ブロニカ付属品情報

引き蓋(フィルムバック取り外し用遮光板)


左から順にD用,S用,S2用,ECシリーズ用

ブロニカの引き蓋(フィルムバックを取り外すときに,フィルムバックに差し込む板)はブロニカの必需品です.これを差し込まなければバックをカメラ本体から取り外すことが出来ないからです.しかしこの引き蓋には,最初のD型からECシリーズまで大きく分けて4種類あり,使い分ける必要があります.

上にはその全てのタイプの写真を載せていますが,区別のポイントは順に以下の通りとなります.

  • ブロニカD用:ブロニカDにのみ利用出来ます.形状の特徴としては,肩の部分(取っ手の針金の取り付け部の左右)に階段状の小さな段差がある点です.
  • ブロニカS用:ブロニカSにのみ利用出来ます.形状の特徴としては,差し込み口が他の種類とは異なり凹の形をしています.これは,ブロニカSのフィルムバックのみに備わる遮光幕とうまく引っかかる形状になっています.
  • ブロニカS2用:ブロニカS2にのみ利用出来ます.D型より少し長く,また肩の部分に段差がないことからわかります.
  • ブロニカECシリーズ用:ブロニカECシリーズ(EC, EC-TL, EC-TL-II)のフィルムバック(これら3機種で共通です)に利用します.取っ手の部分が四角い形で,ECシリーズ用フィルムバック背面の引き蓋ポケットにちょうど収まるようになっています.
それぞれの引き蓋を違いに流用出来る場合もありますが,組み合わせによっては引き蓋が最後まで格納出来ず,抜け止めのロックがかからない場合などがあります.漏光事故を防ぐためにも専用品を使用するに越したことはありません.

ストラップと,ストラップ取り付け金具


左から順にD〜S2前期型用純正品,S2後期型〜ECシリーズ用純正品, OP/TECH スーパープロストラップ金具(B),ペンタックス67用純正品. 上段が表面,下段が裏面(カメラに取り付けられる側)

ブロニカD金具周辺


ブロニカS金具周辺
(ブロニカS2もほぼ同様)


ブロニカS2最後期型金具周辺


ブロニカECシリーズ金具周辺

ブロニカ(ECシリーズまで)のストラップには2種類あり,互いに流用が不可能です.またいくつか社外品で利用出来るものもありますので紹介します.
  • ブロニカD〜S2前期型用純正品:ブロニカDから,S2前期型(シリアルナンバーが 150000未満)に取り付けられます.S2後期型やECには取り付けられませんし,むりに取り付けた場合は取り外しが出来なくなります.左写真に揚げたように,ボディのストラップ金具の上下に羽根のような取り外し用の部品がついているものに限り取り付けてください.
    取り付けは単に金具をボディへ押しつけるだけです.取り外しはかなり硬いのですが,ストラップ側の金具をボディ側へ押しつけるようにしながら,羽根型のボディ側取り外し金具を外向きに引くと外れます.
  • ブロニカS2後期型〜ECシリーズ用純正品:ブロニカS2最後期型(シリアルナンバーが 150000以上)とECシリーズ全機種に取り付けられます.これは,ストラップ側に装着・取り外し機構がついています.プラスティック部品の切れ込みの中を押して,内部の金属部品を押し出すようにずらすと装着・取り外しが出来る状態になります(上の写真はその状態になっています).ストラップ金具に差し込んでからストラップを引くと固定されます.
  • OP/TECH スーパープロストラップ金具(Bタイプ):米国製の OP/TECH ストラップにブロニカに対応したものがあります.AタイプとBタイプがありますが,ブロニカにはBタイプを使用してください.D型からECシリーズまでの各機種に取り付け可能です.
    このストラップは伸縮性があり,衝撃を和らげてくれますので非常に楽にブロニカを持ち運ぶことができ,お勧めです.
  • ペンタックス67用ストラップ金具:ブロニカS2前期型までの機種に取り付けることが出来ます.後期型やECには取り付けることが出来ません.
なお,装着可否は以下のようになっています(接続の安全性は保証出来ないので自己責任で).
D / S /
S2前期型
S2後期型 /
ECシリーズ
ブロニカD/S/
S2前期型用
◎純正 ×装着不可
ブロニカS2後期型/
ECシリーズ用
×装着不可 ◎純正
OP/TECH Bタイプ ○装着可
ペンタックス67用 ○装着可 ×装着不可

ECシリーズ用交換スクリーン


全て EC-TL 用表文字スクリーン
左上:A型(マット),右上:B型(マイクロプリズム),左下:C型(スプリットプリズム),D型(フレネルなしマット)


スクリーンのケースや元箱

ブロニカは,S2型まではフォーカシングスクリーンが固定式ですが,EC型以降は交換が出来るようになりました.フォーカシングスクリーンの形式には,以下のような種類があります.
  • A型:全面マット型スクリーンです.ただし中央部を除き,周辺部にはフレネルレンズが設けられています.カメラボディに標準装備されていたものです.
  • B型:マイクロプリズム式スクリーンです.A型の中央部(フレネルレンズのない部分)のうち,さらに中央付近だけがマイクロプリズム(ピントが外れると像がギザギザになるタイプ)になっています.
  • C型:スプリットプリズム式スクリーンです.同じくA型の中央部(フレネルレンズのない部分)のうち,さらに中央付近だけがスプリットプリズム(ピントが外れると上下の像が左右にずれるタイプ)になっています.
  • D型:フレネル無しマットスクリーンです.A型と同様に全面マット型ですが,フレネルレンズが装備されていません.一般にフレネルレンズはマット面のピントを見にくくするため,このスクリーンでは周辺部でのピント合わせが容易です.しかし反面,周辺部が暗くなるので,超望遠レンズでの使用に適しています.
  • E型:方眼入りマットスクリーンです.A型のスクリーンに,方眼が刻まれたものです.
なお,EC / EC-TL / EC-TL-II のスクリーンはそれぞれ異なります.上の写真は全て EC-TL 用ですが,これは上辺に沿ってシャッター速度表示用の指標が付いています.EC 用にはこれがありません.また EC-TL-II 用は EC-TL 用と同様のシャッター速度表示指標がありますが,1/30 秒より遅いシャッター速度表示機構が省略されています.また EC-TL と EC-TL-II には,プリズムファインダ用に数値が裏文字で書かれたタイプもあります(プリズムファインダでは,ウェストレベルファインダとは異なり正立正像のため,スクリーン上の文字は左右逆転して見えるためです).結局,上記のA型〜E型とは独立に
  • EC 用:シャッター速度表示なし
  • EC-TL 用表文字
  • EC-TL 用裏文字
  • EC-TL-II 用表文字
  • EC-TL-II 用裏文字
の5種類があるため,組み合わせにより25種類のスクリーンが存在したことになります.購入時は特に裏文字タイプに注意する必要があります.

ウェストレベルファインダ用視度補正レンズ


EC-TL 用ウェストレベルファインダに -1dp のレンズを装着したところ


視度補正レンズのケースや元箱

ブロニカECシリーズのウェストレベルファインダ用の視度補正レンズです.なお,プリズムファインダ向けにはこれとは異なるもっと径の小さいレンズが用意されていました.野外ルーペ(煙突形ルーペ)と,EC用の露出計内蔵ファインダには視度補正機構が内蔵されています.なおS2型のウェストレベルファインダのレンズは固定式で,視度は変更出来なかったようです.

これは視度補正のために交換するものですが,ルーペそのものを交換するためかケースには "MAGNIFIER" と表記されています.

交換は,レンズとその外周のリングを回転させることにより行います.-3dp から +3dp まで 1dp 刻みで用意されていたようです.(プリズムファインダの視度補正レンズは EC 用と S2 用で共通ですが,A型とC型では径が異なります.A型は +3, +2, +1, -0.5, -1.5, -2.5 が,またC型には +3, +2, +1, -1, -2 が用意されていました.)

ノブカバー



グレーノブとブラックノブ

ブロニカDの外観には,ノブがグレーのものと黒色のものがあります.ノブの色がグレーのもののほうが,より初期のブロニカDと考えられているようです.しかしこれは,単にノブのカバーのみの違いであり,取り替えがきくものです.実際には,より初期のものにグレーのカバーが装着されて販売されていたということではないかと考えられます.このカバー,ノブへしっかり密着しており,ゆるみがないものですので,多くの方は,まさか取り外しが出来るものだとは思われていないようですが・・・

ノブカバーは,側面のノブによりピント合わせを行うブロニカSまで付属していました.このシリコンラバー製のノブを取り外すと,どの機種でも金属に黒色塗装がなされたノブが出現します.あなたのブロニカD・ブロニカSの本来のノブも,今まで一度も日の目を見たことがないかも知れませんね.

ヘリコイドユニット


50mm, 75mm, 135mm, 200mm

75mm, 100mm

75mm, 80mm, 100mm

75mm のみ
ブロニカはC型以降,C / C2 / S2 / EC / EC-TL / EC-TLII の6機種にわたり,取り外し式のヘリコイドユニットを備えています.200mmまでのレンズはこのヘリコイドユニットの先の小バヨネットマウントに取り付けますが,300mm以上のレンズやシャッター内蔵の105mmレンズなどではヘリコイドユニットをボディから外したときに現れる大バヨネットに取り付けます.

小バヨネットに取り付けられるレンズはニッコールとゼンザノンを合わせると,40 / 50 / 75 / 80 / 100 / 135 / 150 / 200mmの8種類に及びますが,これらを共通のヘリコイドにより繰り出すため,どうしてもすべてのレンズに対応した距離表示ができません.ボディ側に繰り出し機構を備えた,ブロニカD/SやローライフレックスSL66系,マミヤRB/RZ系などではそれぞれに工夫が凝らされていますが,ブロニカではここに示すように時代によって様々なヘリコイドユニットが提供されていました.

カタログや当時の文献,また現存するカメラからの調査によると,左に掲載したヘリコイドのうち,4種類の焦点距離が表記されたものが最初のころのもののようです.その後100mm F2.8 のゼンザノン,次いで80mm F2.8 / F2.4 のゼンザノンレンズの登場によりボディに装着されているヘリコイドユニットは変更されていったようです.