FUJI G690 シリーズ(レンズ交換式距離計連動6×7、6×9 カメラ)
フジフイルムが1968年に発表したG690を始祖とする6×9サイズのレンズシャッター式レンズ交換が可能な
距離計連動機で、4機種あります。
・G690:
それまでは蛇腹むき出しだった6×9サイズをリジッドなボディーで実現しました。
ファインダーは少し青みがかった倍率0.75× パララックス補正式の採光式ブライトフレームでINF 84%
1mで96%の視野を持つレンジファインダーを持っていました。
レンズ交換時に使用する遮光幕が有り、遮光している状態だとファインダー左隅に赤いマークが出ます。
マークは出ますがレリーズ機構とは連動していません。 レンズはいわゆる傾斜カム(真鍮)です。
巻き上げは4機種共通で2回巻き上げです。
・G690BL:
G690のレンズ交換時のフ−ルプルーフを強化したカメラです。遮光幕が開いていないとレリーズ
出来ません。外観上はファインダー周りの縁がブラックになっています。
この機種まではレンズマウントが真鍮のクロームメッキ。距離計ロッドはリジッドです。
・GL690:
G690BLの機構を見直しボディー全面にレリーズボタンを増設し、ファインダーの視野率をINF 92%
1mで95%に改良しました。
この機種から距離計ロッドがボールエンドになり、マウントはアルミの黒色アルマイトになりました。
・GM670:
GL690をベースにフォーマットを6×7サイズに変更した機種です。この機種から交換レンズの
別売ファインダーに6×7の目盛が加わりました。
余裕の6×9サイズはアスペクトレシオが135とほぼ同じなので、使ってみると非常に使い易い機種です。
画角は焦点距離を半分にするとほぼ135の感覚になります。
市場にはものすごく使いこまれた個体も多く、飾り気のない頑丈な特徴を良く物語っています。
逆に云えば華が無いので、中判最初に一台にはなかなかなりません。
よくライカを大きくした様だと書かれることが多いのですが、CANON P を大きくした感じです。
FUJIのカメラの良い点はファインダーにNikonの丸形アクセサリーが共用できる(G690とBLは不可です、)事です。 アイカップや視度調整レンズは便利です。
この機種だけでは有りませんが、遮光に大きな発泡ウレタンが使用されていました。ちょうどレンズマウント
の辺りです。これが加水分解を起こし、内部の遮光幕周辺に付着し、動作不良を起こしている場合が有ります。
レンズ
新旧合わせて7種が発表されていますが、細かく見ると初期はピントリングが金属でクロームとブラック。後期はゴム巻き等の違いが見られます。
機械式のレンズはセイコー#0のリーフシャッターが搭載されています、レンジはB.1〜1/500 AE100mmは8Sまで有ります。
レンズ銘 スペック 群/枚 最短撮影距離 フィルター径 etc
・FUJINON SWS 50mm F5.6 6/8 1m φ72mm(ブライトフレームファインダーが有ります。)
・FUJINON SWS 65mm F5.6 4/8 1m φ72mm (ブライトフレームファインダーが有ります。)
・FUJINON SWS 65mm F8.0 4/6 1m φ72mm (採光式ブライトフレームファインダーが有ります。)
・FUJINON S 100mm F3.5 3/4 1m φ72mm (ちょっと太めのテッサータイプレンズ。)
・EBC FUJINON AE 100mm F3.5 3/4 1m φ72mm (外部測光式のAE撮影が可能なレンズ。)
・FUJINON TS 150mm F5.6 5/5 2m φ72mm (比較的入手しやすいレンズ)
・FUJINON TS 180mm F5.6 5/5 2.5m φ72mm (ブライトフレームファインダーが有ります。)
ご覧の様にフジノンで有名な多層膜コーティングはAEの100mmしか有りません。
ハイコントラストを求めるにはレンズ固定式となった後継機が良いと思います。
また180mmは距離計との連動がなかなか難しいレンズです。
画像は
左 G690BL 180mm F5.6とCANON P 100mmF2.0 右 GM670 65mm F8.0 と初期65mmファインダー
(実際はCANON P は100mmのフレームを持っています。画像はイメージです。)
記憶が曖昧ですが,G690BL はシャッターロックのほか,遮光幕を出さないとレンズが外れないようになっていませんでしたでしょうか.この遮光幕のシステムは特許になったそうで,特許切れ後,他のメーカが採用したと「クラシックカメラ専科」に書かれていました.
今となっては見かけなくなってきましたが,観光地での修学旅行のクラス写真など大人数の集合写真撮影などに多く使われていたほか,婚礼写真のスタジオではRB67の脇に抑え用に使われたり,庭園での写真など,ちょっとしたロケ撮影でも多用されていたようです.
その様になっています。それと注意しなくてはいけないのはレンズ交換の際の巻き上げです。良く1フレームムダにします。
現在、外観は綺麗でも内部のモルトプレンは大部分の機種に劣化が見られると思います。
整備される場合、特にフイルム室周辺の漏光には機械が大きいだけに十分注意して下さい。
G690用の望遠レンズです。左上は150mm、それ以外は180mmです。どれもフジノンの有名なEBCコーティングになる以前のレンズですが、フォーマットが大きい分余裕が感じられます。
もしスキャンしてUpされる場合は、わずかにシャープネス処理を入れると良いと思います。
中判カメラは大量生産品ではない面が大きいのかも知れませんね.
動きモノの撮影でRFカメラは結構便利な印象です.でも67-69で航空機撮影というのは物凄いことです.吃驚です.
釈迦に説法ですが、一眼レフよりもよっぽど楽です。
ピントは置きピンですし、ミラーショックは無いし、プロペラは歪まないし。
モータースポーツを撮る方や、航空祭で流し撮りなんて神業です。
昔、零戦がフラップを下げてランディングする所をKRで撮ったときなんてブレの山でした。
GLシリーズはファインダーが大きいので追うのが楽です。
まず、Gシリーズに比較してとても軽く感じます。
ボディートップカバーが樹脂化された事も有って、ピッカリコニカが出る少し前のMFコンパクト機を大きくした感じです。
ボディー剛性が低くなったためかスプリング等の内部振動のダンピングが良くなく、変な振動が手に伝わります。
裏カバーを開けるとレンズのヘリコイドが目に入ります。その他はGシリーズとさほど変わりません。
GW690Uは全体にシンプル化を図って、より一層Pro化した様な印象です。
アマチュアが使用する分には操作上は少し面白味に欠けるかもしれませんが、6×9の精緻な画像をいとも簡単に得られる稀有な機種だと思いました。
私はG690レンズ交換系に手を出さなかったので。
数年前にGW690IIIと、GSW690IIを入手しました。
私もそれほど何本も通したわけではありませんが、ポジのあがりをみて何故今まで使わなかったか悔いる凄さです。
Gを知らないので、プラスチック化の功罪は初めて伺い、納得しました。
IIはまだ直線デザインで、フードが別売。IIIは有機的なデザイン、フード内蔵。
只今新旧取り混ぜて55-65mmクラスの6x7-6x9レンズ一気撮りをしています。
まだまだ撮り終わっていませんが、GSW690IIはその中で抜群の操作性と感じられました。
旅にこれを入れてシステムを組むか、しばし悩むサイズ重量ですが、一端持参して後悔はしないことでしょう。
大きさは気になりますが一方で故障が少ない分、旅行には安心かもしれません。
いっそう、トップカバーを銀色に塗って昔のコンパクトカメラ風にしてしまおうかと考えたりしています。
そうそう、GW690UはGシリーズと異なって縦吊りも出来る様になっています。でもどうも落ち着きません。
いくつかフィルムを確認したのですが、ピントの合ったところはかなりカチッとしています。
デフォーカスするにつれ、ある処からカクッと画質が変わる感じがします。
画質向上の意味ではなく、絞った方が良い結果になるかもしれません。
ボケはキレイというほどではないかも知れません。
被写界深度と相談しながら使うのが良いのかも知れません。
中判比較試写は恐ろしい重量になるので、担ぎ上げられる範囲で被写体を探しています。これを見て、バラ園もいいかなと思いつきました。
GW690はそれ以前のタイプと比較するととても軽く感じます。
FUJINON 90mmはG690シリーズのレンズに比べるとしっとり感は少ない様です。
今度比較してみます。
ネットで散見されるモルトプレンの劣化で、遮光幕の巻き取り軸が動作不良でも起こしているのかと思って底蓋を外してみると、
巻き取り軸を回転させるノブ基部のギアー周りに劣化したグリスがこびりついていました。
念のためにギア周辺をクリーニングしてみるとちゃんと動作する様になりました。
もし同様な症状でお困りなら、大した作業では有りませんので確認してみるのも良いかと思います。
撮影中に遮光幕が正常に巻き取れているかは遮光幕の巻き上げダイアルの位置で判ります。
1992年発売。
EBCフジノン 90mmf3.5(5群5枚クセノター変形)の性能には定評がある。
65mmf5.6装備のGSW69IIIがのちに登場し, 6x7,6x8のそれぞれ90mmと65mm装備の姉妹機があった。
操作はRF35mmカメラと共通し失敗しようがない確実さがある。
感触はプラスチッキーでペコペコしていて、重厚感に欠けるが多くの職業写真家に酷使される信頼性がある。
このため、巻き上げレバーが短くなっていますね。