:クランク側側面。クランクの上にある小さな窓がコマ数カウンター、その右上のストラップ取り付けラグの中央のボタンでカウンター1セット。
620,621は裏蓋の縁取りが黒塗装(これらはハゲているが)だが、622はアルミ磨き出し。
1949-51,
モデルK7A
重量1080g
ビューレンズHeidoscop-Anastigmat 1:2.8 f=80mm コーティングあり
テイキングレンズZeiss-Opton Tessar 1:2.8 f=80mm T
シャッター:コンパーラピート1/400-1,B(51年半ばからコンパーラピートMX, 1/500-1,B)セルフタイマー.最高速アシストスプリングあり
絞りf2.8-22,10枚円形
クランク巻き上げ.120フィルム12枚撮り.ローライキン2で135フィルム使用可能、多重露光機構はない模様。
ファインダースクリーン:フレネルなしグリッド入りマット
シャッターボタンに腕木型のロックあり、バルブ固定には使えない。
アタッチメントサイズ:Bay2(34mm)ただし3.5Fとは位相が45度違い、2.8A専用フードが必要。
2.8A用は3.5用より深く、3.5の75mmレンズではけられが出る。
その後のモデルと同じようにオートマットの作動は確実で、スムーズに撮影が進みます。
露出計つき2.8シリーズよりも140g軽量で、Tと同じ重量なのにf2.8が使えるのは大変嬉しい所ですが、1台だけ持った印象では、大きな差を感じないというのが正直なところです。
ビューレンズは後のハイドスマートと多分構成は同じだと思うのですが、戦前モデルのほわほわなハイドスコープより合わせやすい気がします。
わたしはBayIIフードを買ったら2.8A専用で、その後でボディを購入したので普通と逆なのですが、ボディ先でフードを探すのは大変かもしれませんね。
ストラップ装着部はFやEのようなクロコダイル用と違います。ただラグに普通のナイロンを通せるので困りません。
私はストラップ付き革ケースに入れています。
2.8Aはテッサー80mmf2.8の描写性能が不評だったという説があります。
後の5枚玉6枚玉と比較して、開放では若干細部の再現性が曖昧で、明るいテッサーの限界なのかと思います。
絞るとそれなりに粗い描写が締まっていきます。
幅1mの大拡大をすれば、不満足かもしれませんが、50cmくらいなら文句は出ないはずです。
テッサーf2.8開放でここまで写るとは、まさに驚愕でした。
勿論スーパーイコンタ6やツェルト6、ハッセルブラッド1000Fでも同スペックのレンズを使っています。
その中でも最高レベルの写りでしょう。
2.8Aのテッサーf2.8は、無限遠テストでは必ずしも最高性能とは言えません。
中心から像高30%くらいまではまずまずですが、全体のコントラストは高くなく、周辺の結像は若干粗い印象です。
絞ると改善しますが、f4ではまだ不十分で、風景ではf8より絞る方が良さそうです。
ところが一貫して開放で撮影した夜景は、近景から遠景まで非の打ち所がない尖鋭さ、質感再現性に驚かされます。
この後、少数の2.8Bを経て5枚玉クセノターを付けた2.8Cに発展しますが、f2.8テッサーは実写では5枚玉に勝るとも劣らないでしょう。
Rolleiflwx 2.8A, Zeiss Opton Tessar 80mmf2.8 T,開放1/25,T-MAX400