マミヤRB67はフイルムマガジンのレボルビング機構を備えた6×7版の一眼レフです。
初代は1970年、大阪万博の年に発表され、瞬く間に我が国の写真館のスタンダードになりました。
RB67 Professional:
初代のRB67です。当時世界初だったフイルムマガジンのレボルビング(回転式で縦横の切り替えが出来ます。)を備えた6×7サイズの一眼レフです。
ピント操出はボディー両側面のノブによるのラック&ピニオン方式です。操出量は46mmと大きく、127mmだけで×0.36倍、90mmでは約1/2倍まで接写が可能です。
ノブも軽合金性で後継機とは異なった印象が有ります。
レンズマウントはスピゴットマウントです。交換時はレンズがチャージされている必要が有ります。
No1シャッターなので最高速度は1/400。
右手側側面にセイコーNo1シャッターのコッキングレバーが有り、作動角75°でシャッターコッキングが完了します。
ボディーとマガジンは完全に独立していて、撮影したら巻き上げるクセを付けないと多重露光の山が築かれます。ファインダーにもフィードバックは有りませんので、装着方向を覚えていないといけません。
但し、使用されている個々の部品や蛇腹の材質はシリーズ最良だと思います。
特徴のマガジンは、撮影後巻き止めを解除してから巻き上げます。レボリングを行うにはマガジンをひねるだけけで完了します。専用のマガジンの他、マミヤプレス用のマガジンもアダプター交換で装着できます。
勿論インスタントフイルムマガジンも用意されていました。
ピールアパートタイプのインスタントフイルムをあまりムダにしない画像サイズは細部も良く見えて便利でした。
その他、ファインダフードロックもダークスライドロックも有りません。見分け方は簡単で、ボディー全面の右肩にもタイプ表記が有りません。
シンプルな構造で故障知らずです。大判カメラから乗り換えるユーザーも多かったと聞きます。そのため多重露光防止機構が無くても大丈夫だったのかなと思います。
ミラーショックもダンピングが上手く効いていてとても少なく、レンズシャッターも相まって比較的静かな一眼レフカメラです。
RB67 Professional S:
初代に
・多重露光防止機構
・マガジン方向表示(横位置のみ)
・ピントノブロック
・ダークスライドロック
・アクセサリーシュー
・ファインダーロック
・ワンタッチピントフード
等の改良を施したRB67の中心的機種です。非常にバランスのとれた名器です。永年に渡って生産されましたので少しづつ材質変更が有った様です。
正面右肩に”Pro S”と表示されていますので見分けるのは容易です。
ボディからの巻き上げ/レリーズ情報は機械的にマガジンに伝えられます。これはボディー後部からレボルビングアダプターを貫通してレリーズに応じて
ピンが瞬時に出入する事によって行われます。このため初期型では1か所だったカップリングピンが反対側にも設けられ、それぞれレリーズ情報と巻き上げ可(多重露光防止)情報が伝えられます。
(初期型のレボルビングアダプターにはこの機能が有りません。)
レボルビングアダプターは交換可能なので、初期型と併用されている方はご注意です。
(仔細な事ですが、レボルビングアダプターのマガジンとのインターフェース面の切削部パターンは初期型とは異なっています。)
ピントノブロックはノブ基部のレバーを締めます。 市場の個体にはこの機構が故障しているものが有りますので注意して下さい。
RB67 Professional SD:
レンズシャッター一眼レフとしてはもはや改良する部分が無いくらいのPro S でしたが、高度なカラーバランスやテクニカルカメラ的な要素が要求される時代となり、
また6×8サイズに対応するため。RB用のレンズがKLシリーズに刷新されることになりました。
レンズシャッターなので光学設計上の制約が大きい中、後群レンズ径の大型化に伴いレンズマウントの口径を直径で7mm広げる改修が行われました。
これに伴って、旧来の口径を持つレンズにはOリングが装着されています。(このOリングは無くても撮影に支障はありませんが装着すべきです。)
すでにRZシリーズも開発され、その技術もフィードバックされプリズムファインダー等のデザインや、フイルムバックの樹脂化も行われました。
さらに前述のレボルビングアダプターは6×8に対応するため、開口部がギリギリまで横幅方向に広げられました。
(仔細な事ですが、レボルビングアダプターのマガジンとのインターフェース面の開口部パターンがS型とは異なっています。ちょっと無理くり感も有ります。)
この機能的になったSDですが、やはり各所に材質的なコストダウンの影響も見られます。
レンズ:
RBのレンズは無印セコールからC、KLに至るまで、マミヤの総力の結集でした。
初期のレンズはカラーバランスのバラツキ、透過率の偏向等の問題が有りました。ところがKLシリーズになってその問題は払拭され、
非常に近代的で優秀なレンズになりました。(50mmと150mmは改良されませんでしたね。) 種類が多く、追々記載してきます。
アクセサリー;
RBはファインダースクリーン交換式なのを含め、多彩なアクセサリーが用意されていました。
交換ファインダーだけでも
・プリズムファインダー T、U
・拡大ファインダー
・露出計付拡大ファインダー、Cds、PD
・露出計付プリズムファインダー Cds、PD
・フレームファインダー
ご注意頂きたいのは露出計付ファインダーです。RB67はボディの電気的なI/Fはほとんど備えていません。
従って、露出計は単独の露出計をファインダーに載せてある様な構造です。
RBは自動絞りの一眼レフなので、ファインダーはレンズ開放の状態です。従って露出計には開放FNo毎に出力の補正を行わないと最適な値がとれません。
ところが初期のレンズには開放FNoが3.8のレンズが数種有ったので、露出計もその値が用意されているものが有りました。もちろん補正すれば良いのですし、
経年で数値の誤差の方が大きくなっていたりしますが、F3.5のレンズを使用する場合は少し違和感が有ります。
どの時代のRBも最高の品質を求めたカメラの一台です。頑丈でシンプルで多くの人の生活を支えてきたカメラです。
そのスタイルは好みが分れますが、ファインダーに写る像、作り出すポジの色彩は大変美しいモノです。
RBは現在最も入手し易い中判カメラの一つです。もし触れる機会が有りましたら是非一度使ってみて下さい。
中野の店舗に、10本以上の100-200ズームが並んだ時は戦慄しました。
それだけ多くの写真館で愛用されていたのでしょうね。
レンズの性能は確かで、期待を裏切られることがありません。
確かに大型に感じられますが、プリズムを付けなければ比重は大変軽いカメラで、同機能のリンホフなど金属テクニカルと較べて,モナカのように感じます。決して持ち重りがするカメラとは思いません。
明らかかにスタジオ用途を重視して作られたカメラで、コストパフォーマンスと大画面による画質の有利さで、海外でもハッセルブラッドの牙城を崩すほどの評価を得られています。
確かに拡大率からくる画面の滑らかさ、それと恐らく原版の大きさによる鉛筆修正のしやすさで、66とは確固たるメリットの差を生んでいたと思います。
節約するなら?645バックもありますしね。
ほぼ同時期に発売されたペンタックス67とは、用途が180度異なりますがよいライバル関係だったでしょう。開発時期からはコニオメガフレックスMも、同じフォーマットのライバルですが、販売実績の桁が2つ以上違うでしょうね。
645ではブロニカETRがスタジオ指向に対し、マミヤM645はフィールド指向なのが面白いです。同じ会社内で用途の棲み分けを行っていたのですね。
私が感じるマミヤRB67の美点は、非常に低ショックであること。そしてフィールドに持ち出せる程度には小型軽量であり、6x8が使えることが何よりのメリットです。
6x8は、6x9とほぼ同程度の面積効率で、印画紙を考慮するとほとんどトリミングせずに使える有り難いフォーマット。
マミヤ68電動バックは、120/220切り替えが出来て、大阪ツカモトカメラのご主人にリンホフ69用の220バックで良いものがないか相談した際に、若造だった私に懐が痛まないよう親切に勧めていただいたものです。
その後10年ほど経って、RB67プロS、65,127,250MCセットが3万円ほどで出た時に、飛び込む切っ掛けを呉れたのがそのバックでした。RBで使うなら巻き上げに連動して直ちに電動巻き上げを行うので、リンホフで手動操作するより抜群に便利です。(プロSは6x8用レボルビングバックに換装する必要あり)
そして6x8フォーマットは、35mm魚眼から360まで蹴られることなく使用可能です。
ファインダーは元々67用のものを、専用スクリーンで少し拡張して使うため、厳密には6x8長辺が短めかもしれません。でもそれを想像力で補う価値は、この高機能の軽量ボディに充分あります。
少し操作が煩雑になるものの、RBアダプターでシャッター付き大判レンズ(150mmから長焦点)も使えます。但し欠点は、マウント開口部が小さいので非純正の長焦点は蹴られる可能性があることです。
RBの素晴らしい操作性、速写性を、蹴られなしで生かす方法はないか、前板を外してリンホフボードを付けてみようかなどと考えている間に、GX680てのが出現し、またセコール360mmが手頃価格で出て、ケンコーテレプラスMC6の性能も良いので構想だけで立ち消えになりました。
写真:RB67proS, コマーシャルエクター240mm開放、160NS、6x8バック、手持ち(ミズタニRB-テヒニカボードアダプター)
その感じも良く判ります。
>私が感じるマミヤRB67の美点は、非常に低ショックであること。
私が外に持ち出すのもこれが要因ですが、作動音が低いところも美点だと思います。
ケンコーのMC6ですが、ブロニカ用でその優秀性を知りRB用も使っています。倍率をちょっと上げたいときにも有効です。
ただ撮影時はTTLファインダーが欠かせません。これが重い…。
RB67に用意されていた645バックは、ProS以降のフィルムバックに有る様な多重露光防止機構が有りません。
但し、露光済のインジケーターは有ります。
RB67のフィルムバックはボディー側のレリーズ情報はメカニカルにバック右上(I/F面側から見て。)の凹穴に伝わると(ボディからピンが突出します。)、露光済みインジケーターが赤くなります。
そうしたら巻き止めを解除(レバー操作)して巻き上げる事になります。
つまりノーネームRBとあまり操作が変わりません。
(私の645バックはあまり使わない内に動きが固くなってしまいました。)
旧型デザインのもので、グラフレックスXLやセンチュリーグラフィック、ホースマンなどと互換性があるので、ちょっと節約撮影の際に重宝しています。
ProSD用も存在しますが、645電動仕様は存在しません。
RB67proSで使った事がないので、二重露光防止がないことなど全く認識していませんでした...
ちなみに私はRB67では全部68電動バックで撮影し、手動バックを使った事がありません。多分巻き上げ忘れてしまうでしょう。
その中には露出計内蔵のファインダーも新旧数種用意されていました。古くは屋外ルーペタイプのファインダーに
Cds受光部が付いたアームを視野中に出して測光するタイプだったり、標準的なプリズムファインダー
に同じくCdsの受光部を載せたタイプが有ります。
これには新旧でプリズムの構成と受光素子をフォトセルに変えた2種(実際にはマイナーチェンジが見られる
様です。)が有ります。
私の持っているタイプは最初期の最も重いタイプで、アルミダイキャストの外装は優に小型一眼レフ1台分の
重量が有ります。
RB67はレンズの情報をファインダーに伝達する手段を持っていませんので、ファインダー自体に今FNoがど
の位のレンズが付いているのかをセットしなくてはいけません。
注意点として、このファインダーはボディーに装着しない単体の状態のままではパワーSWをONにしても作動しません。
正確にはボディーに装着する事によってI/F面に有る小さなボスが押されて初めて通電されて作動します。
店頭でのチェックの際は指でこのボスを押せば作動します。
メーター本体の大きさに比較して、とても小さな印象の有るY次型の指標にメーター指針を合わせて
適正値を得るリードアウト式です。
受光範囲は127mmレンズ装着時に約30°の視野角を平均的に測光します。
ファインダー全体で見れば概ね中央部重点測光です。
本当に古いタイプの受光素子と構造ですが、さすがにマミヤ製だけあって頑丈です。中古品購入後30年
以上経っていますが今だ現役です。
このノブに取り付ける、ソリッドタイヤの様なフォーカッシングノブアダプターが有ります。
このアダプターですが、丸い円盤にノブに被せるための凹みが有るのですが、どうも2種類ある様です。
マミヤのアクセサリーカタログを良く見ると"DSM"と"DSF"が表記されています。
先日、今まで単純な丸いタイヤだと思っていたアダプター以外に、ピントノブに装着する部分が
飛び出しているアダプターを見つけました。
ProSDの様に、ピントノブの根本に軸の回転規制が有る場合、従来の円盤タイプでは操作し辛いための改良の様です。
…でもどっちがDSF/DSMなんだろう。
追記
時々、マミヤの二眼レフ用のアダプターを何の注意書きも無く”マミヤ用”と書いて有る(書いて有るだけ親切?)事が有ります。
RBとCシリーズ用では互換性が有りませんのでご注意下さい。
・K :RB67 ProとRB67 ProS 用
・L :RB67 SD用
・K/L :RB67シリーズ全機種用
(時々マウントアダプターが付いているので外さないとProとPro S には装着できません。このアダプターはOリングで嵌っているだけなので、引っ張ると外せます。)
Lレンズには75mmのシフト("S/L" と表記されています。)と、210,250,350のAPOレンズが有ります。
基本的には"K"一文字のレンズは無かったと思います(未確認です。)
K/Lレンズでも性能の割には比較的安価で入手可能なのですが、140mmのマクロレンズと、
360mmのF6.0(Sekor C まではF6.3でした。)はレアと云うほどでは有りませんが、見つけ辛いです。
ちなみに、350mm前後のレンズでは、L APOレンズは350mmなのに、他のレンズは360mmなのです。
1群2枚の単玉レンズ。
ペンタックス67に専用ヘリコイドで供給されたのでご存じの方も多いでしょう。
RB67用は、純正かどうか微妙な所ですが、Zork(ゾーゲンドルフという表記もあるよう)が鏡胴を製作し、レンズヘッドはペンタックス用のヘッドとおなじもののようです。
RBはボディに蛇腹ラックピニオンの繰り出し装置を内蔵していますので、鏡胴はただの筒です。
ただしRBはレンズにシャッターが必要なので、純正180mmレンズの鏡胴からレンズエレメントを外して、かわりにイマゴン鏡胴を前にネジ込んであります。つまりビハインドシャッターです。焦点距離200mmの狭画角ですから蹴られはないようです。
絞りは虹彩絞りではなく、レンズ前部にレンコン状の絞りを取り付けるようになっていますが、購入時は失われており(だから安価だった)、10年以上探していますが、入手できません。
レンコン絞りの一番明るい分を付けるとH5.5(運用上Fと同じ)ですが、絞りがないのでf3.5くらいの明るさで、人物を撮影するにはふわふわすぎます。
花を撮影するならここまでふわふわでも、まあ使える絵になることもありますね。
カノコユリ、めしべの右側にスズメガがホバリング吸蜜してますが、ソフトすぎて曖昧ですね。
RB67proS、中間リング、Imagon200mm、Pro160、6x8電動ホルダー
ダブルレリーズで本体はバルブでしょうか。チャンスをつかむのが難しそうです。
RB67にも150mmのソフトレンズが用意されていましたね。RZには180mmでした。
RBの150mmを久しぶりに使ってみようかと思いました。
リンホフテヒニカボードアダプターでは、ボディとシャッターは独立していますので、
1,レンズ側プレス開放(またはタイム)して焦点合わせ、カメラ固定
2,レンズ絞り込み
3,レンズのシャッター閉、チャージ
4,RB67レリーズ、ホールドして遮光板が降りないように
5,レンズシャッターレリーズ
6,RB67レリーズオフ、遮光板閉
7,RB67チャージ、
1に戻る という、まあ気が滅入るような作業が必要です。
このイマゴン200は、初期RB用セコール180のシャッター鏡胴を流用し、シャッター作動は純正レンズと同じくボディ連動しており便利です。
でないと、手持ちで飛行する蛾を捉えることは到底できません。
レンズ側虹彩絞りを作動させることも可能ですが、ビハインドなので常に開放で使用しないと蹴られてしまいます。
6x6用の30mmf3.5でよい感触を得ました。
ただ建築など風景はフォーマットが大きければ大きいほど精細描写が得られますから、
ペンタックス67用の35mmf3.5と、このマミヤセコール37mmf4.5を検討しました。
幸い2000-2010年前後は中判カメラ投げ売り時代、現役時代の超高級機が嘘のような価格で並んでいます。
セコールフィッシュアイ はペンタックスより少し焦点距離が長い37mm、包括角度は同じ180度を標榜しています。
基本的に6x7用なのですが、RB67proSD用の6x8電動ホルダーを使うと、6x8フォーマットの隅までカバーしていることがわかりました。
これより大きなフォーマット用の魚眼レンズは、知る限りありません。(コンバーターをつける手はありますが)
性能は、画面隅々まで解像しており優秀です。
暗い室内を撮影するため、6x6用30mmより一絞り暗いのはデメリットで、高感度フィルムでカバーするにしても、画質を落とすことになるためせっかくの大フォーマットの効果が相殺され悩ましいところです。
さて今RB67と37mmをもって旅行に出るかを考えると、6x6との競合に加えて優秀な高画素デジタルとの競合を迫られます。対抗機は感度可変でフィルムでは及ばない感度が出せます。悩ましいことです。
一時期、やはりフルサイズのDSLRを持って出かけていたのですが、帰ってから落ち着くとやはり中判を
持っていけば良かったと思う事が何度もありました。数は撮れないし、重量は重いし、なんでかなぁとは思いました。
中判カメラの魚眼レンズはとても高価でしたね。一時期おっしゃる通り価格は下がりましたが
それでも手が出ませんでした。