WISTA45
レトリック ビュー等を販売していたウイスタ 株式会社(旧 武蔵野製作所→武蔵野光機)が 開発したダイキャストボディーを持つフィールドタイプの4×5テクニカルカメラ(5×7用のアクセサリーも有りました。)です。
小変更を含めるといくつかの種類が有りますが、各機種共通な特徴で、
・タスキを廃したリジッドなボディー構造
三脚穴をフロントベッド部に設けた事により、フロントスタンダードとバックボディーを比較的単純なピボット構造でも十分な強度を持たせる事ができました。また、バックティルト+ベッドダウン+フロントティルトを併用する事によって、広角レンズを使ってもケラれる可能性が少なくなっています。(勿論デメリットも有って、ベッドダウンが激やりにくいです。)
慣れてしまえば、各部の操作が判りやすいし、クリックも多いので簡単に使用出来ると思います。その意味、最初のテクニカルカメラとしてオススメできます。
・交換可能なスライドレール
ラック&ピニオンの3階建てのスライドレールを持っています。2階部分のスライド量(ラック移動可能)は65mm、3階部分のスライド量は82mm。この階のレールは交換が可能です。(確か300と450mm)
・リンホフ互換マウント
市場に沢山流通しているリンホフボードと互換性が有って、皮肉な事に今となっては非常に便利です。
但し、ボードの取り付け位置が少し深めのため、シャッターの固定位置には注意しないと操作し辛い時が有ります。(慣れといえば慣れなのでしょうが、私はこれがニガテです。)
・豊富なアクセサリー
フィールドタイプのテクニカルカメラとしては比較的後発なため、色々と研究されていて各種アクセサリーが豊富です。先述の5×7ホルダー初め、120用のフィルムホルダーやスライダー類も豊富です。(ルーペはちょっとプアかも。)
・優秀なデザイン
これは好みの問題も有りますが、各部のR取りやカラーバリエーション(と云ってもトロピカルタイプ?)を選べる機種も有り、意匠に気を使った処が個人的には好きな部分です。
・メーカーが存在
これは非常に大きな点で、いまだアクセサリーが入手できます。(流石に現時点ではフィールドタイプはラインナップからは落ちています。)スライドレール用のネジ等はまだ入手可能だと思います。(要確認)
いくつかの機種が有り、年代によってヌケも有るかもしれませんが、
・WISTA 45
一番プリミティブなタイプで、基本的な機体です。頑丈でシンプルな構造は信頼性が高く、今でも十分使用可能です。上級機とは異なり、簡単には蛇腹の交換はできません。
フロントスタンダードムーブメント
・ティルト ±15度
・ライズ 50mm
・シフト 47mm
バックボディームーブメント
・前傾 90° 後傾(15°) まぁ前傾は蓋閉めちゃうので…
・スイング15°
・WISTA 45D
WISTA 45シリーズの最上級機(距離計は有りません)で、WISTA 45 に以下の機能が追加されています。
・バックボディーにスイングの微動機構 ±4°(ボディのスイングにさらに追加。)が加わりました。
・蛇腹が交換可能になりました。
・フロントライズに微動機構が付加されています。
・この機種の初期タイプは木目調のボディーが選べます。
・WISTA RF
文字通り、WISTA 45と45Dの中間タイプに距離計連動機構が付加されました。
・カム交換で、135mm,150mm,180mmに対応した距離計(距離計とビューファインダーは独立です。)
・ヴューファインダーはアルバダファインダー(視野枠には120mmも有る。6mで100% インフで約90%)
倍率0.45倍 基線長63mm (有効 基線長28.4mm ちょっと控えめ)
・パララックス補正は機械式補正有り。凄いでしょ!
・WISTA 45D に有るバックスイング微動機構は無い。(有れば文句なく最高級機なのですが。)
・WISTA 45SP
WISTA 45シリーズの集大成です。距離計は有りませんが、充実したムーブメントを備えています。
名実的にWISTA 45を代表する機種で、最後までラインナップされていました
・WISTA Dにフロントスタンダードのスイング機構±15°が加わりました。
・WISTA 45N
高級志向だったWISTA 45 シリーズのライカスタンダードに該当する機種で、当初のWISTA 45 と同様な構造を備えています。(詳細な違いが判りません。是非フォローをお願い致します。)
・WISTA 45VX
最後期まで販売されていた基本的なタイプのカメラです。WISTA 45D で採用されたフロントスタンダードのライジング微動機構が残された WISTA 45N の様です。
上述の45,45N,45VXの違いやムーブメントの可動量は私の持っている資料によって違った値が載っていました。この部分少し正確性に欠けます点はご容赦ください。今後のご指摘で直そうと思います。
ボディーカラーと同じ色の可変タイプのレンズフードが用意されていました。
フードはフロントスタンダードのレンズマウント部に取り付けます。
フレキシブルにライズチルト方向に曲げる事が可能です。(シフト方向には動きません)
取り付け部分にはヒンジが付いていて、跳ね上げる事も可能です。
所有経験はありませんが、霧ヶ峰などでビューカメラを立てていると、隣でWISTAを組んでいる方がよく居られ、夜明け前にお話を伺うことがありました。
カタログを長目ながら、このアクセサリー便利そうだなー、凄いアイディアだな–と羨ましく思っていました。
例えばご記載のレール交換。テクニカルタイプなのにかなりの望遠までカバー。
さらに延長する、テレマクロレールがあり、延長ベローズで相当な長さになります。
袋蛇腹に交換出来るのもすばらしい。
そして袋蛇腹をさらに価値あるものにする、宙に浮かぶような広角ボード。4つのロッドで後方にマウントを延長するのでリンホフでは前後動しかできない超広角でもあおることが出来ます。
これはタスキがないボディのたまものでもあります。
他機種でも絶対欲しかったのは、張り付くルーペ君。文字通り焦点板に張り付いて2次元移動でき、どうしても3本目の手が欲しくなるアオリながらのルーペ確認が絶対に便利になるであろうアクセサリー。他機種用もあったのかな?
ロールホルダーが特に便利ですが、フィルムホルダーを差し込むと、プレスフォーカスが自動的にシャッターが閉まるバック。
専用シャッター併用で多分シャッターチャージも要らなくなってしまう。
これでもかのアイディアの宝庫です。
ただ関西では、中古をほとんど見なかった。新品も大判専門店には置いていませんでした。出会いがまったくありませんでした。
直販が主だったのかもしれませんが、この手の品物は通販でいきなり買える物ではないのです。
カタログではモノレールビューもあったようですね。
そして友人がどこ製かわからない珍品と言っていた、ウイスタールレンズ。
先にふれた専用シャッターにマウントされ、確か180,150,135の3種類で、立派なスペックのオルソメター型。コンゴー製?
距離計連動カムつきで、確かメーカー調整されたウイスタシャッター付きニッコール、フジノンがあったかと。
フィールドでもスタジオでも、すばらしく便利なシステムであったはず。でも普及するには至らなかったようにも思います。
大判は不便なものという、諦観と難しくて当たり前という風潮が、便利グッズの拡がりを妨げたのでしょうか。
さっそく訂正です。WISTA SP と WISTA RFは未だオンラインショップで購入可能でした。
ロールフィルム スライド アダプターのご紹介です。
ロールフィルムホルダーとピントグラス+ピントフードが一体でスライドできる様になっています。
通常の状態では、ホルダーにもピントグラスも光軸上には有りません。
スライダーを上にスライドさせるとピントグラスが、下方にスライドさせるとフィルムホルダーが光軸上にセットされます。
ピントグラスをセットすると、フィルムホルダーには自動的にダークスライドがセットされます。
優れた機能なのですが、わたしのアダプターは遮光部材がちょっとヘタっていて、補修しないと光線漏れが有りました。
常に擦れる部分なので、時々チェックする必要が有ります。
スライドさせるには、側面のレバーでロックを解除して操作します。この時、スライダーの重量で全体が下がりますので気を付けなくていけません。
この構造はスタイルは良いのですが、ホースマンのロータリー式の方が操作的には優れている様に感じます。
ピントフードは交換式で密閉型のルーペ等が用意されていました。
アダプターの装着はバックボディーのコーナーに有るロッククローを放射方向にスライドさせて固定します。
私のカメラは極初期のタイプなのですが、ちゃんと固定できました。ちょっと判らないのは、どうもこのスライダーとリンクして自動絞りになるアクセサリーが有った?様です。
張り付くルーペ君のリンホフ用がまだある!
ウイスタ45用より高い(笑
私が持っているウイスタ製品は、ショートとロングのピントルーペ、望遠接写アダプターリングセットB(先端がリンホフボードを装着出来る方)です。もしかしたら延長ボード#3用もウイスタのセットAなのかもしれませんが、会社名がないのでわかりません。
ピントルーペは色んな会社が出していて、大手のピーク製を始め、ホースマンの長短、ケンコー、無銘のものなどを持っています。
シュナイダーやニコンのは高価なのであこがれです。
いいルーペは覗いてみると見え味が素晴らしいですね。
さてウイスタですが、現行はショート4倍だけですね。ロングはフードルーペという名称で、ピントフードを立てたまま、冠布なしで使える15cmくらいの4倍です。ショートはピントフードをパーンドア式に外して冠布を被ってピントグラスに当てます。
どちらが便利かというと、その方の好き好きです。ショートは冠布を併用するので結局それほどロングよりパッキングに有利になりません。
ショートを冠布無しで使う事もできますが、影にしないと見づらいでしょう。
ショートはピントグラスとの接触部分はプラスチックです。ロングはアルミ外筒ですがガラスなら傷つくことはなさそうです。プラスチックのフレネルは強く当てないよう注意。
超広角の画面端はルーペをレンズ中心側へ傾けないと見えません。ロングでは少々難しい。
ウイスタ製ルーペの中古価格は極めて低く、オンラインショップで定価を知りビックリしています。
どちらも軽いので、持ち出しは苦にならない。ホースマンはショート7倍はともかく、ロング4倍はウイスタより重い。
見え味は、高級ルーペを見た時の感激するほどの鋭さは感じられませんが、大判の焦点合わせには十分です。
大判バッグ1つに1本どれかを入れっぱなしにしています。レリーズ1本と共に、急いだとき忘れないように。
ルーペの倍率はどの程度が使いやすいか、私は高倍率が好きですが、実用上は4倍でも7倍でもさほどかわらないと思います。ピークの15倍も持っていますが、視野範囲が狭く超接写など特殊な用途です。また直径が大きなルーペは構図まで確認でき、見え味も素晴らしいけれど携帯性が落ち、ピントグラスの隅が見えない、超広角で傾けて当てられないなどの不利な点もあります。大直径のものは57や8x10ではよくても4x5以下ではどうかなと思います。
よろしくお願いします。
18/09/19付けWISTA efunon様の45シリーズの記事を見て、“WISTA 45SP WISTA 45を代表する機種で、最後までラインナップされていました”と有りましたので、WISTAは45カメラを製造中止にしたのかと、オンラインショップをチェックしました。
WISTA RF以外のモデルは“只今 品切れ中です。”とのことでした。多分このまま止めちゃうのでしょうか。WISTA 45SP ユーザーとして残念に思います。10年近く前にメンテのために45SPをWISTAに持ち込みました。その後もピントグラスを購入したりでRittrec View とともに実用しています。
富士フィルムは白黒フィルムを製造中止、もはや大判写真は絶滅危惧種ではなく絶滅種なのか?
先週、富士フィルムAcrosを少し買いだめしました。
aritarou
シートフィルムの件は残念なニュースが多いのですが、エクタクロームも復活する事だし期待せずに待っています。
SPはベローズの交換が容易なので何度か購入しようとは思ったのですが、その値段で躊躇しました。