Vogdlander Prominent I (Type127)
発売 1950-56年
35mm レンズ交換RFカメラ。
シャッター シンクロコンパー#0,1/500-1秒,B
重量 720g(Nokton 50/1.5つき950g)
へそ曲がり、いや他社に迎合しないホクトレンデル社が戦後送り出したレンズ交換RFカメラは、ビハインドリーフシャッターだった。
焦点調節は、まず標準レンズ50mmはコンパーシャッターごと前後に移動させる。
35mmと100mm交換レンズは、ベアリングと鏡胴の内外筒にある傾斜面を利用した複雑な機構で、標準レンズの繰り出し量を焦点距離に応じて変換する。
150mmは、目測である。
もう一つの100mm、そして試作で終わった24mmは、独創的な構造のミラーボックスに付ける。
だれも真似できない、する気も起きない、そのため空前絶後になったシステム。
最初のモデル(Type127と128)は、その後のモデルと区別するためプロミネント1と呼称されるが、軍艦部にはVoigdlander PROMINENTとのみ刻印されている。
ごく初期(1stバージョン)はストラップアイレットさえなかったらしい。その後アイレットがついた(2ndバージョン)。
巻き上げはノブ、巻き戻しはキーを立ち上げて行う。巻き戻し部と同軸に焦点調節ダイヤルが設置されて左手で焦点を合わせるのは、6x9のBessa IIと同じ操作系。
35,50,100の交換レンズ共通の操作位置なのは人間工学的に優れているが、100mmではボディ保持がやや不安定に思える。
1眼式距離計連動ファインダーは簡素で、約0.6倍の視野全体が50mmに対応し、ブライトフレームはない。距離計像は明快で合わせやすい。
交換レンズには外部ファインダーが必要で、35mmにはホクトレンデルが頻用した両目で見る”コンツール”、または
前後を回転させて35/50mm(50mmはマスク)と100mm(後期は150mmマスクがついた)を切り替える”ターニット3”をクリップオンするのだが
、最初のモデルにはアクセサリーシューがなく、シューアダプターを併用する必要がある。
Type127後期(3rdバージョン?)はアクセサリーシューが軍艦部に設置された。
Prominent Ia(1956-58) (Type128)
ファインダーが縮小倍率のままアルバダ式ブライトフレーム35,50,100mm並列表示にした(と書いてあるが、実物を見ていない。
果たして35mmはどんな風に入っているのか大変疑問)
巻き上げがノブから2回操作レバーになった。
アクセサリーシューつき。
海外名称はProminent Iのまま。Iaというのは日本だけの通称のようだ。
画像はプロミネントI(Type127の2ndバージョン、ストラップアイレットつき)+ウルトロン50/2(初期型、銘板クローム、外ネジローレットなし)
等倍アルバダフレームファインダー。35,50,100mm枠は常に出ている。
有効基線長が伸びたことで望遠や大口径の合焦精度が上がり実用性が増した。
大きく明快なファインダーはこの後VitomaticやZeiss Ikon Voigdlander合併後のContinaIIIなどに引き継がれた。
最初にIIを入手したので、外部ファインダーの必要が無く、ターニットは未入手です。
35,50,100(90-105)を同時表示するファインダーは、キヤノンP、ニコンS3、ヤシカYF、パクセッテIILなどにみられ、視野切替式には一歩後退していますが便利な機構です。
Nokton 50/1.5 6群7枚,重量225g
Ultron 50/2 5群6枚,重量180g
Color-Skopar 50/3.5, 3群4枚
Skoparon 35/3.5, 4群5枚,重量235g
Dynaron 100/4.5, 4群6枚,重量280g
Super-Dynaron 150/4.5, 3群4枚,最短撮影距離4m(非連動)
Telomar 100/5.5,3群5枚,最短撮影距離2m(ミラーボックス)
画像はスコパロン35/3.5、3群4枚スコパーの前方に凹レンズを置いた逆望遠タイプ。
レンズ径は大変小型。特別凄い写りではないが信頼できる性能。
ただし開放f値が暗いのに連動機構のため鏡胴が大きくなってしまった。
当初プロミネントの望遠はミラーボックスつきのテロマー100/5.5が担うはずだったが、さすがにそれだけでは一般性がないので後に距離計連動のダイナロンが供給された。
比較的コンパクトで性能もシャープ。
フードは後期供給の外ネジタイプに100mm用マスクを被せる。
近接撮影アクセサリー”Proximeter I, II"も使用出来、かなりの拡大撮影が可能。
モデル末期に距離計非連動の望遠150mmが供給された。
セットケースにはターニット3用マスクと、フード用マスクが同梱されている。
直進ヘリコイドは距離計と連動しない目測レンズ。最短は4m。
距離目盛りの最初は50m。深度は浅く、50mと無限遠は、f8にしぼらないと同じ深度に入らない。
一応、左手操作の距離ダイヤルは距離計と連動し、単独距離計として使えるが、無限の次は60ftなので、150mm開放で使える精度ではない。
近距離付近の目安には使えるだろう。
謎のひとつに、テロマー100/5.5にセットされたミラーボックスのウエストレベルファインダーを倒すとコンツールファインダーが設置されていて、
外側は100mmですが、内側に150相当の枠があるのです。
しかしスーパーダイナロンは前群が外れないためミラーボックスに付けられないのです。初期には別の150が企画されたのでしょうか。
150こそミラーボックスが必要と思うのですが
ミラーボックス専用中望遠レンズ
大判、中判用Telomar f5.5を比例縮小した構成に見える。非常に高画質だが35mm判用としては開放が暗すぎて市場訴求力があるとは思えない。
レンズは前群が取り外せ、試作に終わった24mm「ウルトラゴン」と交換できるようになっている。ただし前群交換レンズが100mmの他に発売されなかったので、単に外せるだけになってしまった。
焦点調節は前玉回転である。
スクリーンは全面マットで、絞りは普通絞りだが、絞り込んでも暗いが十分合わせられる。
フィルター径は45mmに統一され、近接クローズアップレンズ「プロキシメーター」を装着することができる。
この近接は、唯一ミラーボックスである利点が味わえる。
チムニーファインダーとプリズムファインダーが交換できる。
チムニーは倒すとコンツールファインダーになり、アイレベル撮影に対応する。
このミラーボックスは非常に特異的な機構である。ミラーはテロマーの前群と後群の間に横から入り、シャッターボタン操作で横に退避する。レンズ径に合わせて小さなミラーで済んでおり、ミラー切れも起こらない。
ミラー後方にあるレンズ後群と同じ構成が、ミラーボックス内に上に向けて設置され、スクリーンに像を結んでいる。
おそらく空前絶後の構造であろう。
返す返すも、前群交換レンズが供給されなかったことが残念だ。
両目をあけて見ると、肉眼視野にファインダー枠が重なるように見える。
外側が100mm枠。内側に対応するレンズは販売されなかった。
少なくともf1.5とf2にはそれぞれ3バージョンある。
最初のモデルは銘板サテンクローム、コーティングはブルー、フード取付はカブセで外ネジローレットがない。
2番目は銘板がブラックになり、コーティングはアンバー、フード用外ネジローレットなし。
3番目は銘板ブラック、コーティングはアンバーとパープル、フードは外ネジローレットにとりつける。
最初のブルーコートは珍しいが、これが最も写りが良いと言うユーザーが居る。
またライカL39マウントと、RFコンタックスマウントは最初期バージョンのよう。
f3.5は持っていないしバージョン違いがあるかは認識していない。写りの評判はよいらしい。
スコパロン35とダイナロン100はType127初期時代にはまだなかったのでは。
見た物はすべて標準レンズの3番目に等しい外ネジローレットを持ち、フードはすべて共通。
バージョン違いが存在するかは認識していない。
スーパーダイナロン150はあとで出て来たモデルなので、3番目と同じく外ネジローレット。
テロマー100は最初期同様銘板クローム、ブルーコート、外ネジローレットなし。内ネジ45mm。
前玉回転なので共通角形フードはどちらにせよ適合しない。