東側のカメラ達の多くに言えることですが、それらの歴史を紐解くと第二次大戦終結後の混乱や
冷戦構造からソビエト崩壊などの歴史的な時代の流れの中で翻弄されたその生い立ちが中々興味深い物が有ります。
今回取り上げるPENTACON sixもその例外では有りません。
歴史的な背景などは、又の機会にさせて頂きますが
今回は、今現在PENTACON sixと云うカメラとの付き合い方に重点を置いた文章とさせて頂きます。
1、概略
製造 東ドイツ PENTACON人民公社
カメラの形式 6×6一眼レフ(レンズ交換式)
ファインダー 交換式
レンズマウント Praktisixマウント(一般にはPENTACON sixマウント 通称P6マウント)
使用フィルム 120 又は 220ロールフィルム
シャッター形式 横走り布幕フォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 1/1000 1/500 1/250 1/250 1/60 1/30 1/15 1/8 1/4 1/2 1/1 B
シンクロ速度 1/25
フィルム装填 スタートマーク式セミオートマット
フィルムカウンター 裏蓋の開で自動リセット
2、型式
一般に多く流通しているのはPENTACON six では無く PENTACON six TLです
事実上同じカメラと見て差し支えありません。
TTLプリズムファインダーが発売されるに併せて、カメラの名称もTL付きに変更されたようです。
ほとんどの場合、ウェストレベルファインダー装着の形でプリズムファインダーを使う方が稀です。
3、魅力その1
基本的には万人にお勧めできるカメラでは有りません。
機械的に不安要素が有り、特に問題となるのがフィルム送りが不安定で
駒がだぶる事が頻発、メンテナンスを行っても治らないと考えるべきです。
なのに、愛好家の方々が苦労してまで使うには訳が有ります。
魅力的なのは、そのレンズ群に有ります。
CARL ZEISS JENA
ARSENAL
SCHNEIDER
更にKIEV88スクリューマントのアダプタを咬ませればSALIUT/KIEV88やHASSELBLAD 1000/1600F様のレンズまで使える。
優秀で魅力的なレンズ達が揃っています。
更に一部を除き比較的安価で買えます。
このレンズ達には様々なマウントアダプターが販売され、デジタル時代になって返って見直されているのかもしれません。
ですが、やはり元々の6×6で使うにはPENTACON sixとその互換機を使わざる得ないのが実情です。
よって数多の愛好家達がちゃんと撮れている事に喜び、時にトラブルで涙しても、次こそは!と新たにフィルムを装填するのです。
4、魅力その2
カメラボディの方はどんな具合かと申し上げると、これは好みの問題と言い切ってしまうと其れっきりになってしまいます。
ここは私の私見を述べさせて頂きます。
・重量が軽い
ウェストレベルファインダー +Biometar 80mm 装着で 約1.4Kg
HASSELBLAD 500番台とほぼ同じ位
私のメイン機のブロニカだと約2s
・ボディ形状
ライカ的な円柱を横に引き伸ばしたような形状でウェストレベル時には、自然に掌に収まり操作性が良い。
・操作フィーリング
巻き上げは意外にも滑らかで、ピッチの細かい歯車達が滑らかに回転している様な上質な感触。
HASSELBLAD 500CMにも似た感触。
・レリーズショック
ミラーはクイックリターンしませんが、それを差し引いても静かなカメラです。
ほとんどレリーズショックを感じず、ブレが非常に少ない。
私の場合、300mmで1/30でも手持ちで歩留り良好です。
今回はここまで。


スレッドのUpありがとうございます。
この姿は欲しくなりますね。コワイコワイ。
フォーカルプレーンシャッターブロニカのビオメター(ビオター)はとんでもなく高額ですが、
本家は入手し易い価格です。


標準で装備されているウェストレベルファインダーですが中々美しい造形です。
通常の使用方法以外にも、二眼レフでもよく見かけるスポーツファインダーを内蔵しています。
正面の蓋とルーペを持ち上げて、手前のアイピース?を引き上げると標準の80mm時のフレームとなります。
面白いのアイピース側の窓が台形になっておりますが、傾斜した面となるので覗き込んだときには正方形に見えます。
格納する時は、正面の蓋は予め閉じる必要が有りますが、上面の蓋を閉めるとルーペのアイピースも一緒にズルズル閉まります。
ちなみに悪いところが必ず有るのが流石です、侮れません。
ファインダーフードとして考えると、側面側の遮光が不十分です。
よって横から光が盛大に入り込んで、使いずらいのです。


実のところ、ビオメターは個人的には好きでは無いのです。
ペンタコンシックスを買うと、おまけで付いてきますので
もうボディキャップ扱いです。
ローライやブロニカだと高額ですけど。
ペンタコンシックスの場合は、本当のボディキャップの方が珍しいです。(笑)


先日処分してしまいまして、写真すら有りません。
残っていたのは、露出計無のプリズムの方です。
実のところ、実際にこのプリズムファインダーは使った事が有りません。
何故ならば、答えは非常に単純な理由です。
とにかく視野率が悪すぎるのです。
只でさえ、小さなミラーで視野率が悪いのに、小さなプリズムでいっそう視野率が落ちます。
私はブロニカSQのスクリーンを入れていますが、645時の枠の外側がやっと見えるぐらい。
ここまで視野率が低いと実用品として認めたくなくなるのです。


数あるアクセサリーの中で是だけは、まともに使えます。
折りたためないので持ち歩きするには邪魔ですが、それを差し引いても使う意味は有ります。
何も特別な物ではありません、普通のルーペファインダーです。
ウェストレベルファインダーの実用性がやや難ありなので普通がうれしいのかもしれませんね。


残念ながらレンズの良し悪しなどを上手く語る事ができません。
カメラも写真を撮る事も好きですが、その辺りの審美眼が心許ない。
とりあえず適当な作例を載せてみます。
只今、出張中なので手持ちのデータが限られますので載せられる物から張り付けることに致します。
まずはP6レンズで一番好きな SONNAR 180mm F2.8
約1.3sとズッシリとした重みも含めて存在感は抜群です。
MCとモノコートのゼブラで両方使ってみましたが、特に両者の差異は感じられませんでした。
MCモデルになりますと自動絞りとマニュアル絞りの切り替えができます。
P6の場合ボディ側にプレビューレバーが無く、レンズ側で操作する事になります。
これが意外と使い難い、それなら自動絞りをOFFにして実絞りで使うのも一考です。
私の場合は余り気にせずに使う事にしています。
それと両方はいらないと感じたのでMCは処分してしまいました。


SONNAR 180mmもさることながら300mmまで来ると重く長く持ち歩きにには苦労します。
しかしながらその圧縮感と空気感、レンズの存在感はなかなか痺れます。
重量約1.6s ゼブラだともう少し重いかも?
普通なら手持ちで使うには重すぎますしブレも気になります。
只、そこはPENTACONsix 三脚に付けようとしてもレンズの三脚座が余りに貧弱で役に立ちません。
まるで悪い冗談の様です。
私の場合はこれに対応する為にカメラ側でカスタムしている事と、ちょっとしたコツが有りまして
そのおかげで歩留まりは上々です。
カスタムの内容とコツに関してはまた改めてまとめておきます。


ただし、広角レンズは意外と選択肢が少なく事実上このレンズの一択となりがちです。
PENTACONsix/KIEV60マウントの広角レンズはほかにもありますが
意外と流通量が少なく余り見かけません。
・MIR-26 45mm F3.5
・FLEKTOGON 50mm F4
・CURTAGON 60mm F3.5
・FLEKTOGON 65mm F2.8
・MIR-38 65mm F3.5


このシリーズ全般に言えることですが、鏡胴デザインがカッコ良いです。
ライトグレーに青い線が凛々しい。
私が入手した時は普通に新品で購入出来ましたが
最近ではめったな事でもないとお目に掛かれません。
ここに張った写真では、その実力は判りませんが
ポジをルーペで覗いただけでも判るぐらいな先鋭さを実感できます。


乱暴で極論的な例と成りますが、PENTACONsixを本気で使う為に施した工夫をここに貼る事に致します。
こちらの本来の目的で有る資料的価値のある情報の蓄積とは少々異なりますが
私にはこれ位しか書く事が出来ない様ですのでご容赦願います。
PENTACONsixの最大の泣き所はコマダブリです。
他にも問題は有りますが、ここさえ解決できれば、あとは何とか成るのです。
駒ダブリの解決策として実施したのが「赤窓化」です。
実際には只の穴です。
駒ダブリですから巻き上げが足らないのです。
よって、不足分を追加で巻き足せば良いわけで、その為に裏蓋と圧版に穴を開けてしまい、裏紙の番号を見ながら巻上げます。
幸いこのカメラの場合、巻き上げレバーをストッパーに当たるまで巻き上げた後
ちょっと戻して追い巻が何度でもできます。
これでPENTACONsixの駒が気持ち悪いぐらい揃います。
穴明けの方法
・圧版 引っ張れば簡単に外れます。
圧版には焼き入れ済の板バネがスポット溶接だったか?固定されています。
私はダイヤモンドビットの付いたリューターで穴を開けました。
・裏蓋 こちらは普通のドリルで簡単に開きます。
・遮光 このままでは漏光しそうなのでドーナツ状に中を刳り貫いたモルトを窓に貼り付けました。
以後、漏光は一切なし。


といっても現在ボディはありませんが。
ほれぼれするほど仕上げ丁寧ですね。玄人です。
漠然と、皆が一斉にこの改造をやりだしたらとか、
これで人気がさらに上がって、レンズの価格が高騰したらとか、
よからぬ妄想もしてしまいました。


フォーカシングスクリーン編
PENTACONsixの泣き所として、狭い視野率と暗いスクリーンが挙げられます。
暗いスクリーンでもピントの山が見易いならそれも有りですが
ピン山が判り易くて、更に明るいならその方が良いでしょう。
1、交換用のスクリーン
スクリーンはコンデンサレンズの底面が磨りガラスになった物です。
これを取り外し、他のスクリーンと交換します。
私の個体はSQの物が仕込んで有ります。
まだSQが現行機で有った当時に行いましたので、普通に量販店で¥4,000-程で購入できました。
最近では入手は困難ですがPENTAX 67やマミヤRZ用等で66以上の物が有ればまずOKです。
2、スクリーンの加工
スクリーンの加工方法は此処では長くなるので割愛します。
拙生のブログを参考までに貼り付けて置きます。
http://yanaphoto.exblog.jp/23210510/
3、交換
PENTACONsixのスクリーンは針金状の枠で押さえつけて固定されていますが
これが視野に入り込んで、狭い視野を更に狭めています。
どうせスクリーンが薄くなるのでこの枠は使用出来ません。
枠を押えている金具とスクリーンとの隙間を何かで埋める必要が有ります。
私の場合は偶々手元に転がっていたガラエポ板を細切りにして両面テープで張りました。
表面は黒く塗っております。
上から金具で押さえているのでこれでスクリーンが浮上ったり暴れたりはしません。
写真の説明
左側 ノーマル (研究用のジャンクです、非常に汚いですね)
右側 交換済
上側 ボディ背面側
下側 レンズマウント側


ファインダーのフードの側面の高さが寸足らずで、遮光性に難が有ります。
EXAKTA66のファインダーフードが有れば一番いいのですがそんな物は有りません。
ちなみにEX66とは互換性が有りEX66のウェストレベルファインダーフードがそのまま使用できます。
無い物ねだりしても仕方が有りませんので、ここは別のフードを流量してみます。
私が選んだのはSQの物です。(たまたま改造用に持ってました)
PENTACONsixのフード取り付け部を参考に取り付け部の形状を真似た板を作って、その上にSQの物をくっ付けます。
ただし、スクリーンとのルーペの距離がSQの時より遠くなるのでルーペの交換が必要です。
スクリーンとルーペの距離えお測ると大体RZ67と同じ位になりました。
RZ67のルーペを流用しますが、ルーペ直径が合いません。
SQのルーペは外周をカシメて取り付けられています。こいつを捲ってルーペのレンズ部を外します。
RZ67のルーペの外周を削って、SQのルーペのホルダに合わせてカシメ直します。


私の場合、殆どPENTACONsixはアイレベルで使います。
ただし、純正のアイレベルプリズムファインダーでは非常に視野率が低く実用的では有りません。
ドイツ製だか?でKIEV60のアイレベルプリズムファインダーを載せるアダプターも有るようです。
幸いにもKIEV60のアイレベルプリズムは何個は持っていましたので画像を参考に自作してみました。
PENTACONsixボディとKIEV60プリズムでは干渉を起こす為、若干取付の高さが上がってしまいます。
KIEV60に付ける時よりもスクリーンから遠くなってしまう為に、倍率が下がってしまいますが
そのおかげで、スクリーン上の全視野を納める事が出来ます。
交換したスクリーンと相まって、快適にアイレベル撮影が出来ます。
お次は一緒に写っているグリップについてお話します。


大変綺麗でしたが、使おうと思う人が居なかったのか。
キエフスクリューマウントのは一時所持しましたが、簡単に自動絞りピンが折れてしまい(突出した状態でレンズを嵌めたのが敗因)、即刻ジャンクになって性能テストまでは手が回らずでした。
今回は折らないよう注意して、P6マウントKiev88に装着したら、自動絞りピンのストロークが足りないようで、レンズが開放になりません。
ピンに下駄を履かせるとか色々考えてます。まあシャッターを切った時には絞り込まれますから、普通絞りとしては使えるのでこのままでも構わないのですが、ちょっと残念でした。


6x6cm 一眼レフ
ソビエト連邦 ウクライナ アーセナル製 1984〜(これは94年製)
フィルム:120ロール専用
ペンタコンシックスと互換のブリーチロックマウント,自動絞り
シャッター:横走り布幕フォーカルプレーン, 1/1000〜1/2, B
巻き上げ:右手レバー1作動
ファインダー:スプリットイメージ/マット、TTLプリズムとウエストレベルの交換式
重量:1,160g(ウエストレベルファインダーつき,ボディ, TTLプリズムつき1,480g)
標準レンズ: Arsat80/2.8.製造年はボディ同様94年.
完全自動絞り,ただしレリーズ後ブラックアウト、巻き上げでミラー絞り復帰.
東独プラクチシックスーペンタコンシックスと同じマウントを採用したソビエトカメラ。プラクチシックスより大きく重い。
1970年代から前のモデル6Cが登場し、84年からシャッターレリーズを左手側から右手側に変更した60に切り替わった。
トラブルは本家より少ないという評価もあるが、個体によると考えられる。
コマ間が重なるのはオリジナルでは必発であり、これはトラブルではなく厚みがあるソ連製フィルムに合わせた構造のため。ネットでは現代入手できるフィルムを巻き太らせて対処する方法が紹介されている。またウクライナのArax, チェコのHartbleiが再調整したものは現代のフィルムがそのまま使用できるといわれる。
試しに絶縁用のビニールテープ(一般的な幅19mm)を4カット、120裏紙リーダー部に貼り付けると、コマ間隔6mmに揃い、12コマ後に巻き上げた13コマ目も撮影できた。
精度は良いのではないかと思う。
さらに、ソビエトカメラに共通して内面反射に無頓着な構造であり、必要に応じて反射防止処理:塗装や植毛紙の貼り付けなど;を行い対処する。


ウエストレベルファインダーフッドは、ワンタッチの畳み込みではない他はローライTLRと同じ使い方であり、ルーペの立ち上げ方、素通しフレームのやり方、およびその際にフッド裏面のミラーでファインダースクリーン像を反射し、上下左右逆像だがアイレベルで焦点確認可能なところは使いやすい。
この機構はハッセルブラッド型のサリュートーキエフ88系では見られなかったもので、交換マガジンではない分アイレベルでのアイポイントが近いことを活用している。
画像:素通しフレームにした状態。覗き穴:上がフレーム用、下のレンズが入った穴がミラーを通してスクリーン確認用
マルチコートされた標準レンズのArsat(Volna)80mmf2.8は、ハッセルブラッドのプラナー80/2.8の3群目張り合わせを1枚に置き換えた変形ガウス型で、大変性能が高い。またビオメター型Vega120mmf2.8は80mmと変わらない小型サイズで、これも高性能で準標準として使える。
他に東独製を含めかなり充実した交換レンズがあり、西独レンズと比べて安価なので魅力的だと思う。


これはPhotodioxのRhynocamというステッチ装置で、ソニーNEX5の8枚分割露光をステッチして6x4.5cmの範囲を撮影した画像(原盤横1万1千ピクセルを2000ピクセルに縮小)で、開放f2.8でも四隅まで十分解像しているのに驚かされます。
ただしハロの量が二絞りくらいパッセルプラナーより多く、拡大すると解像しているのに、実際に鑑賞する低倍率では、特に周辺がなんとなくどよんとした印象で損をしています。一絞りf4ではあまり改善しませんが、f8に絞ると俄然画像が締まり、西独機に伍する先鋭度です。
それに対してハッセルC80/2.8はf4で十分な先鋭度になり、やはり一世を風靡したレンズは秀でています。
とりあえずArsatは価格を加味すれば私は悪くないレンズと評価しています。実用上はプラナーとの差はそれほどないことでしょう。
面白いことにM645用80/2.8は、開放からハロが少なく、Arsatに比べて非常に高コントラストでシャープに見えるけど、拡大するとArsatの方がよく解像していて驚きました。

